地方創生とは?取り組み事例や制度、交付金にはどんなものがあるの?SDGs、Society5.0との関わりって?

知って得する、新しい移住のイロハ~その4~

2008年を境に、人口減少社会に突入した日本。

その主たる原因は急速に進む少子化と高齢化にあるとされていますが、特に地方はそれらに加え都市部への人口流出という課題も抱えており、全国の約半数の自治体が「消滅可能性都市」に該当するという調査結果も発表されるなど、深刻な状況に陥っています。

そんな地域の姿、日本の未来を変えるために始まった「地方創生」とは、どのような取り組みなのでしょうか?

この記事では、誰もが当事者として関わり続ける必要がある「地方創生」についてご紹介します。

地方創生とは?

「地方創生」とは、各地域がそれぞれの特徴を活かして自律的で持続可能な社会を創ること。及び、そのために行われる施策のこと。

2014年に第二次安倍内閣が日本全体の活力向上を目指す看板政策として「地方創生」を掲げ、政策全体の指揮を執る「まち・ひと・しごと創生本部」を創設。同年12月には、目指すべき日本の将来像を提示した「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と、2015年度から2019年度までの目標や施策の方向性、具体的な施策などをまとめた「第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定され、本格的な取り組みが始まりました。

 

地方創生が注目される背景

なぜ今、「地方創生」が注目を集めているのでしょうか?

その理由を探ると、「地方創生」への取り組みは日本が抱える2つの重要課題に通じていることが分かります。

課題1:人口減少社会の到来

日本の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少傾向に転じ、2021年3月1日時点では1億2548万人。このままのペースで進むと、2050年には1億人を下回ることが予測されています。

参考:総務省統計局「統計が語る平成のあゆみ 人口減少社会、少子高齢化」

https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1191.html

さらに超少子高齢化という社会問題を抱える日本の場合、単に人口が減っていくのではなく人口全体に占める生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の割合が減り、高齢者が占める割合が増えていきます。

少子高齢化社会における人口減少が私たちの暮らしに与える影響として、以下の4点が挙げられます。

■経済規模の縮小、国力の減退

一国の経済活動とその規模は労働人口(15 歳以上人口のうち,就業者と完全失業者を合わせた人口)に左右されますが、総務省統計局の調査によると日本の労働人口は2020年平均で6868万人と前年の調査に比べ18万人減少しました。

労働人口の減少が最も直接的に影響するのは人手不足ですが、あらゆる産業、事業で慢性的に労働力が不足しそれらを補えなければ次第に市場や事業規模の縮小を余儀なくされ、結果的にはGDP(国内総生産)、国力の減退にも繋がります。

参考:総務省統計局「令和2年 労働力調査年報」

https://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2020/index.html

■国際競争力の低下

国内の経済規模が縮小すれば、各企業、事業者がグローバル市場で戦えるだけの基盤や体力を作ることも難しくなります。

海外投資家から見た投資先としての魅力も低下し、新しい人材も資金も獲得しにくくなり、イノベーションも起こりにくなれば、新興国が日々台頭する国際市場での競争力低下は避けられません。

■社会保障制度、財政の破綻

高齢者の増加により医療・介護費が増大する一方で、それを支える現役世代が減少すれば現行の社会保障は維持できなくなります。

既に現行制度は見直しを迫られていますが、需要過多の現状を和らげる供給力向上の道筋も見えない中で、将来世代に負担を強いることで維持し続けてきたのが現状です。

■地域社会が存続できなくなる

少子高齢化と人口減少は首都圏よりも特に地方で顕著にみられ、全国1799自治体のうち896自治体が「消滅可能性都市」に該当するという調査結果が発表されています。

消滅可能性都市とは、『日本創成会議』が2014年に定義した「2010年から2040年にかけて、20 ~39歳の若年女性人口が 5 割以下に減少する市区町村」のことで、地域社会、経済、財政を担う新しい世代が育たず維持困難となり、無居住地化せざるを得なくなる可能性が高い地域のこと。日本は既に全国の自治体の半数が「消滅可能性都市」に該当する、危機的状況に陥っているのです。

課題2:東京一極集中

日本の総人口の約3割に当たる約3,600万人が暮らす東京圏。

人、企業、都市機能が集中することにより、生産性が高まる、イノベーションが生まれやすくなるなどメリットがある一方で、デメリットも懸念されます。

■災害時のリスクが高まる

首都直下地震や南海トラフ地震発生の可能性が指摘されていますが、もし東京圏に人が集中する現状を変えられなければ、それら大規模広域災害発生時の甚大な人的、物的被害は避けられません。救助、救急、医療体制が限られている中で医療機関も急激な需要過多には対応しきれず、負傷者数、死者数共に想定以上になる可能性もあります。さらに日本の場合は、政治、経済、行政機能の中枢機能も東京に集中しており、それらが麻痺することによる社会混乱は想像に難くありません。

新型コロナウイルス感染症の拡大時では実際に、人流も経済活動も活発な東京をはじめとする都市圏に感染者数、重傷者数が集中し、必要な方の元に医療の手が届かないなどの問題が生じました。

■地方の活力が失われる

東京圏が過密状態にある一方で、地方の転出超過、限界集落化、過疎化、超高齢化が全国に広がっています。

東京と地方の差は社会、経済の大きなひずみを生み、修復困難なものになりつつあります。

解決策としての地方創生

官民一丸となって「地方創生」に取り組み、地方に新しい仕事を創り住環境を向上させ、都市部からの地方移住や関係人口を創出することで新しい人の流れを生み出せば、「人口減少」と「東京一極集中」という社会課題を改善し、それらがもたらす負の連鎖を食い止められるはずです。

「地方創生」は、新しくより豊かな日本の未来像を描くための取り組みとして、そして日本国民一人ひとりが当事者意識をもって取り組むべき課題として、注目すべき政策なのです。

 

地方創生に向けた取り組み

「地方創生」政策では、どのような取り組みが行われ、どのような成果が上がっているのでしょうか?

「第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定された2015年度から、「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略(2020改訂版)」施行中の現在までの取り組みを振り返ります。

第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略

目標

2015年度から2019年度までは以下の4つの基本目標のもと、国、地方自治体がそれぞれ取り組みを行ってきました。

1.地方に仕事をつくり、安心して働けるようにする

観光業、農林水産業を含む地域資源を活かした事業と雇用を創出すると同時に、地域企業のマネジメント力、生産性を向上させ、地域経済の好循環を生み出す。専門人材を確保・育成し、働きやすく魅力的な就業環境を地方に整備する。

2.地方への新しいひとの流れをつくる

U・I・Jターンなどの地方移住の推進や、政府関係機関、企業の地方移転、関係人口の創出・拡大させるなど、都市部から地方への新しい人の流れを生み出す。

3.若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

出産・子育て支援制度を確立し、仕事と子育てを両立できる仕組みをつくり、結婚・出産・子育てしやすい環境を整える。

4.時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する

スマートシティの導入や、子ども・高齢者にやさしいまちづくりを通してまちの機能を充実させ、誰もが地方に住みやすい環境を整える。

取り組み

さらに政府は「東京圏の転入超過数をゼロにする」という目標を掲げ、東京から地方への新しいひとの流れをつくるため以下に代表される施策を展開しました。

■地域おこし協力隊制度の拡充

都市部から地方に移住し、地域の活性化を支援する「地域おこし協力隊」の制度について、隊員の募集や活動に掛かる費用を特別交付税による財政措置の対象としつつ、それまでの応募要件を一部緩和。隊員数の増加を図るとともに、隊員による事業継承や起業・創業を支援する制度を充実させました。

■首都機能移転

文化庁の京都移転、消費者庁の徳島移転(後に全面移転の見送りを決定)、総務省統計局統計データ利活用センターの和歌山移転など、政府関連機関の一部移転を進めました。

■東京23区の大学の定員抑制

東京23区内にある私立大学の定員増を原則10年間認めないことなどを定めた法令を制定。これにより郊外キャンパスから23区内への新規学部生の移動も不可能となりました。

■地方大学・地方産業創生交付金

産官学連携による地域の中核産業の振興や専門人材育成を行う取り組みに対し、交付金を支給し支援するなど。

■子どもの農山漁村体験の拡充

子どもの農山漁村での宿泊、農林漁業、自然体験や地域住民との交流を推進する「子ども農山漁村交流プロジェクト」を立ち上げ、都市農村交流を創出、推進。

■移住定住・起業・就業支援の促進支援

地方自治体が独自に展開する移住・交流施策に対して特別交付税による財政措置を講じ、地方創生推進交付金、地方創生拠点整備交付金などを通して年間1,000億円を超える交付金を分配。情報発信や相談窓口の設置、移住促進イベント、体験ツアー等の開催、「お試し移住住宅」の整備、起業・就業支援等、地域による取り組みを支援。

成果

各施策単体で見ると一定の成果を上げているものもありますが、東京圏の転入超過数は2014年の109,408人から2018年の135,600人へと増加し、政府が主要な数値目標として掲げた「東京圏の転入超過数をゼロにする」という目標は未達となりました。

出生数の減少傾向にも改善は見られず、さらに、移住促進に取り組む地方自治体同士で移住希望者を奪い合う動きも散見されるなど新たな課題も指摘されました。

参考:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 平成30年(2018年)結果」

https://www.stat.go.jp/data/idou/2018np/kihon/youyaku/index.html#a2

 

第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略

これら「第1期まち・ひと・しごと創生総合戦略」の取り組みを踏まえ、地方創生の次のステージを描くため、政府は2019年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」、「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定しました。

「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」では 2020年度から2024年度までの5年間の戦略として、従来の4つの基本目標を強化し、地方創生政策全体を網羅する2つの横断的な目標を追加する形で方向性が定められました。

目標の強化については、基本目標1の「地方に仕事をつくり、安心して働けるようにする」には冒頭に「稼ぐ地域をつくるとともに」というワードが加えられ、地域資源や特色、強みを活かした産業の振興や地域外から外貨を稼ぎ、地域内で循環させる地域経済の構築が求められました。

さらに、基本目標2の「地方への新しいひとの流れをつくる」についても冒頭に「地域とのつながりを築き」というワードが追加されました。これは、第一期のように移住定住の促進だけでなく、継続的に地域と関わる存在である「関係人口」の拡大促進を意図したものと考えられます。

また、横断的な目標については、以下の2点が追加されました。

1.多様な人材の活躍を推進する

年齢・性別・国籍・障がいの有無に関わらず、誰もが安心して暮らし働き活躍できる社会を作る。

多様なひとびとの活躍による地方創生の推進。

2.新しい時代の流れを力にする

テクノロジーを積極的に活用することや、Society 5.0を地域で推進する、地方創生SDGsの実現など、新しい流れを追い風にした地方創生を推進する。

※Society 5.0:サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

 

第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略(2020改訂版)

さらに、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会情勢、人々の意識、行動が大きく変容したことから、政府は2020年12月21日に総合戦略の改訂を閣議決定しました。

その中では、特にテレワークが一般に普及したことや、個人・企業の地方移住に関する関心の高まりを背景に、従来の基本目標、横断的な目標に新たに3つの視点(ヒューマン、デジタル、グリーン)に重点を置いた具体的な取り組みが提起されています。

ヒューマン(地方へのひとの流れの創出、人材支援)

地方創生テレワークの推進、企業の地方移転の促進、地域における人材支援の充実、子育て世帯の地方移住の更なる推進、関係人口の創出・拡大、魅力ある地方大学の創造など。

デジタル(地方創生につながるDXの推進)

5Gなどの情報通信基盤の早期整備、デジタル分野の人材支援、地域におけるデータ活用を促進するための支援、DXの推進による地域課題の解決、地域の魅力向上など。

グリーン(地方がけん引する脱炭素社会の実現)

グリーン分野の人材支援、関連情報の共有や官民協働の取組の推進、地方創生SDGs等の推進、農林水産分野・国土交通分野等における取組の推進など。

 

地方創生の具体的な目標、施策、制度

これらの流れを踏まえ、現在展開中の主な施策は以下の通りです。

基本目標1「稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする」

・地方の中核となる中堅・中小企業への支援パッケージの作成
・地域商社事業を地域に設立・普及させるための支援
・地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」の提供
・プロフェッショナル人材事業を通した地域企業の支援

基本目標2「地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる」

・移住情報の発信
・地方創生テレワークの推進
・政府関係機関の地方移転
・地方拠点強化税制
・地方大学・地域産業創生交付金
・東京圏の大学の地方サテライトキャンパス設立支援
・「奨学金」を活用した大学生等の地方定着の促進
・地方創生インターンシップ
・関係人口の創出・拡大
・子ども農山漁村交流プロジェクトの推進
・高校生の地域留学推進のための高校魅力化支援事業
・地方と東京圏の大学生対流促進事業
・企業版ふるさと納税
・ふるさと求人・移住支援金・起業支援金

基本目標3「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」

・「少子化対策地域評価ツール」の活用等を通じた「地域アプローチ」による少子化対策の推進
・結婚・出産・子育ての支援
・仕事と子育ての両立
・地域の実情に応じた取組(地域アプローチ等)の推進
・少子化対策に資する分析や好事例等の各種情報

基本目標4「ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる」

・エリアマネジメント活動の推進
・中心市街地活性化
・小さな拠点の形成
・地域活性化プラットフォーム
・都市再生
・棚田地域振興
・日本版DMO
・明治日本の産業革命遺産

横断的な目標1「多様な人材の活躍を推進する」

・地方創生人材支援制度
・地方公共団体等へ人材を紹介・派遣する事業に関するワンストップ窓口
・地方創生カレッジ事業
・地方創生コンシェルジュ
・地域活性化伝道師
・生涯活躍のまち

横断的な目標2「新しい時代の流れを力にする」

・地方創生未来技術支援窓口
・近未来技術等社会実装事業
・環境モデル都市・環境未来都市・SDGs未来都市

▼各施策の詳細は、内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」をご確認ください。

https://www.chisou.go.jp/sousei/policy_index.html

 

地方創生に関する交付金

政府はこれらの施策を推進するため地方創生関連交付金を計上し、各地方公共団体による事業を支援してきました。

これまでに計上された主な交付金は以下の通りです。

地方創生先行型交付金

「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定・推進する地方公共団体に対し、他の地方公共団体の参考となる先駆的事業に対して国が交付金を交付することで「地方版総合戦略」に関する優れた施策の実施を支援する目的で、平成26年度の補正予算として計上されました。

交付金の対象となる事業分野は、「人材育成・移住」、「地域産業」、「農林水産」、「観光」、「まちづくり」の5つで、「地域経済分析システム(RESAS)等客観的なデータやこれまでの類似事業の実績評価に基づき事業設計がなされていること」、「事業の企画・実施にあたり地域における関係者との連携体制が整備されていること」、「重要業績評価指標(KPI)が、原則として成果目標(アウトカム)で設定され、基本目標と整合的であり、その検証と事業の見直しのための仕組み(PDCA)が整備されていること」という3つの事業の仕組みを備えた先駆的事業とされました。

正式名称:「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金(地方創生先行型)」
時期:地方版総合戦略の策定段階
計上額:1,700億円(平成26年度補正予算)

地方創生加速化交付金

一億総活躍社会の実現に向けて緊急に対応すべき対策への緊急対応として、「地方版総合戦略」に位置づけられた事業の中で、地域のしごと創生に重点を置きつつ、緊急対応策として効果高い分野の事業を支援する目的で、平成27年度の補正予算として計上されました。

交付金の対象となる事業分野は、「しごと創生」、「地方への人の流れづくり」、「働き方改革」、「まちづくり」の4つで、「地域経済分析システム(RESAS)の活用などによる客観的なデータやこれまでの類似事業の実績評価に基づき事業設計がなされていること」、「事業の企画・実施にあたり地域における関係者との連携体制が整備されていること」、「重要業績評価指標(KPI)が、原則として成果目標(アウトカム)で設定され、基本目標と整合的であり、その検証と事業の見直しのための仕組み(PDCA)が整備されていること」、「効果の検証と事業の見直しの結果について、公表するとともに、国に報告すること」という4つの事業の仕組みを備えた先駆的事業とされました。

時期:地方版総合戦略の策定段階
計上額:1,000億円

地方創生推進交付金

地方版総合戦略に位置付けられ、地域再生法に基づく地域再生計画に認定される地方公共団体の自主的・主体的な取組の中で先導的なものを支援する目的で、平成28年度当初予算より計上されました。

交付金の対象となる事業タイプは、「先駆タイプ:①官民共同、②地域間連携、③政策間連携のいずれかの先駆的要素も含まれている事業」、「横展開タイプ:先駆的・優良事例の横展開を図る事業(先駆タイプの①~③のうち、2つ以上含まれている事業)」、「隘路打開タイプ:既存事業の隘路を発見し、打開する事業」の3つで、事業分野は各地方公共団体の総合戦略に位置付けられた「しごと創生」、「地方への人の流れづくり」、「働き方改革」、「まちづくり」の4つの事業全般とされました。

時期:地方版総合戦略の事業推進段階
計上額:1,000億円(28年度以降、当初予算化)

地方創生拠点整備交付金

地方版総合戦略に基づく自主的・主体的な地域拠点づくりなどの事業のうち、ローカルアベノミクス、地方への人材還流、小さな拠点形成などに資する、未来への投資の実現につながる先導的な施設整備を支援する目的で、平成28年度補正予算として計上されました。

具体的な事業対象については、施設の利活用方策が明確にされ、それにより十分な地方創生への波及効果(例:平均所得の向上、雇用創出、生産額の増加、生産性向上、移住者の増加、出生率の向上等)の発現を期待できるものとされ、当該施設の利活用に係る適切かつ具体的な KPI(重要業績評価指標)の設定及び PDCA サイクルを備えているものとされています。

時期:地方版総合戦略の事業推進段階
計上額:900億円(平成28年度)

地方創生テレワーク交付金

新型コロナウイルス感染症の拡大による社会情勢、国民意識の変化を受けて、地方でのサテライトオフィスの開設やテレワークを活用した移住・滞在の取り組みなどを支援することで、地方への新しい人の流れを創出し、東京圏への一極集中是正、地方分権型の活力ある地域社会を実現する目的で計上されました。

時期:地方版総合戦略の事業推進段階
計上額:100億円(令和2年度第三次補正予算)

参考:地方創生関連交付金
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/kouhukin/index.html

 

新しい社会と地方創生

ここまで「地方創生」の概要を見てきましたが、これらの取り組みはこれからの地域の姿、日本の未来をどのように変えていくのでしょうか?

より鮮明な未来像をイメージする上で欠かせないのは、「地方創生」とは別のベクトルからも目指すべき社会像が提示されている点です。

持続可能な社会の実現

組織や地域、国家の枠組みを超えて、世界的な規模で取り組みが推奨されているSDGs(持続可能な開発目標)。

政府はSDGsが地方創生の新しい原動力になるとして、持続可能な社会の実現に向けて優れた取り組みを行う自治体を「SDGs未来都市」、またその取り組みを「自治体SDGsモデル事業」として選定する制度や「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」、「SDGs金融」などの新しい取り組みを既にスタートさせています。

SDGsで大切なのは、17のゴールそれぞれが独立せず互いに密接に関連していること、そして、誰一人として取り残さないことを誓う視点です。

それらを地域に落とし込むと、地域の住民、事業者、企業、 NPO、自治会、商工会、学校、自治体などが個別の立場やそれぞれの活動領域を超えて、一人ひとりが互いに協力し合い、誰もが豊かさを享受できる地域社会を実現するための活動が求められていると言えます。

Society5.0の推進

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新しい社会を指すSociety 5.0。

内閣府の定義によると、Society 5.0はサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を融合させたシステムにより、経済発展と社会課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)を指すとされています。

Society5.0で大切なのは、テクノロジーの利活用や社会システムの更新は、より豊かな社会を実現するため、そして何よりもこれまでの社会体制の中で取り残されてしまっていた人々を救う「手段」として活用すべきとされていることです。

IoT(Internet of Things)を活用した高度なネットワークでヒト、モノ、コトをつなぎ、知識や経験、情報を共有し合い、分野を超えた連携と今までにない新しい価値を生み出せれば、情報社会(Society 4.0)では実現できなかった、誰もが豊かさを享受できる地域社会を創ることができるはずです。

ニューノーマルへの対応

2020年から世界的に広まった新型コロナウイルス。
私たちは、感染拡大による社会的混乱や経済活動の停滞、生活様式の転換など、多くの課題に直面してきました。

コロナウイルスが社会にもたらした負の側面を挙げれば切りがないですが、その一方でこれまで中々進まなかったリモートワークの普及を実現し、地方移住への関心を生み、重要課題の一つである東京一極集中の是正に光が見えたことも事実です。

東京から地方へ。新しいヒト、モノ、コトの流れが確かなものになる中で、地域はそれらを受け入れつつも有効活用し、それぞれが目指す理想の地域像に自律的に向かっていくことが求められています。

地域社会の未来像

「地方創生」の政策目標およびそれらに基づく取り組みから、地域産業が活性化し新しい仕事や雇用、資金、経済活動が生まれること、移住定住、関係人口の拡大により都会から地方へ新しい人の流れが生まれ、それらが新しいイノベーションと活力を生み出すこと、子育てしやすく誰もが安心して暮らせる地域社会が実現することなどが期待され、今後各地で瑞々しい活力が生まれ、地方から日本全体が活性化していく未来像が浮かびます。

ここで大切なのは、それら全ての担い手は国家、政府ではなく、それぞれの地域社会を担う各地の自治体、企業、事業者、そして、私たち一人ひとりであるということです。

コロナ禍で「東京から地方へ」の流れは加速し、時代は既に動き始めています。

誰一人取り残さない真に豊かな社会へと向かう世界的な潮流、そしてテクノロジーの力を有効活用し、人と人とがそれぞれの立場や組織、地域を超えて連携し合う新しい日本社会を実現できるか。

それが今、私たち一人ひとりに問われています。

 


参考資料

■内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局「地方創生の現状と今後の展開」

https://www.soumu.go.jp/main_content/000635353.pdf

■内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局「まち・ひと・しごと創生基本方針2021について」

https://www.chisou.go.jp/sousei/info/pdf/r03-6-18-kihonhousin2021gaiyou.pdf

■大和総研「第 2 期まち・ひと・しごと創生総合戦略を読み解く 」

https://www.dir.co.jp/report/research/policy-analysis/regionalecnmy/20200303_021361.pdf

■大和総研「第 2 期まち・ひと・しごと創生総合戦略を読み解く 」

https://www.dir.co.jp/report/research/policy-analysis/regionalecnmy/20190723_30039.pdf

■三菱総合研究所「ポストコロナがもたらす新しい地方創生」

https://www.mri.co.jp/knowledge/mreview/202007.html

■ニッセイ基礎研究所「「東京一極集中の是正」を掲げる「地方創生」戦略」

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65090?pno=1&site=nli

 


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