移住者目線で
地域の知られざる魅力を掘り下げる

沖縄Work Style 未来を担う観光人材 07

ひょんなことから北中城村観光協会への入社が決まった禰覇音さん。沖縄県への移住も、現在の仕事も半ばなりゆきで進んだ話だったが、いまやすっかり北中城村ファンの一員だ。
この頃は、移住者目線を活かした体験プログラムも好評なのだとか。

＜Profile＞
一般社団法人北中城村観光協会
禰覇音（ねは　おと）さん　35歳（2022年入社、中途採用）

＜勤務先紹介＞
北中城村の観光振興事業に携わる一般社団法人。事務局で観光案内を行うほか、「北中城村観光情報ポータルサイト」の運営やウェルネス事業なども実施。「親しまれ、頼られ、一目置かれる観光協会」を掲げ、県内外に地域の魅力を発信している。　https://www.kitapo.jp/

村の日常生活と地続きにある体験プログラム

世界遺産「中城城跡」のお膝元でありながら、近接の市町村と都市圏を築く北中城村。“観光”と“日常”がほどよく交差するこの村で、最近注目を集めている体験プログラムがある。

北中城村観光協会の観光情報ポータルサイトをのぞくと、そこには「農業体験」「やちむん（焼き物）づくり」「釣り体験」などの体験プログラムがずらり。いずれも地域の生業がベースにあり、参加者は村で暮らす人たちの日常を体験できる。

「プログラムの根幹にあるのは『ウェルネス』（心身ともに豊かで健康な状態）です。これまで北中城村はウェルネス事業を地道に進めてきましたが、コロナ禍が落ち着いたあたりから徐々に認知度が上がってきています。県内外から問い合わせがあり、『健康・美・長寿推進協議会』として『大阪・関西万博』への参加も決まりました」

そう話すのは、北中城村観光協会でWEBサイト制作とウェルネス事業を担当する禰覇音さん。2022年の入社間もなく、先述の体験プログラムの内容を充実させていき、ウェルネス事業の認知度向上に貢献した。

「公私ともに北中城村との関係性が密になっている」

長崎県出身の禰覇さんが沖縄県に移住したのは、2012年のこと。それ以前は福岡県にある水族館でイルカの調教を担当しており、結婚を機に沖縄での生活をスタートさせた。移住してからしばらくは公的機関の非正規職員として働いていたが、偶然見つけた北中城観光協会の求人案内に心が動いた。

「北中城村なら住まいからも近いし、仕事と育児を両立できると考えました。なによりも正社員として働けることが一番の魅力でした。募集していた人材はWEBサイト制作の担当者。WEB制作についてのスキルや知識は皆無でしたが、協会の事務局長が寛大な方で『ここで一からスキルを磨いたらいい』と、迎え入れてくれたんです」

晴れて、北中城村観光協会の一員になった禰覇さん。いまでは信じられないことが、入社当初は隣町の境界もあやふやなくらい、北中城村の歴史や文化には疎かった。

「それがいまでは、公私ともに北中城村にどっぷり浸かっている。人と対話を重ねることは好きだったので、その性分がいまの仕事にマッチしたんでしょうね。先日も仕事の打ち合わせに行ったら、その場の流れでヤギ汁を食べる会に誘われましたよ（笑）。自分でも意外な変化ですが、沖縄観光に関わる以上、そうあるべきだと思います」