TURNS

高原のトマトと里山の風景に惚れて移り住み、大切なものを継いでいく。
愛顔のひめターン連載企画VOL.1【久万高原町 トマト農家 上村芽衣子さん】

愛顔えがおのひめターン連載企画!

女性に優しい愛媛県に移住し、
自分らしいライフスタイルを手に入れた5名の女性たちを5回連載でご紹介していきます。


 

愛媛県松山市の松山インターチェンジから車で35分。距離にしてわずか30キロで、都市部とは異なる別世界が広がる。

平均標高800メートルほどの高原地帯「久万高原町」は、ダイナミックな自然の中にゆたかな文化が息づき、夏は避暑地、冬はウィンタースポーツの聖地として県内でも人気の観光エリアだ。

 

新天地・久万高原町へたどり着くまでの道のりは、軽やか。

自然ゆたかな地域は全国各地にあるけれど、久万高原町はスケールが違う。カルスト台地が広がる「四国カルスト」(写真下)、透明なエメラルドグリーンが美しい渓谷「面河渓(おもごけい)」はそのシンボル的スポット。

今回伺ったのは、棚田と清流と青い峰々とが織り成す直瀬(なおせ)地区。名古屋から松山市を経て久万高原町に移り住み、夫婦でトマト農家を営む上村芽衣子さんを訪ねた。

秋のはじまり、車道の脇には、黄金色の田んぼが輝いていた。澄んだ風が心に体に心地よい。芽衣子さんのトマト農地は山の中腹にあった。「早朝ここに来ると、よく眼下に雲海が広がっているんですよ。この景色とトマトの味に惚れてここに移住しました」と芽衣子さん。

松山市でテレビ局のイベントスタッフとして勤務していたころ、エンジニアだった友範さんと出会い、結婚。友範さんの仕事の都合で名古屋へ。そのとき、自給自足に憧れていた芽衣子さんはある農業教室に参加した。

「出会った農家のみなさんがとても明るくて。仕事はきついと言いながら、なぜこんなにも明るく生きられるのだろうかと考えはじめました」。この根源的な問いが、農業と移住の“入口”になった。

名古屋生活を2年半おくり、松山に戻る。しばらくして芽衣子さんは「農業がやりたい」と、友範さんに漏らした。じつは友範さんも家庭菜園で野菜栽培の魅力にはまり、農業の道への憧れを抱いていた。同じ夢をもった夫婦の行動ははやい。さっそく、県内の農地をリサーチし、3ヶ所目で行ったのが久万高原町だった。

 

久万のトマトのおいしさに衝撃。手厚い就農支援も決め手になった。

つてをたどって行った農家さんのトマトを味わってみると、「生まれてはじめて感じたトマトのおいしさに、びっくりしました。旨みがとにかくすごい。2人でこれだ!と思いました」。一人っ子の芽衣子さんは、当時、松山市に住んでいた両親のことも考え、距離が近くアクセスがいいことも判断材料になった。

さらに、町の手厚いサポートも後押し。
芽衣子さんたちのケースでいえば、町の農業研修施設「久万農業公園アグリピア」で1年、友範さんが研修を受けた。夫婦の場合、1人しか農業研修を受けることができないからだ。栽培ノウハウや経営を実践的に学べる間、月額15万円が支給される。芽衣子さんは先輩農家で週3回アルバイト。1年後、町の助成金を活用して、ほとんど初期費用もかからず独立した。

現在、6つのビニールハウスで、環境に負荷をなるべく与えない「エコ栽培」を取り入れながら、「桃太郎トマト」を育てる。石鎚山系のきれいな湧水と、気候の寒暖差もあることなどから、そのおいしさで関西圏を中心に人気が高い。

「久万高原トマト部会青年部」の副部長も担う芽衣子さん。もっと久万のトマトを広めたいとPR活動にも励む。そのひとつが、レシピを考案した「トマトカレー」の提供だ。

ちょうど伺ったときは、地元の道の駅「天空の郷さんさん」のレストランで、芽衣子さん考案のトマトカレーが期間限定のメニューになっていた。無水調理でトマトの旨みがぎゅっとつまって、後味さわやかでとっても美味!

「ほんとうは実際にここに来て、おいしいトマトを味わってほしい。トマト農家の高齢化が進む中、産地の火を消さないためにも、新しい担い手が現れてくれることを願いながら活動しています」と、芽衣子さんはその活動の思いを語る。

(写真説明)芽衣子さん考案のオリジナルキャラクター「tomaton(トマトン)」

 

次代へ引き継ぎたい伝統や文化がある暮らしは、幸せ。

トマト農家として奔走しながら、ここの暮らしにもどっぷりはまっている。

もともと、文化レベルが高い久万高原町。プラネタリウムもある「久万高原天体観測館」や木造建築の「町立久万美術館」など文化施設も充実している。

そんな文化のまちで、芽衣子さんが熱心に取り組む文化芸能が、直瀬地区の「農村歌舞伎」。県外でも公演するほどの評判で、友範さんも「はじめて観劇したときは、あまりのクオリティに驚いた」と舌を巻く。

舞台発表の2ヶ月前から公民館で夜な夜な練習を重ね、役者のひとりとして活躍している。「伝統芸能、農業、景観と継いでいきたいものがたくさんあります。守っていく責任がわたしたちにはありますから」。芽衣子さんはすっかり地元民の顔を見せた。そう思わせる魅力が、この地域にあるのだろう。

 

理想的な農的暮らし。リアルに思い描く土壌がここにある。

直瀬に暮らし6年。「閉鎖的」といわれる山のコミュニティにすっかりなじみ、「閉鎖的」という言葉の誤解に気づいたという。

「ふだんは、みんな顔見知り同士の暮らしなんです。ひととひととの距離がとても近くって心が通い、温かい。無用心でも安心なのです。だからこそ、そこに見知らぬひとを見かけたらちょっと不安になるんですよ。わたしもすでにその感情が芽生えていますから(笑)。知ってもらう努力をすれば、あとはとってもよくしてもらえますよ」

ところで、農家のひとたちの明るさの正体。実際に農家になり、思うこととは。

「農業をはじめて、頭と体のバランスがとれた仕事だと気づきました。自然をとらえる五感も大切で、ひととしての総合力が試されている気がします。自然に合わせるしかない、自分ではどうしようもない。だからおおらかになるのだと思います」

以前の芽衣子さんを、わたしは知らないけれど、いまの芽衣子さんがよく浮かべるすこやかな笑顔はとても印象的だった。農家として生きていることと、きっと無縁じゃない。

そんな芽衣子さんの夢は、趣味の音楽を生かして、トマト畑でちいさな音楽祭を開くこと。
「このロケーションを背景に、ギターの弾き語りをしてみたい。ささやかだけれどトマトと、この地域の魅力をわたしらしく発信できたなら嬉しい」

コストをかけずに農業をはじめ、自然に囲まれて、農業に生きる。プラス、趣味も大切に。
芽衣子さんの移住ストーリーは、「移住して農家になりたい」と憧れるひとたちにとって、理想的な姿なのかもしれない。同時に、ここ久万高原町が、人生の新しい青写真を描く理想的な場所であることも、芽衣子さんの歩みが示している。

写真・文:ハタノエリ


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