リモートワークが浸透して場所を問わずに働けるようになった今、仕事は変えずに住む場所を都心から郊外へ、地方へと移す方が増えています。

ライフシフト後の暮らしをより豊かにするために知っておきたいのが、一つの場所や一つの仕事に縛られない、新しいワーク&ライフスタイル。

この記事では、より­­­自分らしい暮らしを叶えるための、二拠点居住についてご紹介します!

 


二拠点居住とは?

2つの生活拠点を持つ、新しいライフスタイルのこと。

ある一つの地域に定住したり、ある地域から完全に生活拠点を移すのではなく、都会と地方、地方と地方とを軽やかに行き来しながら、ひとつの拠点で培った技術や経験、知識、人脈を別の地域で活かす新しい暮らし方です。

「二つの」という意味の英単語「デュアル」を使って、「デュアルライフ」と呼ばれることもあります。

二拠点居住が注目される背景

ワーク&ライフスタイルの多様化

テクノロジーが進歩したことで、パソコン一台あれば場所を問わずに働けるようになりました。

その結果、「テレワーク」や「ワーケーション」を実践する企業、事業主も増え、より自由なワークスタイルを求めて地方に拠点を増やす動きが加速しています。

それと同時に、特に若い世代の間で、世間一般の価値観よりも自分自身の価値観や充足感、幸福感を大切にする動きが見られ、一人ひとりが叶えたいと望むライフスタイルが多様化しています。

政府による推進政策

人口減少が進む地方への定住人口や関係人口の増加、地域社会の担い手確保、地方創生の好機にもなりうるとして、国も「二地域居住」の促進に力を入れ始めました。

特に2019年から順次施行が始まった「働き方改革」で労働への意識改革が進んだことや、2021年3月に国土交通省が二地域居住等の普及促進や機運向上を目的に「全国二地域居住等促進協議会」を設立し、新しい働き方を推進し始めたことで、地方移住や二地域居住への機運が高まっています。

新型コロナウイルスによる影響

世界中に感染が拡大した新型コロナウイルスの感染拡大防止と日常生活の両立を目的に提示された、新しい生活様式。

一人ひとりに求められる基本的感染対策として、マスク着用、手洗いうがいと並んで挙げられたのが「3密(密集・密接・密閉)」の回避でした。

しかし、その重要性は理解できても、全国から人が集まり密集し、人流も活発な都会暮らしの中で実践するのは不可能なことも。

前述のように場所を問わずに働けるようになったことや、都心のオフィスへの通勤頻度が減ったことも相まって、「都会でなくてもいい」と考える方が増え、地方に目を向ける方が増えたと考えられます。

二拠点居住の魅力や課題、メリット・デメリット

軽やかで自由に思える多拠点居住には、良い面だけでなく注意すべき点もあります。

ここでは、多拠点居住のメリット、デメリットをご紹介します。

メリット

新しいコミュニティに所属できる

地域産業や第一次産業に従事する方々、地元の方々など、都会暮らしではなかなか知り合えない方々と新しい人脈を築き、人間関係をより自由に豊かに広げることもできます。

その人脈を生かして新しい趣味や仕事、キャリアにつなげられるかもあなた次第です。

多様な視点、価値観を得られる

人は無意識のうちに自身を取り巻く環境の影響を受けるもの。一所に留まることで、知らず知らずのうちに考え方や価値観が小さく凝り固まってしまうことも。

拠点間を自由に移動し、異なるまちの異なる風土や文化、人と接することことで、より新しくクリエイティブなアイデアが得られることもあるかもしれません。

生活にメリハリが生まれる

多拠点居住には移動が伴うため、都会と地方、地方と地方を使い分けて行き来することで、仕事と趣味、プライベートの境を明確に区切ることもできます。

移動日に合わせて仕事を効率良く終わらせ、プライベートの時間、家族との時間をゆったり過ごすなど、有意義な時間の使い方を意識した生活にシフトすることもできそうです。

デメリット

コストがかかる

新しく拠点を作る時には、拠点の借入・購入費用のほか、家財道具一式の購入費用なども考慮しなければなりません。

各拠点間を移動する時の移動費、各拠点の管理・維持費なども掛かるため、月間、年間に掛かるコストがメリットに見合うものなのかを考えておく必要があります。

移動に時間がかかる

旅のように数回だけや期間限定の移動なら苦にならなくても、拠点間を定期的に移動するとなるとそこに掛かる時間や労力を次第に負担に感じる可能性も。

移動中も仕事ができるようにする、勉強時間に充てるなど、移動時間を有効活用できるよう工夫が求められます。

二拠点居住の成功事例と実際の暮らし

TURNS Vol.41 では、「複数拠点の仕事と暮らしで、新しい地元をつくる!『多拠点居住と新しい働き方』」と題し、一冊まるごと多拠点居住を特集しました。

https://shouten.turns.jp/items/30545213

ここでは、TURNS Vol.41で取材した多拠点居住の実践者をご紹介します。

東京⇔富山|より良い教育環境を求め、東京と”子育ての村”を行き来する強さを持つ

岡山史興〘富山県中新川郡〙

東京での子育てに疑問を持ち、家族での移住を決めた岡山さん。二拠点目に選んだのは、「小さな村での、助け合う子育て」を重要視する富山県「舟橋村」だった。ただ暮らすだけでなく、東京と地方を行き来して村に価値を生む彼。その姿を子に見せるのも、目的だったという。

文・乾隼人 写真・小林直博

 

岐阜⇔長野|その土地のやり方を尊重して、彼は「飛騨の人」になった。

白石達史〘岐阜県飛騨市〙

「拠点を増やす」とは、新しい土地に根を張るということ。多くの人の不安を他所に、白石さんは「知らないからこそ、僕はその土地のやり方を尊重してきただけ」と語る。2つの地方に暮らす彼は、町への溶け込み方を知っていた。

文・乾隼人 写真・小林直博

 

東京⇔北海道|東京と地元・北海道を行き来し、地域と自分の未来を描く

さのかずや〘北海道オホーツク地域 〙

「地元への感情は、愛着よりも憎しみのほうが大きい」「原動力は、復讐のような気持ち」。そう語る彼は、東京と北海道を月に何度も往復し、地元と関わり続けている。未来を描くために行動を止めない彼の支えは、どこにあるのだろう。

文・菊池百合子 写真・原田啓介

岐阜県岐阜市|関係人口を増やし、この街を未来につなぐ

リトルクリエイティブセンター〘岐阜県岐阜市 〙

やりたいことがなくても、大切な人たちと地域に関わりながら、自分の役割を見つけていける──。岐阜の街に関わる人を増やしているデザイン会社が、10年以上ずっと大切にしてきたこと。それは、「誰と一緒に喜びたいか」だった。

文・菊池百合子 写真・山崎純敬

 

秋田県南秋田郡|常識を〝越える学校〟を町民の手で作る

ハバタク株式会社〘秋田県南秋田郡〙

秋田県南秋田郡五城目町は、ベンチャー企業・起業家が集まる町として知られつつある。その先陣を切って五城目町に移住したのが丑田俊輔さん。丑田さんによると、2020年以降の五城目町の公教育がちょっとすごいらしい。

文・石倉葵 写真・高橋希

 

山梨県北杜市|『≧house 停留所』で「自営力」を覚醒する

松ノ前停留所〘山梨県北杜市〙

豊かな森、きれいな水と共に人々の暮らしが紡がれてきた八ヶ岳の南麓。ちょうど真南から太陽があたる明るい山中、別荘を改修して出来上がった宿泊施設『≧house 停留所』。オーナーの藤井健之さんが考える、これからの暮らしと仕事のあり方とは。

文・しんみはるな 写真・ミネシンゴ

 

二拠点居住を成功させるポイント

 

これから二拠点居住を始めたい方、検討したい方へ、新しい暮らしをより豊かなものにするために事前に考慮しておきたいポイントをご紹介します!

地域(エリア)選び

二拠点居住をする目的にもよりますが、はじめは現在の生活拠点から週末に通える距離感の土地を選ぶのがおすすめです。

都内の企業にお勤めであれば、関東圏(東京、埼玉、千葉、神奈川、栃木、群馬)や長野、山梨、新潟、福島など、都心から距離的に近く、新幹線や高速道路などが整備されていて交通アクセスが良い地域で、買い物、ネット環境などのインフラ、もしもの時の医療機関など、生活利便性も事欠かない地域を選べば拠点間の差に悩まされることも少なくなります。

そうした暮らしのベースを確保した上で、海が好きだから海のそば、キャンプが好きだから森や川がある地域、趣味の山登りを極めたいから山の多い土地…など、魅力を感じるポイントをプラスしてエリアを絞っていきましょう。

物件選び

賃貸で物件を借りる、シェアハウスを利用する、土地や建物を購入するなど、様々な方法が考えられますが、民間事業者が展開するサービスの他に各自治体が展開する独自の二拠点居住支援制度を利用するのも手段の一つ。

中でも「空き家バンク制度」や、「お試し移住体験住宅」を積極的に整備している自治体もあるので、ぜひチェックしてみてくださいね!

■茨城県常陸太田市でお試し暮らし

https://turns.jp/51033

■空き家情報/ニッポン移住・交流機構

https://www.iju-join.jp/akiyabank/index.html

地域コミュニティ、地域の人間関係

人も環境のうち。地域の方々と良好な人間関係を築くのも、二拠点生活を豊かにする大切なポイントの一つです。

ですが、地方に行けば行くほど地域コミュニティの絆は強く、移住者として受け入れてもらうまでには時間が掛かることも。特に二拠点居住者は定住者よりも地域の方々とコミュニケーションを取る機会が少ないため、より長期的な視点で人間関係を築く必要があるかもしれません。

二拠点居住の第一歩は、思い描いた理想の住まいや仕事、暮らしを手に入れるところではなく、移住者として自分が「よそ者」であるという自覚を持ち、地域の方一人一人からの信頼を得るところから始まります。

地域の文脈を読み取り、移住者として踏まえるべきことをおさえながら、地元の方々が大切にしていることを一緒に大切にできるように少しずつ自分自身を成長させていく。

単なる憧れや一個人の理想だけを思い描くのでなく、そうした地方暮らしの「実際のところ」をよく知った上で地域に入っていけるかが、その後を分ける大切なポイントです。

ランニングコスト、住宅ローン、資金計画

拠点間の移動費用はもちろん、初期費用やランニングコストも考慮すべきポイント。

二拠点居住を実践することで得られるメリットと照らして、納得のいく出費になるか否か、それらが維持できるかを十分に検討する必要があります。

二地域居住に掛かる費用項目(例)

初期費用
・敷金
・礼金
・家財道具(購入の場合は物件購入費)

ランニングコスト
・家賃、修繕費
・水道光熱費
・交通費(拠点間の移動に掛かる費用)
・通信費
・日用品購入費
・保険料
・機材費、維持管理費、燃料費、土地借用費(農作業等を行う場合)

今ある拠点の住宅ローンが残っている場合には、住宅ローンの審査が通りにくく、借入額が制限される可能性もあります。

不動産会社や金融機関とも事前に相談し、無理のない資金計画を立てましょう。

二拠点居住、多拠点居住のはじめ方、今すぐ始められるサービス

TURNSでは、二拠点居住、多拠点居住の事例を取材・特集した記事を無料で公開しています。

また、全国定額住み放題のコリビング (co-living)サービスを展開する「ADDress」と共同で、多拠点居住を気軽に始めるための様々なイベントや特典キャンペーンも行っています。二拠点居住をはじめる時にネックとなる物件探しの手間や時間、準備資金を大幅に抑えられるサービスになっておりますので、ぜひご活用ください!

■多拠点居住に関する記事はこちら!

https://turns.jp/attention/turns_41

■多拠点居住の特集号はこちら!

TURNS Vol.41 「複数拠点の仕事と暮らしで、新しい地元をつくる!『多拠点居住と新しい働き方』」

https://turns.jp/37931

■多拠点居住サービスを使ってみる!

定額で日本各地に住むことができる、コリビング (co-living)サービス「ADDress」

https://turns.jp/38456

 

文:高田裕美


地方移住、多拠点居住、田舎暮らしをお考えの方へ

知って得する新しい移住のイロハ~その1~

「継業とは?事業継承との違いって?移住後に継業して成功した事例はある?マッチング方法は? 」

https://turns.jp/52158

知って得する新しい移住のイロハ~その2~

「二拠点居住(デュアルライフ)とは?その魅力や事例、メリット・デメリット、はじめ方は?」

https://turns.jp/52116

知って得する新しい移住のイロハ~その3~

「移住を成功させるステップって?どんな移住支援制度があるの?おすすめの移住先は?」

https://turns.jp/52312

知って得する新しい移住のイロハ~その4~

「地方創生とは?取り組み事例や制度、今後の展開、SDGsとの関係は? 」

https://turns.jp/52906

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