水とおどり、にとどまらない郡上八幡
岐阜県のほぼ中心。山に囲われた盆地に広がる小さな城下町、郡上八幡。
400年以上の歴史を持ち、お盆の4日間は徹夜でおどり明かす日本三代盆踊りのひとつ「郡上おどり」。
そして、名水百選に指定されている宗祇水やアユが有名な清流長良川が象徴する豊かな「水」。
全国的にも有名な2つの資源から「水とおどりのまち」として広く知られており、遠方から足繁く通う踊りファンや釣りキチが数多くいます。
でも、このまちの魅力はそれだけではありません。
1000軒を超える町家がひしめき合うように建ち並ぶ風情ある町並みは四季折々どこを撮っても絵になり、常連が集う老舗から洒落た新規店まで、新旧混在する商店街はどの店もこだわり(=クセ)が強くリピートせずにはいられなくなります。
郡上市の中心地でもあることから、市内外から食や工芸品、なによりおもしろい人たちが集まる都会的な場所にもなっており、文化の発信地としての役割も担っています。
クラフトのビール、ジンにアブサン、藍染や木工、食品サンプルなどものづくりも他に類のないほど盛んな地域です。
それにあれと、これと、あ、あれも、でもこれも捨てがたい…。
挙げればキリがありませんが、わかりやすいものから、この地に暮らし掘り起こしていくことでやっと見えてくる隠れた魅力まで層厚く存在している、一度ハマるとなかなか抜け出せないまちです。
令和元年オープン 拠点施設『郡上八幡 町屋敷越前屋』
魅力多き郡上八幡。その目抜き通りである新町通りに令和元年11月にオープンした「郡上八幡 町屋敷越前屋」。
明治初期に建てられたとされ、国登録有形文化財にも指定されている町家を郡上市が約1年かけて大改修し、まちづくりの拠点施設として整備しました。
玄関の格子戸を開けると、すぐに天高い吹き抜けが印象的な広い表土間があり、表土間を抜けた先には中庭と土蔵が2棟。
延床面積は約380㎡に及び、郡上八幡の中でもかなり大きい部類に入る町家となっています。
オープン当初から多くの方々に活用され、さまざまな催しが企画、開催されてきました。
蔵をつかった下駄づくりワークショップやボードゲーム体験、古本市や中庭での子どもの遊び場。
和をコンセプトにしたお茶会や着付のショー。中庭に設置されているカフェスタンドでのマルシェ。
地元の方たちが定期開催している連句会や子ども向けの郡上節教室の会場などにも使ってもらっています。
越前屋が目指す「まちのよりどころ」
オープン当初より越前屋はまちの“よりどころ”となることを目指し、企画運営に取り組んできました。
よりどころには “拠り所” と “寄り所” の2つの意味が込められています。
自分たちの取り組みをまちの人たちに発信したい、まだないまちの新しい魅力をつくるチャレンジをしたい。そんな思いを持った人たちにとっての拠り所になる。これが1つ。
そして、まちの方たちが散歩ついでや、当て所なくふらっと寄ってくれる、日常的な寄り所であること。これが2つ目です。
この2つのよりどころとなるためには、まちのことをよく知り、まちの人たちとよく話し、そしてまちの人たちの要望をよく聞くことが大事になってきます。
展示やイベントには、まちの人たちが持ち込んでくれるものと、自主的に企画開催するものとのがあります。
その両方のバランスをうまく取りながら、まちの困り事や悩みを解決したり、まちの方たちのアイデアを掛け合わせて新しい企画を起こしたりすることで、まちとの関わりを深めていく。
そうすることで、まちづくりの拠点施設としての越前屋が育っていき、言葉通りのよりどころに近づいていくのでしょう。
“まちをたのしみ、まちをたのしく” しませんか?
オープンから1年が経ち、越前屋も少しずつまちに馴染んできたようです。
まちの多くの人たちに認識し始められ、新しいことに取り組みたい想いを持った人たちが当初よりも集まるようになってきました。コロナの影響で制約も多く難しい時期をむかえていますが、その中でも常に新しいことを意識して企画を積み重ねてきたことが実を結んでいるのかもしれません。
越前屋はこれからが成長期。いろんなことにチャレンジできる一番面白い、やりがいのある時期に差し掛かっています。
越前屋の仕事は、簡潔に言うと
「まちのあらゆるモノ・コトを知ること、
まちにいるさまざまな人たちと関わることをたのしみ、
そしてまちのモノ・コト・ヒトを混ぜ合わせて住む人たちの“たのしい”をつくる」
ことだと言えます。
郡上八幡が好きな方はもちろん、人と関わることが好きな方や舞台の裏側をつくることが好きな “仕掛人=Producer” 気質な人が向いている仕事場かもしれません。
末筆にはなりますが、郡上八幡は実際に暮らし、働き、もしハマったら、どうしようもないほどすてきなまちです。
もちろんまちに関わる仕事をするということは大変なことも多く苦労はつきものですが、暮せば暮らす程、このまちの魅力が身に染みてくることでしょう。
たのしいまちにはそのたのしさをつくっている人たちが必ずいる。
あなたも “たのしい” をつくる側になってみませんか?
それがあなたのたのしみにも、きっとなるはずです。
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