福島県伊達市 独眼竜政宗の伊達氏のルーツ
人と農作物を育む豊かな土地

福島県北部に位置する伊達市は、伊達郡とあわせて 17代当主・独眼竜政宗で知られる伊達氏が14代まで本拠地を置いた土地。
東に名峰「霊山(りょうぜん)」西に雄大な吾妻の山々を望み、柿や桃、そして全国有数の野菜の産地としても知られている。
豊かな自然と歴史を資源に、人と人とのつながりを大事にする土地柄で、伊達市は今あらゆる世代が生涯活躍できるまちづくりを行っている。

 


 

楽しくあったかい人の繋がりが残っている
息子にここを継いでほしい

フェルムナチュレールコクブン
國分喜行さん

Profile >福島市で雑貨屋や精肉惣菜店店長として勤務した後、農業に就き、伊達市に移住。現在は柿を中心に果樹、夏野菜、稲作と手掛け、理想とした里山での農業暮らしを実践している

伊達市を見下ろす小高い丘に建つ小屋に案内されると、鮮やかなオレンジの「柿のれん」が部屋いっぱいに広がる。見たことのない光景、その見事な様に思わず声が漏れる。
「福島市でいくつか仕事をしていて、でも〝いずれは農業を〟って以前から考えていたんです。ちょうど震災の年でここの土地がありえないぐらいの額で出ていたので移ってきました」

あんぽ柿を手掛ける國分喜行さんはそう話す。小屋から少し行った先ではヤギを飼い、家にはさらに犬と猫、理想であった里山暮らしを実践している。
「稲作、あんぽ柿、他にはイチジク、ラズベリー、あと夏野菜がメインなんですけど、ナス、ピーマン、オクラもやってます。一番多い時期だと10種類くらいはありますね。少量多品目みたいな感じです」

この場所に妻の直子さんと息子の柊那しゅなくんの3人暮らし。直子さんはラズベリーやイチジク、柿といった果物のジャム、切り干し大根、また米を米粉にしてのパンケーキミックスと、様々な加工品を担当。5年前まではひとり農業だった國分さんだが、結婚によりできることが格段に増え、それまでは塾の講師などを兼業でしていたが、今は農業に専念できるようになった。

「僕にとって本当に理想的な環境です。自然豊かで四季折々にいろんな作物も取れますし、あと古くからの有機的な人の繋がりが残っているんです。そういうのがすごく楽しいしあったかい。人と自然、本来の人間関係っていうか、日本人が昔から繰り返してきた人と人との繋がりや生活っていうのが残っている場所だと思います」

幼少期に母の実家で畑仕事や農作業を手伝い、小中学校から宮沢賢治に親しんだ。東京農業大学に進み、そこで読んだ本から自然農法に心を打たれ、今は自身で実践している。

「満足していますし、むしろ今の状態以外の人生が想像つかない(笑)。本当にここに来れてよかったと思ってます」

さらにこれからブドウを生産してのワイン作り、古民家を改装してお店とコミュニティスペースを作ってイベントの開催と多くの計画を持っている。

「できれば息子にここを継いでほしいって思いますし、だからその基盤を今のうちに作っておかないとと思っています。息子が喜んでここを継げるような環境を作っておきたいっていうのが今の一番の目標です」

人と自然に恵まれた場所で、子どもに残し継がせたい。そう思わせる環境がここにはある。

 

—-寒波に襲われ雪景色での撮影となったこの日、國分さんも大根やカブの寒さ対策に追われていたが「農業って本当にルーティー ンでできない仕事で、毎年同じことをやっても絶対同じようには行かないんです。その時の気候や状況を見ながら常に方策を変 えていかなくちゃいけない。でも、逆にそれがすごく面白いんです」と仕事のやり甲斐を語ってくれた

 


英語・ICT・ふるさと3つを柱にした教育で
伸び伸びと育ってほしい

伊達市立月舘学園小学校・中学校校長
佐々木透さん

<Profile >伊達市出身で県内他所で暮らした後で市内に戻り「やっぱり故郷はいいな」と話す。今後も「1年1年新たなことにチャレンジしていきたい」と学校・地域教育に情熱を傾ける

「自然もありますし、子どもたちも純朴で、やっぱり故郷はいいですね。特にこの月舘の子どもは純粋だと思います。すごく協力的な地域で、そういう地域だから、こういう子どもたちが育ったのかなと思います」

伊達市で初の小中一貫校となる月舘学園の佐々木透校長はそう話す。市内の月舘小学校、小手小学校、月舘中学校の3つが集まり誕生した月舘学園は令和2年4月に開校したばかり。

「この学校はそもそも地域の方たちが“ぜひ月舘にこういう学校を作ってほしい”という要望からできたんです」

地域の人に望まれて生まれた学校だけに“自分もこんなところで学びたかった”と思わせる環境と体制が整っている。

「英語教育とICT教育、ふるさと学習の3つがコンセプトです。英語は普通小学3年生からスタートですが、1・2年生から外国の先生と授業をやったり、中学校の英語の教員が5・6年生を教えています。ICTは1人1台ずつタブレットを持っていますし、全教室に電子黒板が入っていて、日本で初めてロボットを使ったプログラミング教育を必修でやっています」

プログラミングの授業では伊達市内のベンチャー企業が開発した二足歩行のロボット「メカトロウィーゴ」を使用。製造も市内の企業が行っており、ふるさと学習の一環とも言えそうだ。

実際に動かしてもらうとロボットは目を赤・青・黄色とカラフルに光らせ、音楽を発しながら踊ったり前転・後転で引っくり返ったりとその動きは思っていた以上にアクロバティック。「これは飽きないんじゃないかな」と佐々木校長が目を細めて話す通り、大人の取材陣も魅了されてしまった。

「ふるさと学習では地域の伝統である影絵に半年ぐらい取り組んで学園祭で発表したり、田んぼを借りて稲を育てたり、お正月の門松づくりなんかも地域の方を講師にして行いました」

最先端の授業を取り入れる一方、心と感性を育む取り組みも十分に行われている。校内には地域の人たちが集まり教育活動を支援するスクールコミュニティも設置されており、世代を超えた交流となっている。

「運動会の前に草がぼうぼうだったりすると地域の人が自主的に草刈りをやってくれたり、本当に土地柄はいいと思います。小中一貫と恵まれた環境で幸せだと思いますし、子どもたちは伸び伸び育ってほしいです」
子は未来。羨ましくなる環境で育つ、月舘の子どもたちの将来が楽しみだ。

 

—-月舘学園はロボットを使ったプログラミング教育を伊達市内に広めるモデル校となっている。1年目となった今年度は5時間の授業を実施。「子どもたちは非常に喜んでやっています」(佐々木校長)と好評であったため、来年は10時間の導入が検討されている。また学園の校舎は月舘総合支所と渡り廊下で連結されており、学校と地域の交流が促されている

 


 

新しい価値観を伊達から提案

あらゆる人が活躍できるまちを共同で一緒に作っていきたい

一般社団法人アクティブライフだてな
松浦繁光さん・三浦正一さん・安倍一雄さん

<Profile > 伊達市内の阿武隈急行「高子」駅前で開発が進むニュータウン計画に取り組むコンソーシアム事業者。立場の異なるメンバーが集まり、「生涯活躍のまち」作りに力を合わせている。

「夢を語ってきました(笑)」そう言ってほほ笑むのは三浦正一さん。障害者施設を運営し、伊達市で進むニュータウン計画に取り組む「アクティブライフだてな」の代表も務めている。
市内で進むこの計画、単なる住宅構想ではない。そこに暮らすあらゆる世代・全員が活躍できる「生涯活躍のまち」を目指している。そんな理想の街を具現化するため建設業を営む松浦繁光さん、介護事業に携わる安倍一雄さんとともに中心となり、話し合いや調整を続けてきた。

「震災以降、伊達市も人が減ったり生産世代が抜けてしまって、やはり人が生活して活動していってくれないと回っていかない。そういう中で、新しい価値観を伊達から提案できればいろんな面で意義があるんじゃないかという気持ちがあり、みんなでやりましょうと」(松浦さん)

松浦繁光さん

「私の会社は薬局事業と介護事業をやらせて頂いていて、誰もが支え、支えられるという事業理念にもすごくマッチングすると思い、参画させて頂きました。高齢者や要介護のある方は出来なくなってしまったことに目が行ってしまいますが、そういった方たちが活躍できる場所やシステムといったものを構築していきたいと考えてます」(安倍さん)

安倍一雄さん

鼎談の中では「完全バリアフリー」という言葉も度々聞かれた。バリアフリーというと障害や高齢の方に対するものが浮かぶが、街に関わるあらゆる人にフラットで、また全員が活躍できるコミュニティを目指す。まさに名称通り、誰もが「アクティブライフ」を送れる場所だ。

「やはり地域が違うと考え方や生活倫理も違ってきます。ですので移住してきた人の新しい知恵を頂いて、我々が気づかない伊達のよさを教えてもらって、よくない部分も指摘してもらって解消する。そういう地域になってほしいです」(三浦さん)

三浦正一さん

新しい街を享受するだけでなく、移住してきた人たちにも積極的に関わり街をよくしていってほしいと安部さんも同調する。

「私たちも準備しますが、この地域で自分から生産を高めていける仕事や事業を準備して頂きたいです。お互いが発掘して伊達市の魅力を知る、移住者の方にも作って頂けるとすごくいいのかなって」(安倍さん)

「この服を着なさいって一方的に着せるのではなく、新しい街・新しい価値観を一緒に作れれば。共同でよいものを、笑顔になれる場所を作っていきたいです」(松浦さん)

生きがいと充実感ある街へ、伊達市の新たな歩みが始まる。

—-街に暮らす全世代・全員が活躍できる場所を目指し協議を重ねてきた三浦さん・安倍さん・松浦さん。「移住ってどうしても“人生懸けて”みたいな重い感じがありますけど、もっとライトに、ちょっと遊びにくるぐらいの感じで来てもらえれば。“お試し移住”なんてものも準備しています」と、松浦さんからメッセージがあった。

 

 

                   
伊達市移住コンシェルジュ
小林誠・紘子
Tel:080-9258-8627(月曜日から土曜日9:00~19:00、祝日、年末年始を除く)
LINEID:kurari-date※ラインでの問い合わせ可能です。
Mail:kurari.date@gmail.com
伊達市移住促進サイト
伊達市は、妊娠期からの子育て支援が手厚く、悩み事はママに寄り添う「担当ネウボラ保健師」の携帯電話に直接相談ができます。自然豊かな屋外施設や屋内で天候を気にせず遊べる施設もあります。農作物の直売所が各地にあり、食べ物の旬を感じながら、地産地消のライフスタイルを実践できます。
生涯活躍ポータルカラフル
生涯活躍ポータル「カラフル」は、福島県伊達市を含む全国の5つの市町の相談窓口です。地域と関わりたい、という想いを持つ方はぜひ一度ご連絡ください♪
Mail:colorful@pasona.co.jp
Tel:03-6634-9975

人気記事

新着記事