酒造り職人になるには?蔵元・蔵人・杜氏の違いや仕事内容、支援制度をご紹介!




蔵元・蔵人・杜氏の違い

蔵元(読み方:くらもと)

蔵元は、日本酒を造るための蔵を持つ製造・販売元(メーカー)のこと。蔵元である=酒蔵の経営者であることを指し、日本酒以外にも醤油・味噌・酢の蔵元も同様の意味で使われます。

杜氏(読み方:とうじ)

酒造りの最高責任者のことを指し、醸造現場の一切を取り仕切る役割を担います。基本的には杜氏は各酒蔵に1名のみとされています。

蔵人(読み方:くらびと)

蔵人とは、杜氏の指示のもとで日本酒造りに従事する人の総称です。役割や立場によって次の8つに分かれます。

頭(かしら)
杜氏の補佐役として作業現場の指揮を執ります。

麹屋(こうじや)・大師(だいし)
麹造りの責任者。麹が日本酒の味を左右するため、酒造りの行程で最も重要な役割を担うとされています。

酛屋(もとや)・酛廻り(もとまわり)
お酒のもとになる酒母造りの責任者。

釜屋(かまや)
酒米を蒸す、蒸米係のこと。

道具回し
酒造りに用いる樽や桶などの道具を洗浄し、準備する係。

上人(じょうびと)・船頭(せんどう)

「甑堀り」と呼ばれる、蒸米を甑からすくって掻き出す作業を行う係。

中人(ちゅうびと)
水汲みや米洗い、蒸米運びなどを担当します。

下人(したびと)
洗い物や米洗い、水汲みなどを担当します。

 

酒造りの行程と仕事内容

日本酒は米・米麹・水をアルコール発酵させて造られます。各工程ごとの分業制が採られているため、一口に酒造り職人と言ってもどの工程を担うかで作業内容は異なります。

精米

酒造りは、原料となる玄米を精米し磨き上げるところから始まります。精米後に残った米の割合を%で表したものを「精米歩合」と呼び、食用米の精米歩合は90%前後ですが、酒米は70%前後まで磨き上げます。使用する米の品種にもよりますが、精米歩合が高い(あまり削らない)日本酒は米の旨味や甘みがしっかり感じられ、精米歩合が高い(より多く削る)ものはクリアでスッキリした味わいになるとされており、精米歩が70%以下の日本酒は「本醸造酒」、60%以下は「吟醸酒」、50%以下は「大吟醸酒」と呼ばれます。

洗米

精米後の米を洗って米ぬかなどを取り除き、浸水させます。同じ産地・品種の米でもその年の気象条件によって出来上がりが異なるので、米の状態を見極めた上で適切な浸水時間を見定め秒単位で調整する必要があります。

また、数十キロの米を運んでは下ろし、冷水で洗う作業を繰り返すため、体力が求められる行程でもあります。

蒸米

「甑(こしき)」と呼ばれる大型のせいろや蒸米機を使ってお米を蒸します。

製麹

蒸米の一部に麹菌を付けて発酵させ、米麹を作ります。発酵状態を適切に保つため、約2日間24時間体制で番をします。

酒母(酛)造り

「もと」とも呼ばれる「酒母(しゅぼ)」は、文字通りお酒のもとのことです。米・麹・水などを仕込んで2週間ほどかけて発酵させ、優良な酵母を大量に培養して作られます。

段仕込み

酒母に麹、蒸米、水を加えて発酵させ「醪(もろみ)」を造ります。一気に発酵させると酵母以上に雑菌や野生酵母が繁殖してしまうため、3段階に分けて仕込む三段仕込みが主流です。

上槽・ろ過・火入れ

20~30日ほどかけて発酵させたもろみを圧搾機にかけて酒を絞り出し、ろ過、加熱(火入れ)します。 

調合・貯蔵

別のタンクで造った日本酒と合わせたり水を加えるなどして、味を均一に整えたあと貯蔵し熟成させます。

瓶詰め

販売・保存用の瓶に詰め、ラベルを貼って完成です。




酒造り職人になるには

杜氏や蔵人になるために学歴や資格は問われません。業界に入るルートも幅広く、酒造メーカーに製造職として入社したり、杜氏のもとに直接弟子入りしたりして腕を磨くのが一般的ですが、近年は地域おこし協力隊として日本酒の世界に入るケースも出てきています。

何れの場合も必要な知識と技術を習得し一人前になるまで5~10年はかかるとされており、伝統産業ゆえの厳しい上下関係が根付いているケースもあるため、覚悟と志をしっかり固めた上で検討しましょう。

▼旭酒造株式会社(獺祭の蔵元)
製造職(新卒および中途)募集情報
https://www.asahishuzo.ne.jp/corp/recruit.html

▼茨城県潮来市地域おこし協力隊(申込受付期間:2024年04月19日 ~2025年03月31日)
未経験OK!江戸時代から続く酒蔵で0から酒造りを学び、その価値を世界に広める協力隊募集!!
https://www.iju-join.jp/cgi-bin/recruit.php/9/detail/59540

 

酒造り職人になった人の声

実際に酒づくりの現場で活躍している職人たちは、どのような経緯で日本酒の世界に入り、どんなライフスタイルを送っているのでしょうか?

これまでにTURNSが取材した、各地の職人たちのストーリーをご紹介します!

【高知県四万十町|文本酒造】「いつかおらんくの町の酒と言われるように」復活した酒蔵で働くために移住した杜氏の話

高知県四万十町の窪川地域に唯一残っている酒蔵「文本酒造」は、事業継承を経て今年7 月、創業120 周年を迎える。そこへ杜氏として茨城県から移住してきた石川博之さん。

杜氏だからこそ感じる四万十町の魅力、酒造りに反映される「川が流れる町」とは?

▼取材記事はこちら!
https://turns.jp/80671

 

【高知県四万十町】酒蔵へ飛び込み20 年。移住者の大先輩が話す四万十の魅力と酒蔵の未来

全国的にも珍しい栗を使った焼酎「ダバダ火振」を看板商品に、明治26 年から地の酒造りを続けてきた酒蔵「無手無冠(むてむか)」。福永太郎さん(42)は、22 歳の時にアポ無しで飛び込んだ酒蔵で働く人々の人柄に惚れ込み、そのまま酒造りの世界へ。今では番頭として働いています。地元のモノにこだわる酒造りに移住者としてどう携わってきたのか、未来に繋ぎたいものについて伺いました。

▼取材記事はこちら!
https://turns.jp/85369

 

【佐賀県小城市|天山酒造】エンジニアから酒造りの道へ。佐賀で見つけた、一生かけてやりたい仕事。

佐賀県小城市の老舗酒蔵「天山酒造」で朴氏として活躍する後藤潤さんは、工業系エンジニアからのキャリアチェンジを果たした経歴の持ち主。朴氏になるまでの経緯や酒造りをする上で心がけていること、佐賀での暮らしについて伺いました。

▼取材記事はこちら!
https://turns.jp/83343

 

【滋賀県長浜市|冨田酒造】〝地〟の酒造りを追求し、地域の未来を切り開く存在に。

TURNS vol.52「ローカル食文化がまちを変える」では、滋賀県長浜市木之本町にある創業480年余の酒蔵「冨田酒造」で15代目蔵元を務める冨田泰伸さんを取材。地酒の〝地〟の部分にこだわる酒造りを通してさまざまな変革を積み重ね、酒造りを通して地域の文化・産業の新しい未来を切り拓く取り組みをご紹介します。

▼ご購入はこちら!
TURNS vol.52「ローカル食文化がまちを変える

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