第二次産業とは?定義と一次・三次産業との違い、歴史・現状まで解説

TURNS用語集

戦後から高度経済成長期にかけて、急速な発展を遂げた日本の第二次産業。

しかし近年ではその衰退が取り沙汰されており、特に都市部よりも第二次産業従事者の割合が高い地方においては、第二次産業の衰退が地域経済の減退や雇用機会の減少、人口流出に直結し、大きな地域課題となっています。

第二次産業はなぜ衰退し、今後どのように推移しようとしているのでしょうか。

第二次産業の定義

第二次産業とは、第一次産業(農業・林業・漁業)によって採取・生産された原材料を加工し、利益を生み出す産業のこと。

総務省が告示する「日本標準産業分類」の大分類の中では、鉱石や金属などを採掘する「鉱業、採石業、砂利採取業」、土木・建築工事などを行う「建設業」、物品等を製造する「製造業」の3業種が該当します。これらの中でも特に製造業の範囲は幅広く、身近な日用雑貨類から食品、医薬品、電子機器の製造業まで多岐にわたります。

 

他の産業種別との違い

第一次産業との違い

第一次産業とは、自然界に働きかけて作物を生産したり採取したりする産業のこと。日本では農業・林業・漁業が該当します。

第三次産業との違い

第三次産業とは、第一次産業にも第二次産業にも分類されない産業のこと。

商業、金融業、医療・福祉・教育、飲食サービス、宿泊、小売、情報通信業などが該当します。

第六次産業化(六次化)との違い

第六次産業化とは、第一次産業従事者が生産だけでなく、製造・加工(第二次産業)やサービス・販売業(第三次産業)に一体的に取り組むことで、生産物の付加価値を高めること。1(一次)+2(二次)+3(三次)=6(6次)となることに由来します。

 

第二次産業の仕事内容

鉱業

鉱物などの資源を採取・採掘し、それらを製錬・加工し供給する産業のこと。鉱物の範囲は広く、鉄や銅、アルミなどの身近なものから、半導体の素材として使われるレアメタル・レアアースなどの希少金属なども含まれます。

建設業

土木・建築工事などを請負う産業のこと。建築業許可が必要な業種として、左官・大工や建築一式のほか、造園、電気工事業、解体工事業などの29業種が挙げられます。

製造業

材料や部品を加工・組み立てて物品等を製造する産業のこと。食品、衣料品、医療、自動車、半導体などさまざまな業種が該当しますが、就業者数は減少傾向が続いています。

 

第二次産業従事者の割合


参考:令和2年国勢調査 就業状態等基本集計

「令和2年国勢調査 就業状態等基本集計」によると、15歳以上の就業者数57,643,225人に占める第一産業従事者の数は1,962,762人(全体の3.4%)、第二次産業従事者の数は13,259,479人(23%)、第三次産業40,679,332人(70.5%)となっています。

参考:令和2年国勢調査 就業状態等基本集計
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001136464&cycle=0&year=20200&month=24101210&tclass1=000001136467

 

日本における第二次産業の歴史と変遷

日本で初めて国勢調査が行われた1920年(大正9年)の産業別就業者数は、第一次産業14,672,164人(54.9%)、第二次5,597,905人(20.9%)、第三次6,463,586人(24.2%)と、労働人口の半数以上が第一次産業に従事していました。

産業構造に大きな変化をもたらしたのは、1955年ころから始まった高度経済成長期。特に1960年に成立した池田勇人内閣による「所得倍増計画」等の経済優先政策により、社会インフラの整備や拡充、石油・鉄鋼を中心とする重化学工業への産業転換が推し進められ、さらに先進国からの技術輸入による技術革新が起こったことで民間企業によるヒト・モノへの投資が活発化。日本は、諸外国から原材料を輸入し、加工した製品を輸出する「加工貿易」で農業国から工業・ものづくり大国へと大転換を遂げました。これに伴い、第二次産業就業者数は1965年(昭和40年)には第一次産業就業者数を上回る15,115,000人(全体の31.5%)に達します。

しかし、1980年代には先進国との貿易摩擦や新興国の台頭などにより世界的な価格競争が激化。その結果、第二次産業を営む企業はより人件費等が安くより安価にものづくりができるアジアなどに生産工場を移転させます。これにより国内生産が低下し、今日に至るまでの産業の空洞化、就業人口の減少、第二次産業の衰退を招きました。

参考
総務省統計局「変化する産業・職業構造」
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/sokuhou/03.htm

総務省統計局「統計でみるあの時といま No.3」
https://www.stat.go.jp/info/anotoki/pdf/census.pdf

 

第二次産業が抱える課題と現状

日本の第二次産業は衰退傾向にあるとされていますが、具体的にはどのような産業課題を抱えているのでしょうか??

1.人口減による労働人口の減少と市場縮小

少子高齢化等により日本の総人口は減少傾向にありますが、さらに脱工業化社会の中で製造業への就業を希望する若者世代は減少し、製造業における労働人口の確保は大きな課題となっています。

また、人口減少によってマーケット自体が縮小することで、製品の需要が減る→商品が売れない→作れない→人を雇えない→産業規模が縮小していくという悪循環が生じています。

2.後継者不足と技術継承の遅れ

人材確保ができなければ、次世代の担い手も育ちません。就業者の高齢化が進むと技術継承が滞るだけでなく、生産効率が低下したり新規事業の立ち上げが困難になったりとさまざまな連鎖的な問題が生じます。

3.IT技術導入の遅れ

労働人口の減少と技術承継問題への一つの打開策となり得るのが、製造業のIT化です。T技術の導入により生産性の向上と従業員の負担削減、生産体制の安定化や省人化の実現、労働時間の削減、熟練技術のデジタル化など様々なメリットが見込まれます。

しかし、IT技術の導入には専門知識と初期コストが求められる上、システム導入後の保守管理にあたる人材も必要になります。十分な資本と人材を有する一部の大企業やメーカーはIT化を推進できても、多くの中小企業は対応しきれていないのが現状です。

 

第二次産業のこれから

さまざまな課題を抱えている第二次産業ですが、新しい動きも生まれています。その一つが、今まさに進行している「第4次産業革命(インダストリー4.0)」です。これは、第一次産業革命(蒸気利用と生産の機械化)、第二次産業革命(電気・石油の使用による大規模生産化)、第三次産業革命(コンピューターを用いた生産の自動化・効率化)に続く産業革新のこと。IT化が進み、デジタル世界と実世界が融合する環境の中であらゆるモノをインターネットとつなぎ、取得したデータを活用して新しいビジネスや価値を生み出すものです。

スマートファクトリーと呼ばれる工場のデジタル化もその一つ。工場内の設備や生産ラインなどをネットにつなげてデータを収集し、AI等による分析結果等を反映することで高度なオートメーション化を実装するもので、これにより生産性・品質の向上とコスト削減、製造現場の省人化などが見込まれています。こうした最新技術を柔軟に取り入れ、環境の変化に適応していくことで、より高付加価値商品の開発や新領域への進出、他産業とのコラボレーションなどの新しい展開が見えてきています。

参考:総務省「 情報通信白書平成29年版 第4次産業革命を巡る世界的な動き」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc131100.html

 

 


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