「花と海の街 館山市で学ぶ地方創生×ビジネスセミナー」レポート
第1回「館山市における持続可能なまちづくり」

2022年12月22日(木)・23日(金)に実施された、「花と海の街 館山市で学ぶ地方創生×ビジネスセミナー」。移住者でありながら、館山で様々なビジネスを手掛ける方々をそれぞれゲストに迎え、館山市の現状・課題・ビジネスチャンス・まちづくり等に関するお話しを伺っていきます。第1回は、「館山市における持続可能なまちづくり」をテーマにトークを展開します。

●館山市の魅力と課題

まずは、主催する森正一館山市長からご挨拶。館山市では、企業進出・サテライトオフィス展開の促進を図るため、ホテルファミリーオ館山の施設改修を通したサテライトオフィス整備に取り組んでいます。館山市におけるアドバンテージやポテンシャルとして、都心からのアクセス性や恵まれた自然環境、一年を通じて収穫される豊富な農水産物、多様なアクティビティなどを挙げていただきました。「このビジネスセミナーを通して、館山市における持続可能なまちづくり、市の現状や課題、館山市におけるビジネスチャンスを学び取っていただければ」との話がありました。

続いて「今回のビジネスセミナーを通して、さらに一人でも多くの皆さまに館山市の魅力を伝えるきっかけにしたい。サテライトオフィス環境整備と館山の活性化に向けて、力を入れて皆さまとともに取り組んでいきたいと考えています。」と話すのは、同じく主催の東日本旅客鉄道(株) 中川晴美執行役員千葉支社長。

「館山市には様々な魅力がある一方で、過度な人口減少の抑制、生活の利便性やまちの活力向上、安全・安心な環境づくりなど、様々な課題があります。館山市では、”笑顔あふれる 自然豊かな「あったか ふるさと」館山”を将来都市像として掲げ、人と人とのふれあいや自然と人とのふれあいを重ねることで、いきいきとした笑顔と活気であふれるまちづくりに2016年から取り組んでいます。」と、館山市雇用商工課 嶋津彰一課長から館山市の概要について伺いました。

では、館山市の魅力や課題に対して、どのように講師の方々はアプローチしているのでしょうか。詳しくお話を伺っていきます。

●講師 漆原 秀さん(株式会社館山家守舎 共同代表) 

漆原さんは、大阪府生まれ埼玉県育ち、2016年に館山市に移住し、不動産賃貸業、宿泊業や飲食業、コンサルティング業など5つの事業主体、9つの施設運営と幅広く活躍しています。年間完全休日はなんと5日間と、信じられないほどエネルギッシュに活動しています。

最近では2021年にリノベーションまちづくり事業のリノベーションスクールで出会った6名のメンバーと館山家守舎を設立。館山駅前に元デパートだった築55年の施設をパブリックスペースやショップ「sPARK tateyama」としてオープン。飲食店やコワーキングスペースなどの複合施設となっており、多くの賑わいを作っています。リノベーションまちづくり事業の中で2022年現在、28店舗が新たに開業するなど、「新店ラッシュ」と語る漆原さん。

●講師 大田 聡 さん(TATEYAMA BREWING株式会社 代表取締役)

大田さんは東京都育ち。建築設計事務所で経験を積み、建築設計事務所「office OTA.」を設立。仕事に取り組む中で空き家問題について知り、空き家の活用方法の勉強会「AKIYA STOCK」で活躍。その後、ご縁があり館山市の地域おこし協力隊でリノベーションまちづくりを推進。空き家活用を推進していく中、自身も館山市で空き家となっているビルを一棟購入し、複合施設「TAIL(Tateyama Area Incubation Lab)」を設立。

TAILは、「WORK×STAY×HOBBY」の要素で構成されており、1階には自身が楽しんで続けられそうな仕事として、蒸留酒の製造を行う「TATEYAMA BREWING」を設立し、主にクラフトジンの製造・お酒に関わるワークショップの企画を行っています。建築士というバックボーンからお酒造りにまで活躍の領域を拡げています。

さらに、これからはフルーツソースの企画も取り組みたいと話す大田さん。「館山市には一芸に秀でた面白い人が集まり、面白いものが生まれている。そういった人やモノを正しく編集すれば一流のモノを生み出すことができる土壌である」との思いから、地域のシェフや農家さん、クリエイターたちを巻き込んで一流のプロダクト作りを目指しています。

館山は周囲の町から仕事をし、人が集まってくる場所であることから、「仕事を生み出し続けること」が館山における持続可能なまちづくりであると語ります。

●講師 北村 亘さん(館山市地域おこし協力隊/LAC館山 コミュニティマネージャー)

北村さんは埼玉県所沢市出身。名古屋や東京で勤務したのち、震災をきっかけに東京と館山市で二拠点生活をスタート。2021年から館山市地域おこし協力隊として、ワーケーション推進事業に携わる一方、自然豊かな館山の魅力を伝えるべく、貸別荘「k’s Village平砂浦ハウス」を運営しています。

また、市内のワーケーション拠点「LivingAnywhere Commons 館山」のコミュニティマネージャーも務めており、「館山市を全国No1のワーケーション拠点にすること」をミッションに掲げ、LAC館山を起点としたコミュニティ創造と、社会課題に関連した地域活動に取り組んでいます。

2023年度に地域おこし協力隊の最終年度を迎える北村さん。「コミュニケーションの進化系として、LACユーザーと館山市内のプレーヤーを繋ぐ機能を強化すること、社会課題と企業連携のため「館山市公認プロモーター※」の役割を担うような活動することを目指しています。
※現状館山市では「公認プロモーター」の制度はありません

●館山市における持続可能なまちづくり

今回はまちづくりに重点を置いて3名にお話を伺っていきます。まずは、「まちづくりの定義とは何か?」という問いから考えていきます。

漆原さん:実は、まちづくりをしている実感はあまりなくて。大家としての活動を通してコミュニティの楽しさを知り、それが館山市全体に広がっていったらいいなと思っています。だから、まちづくりはそれを目的にするのではなく、好きな人や好きなものが集まっている土地で暮らしを作り、それが波及していった結果「まちづくり」に繋がるのはないでしょうか。

大田さん:僕は、「人がそこに住む理由」ができることが、まちづくりに繋がっていくのではと考えています。魅力的な仕事や取組みがあって、外の人がそれを見て、そのまちでやりたいことを見つけるとか、自分の居場所となる理由を見つけた人が定住していく。それを後押しするのがまちづくりなのではないかなと。だから、新しいことをどんどんやっていることには意味があると感じています。

●循環の中で成長させ、利益を生み出す

漆原さん:僕がもともと立ち食いそば屋をやっていた店舗もあるのですが、コロナ禍等の外的要因もあって一旦休業としました。そして今その店舗は地域の別の仲間達が居抜きで「猪まぜそば」をやっています。新しく担う人が現れ出していて面白いです。次の世代にある意味で事業を継承することができたのかなと思います。今は他にも赤字の事業を抱えています。利益を追及することも大切ですが、そういった循環の中で喜びを見出して、それが総体として最終的に利益に繋がっていけば、と思っています。

●自分の好きなことでつながるコミュニティづくり

北村さん:僕はもともとマリンスポーツが好きで、潮の関係か、館山市は水がめちゃくちゃ綺麗でウミガメが見えたりするんですよ。それに加えて山と海が近くて与えてくれる自然の恵みが物凄いなと思って住み始めました。地域おこし協力隊として、自分が惚れ込んだ土地を誰かに紹介したい、という思いが根底にあります。僕は空き家やリノベーションという観点のほかにも、スポーツを通じてワーケーションを普及させたいという思いや、館山の自然の魅力を伝えたいという思いがあって、そのために自分の趣味からアプローチしたいと考えています。僕の趣味はサーフィンなのですが、サーフィンは時間のメリハリが利く為、ワーケーションとの相性が良いと思います。LAC館山では、「よこのりクラブ」などの趣味を通じたコミュニティ形成が出来つつあり、拠点間を同一の趣味を持つ面々が行き来しています。趣味を通じたまちのコミュニティの中で、日々刺激を受けながら生活する…そんな形で人との繋がりからまちづくりに寄与できたらいいですね。

さらに、地域コミュニティへの入り込み方や、リノベーションまちづくりを推進する上で魅力的な物件とどのように出会ったのか、子育てにおける地域教育の魅力、館山市に移住するうえで必ず知っておくべきことなど、館山市で活躍する皆さんによる貴重なお話がたくさん!以下の配信動画もチェックしてみてくださいね。

アーカイブ動画:https://www.facebook.com/turns.fan/videos/717338306253175

第2回へ続く

 

                   

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