秋田と繋がりたい人の新たな交流の拠点となる「アキタコアベース」。去る8/24(木)にデザインに関する記者発表が行われ、いよいよ10月1日のオープンに向けてその全体像が見えてきました。
今回はデザインを担当したコマド意匠設計室の柳原さん・小倉さん、内装を施工するとともに内装の秋田県産材の供給を担当した藤島木材工業株式会社 取締役の藤島さん、設置者である秋田県 あきた未来創造部 移住・定住促進課長の真鍋さんにお話を伺い、アキタコアベースの狙いや見どころをご紹介します。
(左から コマド意匠設計室 小倉さん、柳原さん、藤島木材工業 藤島さん、移住・定住促進課長 真鍋さん)
秋田の持つ「奥行」を表現し、「もう一歩奥へ」と誘う場に
「アキタコアベース」のデザインコンセプトは「暮らす場所としての一歩を促す秋田の風土の奥行を感じる空間」。
秋田の持つ多様な表情を「奥行」として表現し、ここを訪れる人が「もっと知りたい」「もっと感じたい」と“もう一歩奥”へ踏み出すことを促す空間づくりをテーマにしているのだとか。
「秋田には本当にたくさんの表情がある。画一的な秋田を見せるのではなく、いろんな人のアイディアや人脈、秋田の素材が集まり、“オール秋田”でこのスペースを作り上げたかったんです」と、あきた未来創造部 移住・定住促進課長の真鍋さん。
その仕上がりは「“観光地としての秋田”ではなく“暮らす場所としての秋田”を感じてもらいたい」と柳原さんが話すとおり、目に見える直接的な“秋田らしさ”ではなく、素材や空気感など象徴的なモチーフを中心にした構成に。五感で秋田を感じられるものとなっています。
入口左にかかる提灯型のペンダントライトは竿燈をモチーフに。秋田に馴染みのある人なら一目でピンとくるはず。また、正面のモニターにはさまざまな秋田の四季の表情を映す予定
また、カーペットに使用されている深いブルーは、秋田の自然をイメージ。
「遥か向こうに見える山々や湖、冬の景色など、秋田の自然には印象的な青があふれています。そのなかで木材を引き立てる色を探した結果、この色に辿り着きました」と、小倉さん。
青は「アキタコアベース」のキーカラーでもあり、ロゴマークにも使用されています。
今回、ロゴデザインもコマド意匠設計室が担当。
「『,(コンマ)』は文章と文章をつなぐもの。人と秋田を繋ぐ場所という意味で、モチーフにしました」と柳原さん。移住だけにとどまらず、秋田という存在がその人の人生の何かの「,」になればうれしい、そんな想いが込められています。
そしてこのデザインには他にも秘密が。
「人によってはじまりを意味する『0』に見えたり、新たな扉を開く鍵穴のように見えたり。実は秋田県章のなかにも『,』の形に似ている部分があるんですよ」
秋田の多面性を伝えたい、という「アキタコアベース」のコンセプトにもぴったりのロゴマーク。ぜひご注目ください。
広葉樹の豊かな表情と高い加工技術が“秋田らしさ”のポイント
今回、デザインのキーポイントとなっているのは秋田県産の木材。それも、誰もがイメージする秋田杉ではなく、あえて広葉樹をチョイスしています。これも、秋田の持つ「奥行」や「多面性」を感じてもらうアイデアのひとつ。
「私も秋田に戻ってくるまで、地元にこんなにカッコいいものがあふれていると知りませんでした。でも、仕事をしていくうちに、秋田には素晴らしいものを作っている職人さんがたくさんいると知って、それを魅力のひとつとして発信したいと思いました」と、柳原さん。
実は杉などの針葉樹に比べ、広葉樹は加工が非常に難しいそうです。広葉樹を専門的に扱ってきた藤島木材工業株式会社の藤島さんによると
「杉などの針葉樹は組織がまっすぐなので加工しやすいのですが、広葉樹は複雑。そのクセを逃したり、生かしたりしながら、加工後の環境の変化やどのような使い方をするのかまでを考えて加工する必要があるんです。一見何気ない木材に見えるかもしれませんが、天板ひとつとってもそれぞれ加工の仕方が異なります。秋田の技術は全国でもトップクラスだと思っているので、ぜひ見ていただきたいですね」
とのこと。細かな部分までこだわった調度には、秋田の木材加工の粋が詰まっています。
天井の格子には明るく温もりのある色味が特徴のブナを、交点にはアクセントとして濃淡の美しいオニグルミを使用した。また、縦横の太さや幅に変化をつけることで、自然の生み出す「ムラ」を表現。オフィスビルの持つ人工的な緊張感を和らげてくれる
メインの家具は、耐久性の高いクリを脚にし、天板にはヤマザクラ、オニグルミ、ナラを使用。「秋田といえば杉のイメージが強いですが、実は広葉樹も豊富でとても身近な存在。加工に手間はかかりますが、樹種によって性質も表情も変わりますし、経年変化も楽しめます」(藤島さん)
交流スペースには、秋田県内の職人が製作した椅子が一堂に会し、まるでギャラリーのよう
居心地のよさと利便性を備えた空間づくり
「アキタコアベース」では人のつながり・交流の活発化をめざし、数々のイベントを行う予定です。
「移住に関するイベントだけでなく、秋田の魅力を伝える情報発信なども幅広く行います。秋田とつながりたい人同士の交流を活発にしていきたいですね」と、真鍋課長。
イベント時以外でも気軽に立ち寄りやすく、集まりやすい場を目指して、スタイリッシュで落ち着きのあるカフェのような雰囲気を目指したそうです。
また、さまざまな使い方にフレキシブルに対応できるよう、
「エントランス部分には物をなるべく置かず、備え付けの家具の高さも低くおさえて開放的に。同時に、レイアウト変更の際の負担も軽減できます。ベンチは90°転がすとデスクになる仕様です」(小倉さん)
「奥の相談ブースは、秋田の朝の霧や靄を思わせる透け感のあるカーテンでふんわりと仕切り、奥行を演出。間仕切りをカーテンにしたことで、よりスムーズなレイアウト変更も叶います」(柳原さん)
と、随所に工夫を凝らして利便性と居心地のよさを両立しています。
特製のベンチは90°転がすとデスクとしても使用できるため、限られたスペースを有効活用できる
ここに集うすべての人に、秋田の魅力を感じてほしい
アキタコアベースは移住や就職の2カ所の相談窓口機能を統合した施設ですが、それとともに秋田の魅力を発信し、秋田と首都圏の人をつなげる役割が期待されています。
「移住を検討されている方はもちろんですが、それ以外の方にも秋田の魅力を発信し、秋田を好きになってもらいたい」と真鍋課長。
まずは「アキタコアベース」で、秋田の魅力に触れてみてください。
\Topics/今、秋田への移住者が増加中!
近年、秋田への移住者がどんどん増加していることをご存知ですか?
ここ数年右肩上がりで伸び、2022年度は過去最多の725人(412世帯)となりました。また、30代以下が7割を超え、若年層や子育て世代が多いことも特徴。
真鍋課長によると
「特にこれと言って華やかな施策を行なっているわけではないが、地道なアピールの積み重ねと、相談員の方々の丁寧な対応が秋田の魅力発信に大きく貢献し、結果的に移住増につながっているのだと思います。
教育、文化、住環境……皆さん、移住の決め手が本当にさまざまなんですよ。それを伺うたびに、秋田の魅力の幅広さや奥深さを実感しています。今後も幅広く県外にアピールしていきたいですね」
とのことでした。
<秋田県あきた暮らし・交流拠点センター(アキタコアベース)>
◆業務内容
移住・就職相談のワンストップでの実施
移住や関係人口に関する相談会や交流会等のイベントの開催
秋田の魅力に関する様々な情報の発信
◆開設日
2023年10月1日(日)
◆開館時間
10:00~18:00
◆休館日
毎週火曜日、5月3日~5日、8月13日~15日、12月29日~1月3日
◆場所
〒104-0031 東京都中央区京橋二丁目6番13号 京橋ヨツギビル1階
◆アクセス
JR東京駅 徒歩7分/東京メトロ銀座線京橋駅 徒歩2分/都営浅草線宝町駅 徒歩2分
◆特設ページ