宮崎県新富町から学ぶ ”稼ぐ自治体”の魅力
第6回現地視察(3/22-23)レポート

宮崎県新富町に本拠地を置く一般財団法人「こゆ地域づくり推進機構」(以下、「こゆ財団」と記載)と、“これからの地域との繋がり方”をコンセプトにしたローカルライフマガジン「TURNS」が実施する、企業と一緒にめぐる “新富町フィールドワーク” 第6回目が開催されました。

今回一緒に新富町を訪れたメンバーは、様々な地域とタッグを組んだ映画づくりをプロデュースする株式会社映画24区代表の三谷一夫さんと、鹿児島県南大隅町で地域おこし協力隊として活動し、退任後も様々な地域と映像制作を行なっている山下大裕さんです。

お二人と共に見た新富町の魅力や、新富町×映画づくりの可能性についてご紹介します!

《メンバー》

▼視察メンバー
三谷一夫さん/株式会社 映画24区 代表
山下大裕さん/南大隅町 地域おこし協力隊OB・映画監督

堀口正裕/TURNSプロデューサー

▼現地案内人
甲斐隆児さん/一般財団法人こゆ地域づくり推進機構

 

1日目

ユニット『あんてな』の地域動画

まず最初に訪れたのは、新富町にある「こゆ財団」のオフィスです。ここで、エンターテイメントにおける新富町のプロジェクトについてお話を聞きました。


ご紹介してくれたのは、「アート」を中心に地域おこし協力隊として活動を行う甲斐隆児さん。

宮崎には、県内で活動する役者や表現者にスポットを当て作品を創るユニット『あんてな』がいます。まず最初に、彼らが新富町で制作した動画を見せていただきました。

作品に登場する人物は全て新富町民。学生から大人まで世代を超えた様々な人が登場したこの動画は、新富にある美しい景色や地域資源、日常生活の何気ない瞬間を捉えた作品です。日々のふとした瞬間に感じる疑問や葛藤も表現されています。

※ユニット『あんてな』とは
2010年に本田誠人と本田泉が立ち上げた、宮崎で活動する役者や表現者にスポットを当て作品を創るプロデュースユニット。子どもから大人まで楽しめる作品をモットーに数多くの舞台を製作している。2015年からは宮崎県の小中学校を巡る学校公演を行い、お芝居の魅力はもちろんのこと、表現力やコミュニケーション能力を高めるワークショップにも力を入れている。現在は舞台の他にもCMや映画のキャスティング、子ども向けのイベント企画やプロデュースなど幅広く活動している。

Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCp8ywDW0Ikc8cq2j8Dbu7gw/featured

 

いくつか作品を拝見させていただいた中で、町民や行政職員などが一体となって「クリエイティブ」「アート」の力で新富町を盛り上げようとする想いがあることが伝わってきました。

映像の分野でも勢いづく新富町の魅力に触れるため、早速町内の現場へと足を運ぶことにしました。

 

『カフェレストラン Hatsune』でランチ

昼食は、海沿いにある『カフェレストラン Hatsune』で頂きました。ここは、民宿の1階をリノベーションしたカフェで、全国でも希少なアカウミガメの産卵地である富田浜のすぐ側にあります。


2階は、宿泊施設になっており、団体の合宿先として利用されることもあるそうです。

元は民宿ですが、中に入ると“ハワイ”の雰囲気を感じさせるおしゃれな空間が広がっていました。この日は生憎の雨でしたが、外の景色を眺めながらゆったりとした気持ちで昼食をとることができました。

食事はビュッフェ形式です。地元の新鮮な食材をふんだんに使った惣菜やサラダ、パスタ、ピザ、カレーやたこ焼きなど、大人も子どもも楽しめるメニューが豊富で、視察メンバーの会話も弾みました。

美味しい昼食と店員さんの明るい笑顔を後にし、次の場所へと向かいました。

 

町内視察

<湖水ヶ池公園>
一面の蓮が広がる湖水ヶ池公園。3月下旬のこの時期、水はひいてますが、蓮の下には新富町の名物である「糸引き蓮根」が豊富になっています。「糸引き蓮根」はこの池だけでしか収穫されない稀少な蓮根で、強い粘りと柔らかい食感が特徴であり、ほぼ地元の人たちで消費されているそうです。

近くには、神楽も行われるという水沼神社があります。それゆえ、湖水ヶ池公園も“御神体”なのだとか。
湖になる一面の蓮を見ているとなんとも不思議な気持ちになります。

「ここは、季節によって見える景色が変わるんです」と話す甲斐さん。甲斐さんが主導となって開催された『新富芸術祭』では、この湖水ヶ池公園が舞台となりました。

また、もう少し歩くと2022年の1月まで開催されていた『新富芸術祭』の作品があります。水沼神社とその“御神体”である湖水ヶ池公園に相応しい、「龍」の作品です。

新富の木々から創られたこの作品に、大きなパワーを頂いて次の場所へと向かいました。

<新富町文化会館>
『新富芸術祭』のオープニングとクロージングも開かれたという『新富町文化会館』にやってきました。映画上映や町民によるミュージカル、ライブ、コンサートなど、様々な文化・芸術・エンターテイメントの拠点となっています。

大ホールは、椅子を並べると100名は入るほどの大きなスペースです。

子供から大人まで、幅広い世代に愛されているまちの文化会館でした。

<総合交流センター『きらり』>
新富町図書館が入っている総合交流センター『きらり』。中には、図書館スペースがあり、奥へ進むと書籍だけではなく古墳や埴輪の展示物が並べてあります。新富町には新田原古墳があり、縄文時代から弥生時代における多くの埴輪が出土されているのです。

なかなか触れる機会の少ない古代の歴史に、メンバー全員が釘付けとなりました。

図書館を出ると、移住者が開くカフェ『Cafe Kiitos』があります。ここでチーズケーキと温かいコーヒーを頂いて、ひと休憩。

『Cafe Kiitos』では、ドリンクやサンドイッチなどの軽食のほか、町内の工房で焼き上げる天然酵母ベーグルや焼き菓子などのメニューを販売しています。
地域の食材を使用した、手作りで体に優しいヘルシーフードなのが魅力です。味もとっても美味しいです!

 

2日目

ひなた写真館

2日目の最初に訪れたのは『ひなた写真館』。地域おこし協力隊の“中山マーシー”こと、中山雄太さんが起業して開いた写真館です。ドアを開くと愛猫のみかんがお出迎え♪

写真や映像は独学で技術を身につけたという中山さん。撮影への想いやこれからのビジョン、協力隊の活動をしながら見えてきた課題など、様々なお話を伺いました。

「新富町にきたばかりの頃は、できるだけ多くの飲み会に顔を出しました。そこで顔を覚えてもらって“写真といえばマーシー!”と覚えてもらうことができた。今は、写真の他にもやりたいことがたくさんあるんです。新富町にはずっと発見と学びがある。この街にいると幸せだなと感じます」と笑顔で話す中山さん。

甲斐さんと一緒にご案内して頂いた有賀沙樹さんは「マーシーの写真館を中心に、ここの通りをもっと賑やかにしていきたい。みんなが集まれるコワーキングスペースや防音付きのスタジオがあっても良いと思っています」と、新しい事業に意欲的です。

“まちの写真館”を中心に若者が集まり、新富町ではこれからも新しいチャレンジ広がっていきます。

 

おにぎり宮本

最後に訪れたのは、ふっくら有機米のおにぎり専門店『おにぎり宮本』です。ここは元トラックステーションだった場所をチャレンジショップとして改装して出来上がったお店です。
『おにぎり宮本』のお米は、安全な農作物を届けたいという思いから有機JASを取得し出来上がったもの。おにぎりはもちろんのこと、有機野菜がたっぷりと入った豚汁も絶品でした!

 

ここで昼食を取りながら、2日間の振り返りをしました。

 

「映画」をテーマに、新富町でできることとは。

 

「まだ日の目を見ていない俳優はたくさんいますが、そうした俳優たちが新富町の地域おこし協力隊となり、地域の人との関係性を構築しながら映画人を目指していく仕組みがあると、様々な可能性が広がると思いました」(三谷一夫さん)

「今東京で暮らしている俳優の方々に、まずは1泊2日でもよいので新富町に来てもらいたいですね。来てもらって、まずは地域の人と交流して頂き、チャレンジのハードルが低いことを実感して欲しいです」(高橋邦男さん)

「やっぱり、実際に訪れてみないと分からないことがまだまだ沢山ありますね。中山さんのように独学で映像を学ばれて、かつそれを仕事にしているのはすごいことですし、他にも新富町にはクリエイティブな機運が高まっているなと感じました」(山下大裕さん)

「新富町は本当に面白いまちですよ。“世界一チャレンジしやすい町”の通り、映画人にとっても様々なことに挑戦できるフィールドが整っていると思います。高橋さんのおっしゃる通り、ぜひ一度俳優の方にも新富町に来てもらって、クリエイティブでどんな挑戦ができるのか試してもらいたいですね」(堀口正裕さん)

 

いま新富町では、文化・芸術・エンターテイメント・写真・映像など、様々なクリエイティブの芽が咲き始めています。若者を中心に立ち上がる新しい新富町の取り組みに、ますます目が離せません。

TURNSでも新富町のチャレンジングな取り組みを、これからも共に応援していきます!

 

                   

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