地域活性化の取り組み事例から学ぶ、成功の秘訣

知って得する、新しい移住のイロハ~その6~


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この記事のPOINT!

地域活性化とは、地域がそれぞれの地域の経済や社会、文化などの動きを活発化させたり、地域の人々の意欲を向上させたりすることで、地域を維持発展させること。
2014年に第二次安倍内閣が日本全体の活力向上を目指す看板政策として「地方創生」を掲げたことを期に全国的な課題として認識され、広く取り組みが始まりました。
この記事では、全国の地域活性化の成功事例をまとめてご紹介します!




地域活性化とは?

地域がそれぞれの地域の経済や社会、文化などの動きを活発化させたり、地域の人々の意欲を向上させたりすることで、地域を維持発展させること。地域おこしや地域振興、地域づくりも似た意味で使われます。

地域活性化はなぜ必要なの?注目される背景

過疎地域を中心に各地で地域活性化への取り組みは行われてきましたが、特に2014年に第二次安倍内閣が日本全体の活力向上を目指す看板政策として「地方創生」を掲げたことを期に全国的な課題として認識され、広く取り組みが始まりました。

地方創生」とは、各地域がそれぞれの特徴を活かして自律的で持続可能な社会を創ること、及びそのために行われる施策のことで、国を挙げてこれらの取り組みを進める背景には、人口減少社会の到来と東京一極集中という日本社会が抱える2つの大きな課題があります。

課題1:人口減少社会の到来

日本の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少傾向に転じ、2021年3月1日時点では1億2548万人。このままのペースで進むと、2050年には1億人を下回ることが予測されています。

参考:総務省統計局「統計が語る平成のあゆみ 人口減少社会、少子高齢化」
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1191.html

さらに超少子高齢化という社会問題を抱える日本の場合、単に人口が減っていくのではなく人口全体に占める生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の割合が減り、高齢者が占める割合が増えていきます。その結果、経済規模の縮小、国際競争力の低下、社会保障制度、財政の破綻、地域社会が存続できなくなるなどの問題が生じ、日本全体の国力が失われかねません。

課題1:東京一極集中

日本の総人口の約3割に当たる約3,600万人が暮らす東京圏。東京圏に人口が集中し過密状態にある一方で、地方の転出超過、限界集落化、過疎化、超高齢化は全国に広がっており、既に全国1799自治体のうち約半数にあたる896自治体が「消滅可能性都市」に該当するという調査結果が発表されるなど危機的状況に陥っています。

※消滅可能性都市とは、『日本創成会議』が2014年に定義した「2010年から2040年にかけて、20 ~39歳の若年女性人口が 5 割以下に減少する市区町村」のことで、地域社会、経済、財政を担う新しい世代が育たず維持困難となり、無居住地化せざるを得なくなる可能性が高い地域のこと。

解決策としての地方創生、地域活性化

官民一丸となって「地方創生」「地域活性化」に取り組み、地方に新しい仕事を創り住環境を向上させ、都市部からの地方移住や関係人口を創出することで新しい人の流れを生み出せば、人口減少と東京一極集中という社会課題を改善し、それらがもたらす負の連鎖を食い止められるはずです。

「地域活性化」は、新しくより豊かな日本の未来像を描くための取り組みとして、そして日本国民一人ひとりが当事者意識をもって取り組むべき課題として、注目すべき取り組みなのです。




全国の取り組み・成功事例

地域活性化にはどのような取り組み事例あるのでしょうか?

ここでは、地域の産業、経済、観光・交流、教育、まちづくりの5つの分野における全国のユニークな成功事例をご紹介します。

産業振興

■地域資源を再発掘して新しい特産品をつくる

同級生との再会で掘り出された新特産品|山口県長門市|阿武の鶴酒造

山口県長門市のある変わったネーミングのお酒。その名は『純米大吟醸むかつく』。ユニークな名前のこのお酒は、東京からUターンで戻ってきたある二人の同級生の再会をきっかけに地元の人脈と地域資源をつなげた〝組業〟で生まれました。大ヒット商品を作るより今ある資源を組み合わせ、細く長くそして臨機応変に継続していくこと。地産にこだわり作られた新しい特産品は、特産品持続可能な地域産業づくりにも続いています。

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https://turns.jp/48054

■土地にあるものを活かし、新しい産業を生み出す

キャンプ場から新産業を生む|群馬県長野原町|きたもっく

町面積の約71%を広葉樹の天然林とカラマツの人工林が占める、群馬県長野原町。「有限会社きたもっく」は、まちの南西部に位置する北軽井沢をフィールドに、年間十万人が訪れるキャンプ場「スウィートグラス」の運営をはじめ、薪の製造販売、養蜂業など、多岐に渡る事業を展開しています。それぞれが「土地にあるものを活かす」を軸に有機的につながり合って成り立つ「きたもっく」の事業は、地域に新しい循環型の産業と雇用を生み出しています。

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https://turns.jp/52594

■地元企業同士で連携し、新しいビジネスを生み出す

地元企業たちの集合知|香川県三豊市|瀬戸内ビレッジ

香川県三豊市は人口6万人ほどの静かな町でしたが、約5年前に「日本のウユニ湖」として父母ヶ浜が有名となり、世界中から年間50万人が訪れる人気観光地となりました。そんなエリアに2021年、一棟貸しの宿「URASHIMA VILLAGE」がオープン。開業したのは、地元企業を中心に11社が出資した瀬戸内ビレッジ株式会社。複数の事業者が新しい地域経済を自ら生み出し、発展させる試みが始まっています。

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https://turns.jp/51652

 

経済振興

■「職人のまち」に人を呼び、地域経済を動かす

移住者と生産者が地域経済を動かす|福井県鯖江市|RENEW

メガネフレームの国内生産シェア9割を占める福井県鯖江市。日本一のメガネの産地として知られていますが、実は越前漆器に代表される漆器産業や繊維産業も盛んなものづくりのまち。このまちで作り手の想いや背景を知り、商品を購入できるイベントとして開催されているのが産業観光イベント『RENEW(リニュー)』。開催日には全国から人が訪れ、産地のPRにとどまらず移住者や関係人口の増加、雇用拡大にも貢献。新しく持続可能な地域経済圏を生み出しています。

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https://turns.jp/38289

■稼いだ外貨で再投資し、地域経済の循環を生み出す

稼いだ外貨をまちに再投資し、人を育てる|宮崎県新富町|こゆ財団

宮崎県のとある町に、何やら勢いのあるまちづくりのチームがあるらしい。全国から注目を集めるそのチームの名は「一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(略称・こゆ財団)」。「こゆ財団」は新富町が出資してできた組織で、その事業は大きく分けて2つ。一つは町に埋もれている地域資源を探し出し、新しい商品や仕事を創り、地域外からお金を稼ぐこと。そして稼いだお金をしっかり町に還元し、再投資すること。これから事業を始めようとする人や地元事業者の人材育成、空き家を宿にするなどの利活用、さらには町をスマート農業の研究拠点にする構想など、町の未来に寄与する新しい動きが活発に生まれています。

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https://turns.jp/48316

地域密着型スーパーを中心に地域経済圏をつくる

買い物だけじゃない、地域密着型スーパーの底力|秋田県横手市|スーパーモールラッキー

横手市十文字町に、地元でひときわ愛されているスーパーがある。その名は「スーパーモールラッキー」。約3,500坪と広大な面積を誇る店内には、一般的な食品はもちろん、オーガニック食材や産直の農産物がずらりと並ぶファーマーズマーケットや県内屈指の品揃えのアウトドアコーナー、酒店、書店、おもちゃ、ホームセンター、ペットショップ、家電、ドラッグストア、果ては仏壇用品、旅行代理店までが揃い、多くの人で賑う。さらに「ラッキー」は地域の人々のニーズに応え、お買い物バスの運行や配食や見守りサービス、お客様の困りごとの受付窓口など地域貢献サービスも展開し、スーパーを起点とした新しいコミュニティーと経済圏を生み出しています。

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観光・交流の活性化

■「道の駅なみえ」がつなぐ、人の輪

地域商社がもたらす、人の網の目|福島県浪江町|「地域商社」 あきんど

福島県双葉郡浪江町。原発事故からの復興に汗をかくこの町に、新しい道の駅「道の駅なみえ」が開業した。「なみえ」の特徴はこの場所を拠点に地域を超えて生産者がつながり、学び合うなかで魅力的な商品や事業が生まれ、そこに暮らす人、根ざす人たちの暮らしが豊かになっていること。まちにもたらすプラスの効果が「なみえ」魅力的にし、地域外から新しい人を呼ぶ、新しい経済が回り始めています。

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https://turns.jp/52019

■官民連携で民泊事業に取り組む

陸前高田の農泊が生み出す、新しいチャレンジの土壌|岩手県陸前高田市|NPO法人SET

東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市。「被災地」というフィルターを通して見られることが多いが、復興支援をきっかけにこの地を訪れた若い移住者たちの手で新しいチャレンジが活発に興り、地域の中と外との交流が大切に育まれてきた地域でもある。地域活動の原動力を生み出しているのが、特定非営利活動法人SET。SETを中心に官民4団体が連携して取り組む民泊事業は、まち全体に新しい活力を生み出しています。

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教育、次世代の担い手づくり

■ICT教育を導入し、時代を先駆ける教育を

ICT教育の導入から、 プログラミング授業へ|山内西小学校|佐賀県武雄市

2020年の学習指導要綱の改訂にともない、全国の小学校で必修化されたプログラミング。佐賀県武雄市では2014年から小学校で実証的にプログラミングの授業を行い、全国に先駆けて日々の授業から知見を集めています。ICTを活用した教育が育む力とは?

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https://turns.jp/50380

■島留学が育む、生きる力

粟島に集まった14人の仲間たち|新潟県粟島

新潟県本土から船で約一時間、日本海にぽつんと浮かぶ「粟島」。病院もコンビニもない人口350人の小さなこの島には、全国から子どもたちが島留学をしに集まります。手つかずの大自然と心を通じ合える動物、優しく見守る島民、気の置けない仲間たちとの出会いに、子どもたちの生きる力を育む大切な学びが詰まっていました。

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■まち全体を学び場に

まち全体が学びの場|島根県津和野町

「地域の過疎化」が言われて久しいが、この言葉の発祥は島根県からだそうだ。そんな島根では「高校魅力化」や「教育魅力化コーディネーター」というような教育を軸にしたまちづくりを全国で先駆けてスタートしている。学力を上げ優秀な人材を外に出していくのではなく、まち全体を学びの場としてまちが抱える問題や課題を題材に学びを組み立てていく。人口7500人と過疎化の激しいこの小さな城下町のまち全体が学びの場だ。

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まちづくり

■銭湯の継業が紡ぐまちの風景

無くしてはいけないものを残すために|菊の湯|長野県松本市

長野県松本市。松本駅から10分ほど歩くと、本屋あるいは喫茶店『栞日』がある。形に捉われず、街に開かれた〝場〟を創り続ける彼らはこの秋、斜向かいの歴史ある銭湯「菊の湯」を継承した。彼らが継承したのは銭湯そのものだけではなく、地域の人も旅の人も、世代も障害の有無も関係なく、どんな人も自由に出入りができる場所が生み出す街と場と人の良い関係、コミュニティ。そのまちならではの風景を紡ぐ継業に、まちづくりの新しい可能性が見えてきました。

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■第三の人間関係が生む、新しいコミュニティ

すべては「個」の 幸せから始まる|何にもしない合宿|静岡県裾野市

「何にもしない合宿」—奇想天外な名前の企画が始まったのが、2012年。開催のたびに100人を超す子どもと大人が集まり、地元に根づくことを自ら選ぶ子たちが生まれている。「選ばれる地域」となるためのヒントは「第三の人間関係」。愛着を育む地域づくりについて仕掛け人に聞いた。

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立場や世代の異なる人々が集う、新しいコミュニティづくり

多様さと日常的に隣り合う〝ごちゃまぜ〟の街をつくる。|Share金沢|石川県金沢市

「私がつくるまち」をテーマに掲げ、2014年にオープンした総合福祉施設「Share金沢」は、もはや〝一つの街〟である。約11,000坪という東京ドームにも匹敵する広大な元国立病院跡地内には、障害児入所施設やサービス付き高齢者住宅、学生住宅といった住居から、学童保育、天然温泉に飲食店、ライブハウスに運動場、さらにはクリーニング店からボディケアまで、様々な施設・機能が混在している。障害者、高齢者、大学生、学童、地域の人。立場や世代の異なる人々が、分け隔てなく混ざり合う新しいコミュニティをつくり上げたこの街で見つけたのは〝お互い様〟をつくりあう、懐かしくて新しい関係性でした。

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地域活性化を成功させるために

最後に、これらの成功事例にも共通する、地域活性化のポイントをご紹介します。

今ある地域資源を生かす

「地域活性化」というと、これまでにない新しい発想で新しい取り組みをしなければならない、と考える方もいらっしゃるかもしれません。

もちろんそうした方向性も大切ですが、まずは既に地域にあるヒト・コト・モノなど、既存の地域資源や産業、地域の特徴、長所に着目し、それらを活かす方法を考えることが地域活性化への近道です。

その地域では当たり前とされていることも、他の地域、新しい世代から見ると新鮮で魅力的なものに映るかもしれません。独自のアイデンティティーを活かすことは、他地域との差別化にも繋がっていきます。

多くの人を巻き込む

「地域活性化」への取り組みは行政や地域プレーヤーが主導するケースが多いですが、最終的には地域に住んでいる人、関わる人、一人ひとりが生き生きと暮らせるようになってこその活性化。

人と人、組織と組織、地域と地域とがそれぞれの立場や活動分野を越えて連携することで、地域全体に新しいエネルギーを届けられたら理想的ですよね。

一人ひとりが自分事として捉えられるよう、また、取り組みに積極的に参画してもらえるよう、暮らしや仕事、子育てなど、生活に密着した領域から始める、それぞれの得意なことや技術を活かせる形で進めていくなどの工夫が求められます。

持続可能なモデルを追求する

一時的に人口や雇用が増えたり外貨を稼げるようになったとしても、それらを維持することができなければ、一度生まれた活力もいずれは途絶えてしまいます。

一過性のものとして終わらせないためには、誰一人として取り残さないを誓うSDGs(持続可能な開発目標)の概念も取り込み、誰もが豊かさを享受しながら維持継続できるモデルやシステムを作っていくことが大切です。

地域活性化の担い手は私たち一人ひとり。

まずは身近なヒト、モノ、コトの魅力を見つめ直すことから始めていきたいですね。

 

文:高田裕美

 


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