京都を拠点とするKEIJI一級建築士事務所は2022年、世界自然遺産である屋久島に支店を開設しました。屋久島では空港の滑走路延伸が計画されており、東京との直行便就航によって観光客や移住者の増加が期待されています。この将来性豊かな新しいフィールドで、住宅の設計と施工に携わるスタッフを募集しています。同時に京都本社でも人材を募っています!
募集職種
①設計士・設計アシスタント
注文住宅のプランの企画・設計、現場監理のほか、来客対応、建築確認申請、見積り作成、土地探し、資金計画、構造計算、発注、引き渡し後のアフターフォローなど幅広い業務を通じて、お客さまの夢の家づくりを総合的にサポートします。
②大工
自社物件での木工事(ボード張り、建て方、建具・家具製作などの現場作業)を担当し、お客さまの理想の住まいをカタチにします。
同社の取り組みや屋久島での暮らしについて、同社代表の小杉 新さんと屋久島支社で設計アシスタントを務める田脇みどりさんに詳しくお話を伺いました。
設計から施工まで、お客さまに寄り添う家づくり
京都と滋賀を中心に注文住宅を手がけるKEIJIの誕生は1997年。小杉さんが10代から大工として働く中で感じてきた「設計者とお客さまが直接対話してこそ、理想の住まいを実現できる」いう思いが事業の背景にあります。
KEIJI代表の小杉 新さん
「営業担当者を介さず、設計者がお客さまと直接打ち合わせを行い、施工現場にも伴走することで、お客さまの理想を現実に近づけることができます。そのため当社では設計士が打ち合わせから設計、見積もり作成、材料発注、現場監理、アフターメンテナンスまでワンストップで担当します。多くの方にとって住まいは一生に一度の買い物です。お客さまに正しい知識を知っていただいた上で、設計も施工も最後まで責任を持って取り組みます」
社内には設計士と設計アシスタント、大工が在籍し、チームで住まいづくりに取り組んでいます。小杉さんが話すように設計士は施工現場でも経験を積むため、成長スピードが速いことが特徴です。
「構造はもちろん、細かい納まりや各種建材、断熱材などを理解しているからこそ、細部まで質の高い住まいづくりが実現します。とはいえ、スタッフ全員が最初からできたわけではなく、現場で学びながら成長してきました。設計士は現場を経験するほど自信がつくし、お客さまとより内容の濃い打ち合わせができるようになります」
現在も現役の棟梁として京都、滋賀、屋久島で現場に立つ
小杉さんはKEIJIの雰囲気を「志が高い人が多く、活気がある」と話します。
「全員が、この仕事に誇りと自信を持っていると感じます。KEIJIがつくる住まいによって夏も冬も快適に過ごせたり、家事がスムーズになったり、少ないメンテナンスで長く安心して暮らせたりと、住まいを通じて人を幸せにしたいという思いが全員の根底にあると思います」
ハードな気候風土の屋久島で、高性能の家をつくる
屋久島に支店を開設したきっかけは、小杉さんの趣味であるダイビングでした。数年前から屋久島の海に魅せられて足しげく通う中で知ったのが、本土とはまったく異なる住宅事情だったのです。
「屋久島は大型台風がしばしば直撃し、年間降水量も多いため耐久性の高い建築が求められます。しかし、そうした環境に適した技術で建てられていない住宅が多く、雨漏りや破損の修復工事も頻繁に行われています。断熱性能の基準も十分とは言えません。そして大きな課題が、離島ゆえに建築資材の安定供給が難しいこと。また業者間の競争がないため、資材や工賃が高額であることも問題だと感じました」
島の9割が森林に覆われる屋久島
屋久島に通ううちに現地に友人も増え、この土地に特別な思いを抱いていた小杉さんは「KEIJIの技術で地元の人たちに貢献できないだろうか」と考えるようになり、屋久島支社の設立を決断します。
最初に着手したのは、宿泊できるコンセプトハウス「KeiU(ケーウ)」の建設でした。京都で培ったノウハウを活かし、高機能断熱材や樹脂サッシを採用して断熱性を確保。高温多湿の屋久島でも、エアコン1台で室内を快適に保てる空間を実現しました。雨風に弱いため離島で採用事例が少ない太陽光パネルも独自の技術で設置。蓄電システムと併用することで、自然災害時の停電に備えています。もちろんデザイン性も重視。台風被害が大きい屋久島では暴風で軒がめくれ上がってしまうため軒のない平屋建てが主流ですが、「KeiU」は大きな窓や庇、高い天井を実現しています。
コンセプトハウス「KeiU(ケーウ)」
意外なことに、屋久島だからといって特別な仕様にしている部分は基本的にないそうです。
「当社が京都で積み重ねてきた設計・施工の技術を正しく実践することで、屋久島の環境にも十分対応する住宅をつくることができます」
一方で、「ここでしか建てられない家を建てる」という同社のコンセプトにも基づき、屋久島ならではの素晴らしい自然環境を活かす住まいづくりに取り組んでいます。
「京都では街の景観に寄り添い、住宅街でプライバシーを守る設計を大切にしてきました。環境がまったく違う屋久島では、大自然に融合する建築、自然災害から守る安全性、室内の快適さを重視して設計に取り組んでいます。環境を読み解き、“この場所だからこそ、実現した建物”を目指すという点では、景観条例が厳しい京都の住まいづくりと通底しています」
深い軒でも強風に強く、めくれ上がらない大屋根に
これまでの離島の常識を変える住まいづくりは評判を呼び、徐々に依頼が増えています。それに伴い、屋久島支社の体制を整えるため、新しいスタッフを募集しています。
京都本社と屋久島支社で連携してプロジェクトを進行
現在、屋久島でのプロジェクトも京都本社のスタッフがリモートで設計を担当し、施工も京都のチームが屋久島に渡って工事を行っています。現地に常駐し、お客さまとの打ち合わせや施工監理などを担当しているのが田脇みどりさんです。
屋久島支社の打ち合わせルーム
約20年前、結婚と出産を機に「空気と水がきれいな場所で子育てがしたい」と東京から屋久島へ家族で移住した田脇さん。大学で建築を学んでいたことから、子育てが落ち着いたタイミングでKEIJI屋久島支社に入社しました。建築全般に関することから事務所や所有物件の管理、広報に至るまであらゆる業務を担当しています。
「建築から離れていた期間が長かったため、入社当初は不安がありました。でも、京都本社とオンラインで常時つながっているので、質問も相談も気軽にできて心強いです。設計から施工までオールマイティな知識がつくのは、当社で働く醍醐味だと思いますね。毎日、『今日はこれを学んだ!』という達成感があります。例えば、建物を建てる土地を選ぶ際には敷地の見極めは重要です。大雨時に水が流れ込むリスクはないか、地盤は強そうか、台風の風の当たりやすさや、朝日と夕日の位置、猿が来そうか、どうすれば水を流せるか等…環境と建築の関係性について知識が増えたと思います。これらの知識を日々の業務に活かすことができています」
島でありながら標高1800m以上の山々があることから「洋上アルプス」と呼ばれる屋久島
現役の棟梁でもある小杉さんは自ら屋久島に通って施工に携わることも多く、田脇さんと協力して仕事を進める機会も多いのだそう。
「小杉社長は行動力があり、興味があることはすぐ挑戦する少年のような人です(笑)。でも、スタッフが困ったときはすぐに助けてくれますし、それぞれの良さを引き出すためにいろいろな業務にチャレンジさせてくれます。屋久島町の補助金を活用したコンテナハウスのプロジェクトでは、小屋の設計や資料作成を担当し、社長と一緒にプレゼンした時は本当に楽しかったです」
コンセプトハウス「KeiU」の室内。大自然を望むピクチャーウィンドーを随所にデザイン
ダイナミックな自然と共に暮らす
田脇さんは移住後、古い賃貸住宅で暮らしながら土地を探し、移住8年目にしてやっと希望の土地に出会いました。そして、セルフビルドで自宅を建て、今も少しずつ建設中だとか。山水を引いて家庭菜園で野菜を育て、鶏を飼い、自然の恵みの中で生活。多い時はニワトリを80羽飼って、卵とお肉をいただいていた時もあるのだそう。
夏は海、川、とにかく水遊び。自然の中は最高の遊び場
「屋久島に暮らそうと決めたのは、自然の美しさと同時に圧倒的な厳しさも感じられて、子どもたち、そして家族にとって最高の環境だと思ったからです。手つかずの自然が残る素晴らしい場所ですが、台風に強烈な湿気、陽射し、潮風、シロアリと、人間だけでなく建物にとってもハードな環境です。引き出しの中身がカビだらけになることも雨漏りも、ここでは珍しくありません。けれどKEIJIの高性能の住まいなら、少ないエネルギーで長く快適に暮らすことができます。この仕事を通して、愛する屋久島の人たちに幸せに暮らしてもらうことが私の願いです」
豊かな自然環境を室内に取り込める設計は屋久島ならでは。自身もセルフビルドを経験したからこそ、田脇さんはその可能性をよく知っています。
「屋久島ではほとんどの場所から海か山の景色を眺められるので、大きな窓を設けて壮大な景色を室内に取り込んだり、室内外の境界を曖昧にすることで、開放感あふれる豊かな暮らしを実現できます。夏は高温多湿ですが、風の通り道を考えて設計すれば、敷地によってはエアコン無しで生活することも可能です」
左・田脇さんの自宅の窓からは海が見える/右・透明な川が子どもたちの日常の遊び場
一方で、苦労するのもやはり自然。雨が続いて工事が停滞したり、台風の影響で資材が届かないことも多々あるそうです。地元の業者と連携しながら工事を行うこともありますが、「離島なので、慢性的に業者さんが足りない状況。技術職経験者の方は大歓迎です!」と田脇さん。
子どもたちと海に沈む夕日を眺める
そんな田脇さんに、屋久島で暮らす魅力を聞きました。
「自然が素晴らしくて水も空気もおいしい。周囲に黒潮が流れる屋久島は魚の種類も多く、海産物も抜群です。私は3人の子どもを屋久島で育てましたが、ここで子育てして本当に良かったと思います。全員が顔見知りの小さな学校で、競争や他人と比べる環境も少なく、子どもたちはのびのび育ちました。コミュニティの絆も強く、地域で子どもを見守り育てる環境があります。大自然の中で、家族で小さな幸せを感じながら日々を暮らす、本当の豊かさというものを感じる生活ができるのが、屋久島に暮らす魅力だと思います」
子どもたちが通った小学校。校庭からも雄大な山々を見上げる
こんな人を待っています!
空港の滑走路拡張工事が進み、東京との直行便就航に向けてさまざまなビジネスが生まれようとしている屋久島。住宅や宿泊施設の需要の高まりも予想されます。いち早く事業をスタートし、地域で人気を集めつつあるKEIJIの住宅の仕事は、成長の可能性に満ちています。求める人材について、小杉さんに聞きました。
「『建築が好き』という方に来ていただけると嬉しいですね。正直、本当に良いものをつくろうとしたら就業時間内で終わらないこともあるかもしれません。仕事以外の時間も自然と建築のことを考えたり、参考になるものを見に行ったりすることも必要ですし、好きでなければできない仕事だと思います。設計士の仕事は一級建築士資格が必要ですが、資格がなくてもやる気があればアシスタントから積極的に採用しますし、資格取得のサポートも行います」
KEIJIには設計・施工分野ともに経験豊富なスタッフが在籍しているので、社内で迅速に専門的な助言を得られる環境が整っています。設計職のスタッフも施工に関する深い知識を習得することができます。
さらに屋久島支社のスタッフには、福利厚生としてダイビングセットや船も用意されているそう。プライベートも充実して過ごせます。
「自然と触れ合い、その仕組みを深く理解することで、より魅力的な提案ができると考えています。自然と暮らす喜びを感じられる住まいづくりを、お客さまと一緒に楽しんでほしいですね」
森と海に抱かれた屋久島で、あなたの創造力と建築への情熱を存分に発揮してみませんか? 小杉さんや田脇さんの働き方・生き方に魅力を感じた人は、ぜひお気軽にお問合せください。
取材・文:石井妙子
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都道府県+市町村 鹿児島県熊毛郡屋久島町/京都府京都市伏見区 募集状況 募集中 募集職種 ・設計士
・設計アシスタント
・大工雇用形態 正社員(入社後6ヶ月間試用期間有) 給与 月給 20万円 ~ 30万円(交通費支給あり) 福利厚生 ・雇用保険
・労災保険
・厚生年金
・健康保険仕事内容 ◇設計士・設計アシスタント
・来客対応
・建築プランの企画・設計
・建築確認申請
・見積り
・土地探し、資金計画、構造計算
・発注
・引き渡し後のアフターフォロー
など
◇大工
・自社物件の木工事
・アフターメンテナンス工事
詳細は面接にてお伝えします 。勤務時間 9:00 ~ 18:00 休日休暇 週休2日制
・年間休日117日以上
・ 年末年始休暇
・夏季休暇応募資格 普通自動車運転免許(AT限定可)
<歓迎>
二級建築士歓迎
一級建築士歓迎採用問い合わせ先 有限会社KEIJI
TEL:075-575-1510
メール:jimu@keiji-go.jp備考・その他 家族手当、資格手当(宅地建物取引士、一級建築士、二級建築士)有