三線の音色とともに、
沖縄の観光コースをご案内

沖縄Work Style 未来を担う観光人材 04

株式会社琉球バス交通の観光バスでガイドを務める高安麻衣さん。一時は海外留学も考えたが、地域に深く根ざしたいと現在の仕事を選んだ。軽妙な語り口の案内に加えて、自身のスキルを活かした「三線演奏」がツアー参加者からも好評だ。

＜Profile＞
株式会社琉球バス交通　
バスガイド高安麻衣（たかやすまい）さん　23歳（2019年入社、新卒採用）

＜勤務先紹介＞
沖縄県本島で事業展開するバス事業所。路線バスだけではなく観光バスも運航しており、県内外から多くの観光客を受け入れている。定期観光コースは「首里城・おきなわワールドコース」「古宇利島・今帰仁城跡美ら海コース」などがあり、沖縄の名所巡りやエンタメを堪能できる。 https://daiichibus.co.jp/

地元沖縄と真正面から向き合える仕事

モノレール以外の鉄道が走っていない沖縄県では、路線バスが重要な公共交通機関になっている。なかでも、琉球バス交通は車両台数・従業員数ともに県内最大規模を誇る。路線バスのほか観光バスも運行しており、県内の歴史や文化に触れるツアーも実施。こうしたツアーの案内役、盛り上げ役を務めるのがバスガイドの高安麻衣さんだ。

高安さんは地元の高校を卒業後、琉球バス交通に入社。就職ではなく海外留学することも考えていたが、友人からのある一言で踏みとどまった。

「『地元のことを深く学ばないまま留学しても意味がないよ』。そのアドバイスに触れ、気づいたんです。私は生まれ育った沖縄のことを表面的にしか見ていなかったんだなって。幼少期から三線（三味線のルーツとされる沖縄の弦楽器）を習ってはいましたが、深い部分で理解していたとはいえませんでした」

このとき、本当の意味で地元沖縄と向き合えた高安さん。そのまま地元に残り、沖縄の歴史や文化に関わる企業への就職を決意する。選んだのは、琉球バス交通のバスガイドだった。

「沖縄の魅力を一つひとつ丁寧に伝えていくことがバスガイドの役割。自分なりの言葉で表現できる理想の職業で、三線のスキルも活かせるのではないかと考えました」

得意の三線演奏で修学旅行生が大盛り上がり

入社前の期待通り、「三線演奏」は高安さんの武器になっている。観光ツアーの案内中に得意の三線を演奏し、旅に彩りを添えるのだ。入社2年目のときに修学旅行のツアープログラムを考案した際も三線演奏が盛りこまれた。

「相手は高校生なので、民謡だけではなくBEGINさんや夏川りみさんなどの沖縄ポップスも織り交ぜました。披露したところ、車内は大盛り上がり。言葉では表せないほど嬉しくて、生徒の皆さん一人ひとりの顔が脳裏に焼きついています」

高安さんが仕事をするうえでのモットーは「気配り・目配り・心配り」。その心構えは、通常のガイドはもちろんのこと三線演奏中にも活きている。

「民謡が退屈そうなお客さまがいたら、アップテンポなカチャーシーを演奏して空気を換えたりすることもあります。おもてなしは、こちらの一方通行であってはいけません。お客さまが求めていることを即座に判断し提供することが大切なのだと思います」

女性が働きやすい職場で自分の道を突き進む

軽妙な語り口でツアーを案内する高安さんだが、意外なことに入社初年度は案内が棒読みだったという。

「お客さまには未熟であることがお見通しだったみたいで、最後に『よく頑張って覚えたね』と、声をかけていただいたこともありました。その労いが嬉しくもあり、悔しくもあり……。それからしばらくの間、先輩バスガイドに同行し、言葉使いから仕草・表現まで徹底的に吸収しました。現在はお客さまから感謝の言葉をいただくまでになり、自身の成長を実感しています」

先輩たちは、沖縄の歴史や文化に詳しく、高安さんの改善点を率直に指摘してくれる。高安さんにとっては頼れる先輩であり、人生の先輩でもあるのだ。

「琉球バス交通は、女性も活躍しやすい環境が整っており、女性運転士やママさんバスガイドも在籍しています。福利厚生や産休・育休も取りやすいため、女性が安心して仕事に専念できますよ」

そんな高安さんもいまでは、後輩バスガイドにアドバイスをする立場に。「大好きなバスガイド職を楽しみお客様との出会いを大切に輝いていたい」と、積極的に仕事に取り組んでいる。