塗装ひと塗りひと塗りに、
沖縄観光への思いをこめて

沖縄Work Style 未来を担う観光人材 05

比嘉さんが航空産業に憧れを抱いたのは、幼少期にまでさかのぼる。その夢は大きくなっても変わらず、高校卒業後に航空機整備会社のMRO Japanへ入社。飛行機の塗装整備を担当し、空港に降り立つ観光客の目を楽しませている。

＜Profile＞
MRO Japan株式会社
塗装整備部塗装整備課
比嘉良親（ひがよしちか）さん　24歳（2017年入社、新卒採用）

＜勤務先紹介＞
航空機の整備及び修理などを専門とする日本唯一の事業者。2015年、国内の航空機製造関連企業と、沖縄県の企業の出資により設立された。航空機の定期的な整備や改修、塗装など幅広い領域に対応しており、2024年より、航空会社がリース機を返却する際の整備にも携わっている。https://www.mrojpn.co.jp/

「飛行機に施された特別塗装に一気に引きこまれた」

「幼少期、空港から飛び立つ飛行機を真下から眺める機会があり、そのダイナミックな姿に深い感動を覚えました。それ以来、漠然と飛行機に携わる仕事への憧れが芽生えたんです。この業界に飛びこむ決め手になったのは、高校時代に担任教諭からMRO Japanのパンフレットを手渡されたときでしたね」

そう話すのは、MRO Japanの比嘉良親さん。社名にある「MRO」とは、Maintenance（整備）、Repair（修理）、Overhaul（オーバーホール）の略で、文字通り航空機の整備や修理が事業の柱になっている。比嘉さんはMRO Japanの塗装整備部に在籍し、飛行機の塗装整備に日々励んでいる。

「航空機整備が自分の夢に一番近い仕事でした。塗装整備の仕事はMRO Japanのパンフレットで知ったのですが、未知の世界が拓かれるとはまさにこのこと。とりわけ、映画やゲームのキャラクターを配した特別塗装を知ったときの衝撃は大きく、これが人の手によって描かれているのか……と、一気に引き込まれました」

航空機の塗装業務は、基本的にすべて手作業で行われる。一機を塗装するのに14日間ほどかかるため、技術はもちろんのこと、精度を保つための集中力も不可欠だ。真夏の業務ともなると、それらの要素に加えて体力も求められる。作業ドックの室温が30℃以上にもなり、作業服を脱いだら全身汗みずくだ。しかし、「この手間があるからこそ、ひと仕事終えたときの達成感がある」と、比嘉さんは顔をほころばせる。

情熱×コミュニケーション×チームワークで突き進む

MRO Japanにはさまざまな職種のプロフェッショナルが集結しており、それぞれが支え合いながら「業務遂行」というゴールを目指す。その姿勢をよく表しているのが、社が掲げるスローガン「情熱×コミュニケーション×チームワーク」である。

「業務上の悩みも気軽に相談できる環境です。上司から厳しく指導をされることもありますが、航空機整備はそれだけ責任が伴うもの。情熱のこもった叱咤激励の言葉だと受けとめています。こうした他者に寄り添うスタンスや社員間の信頼関係がMRO Japanの魅力だと思います」

比嘉さんには、先輩との忘れられないエピソードがある。それは入社後しばらくして、はじめてひとりで塗装業務を任されたときのことだった。

「先輩に作業の確認をお願いしたところ『いい仕事だ！』と、太鼓判を押していただきました。その瞬間、思わずガッツポーズ！心から尊敬する先輩だったので、言葉では言い表せないくらいの喜びでした。なかなか塗装業務に携わる機会がなかったこともあり、感動もひとしおです」

「お客さまの喜ぶ姿を見ると、こちらまで嬉しくなる」

インターネットやSNSが発達したいま、飛行機の特別塗装が話題を集めることも少なくない。こうした世間の反響が比嘉さんのモチベーションアップにつながっている。

「お客さまが飛行機の塗装に感動している姿を見ると、こちらまで嬉しくなります。観光産業はさまざまな業種から成り立っており、航空産業とも一続きです。真心をこめた整備で、沖縄観光のさらなる発展を後押しすることが私たちMRO Japanの目標。地域社会とともに成長を重ね、アジアを代表する航空機整備会社としての地位を築いていきたいです」

飛行機の整備に関わる比嘉さんもまた、沖縄観光を支えるひとり。比嘉さんが塗装を手がけた飛行機は、今日も多くの観光客を乗せて空港を飛び立っていく。