ローカルは、「やりたいこと」にたどりつける場所。 | 移住・定住インタビュー「愛媛のひめターン」

愛顔のひめターン vol.6 【愛媛県内子町 GOOD MORNING FARM 代表 齋藤美香さん】

山あいの、ものづくりのまち・内子町へ

松山空港から高速に乗って約40分、山あいにある、豊かな風土、文化が息づく愛媛県内子町に着く。歴史的な景観が残り、工芸品を筆頭にものづくりが盛んな地域だ。

このまちに、ピクルスやオイル漬けといった野菜の瓶詰め加工を行い、首都圏でも人気のある「GOOD MORNING FARM」の齋藤美香さんを訪ねた。

加工場兼ショップは、手漉き和紙の産地である五十崎(いかざき)地区にある

しごと優先だった、東京時代

美香さんは、内子町から50キロ南下した宇和島市で生まれ育った。

地元の高校を卒業後、大好きな絵画を学びたいと東京の専門学校へ。3Dグラフィックのゲーム会社で働いて2年後、専門学校の恩師に誘われ、プロモーションビデオやコマーシャルをつくる会社へ入社した。

デザインの技術を身に付けるため、クリエイティブ集団の「エンライトメント」へ出向。1年後に戻り、27歳までグラフィックを担当。その後、フリーに転身し、結婚した。

フリーになって3年目、美香さん30歳。好きなしごとだったが、それまで当然と思っていた働きかたに疑問を持ちはじめた。

「添加物にあふれた商品を後押しするようなしごとに対して、じぶんの時間と労力を捧げる。本当にそれでいいのかなと日々考えていました」。

それでも、子どもが生まれる直前の2010年まで、朝方までパソコンに向かうほどストイックにしごとをこなした。

予期しない、人生の舵切り。

暮らしに海と山があり、豊かな食材に囲まれた環境で生まれ育った美香さんにとって、きっと、都会暮らしとは違う理想が、根底にあったはずだ。ただ、疑いに真摯に向き合うよりも、蓋をして生きることの方がたやすい。そんな美香さんを揺さぶったのが、2011年に起きた東日本大震災。

ライフラインが機能しない。物流が途絶え、物が手に入らない。放射能の影響で公園が封鎖される。いつ安全は手に入るのか。ここで暮らし続けていいのか。暮らしのその先をしっかりと見つめることで、移住の決断をした。

「当時、東京に家を建てて、ローン返済がはじまったばかりだったので、もし震災がなかったら、今の暮らしにモヤモヤを抱えながらも、本当はこんな暮らしがしたいわけじゃない、と愚痴を言いながらも、ずっと東京にいたと思います」。美香さんは選ばなかった未来について、そう口にした。

ローカルビジネスの種、そこここに。

2012年、地元・愛媛に戻る。新天地には、実家の宇和島と行き来できる内子町を選んだ。2年間、専業主婦をしたのち、趣味で農作物の瓶詰め加工を始める。

最初につくった、スライスしたブラッドオレンジのジャムの画像

「単純に、内子の野菜がおいしかったんです。香りがあり、食感もはっきりしている。ピーマンって収穫して3日間は本当にいい香りがする。ここに暮らすとおいしさを逃さないし、小規模経営が多くて、露地ものの旬野菜がそろう。あまりにもおいしいので加工品にすることを思いつきました」

「本格的にやったらどうだろう」。いつの日か、ものづくりがしたいとずっと思い描いていた美香さん。良質の素材が手に入る環境に暮らすことで、「やりたいこと」がくっきりと形になった。

2015年、自宅の台所で「GOOD MORNING FARM(グッドモーニングファーム)」はスタート。わかりやすいと選んだ屋号で、はじめて、じぶんのためにブランディング、デザインを手がけた。1ヶ月で200瓶をこしらえ、東京のファーマーズマーケットに出品。鮮やかなピクルスの瓶は次々に売れ、完売。卸のオーダーも入った。

そこから、じわじわと事業が広がっていく。自宅では手狭になり、加工所に製造を委託し、販売に専念した。

拡大、そして地元のために

ただ、商品はほとんど首都圏へ行く。地元の人はなかなか買えない。もっとじぶんたちの想いを可視化でき、商品が買える場所を作りたい、と引っ越した自宅の一部を改装し、2018年、加工場とショップを造った。


現在は6人の女性店舗スタッフとともに働く。ほとんどが移住者という

「内子はみんなフットワークが軽く、おもしろい人が多いです。ものづくりのイズムみたいなものがあって、田舎なんですけど文化的な話ができるところが好き。お店を開くとなったら、ちょっとぐらい苦情を受けると覚悟していたのですが、1件もない。逆に『どんどんやって』ってみな応援してくれます」

そんな開放的な地域で暮らし、やりたいことを見つけた美香さん。東京で働いていたころと今との違いは?

「わたしのまんまで、しごとをしていることです。じぶんの好きなことを、じぶんの力でやるから、調和していて矛盾がありません。大変なことはあるけれど、ノーストレスです。食べ物を扱うしごとは、手触りも匂いも味も旬もある。日々それらを感じながらできるしごとって、すごく楽しい。これからもずっと、ここでものづくりをしたいですね」


松山市内で開催されたイベントに出店し、親子で接客する

内子の「GOOD MORNING FARM」は今や、この地域の未来を語るのに欠かせない存在になった。

走り続ける美香さんに、気負いはない。

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写真・文:ハタノエリ


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2019年9月13日(金)に「GOOD MORNING FARM」の齋藤美香さんと、43,000人以上のフォロワーを持つ松山在住の人気インスタグラマーこずえさん(@koz.t)をゲストに迎えて、「愛顔のひめParty -愛媛で輝く女性たちに学ぶ、理想の暮らしの叶え方-」を開催します!

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