古民家物件を購入する際の注意点!補助金・支援制度もご紹介!

伝統的な日本家屋ならではの様式美や年月を経た建材が織り成す趣など、現代建築にはない魅力がたくさん詰まった古民家。特に近年は地方移住を希望する若い世代が増えたことで、地域の古民家をおしゃれにリノベーションして暮らしたり、カフェやホテルとして生まれ変わらせたりする方も増えていますよね。

この記事では、これから古民家を購入したいという方に向けて、物件購入時のチェックポイントや注意点、物件の探し方、改修工事等に活用できる補助金・支援制度、実際に古民家暮らしをしている方々の体験談などをまとめてご紹介します!

古民家とは?

古民家とは、日本の住居のうち、築年数が相当数経過した民家のこと。

築年数に明確な定義はなく、国が制定する文化財登録制度においては築50年以上、『一般社団法人全国古民家再生協会』の定義では、昭和25年(1950年)の建築基準法制定時に既に建てられていた伝統的建造物の住宅とされており、概ね、伝統的な木造軸組み工法で建てられた築50年以上の民家が古民家として区分されます。

 

古民家物件を購入する際の注意点

安価で市場に出回ることも多い古民家ですが、現代の建築基準法に適合していない、耐震基準を満たしていない、再建築不可物件であるなど様々な事情を背景に、相場よりも安く価格設定されているケースもあります。

入居後に後悔しないように、古民家購入前に必ずチェックおきたい項目をご紹介します。

✓断熱性

古民家物件の入居者からよく聞かれるのが、「とにかく寒い」という声。

築50年以上の古民家は断熱材が普及し始めた1990年頃より前に建てられているので、そもそも断熱材を入れられる構造になっていなかったり、窓ガラスが薄かったり、建材の経年劣化などによって床や窓、ドアなどに歪みが生じ、そこから冷たい隙間風が入ってきたりと、入居時の寒さ対策は必須と言えます。

家の断熱性能を高めるには断熱リフォームを行うのが最も効果的ですが、家全体の断熱工事には規模や状態により500万円~のまとまった費用が掛かります。

その他に講じられる手段として、市販の隙間風防止テープで可能な限り家の隙間を埋めたり、大きな窓だけでも二重窓に変えたりすることで、体感温度は変わります。

▼隙間風防止テープ

▶商品例:https://amzn.to/4bhHgEM

また、雪国の一部で使われている『温風ヒーター省エネダクト』のように、地域独自の防寒対策や暮らしの知恵もあるので、地域の方々との交流を深めながら相談し、少しずつ心地良い住まいを創っていきましょう。

▼温風ヒーター省エネダクト
ファンヒーターから出る温風をこたつに取り込む暖房器具。
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✓耐震性

築50年以上の全ての古民家は、新耐震基準(1981年6月1日施行)施行前の旧耐震基準(1981年5月31日までの採用)を元に建てられており、現代の耐震基準を満たしていません。加えて、構造材自体がダメージを受けていたり経年劣化が進んでいたりする可能性が高いため、安全性を担保する上で入居前の耐震補強工事は必須と言えます。

耐震補強工事には様々な方法があり、建物の状況によって取り得る策は異なりますが、地盤と基礎、柱など建物の根本部分の補強は必須と考えた方が良いでしょう。耐震補強工事には補助金が出たり、税金面での優遇措置が受けられたりする場合があります。活用できる補助金については後述します。

 

✓害虫対策

古民家で暮らす以上避けて通れないのが害虫との付き合いです。蚊や蟻などの見慣れた虫ならまだ良いのですが、大きめのクモやゲジゲジのほか、ムカデや蜂などの毒を持った虫が出没することもしばしば。

特に注意しなければならないのがシロアリです。シロアリは水分を含んだ木材を好んで食べて繁殖し、特に柱や土台に使われている構造材に食害が出ると、建物倒壊の原因にもなります。

物件を下見する際に、床下や屋根裏、構造材を可能な範囲で見て周り、羽アリはいないか、床や壁、畳が柔らかくなっていないか、ぐらぐらする柱がないかなどを慎重にチェックしましょう。

 

✓リノベーション費用

建物の規模や状態にもよりますが長年手入れされておらず状態の悪い古民家は、一軒のリノベーションに1,000万円~掛かるケースもあります。

断熱、耐震、害虫対策費に加え、キッチン・浴室・バス・トイレなど水回りの工事や畳、床、壁、外壁の張替えにどれくらいの費用が掛かるのかを大まかに算出し、土地・物件の購入費とのバランスを考慮して検討していきましょう。

 

古民家物件の探し方

空き物件情報は、不動産会社のHPで検索したり、相談に行ったりすることでも入手することができますが、特に地方の場合は各自治体の「空き家バンク」を活用したり、地域のキーパーソンなど地域をよく知る人に相談してみるのがおすすめです。

空き家バンクを活用する

空き家バンクとは、各自治体が地域内の空き物件情報をHP等に掲載し、利用希望者とのマッチングを図る制度のこと。

全国各地で深刻化する空き家問題対策や移住・定住希望者とのマッチングを図る目的で物件登録に力を入れている自治体もあり、一般的な不動産市場に出回らない物件が掲載されることも多くありますので、住みたい地域や理想の物件がある方は「地域名+空き家バンク」でぜひチェックを!

例:千葉県空き家バンク登録物件
https://life-style.chiba.jp/live/akiya/results/

例:高知県空き家バンク登録物件
https://kochi-iju.jp/house/

例:大分市住み替え情報バンク
https://www.city.oita.oita.jp/o168/kurashi/sumaijoho/1425962813262.html

地域の人に相談する

理想の物件に巡り合えたと言う人の中で多いのが、地域の人から紹介してもらったというもの。特に地方では情報は人を介して伝わることが多いため、地域内で顔が広い人に大家さんとつないでもらった、行きつけの飲食店で大家さんと知り合ったなど、人と人との出会いが物件との出会いにもつながります。

一方で、地域の方々からの信頼を得るには時間が掛かることも多いので、地域のキーパーソンや自治体の移住促進や空き家対策の担当者など、地域の中と外を繋ぐ立場にある人を頼ってみるのも一つの手です。

 

古民家購入・改修に活用できる補助金・支援制度

高齢化や人口減少などを背景に全国各地で空き家問題が深刻化する中、各自治体は補助金や減税制度を設けて古民家活用を支援しています。

古民家のリフォームに活用できる制度には主に4つが挙げられます。

1.断熱(省エネルギー化)工事

断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)

全国の既存住宅をリフォームする際に、断熱性能の高い建材(断熱材、窓、ガラス)を使用して省エネ化を図る断熱リフォームを行った場合に、戸建て住宅は1住戸あたり上限120万円(補助対象費用の3分の1以内)が補助されます。

▼詳細
https://www.heco-hojo.jp/danref/

 

次世代省エネ建材の実証支援事業

「次世代省エネ建材」を使って既存の住宅をリフォームする場合に、補助金が受け取れます。改修区分は、外張り断熱、内張り断熱、窓断熱の3つから選ぶことができ、それぞれ補助上限金額が異なります。

外張り断熱:上限300万円(補助率1/2)
内張り断熱:上限200万円(補助率1/2)
窓断熱:上限150万円(補助率1/2)

▼詳細
https://sii.or.jp/meti_material06/

 

2.耐震補強工事

耐震補強工事に関する補助金制度は、各自治体が主体となり実施しています。

例:福島県木造住宅等耐震化支援事業
福島県では木造住宅の耐震化を進めるため、各市町村を通して以下の補助金を支給しています。
耐震診断:最大15万円補助
一般改修:最大100万円補助
段階改修:最大60万円補助
ブロック塀等の耐震改修・除去:最大10万円補助

▼詳細
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/41065b/mokuzoutaisinkasiennjigyou.htm

例;大分県津久見市空き家利活用事業

空き家情報バンクに登録物件を利用して津久見市移住しようとする方に対して、必要な費用を助成しています。

家財処分補助:上限10万円
空き家購入補助:上限100万円(補助対象経費の2/3以内)
改修補助:上限100万円(補助対象経費の2/3以内)

▼詳細
https://iju-tsukumi.jp/support

 

3.バリアフリー化

介護保険における住宅改修

要介護者等が、自宅に手すりを取付ける等の住宅改修を行おうとする場合に、ひとり生涯20万円までの支給限度基準額を償還払いで支給する制度。古民家の急な階段や室内の段差の緩和等にも活用できます。

▼詳細
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf

 

4.自治体独自の支援制度

これらに加え、自治体によっては独自に支援制度を設けているケースもあるため、各市町村の住宅課窓口等に相談してみると、心強い支援が得られるかもしれません。

一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会が運営する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」では、全国の自治体が実施する支援制度を一括検索することができます。

▼詳細
https://www.j-reform.com/reform-support/

 

全国の古民家購入・活用事例

【福島県飯館村】空き家を改修して、古民家暮らしをスタート。地域の医療に貢献したい。

都内の病院で精神障がい者向けの訪問看護の仕事をしていた星野勝弥さんは、東日本大震災発災時に発生した福島第一原子力発電所の事故を受け、「地域医療の分野で村に貢献しよう」と移住を決意。

2017年に飯館村の空き家を購入して移住し、家の敷地内にあった蔵を改修して2020年には訪問看護事業「あがべご訪問看護ステーション」をオープンさせました。

物件の購入や改修には、福島県に移住するための住宅取得に要した経費の2分の1を補助する『来てふくしま住宅取得支援事業』と、県内に定住するための空き家改修等に、補助金最大250万円を交付する『「住んでふくしま」空き家対策総合支援事業』を活用することで、「金銭的な負担をかなり軽減できた」と話します。

▼取材記事はこちら!
https://turns.jp/69186

 

【大分県杵築市】FREE OITA大分での未来は、ストレスフリー。さぁ、都会を捨てよう。-古民家編-

『山香文庫』 牧野史和さん・鯨井結理さん

山口県出身で、大学卒業と共に地域おこし協力隊として杵築市に移住した牧野史和さん。協力隊としての活動期間を終える頃、築150年という現在の住まいと出会い、パートナーでヨガインストラクターの鯨井結理さんと共に、中学生などを受け入れる農村民泊『山香文庫』をオープンさせた。

杵築市地域おこし協力隊 青木奈々絵さん

栃木県から東京都を経て地域おこし協力隊として大分県杵築市に移住した青木奈々絵さんは、空き家バンクを通して出会った築150年以上の大きな一軒家を自身でリノベーション。ゆくゆくはグリーンツーリズムの受け入れや移住希望者の拠点となる場所にしていきたいと話します。

▼取材記事はこちら!
https://turns.jp/40222

 

【佐賀県佐賀市】都会との”余白”を埋める起業で 佐賀に”古民家写真館”が誕生!

フォトグラファーの笠原徹さんは、佐賀市が「古民家再生プロジェクト」の一環としてリノベーションした築約100年の履物問屋「旧久富家住宅」を活用し、写真館「ハレノヒ柳町フォトスタジオ」をオープン。まちで暮らす人々の物語を写真で記録しながら、まちと人の魅力を広く発信しています。

▼取材記事はこちら!
https://turns.jp/3492

 

【和歌山県和歌山市雑賀崎】日本のアマルフィと呼ばれる雑賀崎で空き家を活用!孫の代まで楽しく住み続けられる漁村に

和歌山市の中心部から車で15分ほどのところにある漁師町・雑賀崎は、近年、空き家をリノベーションしたカフェや食堂、漁師民泊などが続々とオープンし盛り上がりを見せているまち。

その火付け役となっているのが、雑賀崎に暮らす若い世代が立ち上げた「NPO法人さいかざきポッセ」。雑賀崎を「孫の代まで楽しく住み続けられる場所にしたい」と、独自の空き家マップを作成し、移住希望者とのマッチングを図るなど、漁村ならではの空き家、少子高齢化問題に取り組んでいます。

▼取材記事はこちら!
https://turns.jp/92285

 

【宮崎県小林市】“てげいっちゃが”ライフを宮崎で 移住×空き家活用のススメ

南国らしいおおらかな自然環境と程よい都市機能を併せ持つ宮崎県。このエリアに魅力を感じた上岡唯子さんは、15年以上空き家になっていた、元・歯科医院が入居していたコミなをセルフリノベーションし、カフェ「musumi」& ゲストハウス 「LOOP」をオープン。

観光で訪れた人も地域の人も一緒に混ざり合う、地域のコミュニケーションスポットとして地域内外から愛されています。

▼取材記事はこちら!
https://turns.jp/74913

 

TURNSでは今後も古民家暮らしに関する情報をお届けしますので、ぜひご活用ください!

#古民家

 


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