「花と海の街 館山市で学ぶ地方創生×ビジネスセミナー」レポート
第2回「館山市における地域ビジネスの可能性」

2022年12月22日(木)・23日(金)に実施された、「花と海の街 館山市で学ぶ地方創生×ビジネスセミナー」。移住者でありながら、館山で様々なビジネスを手掛ける方々をそれぞれゲストに迎え、館山市の現状・課題・ビジネスチャンス・まちづくり等に関するお話を伺っていきます。第2回は、「館山市における地域ビジネスの可能性」がテーマです。

第1回の記事はこちら!

●講師 須藤 健太さん(株式会社須藤牧場 常務取締役)

「すみません、自分牛乳しか飲めなくて…」とおもむろに牛乳を取り出した須藤さん。自身の牧場で生産されている牛乳を持ち込んでの登壇です!

館山市で牧場を経営する家庭に生まれた須藤さんは、高校卒業後、北海道で修行を積んだのち、2013年に須藤牧場の4代目として就農しました。直営店3店舗の運営から、商品開発、地域連携イベントなどに取り組んでいます。

「房総は日本酪農発祥の地と言われています」と話す須藤さん。雪害が少なく夏が涼しいといった気候的条件、豊富な資源や行政の柔軟性の高さなど、酪農事業にこんなに適した場所は他にないほど、ということです。

また、台湾との交流の深さや、成田空港、ディズニーリゾートへの近接性などを踏まえ、インバウンド需要がこれから伸びると須藤さんは見込んでいます。「2023~2024年に地方移住・ビジネスをするなら館山市一択!」と力強く語ります。

自身が事業継承する形で館山市に暮らしていることから、「自分が一から起業をするとしたら」という視点から、「東京とは違うベクトルで働くべき」と話す須藤さん。価値を生み出すうえで東京と館山とで「何が正義か」が異なるため、それを加味したうえで事業展開をしていく必要があるようです。

●講師 牟田 健登さん(株式会社クルージズ・テクノロジーズ 代表取締役)

奈良県に生まれ、東京で育った牟田さんは、2021年2月に館山市に移住してきました。「クルージズ・テクノロジーズ」は、人や企業の夢やビジョンというゴールまでの航海(=Cruises)、それをテクノロジーの力を使って再現性があり、簡便な方法で支援する(=Technologies)ということに由来します。100社以上の人事コンサルティングを経験し、中小企業の経営者のビジョン達成に寄り添う存在として活躍しています。「AIを活用した人事評価や、給与に反映するだけでない人事評価を、館山から世界中に拡げていきたい」と語ります。

館山市で企業進出した契機となったのは、2019年に千葉県を襲った台風15号。その時に被害に遭ったエリアにお客様がいたのに、なにもできなかったという経験がきっかけになっているとか。また、「起業するうえで、他の人がやらないことを!」と考えた牟田さんは、地方移住を決意したそうです。さらに、「市がまちづくりに本気であること」が決め手になったと語る牟田さん。実際に市の職員さんや地域の方々と交流をする中で、「このまちに貢献したい」と強く感じたそうです。

その地域のためだけに起業をするだけではないが、地域で仕事がしたいという方に非常に興味深いお話が伺えるのではないでしょうか。

●講師 永森 昌志さん(合同会社AWATHIRD代表)

永森さんは、行政の地方事業を請け負いながら、自主事業では様々な角度で地域をとらえて企画を実施しています。「空き家」「獣害」「観光」などの視点から地域課題を洗い出し、ネガティブな要素をポジティブの種に転換するため、たとえばDIYスキルや狩猟解体スキルと結びつけ、「小屋DIY」や「狩猟ジビエ」といった新たなアクティビティへと昇華させています。

更に、「西岬モビリティプロジェクト」と称し、公共交通とモビリティをつなげるモニターツアーや、コロナ禍で打撃を受けている宿泊施設をワーケーション施設に転換したり、路線バスを活用した貨客混載事業など、地域の課題を新たな価値へと転換させています。

第1回に引き続き個性的な講師の方々が集まりました。早速、館山市におけるビジネスの可能性について伺っていきます。

●限られた地域資源を価値に転換する仕事のつくりかた

永森さん:地域で仕事をつくる際、課題に対して限られた地域資源をどのように掛け算ができるかを考えることが重要です。逆に言えば、地域課題の解決にあたる際、どうしても地域資源は限られてくるわけですが、その限られた資源の中でも、東京などではさほど注目されないようなスキルが、地方では大きな価値になることもあるんです。

東京で自分の持つスキルが発揮できなくても、地方では大活躍できるというケースは多々あります。僕が「移住ツアーのプログラムを作る」という業務に携わった際、いわゆる旅行代理店的なスキルはありませんでしたが、企画プランニングのスキルはあったので、それが活用できました。つまり地方では自分の持つスキルが思いもよらない形で仕事になることもあるということですね。

●企画から生まれる地方創生の萌芽

須藤さん:自分の企画で何かが変わったというのは少しおこがましい気がするのですが…でも、私の企画した「生シェイク祭り」をきっかけに館山市に移住したとか、館山市のことを好きになったとか、そういう声を聞くと嬉しかったですね。

今後、観光よりも「関係人口を増やす」という視点で、「早期退職後に酪農や店舗をやりたいと思っている方」に向けて「生シェイク祭り」を実施していきたいと思っています。

●館山市で新たなビジネスをするうえで気をつけること

牟田さん:地域住民からお金を取る、というモデルよりも外の地域からお金を稼いで外貨を地域に流入させることで地域を盛り上げていくことが重要だと思います。私は東京、神奈川、埼玉、千葉県の館山市外のクライアントがメインで、そうしたところからいただいたお金を地域に還元していくことをこの頃意識をしています。もちろん地域の方から求められたら力になるつもりですが、やはり外側から地域を盛り上げるという立ち位置も必要なのではないかなと。

須藤さん:自分は「何が正義か?」を考えるようにしています。東京で価値を生み出すうえでの正義と館山市での正義は全く違います。地域で価値を生み出すうえで館山市ならではの正義は何かを考えることも重要ですが、リスクヘッジとして、東京での正義と館山での正義を使い分けられたらベストですね。

他にも、市内・市外の人とのつながり方や味方の作り方など、地方でビジネス展開するうえでのリアルな悩みやポイントについて、館山市で活躍する皆さんによる貴重なお話がたくさん!以下の配信動画もチェックしてみてくださいね。

アーカイブ動画:https://www.facebook.com/turns.fan/videos/562380785308519

                   

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