農業を憧れの職業に!「農業の魅力発信コンソーシアム」参画企業が9社に拡大。情報発信力を強化

担い手不足が叫ばれて久しい日本の農業。高度経済成長期の農業就業人口は1000万人以上あったが、2008年に300万人を切り、2021年は130万人まで減少。平均年齢は67.9歳に達してしまった(※)。このままでは、「農業」という私たちが生きていくうえで不可欠な食料供給の根幹が、近い未来に崩壊してしまうのは必至だ。そんな状況下、就農希望者を増やすことを目的に、2022年2月から“活躍する農業者”の姿を通じた“職業としての農業の魅力”のPRを開始した「農業の魅力発信コンソーシアム」。これまでの参画企業である、おてつたび、第一プログレス、ビビッドガーデン、フルハウス、マイナビ、マイファーム、YUIMEに加えて、6月9日に日本航空とANAあきんどが新規参入を表明。この日、全9社の代表者が集結し、同コンソーシアムにおける各社の活動を紹介するメディア向け記者発表会が行われた。

資料:農林業センサス農業構造動態調査(農林水産省統計部)

 

農業の魅力発信コンソーシアムとは

 “職業としての農業の魅⼒を発信することを⽬的に⺠間企業9社が集結したコンソーシアム。これまで農業に縁のなかった人たちに農業の魅力を発見してもらう機会をつくるため、全国で活躍するロールモデル農業者を選出し、彼らとともにイベントの企画・開催、就農に関する情報発信を実施。新規就農人口の拡大、後継者不足の解決を目指す。

参画企業
農業と⽣活者の接点となるサービスを提供している企業、就活⽣や移住希望者とのネットワークを有している企業等が 連携・協⼒して、「農業を、憧れの職業に」をテーマに農業の魅⼒を発信するさまざまな活動を行う

ANAあきんど株式会社 https://www.ana-akindo.co.jp/  ★新規参入
株式会社おてつたび(おてつたび) https://otetsutabi.com/
株式会社第一プログレス(TURNS) https://turns.jp/
日本航空株式会社 https://www.jal.com/ja/ ★新規参入
株式会社ビビッドガーデン(食べチョク) https://www.tabechoku.com/
株式会社フルハウス  https://www.fullhouse.jp/
株式会社マイナビ(学生の窓口) https://gakumado.mynavi.jp/、(マイナビ農業) https://agri.mynavi.jp/
株式会社マイファーム(アグリイノベーション大学校) https://myfarm.co.jp/
YUIME株式会社(YUIME Japan) https://yuime.jp
※五十音順

イベント、雑誌、WEB、あらゆるチャネルで『TURNS』から農業の魅力を発信

▲第一プログレス代表兼『TURNS』プロデュサーの堀口正裕が登壇。

記者発表会では、参画企業9社の代表者が登壇し、現在の取り組みの状況や、今後の具体的な展望について語った。『TURNSプロデューサーで第一プログレス代表の堀口正裕は、「これまで全国の地方自治体や企業と組んで農業をテーマにしたイベントを多数開催してきた。この2、3年でイベントへの申し込みが約5倍になり、農業をやってみたいという人が確実に増えている。今後も新規就農を考えている人たちを応援するため、イベントに力を入れるだけではなく、同コンソーシアムの取り組みとして雑誌『TURNS』で新連載「農家の新星~農業のはじめかた~」をスタート。先輩農業者の実例紹介を通して、農業の良いところばかりでなく、どのようにして農業を始めてビジネスとして成長させていけば良いのかというノウハウを伝えていく」とコメント。

 

農業の変革に挑む若手農業者によるトークセッション


▲「農業の魅力発信コンソーシアム」の取り組みに協力しているロールモデル農業者3名を交えてトークセッションを実施。司会進行役は、株式会社ビビッドガーデンの秋元里奈さん(写真左)。

農業の現場には今、従来の⽣産するだけの農家ではなく、農業をビジネスとして成功させ、新しいライフスタイルを確立している若⼿農業者が多く存在する。同コンソーシアムでは農業の魅力を共に発信していくロールモデルとなる農業者100人をリストアップしている。その中から、千葉県我孫子市で野菜農園を経営する「ベジLIFE!」代表の香取岳彦さん、埼玉県深谷市で食用バラを栽培する「ROSE LABO」代表の田中綾華さん、石川県能美市の米農家「たけもと農場」代表の竹本彰吾さんを招いてトークセッションが行われた。就農のきっかけ、仕事の内容とその魅力、農業にかける思いについて、それぞれが熱く語った。

「ベジLIFE!」を営む香取岳彦さんは、海外営業を担当する商社マンから農家に転身。注文を受けてから農園で野菜を収穫し、新鮮な作物を消費者に直接届けるサービスを行っている。農業体験プログラムの実施やキャリア教育にも力を入れ、コロナ前では年間約500名を受け入れている。「農業の魅力は老若男女が一緒に働けること。農地は年代関係なく、いろいろな人とつながれる場所。若い人たちにもどんどん農業に参入してもらいたい。日本が誇る安心安全な農産物を、近い将来アジアの隣国に輸出して、農業が日本の基幹産業になる時代が来ることを期待している」と話す。

「ROSE LABO」の田中綾華さんは、若干22歳で起業。食用バラ栽培のほか、バラを原料にしたオリジナル化粧品や加工食品などの開発も手がけている。「農家は何でも作り出せる魔法使いだと思っている。一次産業で栽培しているからこそ、その作物をどんな形にも変化させられるのが農業の魅力。女性の就農者はまだまだ少ないので、女子校で講演会をしたり、インターンの受け入れを行い、次世代の女性たちにバトンをわたしていきたい」と田中さん。

「たけもと農場」の竹本彰吾さんは10代続く米農家の息子で、家業を継承。コシヒカリ、ミルキークイーンのほか、国産イタリア米や国産スペイン米の生産にも挑戦している。「天候も土の状態も毎年変わっていく農業は再現性がないから飽きない。毎年同じ作業をすれば必ず同じものができるわけではない難しさもあるが、だからこそ、みんなが一致団結して考え、ものづくりに取り組める魅力的な職業だと思う。後継ぎというとネガティブなイメージが先行しがちだが、これは資産を継承していくということ。ファミリービジネスがこれからの未来を作るような動きをつくっていきたい」と語った。

▲左から「ベジ LIFE!」の香取さん、「ROSE LABO」の田中さん、「たけもと農場」の竹本さん。会場では3名が生産する農産物と開発商品も展示された。

同コンソーシアムでは、今後も更なるロールモデル農業者の選出と農業者のメディア露出を獲得するためのプロモーション活動を展開。「農業を、憧れの職業に」をテーマに参画企業9社が結束し、“職業としての農業の魅力”を伝えるための情報発信をより一層拡大していく。

写真・畔柳純子


●雑誌『TURNS』の取り組み

新連載「農家の新星~農業のはじめかた~」
本連載では、全国各地のチャレンジングな若手農家さんを全6回にわたって紹介。就農のきっかけや農業への思い、営農の苦労など、リアルな声をお伝えし、農業に携わってみたいと考えている読者に農業のよろこびや魅力をお伝えしていきます。

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