2024年11月14(木)~15日(金)にかけて、『群馬県ワーケーションツアー2024 みどり市編』が開催されました。今回のツアーテーマは“気軽に非日常を体験!”。
東京から乗り換えなしの約2時間(東武鉄道特急りょうもう号「浅草駅-赤城駅」)でアクセスできる群馬県みどり市を巡り、1日目は老舗商店などが建ち並ぶまち歩き、2日目は林業が盛んな東町エリアで間伐とエッセンシャルオイル作りを体験しました。
この記事では、2日間のツアーの様子レポートしながら、みどり市のおすすめスポットをたっぷりとご紹介します!
\ツアーコーディネーターはこの方!/
【みどり市 地域コンシェルジュ】
宍倉淳一さん|みどり市地域おこし協力隊
神奈川県横浜市出身。約20年間婦人服小売業を営み、その後移住先を探す中でみどり市と運命の出会いを果たす。2023年3月に地域おこし協力隊として着任。2024年4月から観光案内や、移住相談の受付を行う「観光・移住交流ステーション」において、移住定住対策に関する活動を行い、女性や若者がやりたい事をでき、輝ける「場」づくりを目指す。
「チャレンジする人のハードルを下げるために」と、空き店舗を活用した貸しスペース『ななし』をオープンした。
\宍倉淳一さん Instagram/
https://www.instagram.com/junich.s
【1日目】まち歩き&高津戸峡散策
近藤酒造株式会社
東京から約2時間。東武鉄道・赤城駅に集合した参加者は、最初の目的地である『近藤酒造』へ。近藤酒造は明治8年(1875年)の創業以来約150年もの間、地元の銘酒『赤城山』を造り続けている老舗酒蔵です。
この日は、6代目蔵元の近藤雄一郎社長が酒蔵を案内してくださいました。
近藤さん「近藤酒造では名峰・赤城山の伏流水を仕込み水として用い、辛口一筋にこだわり酒造りを行っています。スッキリとした飲み口で、和洋中どんな食事に合わせやすいのが特徴です」
近年、近藤酒造が新たな挑戦として取り入れたのが「吟醸もろみ上槽システム」を用いた酒造り。通常はもろみに圧力をかけることで酒と酒粕を絞り分けますが、1分間に3000回転する遠心分離システムを使って振り分けることで素材本来が持つ香りと甘みをよりクリアに引き出すことができるのだそう。遠心分離システムを使って造られた日本酒は、限定醸造酒として小売店やオンラインショップのほか、全国の百貨店などで開催されている直販イベントで販売されています。
地域連携の清酒「赤城山 純米吟醸『山紫』」。ラベルは、みどり市出身の詩画作家・星野富弘さんの作品
また、みどり市の遊休農地を活用して作られた酒米を用いた「赤城山 純米吟醸『山紫』」など、地域振興につながる酒造りに取り組んでいるのも近藤酒造の魅力の一つ。
この日は搾りたての日本酒のほか、「赤城山 大吟醸」「赤城山 純米吟醸」「赤城山 純米大吟醸【山田錦】」を試飲させていただきました。
「華やかな香りと爽やかな味わいで、とっても飲みやすい!」と参加者
近藤さんはみどり市について「赤城山の伏流水に恵まれ、古くから日本酒や醤油などの発酵文化が受け継がれている地域です。ワーケーションのほか、ヘルスツーリズムや女子旅の目的地としてもお楽しみいただけると思います」と話していました。
■近藤酒造株式会社
住所:〒376-0101 群馬県みどり市大間々町大間々1002
TEL:0277-72-2221
HP:https://akagisan.com
EC:https://akagisan.com/pages/8
※酒蔵見学ツアーは1~3月のみ開催。要事前予約。
双葉食堂
お昼時を迎えた一行は、観光客はもちろん地元住民らも足しげく通うという『双葉食堂』へ。名物のホルモン焼きをいただきました。
さまざまな種類のホルモンが味わえる人気メニュー「マゼ2定食」を堪能
みんなでおいしいご飯を囲み、コーディネーターの宍倉さん(右)との交流を深めた
■双葉食堂
住所:〒376-0101 群馬県みどり市大間々町大間々1146
TEL:0277-72-2660
株式会社岡直三郎商店
お腹を満たした一行は、天明7年(1787年)に近江商人が開業した老舗醤油蔵『岡直三郎商店』へ。小川さんに醤油蔵を案内していただきました。
木樽熟成もろみの、深く香ばしい香り漂う醤油蔵
小川さん「岡直三郎商店では創業以来、原料を木桶でじっくりと熟成させる天然醸造を代々継承し、醤油を造り続けています。醤油は、原料は大豆、小麦、塩、種麹とシンプルですが、発酵を促す微生物(麹菌・乳酸菌・酵母菌など)の僅かな違いで味が変わる奥深い発酵食品です。同じ原料で同じ造り方をしても、それぞれの蔵に住み着く菌や熟成期間、気候や風土によって異なる味の醤油ができ上がります」
この醤油蔵が建てられたのは、大正8年(1919年)。梁にも空気中にも醤油の味を左右する微生物が住み着いている
販売店舗には、壁一面に著名人のサインがズラリ。伝統の継承が唯一無二の個性となり、多くのファンを生み出している
240年に迫る歴史が詰まった「日本一醤油」は、オンラインショップでも購入可能
■岡直三郎商店
住所:〒376-0101群馬県みどり市大間々町大間々1012
TEL:0277-72-1008
HP:https://www.nihonichi-shoyu.co.jp
EC:https://www.nihonichi-shoyu.co.jp/shop/index.html
※醤油蔵見学は、10:00~16:00まで。要事前予約。
高津戸峡散策
みどり市の魅力の一つは、老舗商店などが集まる中心市街地のすぐそばに大自然が広がっていること。
参加者は、コーディネーターの宍倉さんの案内で高津戸峡散策を楽しみました。
「渡良瀬川」の両岸に色とりどりの紅葉を望む、「高津戸橋」からの風景。奥に見えるのはみどり市のシンボル「はねたき橋」。紅葉のベストシーズンは、11月上旬~11月下旬にかけて
はねたき橋~高津戸橋の約500mのハイキングを楽しむ参加者
チャーミングで親しみやすい人柄の宍倉さん。『ながめ公園』にてパシャリ!
【2日目】間伐体験~エッセンシャルオイルづくり
2日目は、みどり市の地域おこし協力隊として活躍する伊藤友樹さんと、英里さんご夫妻が立ち上げたエッセンシャルオイルブランド『森の香。foreal(フォレアル)』と、自伐型林業を実践する『小林林業』による協力のもと、間伐とエッセンシャルオイル作りを体験しました。
間伐とは森林の成長に応じて一部樹木を伐採し、立木密度を適正に保つ整備作業のこと。間伐をすることで森に光が入り、根や幹が太く丈夫で真っ直ぐな建材としての価値が高い木々が育ちやすくなるほか、下草が繁茂し土壌が強固になるなど森林環境を健全に保つ効果もあるのだそう。一般的な林業では1haあたり2,000~3,000本ほどの苗木を植えますが、およそ80年かけて間伐し選別しながら育てていくため、最終的に残すのは500本ほどなのだといいます。
この日間伐するのは、周囲の樹木に触れて先端が少し曲がってしまった木。樹齢80年に迫る大木ですがこのまま放置すると先端から折れ曲がり、倒木や周囲の木々の成長を阻害する恐れがあります。
まずは伐倒方向にチェンソーで切り込みを入れて受け口を作り、反対側からハンマーでくさびを打ち込み、少しずつ叩いて倒していきます。
倒木用のハンマーはずっしりと重く、くさびを打ち込んだ反動は全身に響く。伐採は身体全体を使って木の命と向き合う仕事だ
ミシミシミシッ!と森中に大きな音を響かせ倒れた木
年輪には木が生きた証が刻まれていた
「貴重な経験ができて大満足です!」と参加者
その場で規格に合わせて切りそろえ、出荷準備まで行う
伊藤さん「木材として出荷できる大きさに育つまでに80年以上の歳月と手間が掛かり、さらに伐採には命の危険が伴うのにも関わらず、原木市場での丸太一本の価値は5,000円ほど。木一本分でも30,000円ほどにしかなりません。
この背景には、戦後の急激な木材需要の高まりの中で安価な外国産木材への依存構造が築かれたこと、その結果、国産木材の需要が落ち込み価格が下落し続けたことなど構造的な問題が挙げられます」
森の香。foreal
2021年12月にみどり市の地域おこし協力隊に着任し、地域林業の振興に取り組んできた伊藤さんはこうした林業の現状に疑問を抱き、一本の木が持つ価値を高めていこうと一念発起。従来型の林業では”建材として出荷できない=価値がない”として、山に放置されてきた木材を活用し、サステナブルなエッセンシャルオイルブランド『森の香。foreal』を2024年に立ち上げました。
左から、ヒノキ、アカマツ、スギの木。『森の香。foreal』では、従来の林業では廃棄されたりバイオマス燃料として焼却されたりてきた、根に近い部分の木部を有効活用している
精油抽出の工程は主に①火を起こす②原料植物を蒸して芳香成分を気化させる③冷却して精油(エッセンシャルオイル)と芳香蒸留水(フローラルウォーター)を抽出する3工程。
左側の蒸溜窯で原料植物を蒸し、管を伝って流れてきた蒸気を右側の冷却装置で山の湧き水を使って冷やし、液化させる。伊藤さんは独学で精油の製造方法を学び、蒸留器も自ら作り上げた
①火を起こす
薪割り機を使い、芯材(丸太の中央部分)と辺材(心材以外の部分)を切り分ける
辺材を燃えやすい大きさに割って火を起こす
②原料植物を蒸して芳香成分を気化させる
芯材は粉砕機で細かく砕いてチップ状に。この日はスギの木を使用
チップを蒸留釜に入れ、下から蒸気を当てて芳香成分を気化させる
③冷却して精油と芳香蒸留水を抽出する管を伝って流れてきた蒸気を冷却して芳香成分を液体化させた後、上澄み(精油)のみを抽出
エッセンシャルオイルの完成!20㎏のスギのチップから抽出できる精油は80mlほど
『森の香。foreal』の精油は工房併設の直売所のほか、オンラインショップ、各種ふるさと納税サイトでも購入可能。現在はスギ、ヒノキ、アカマツ、ユズの4種の精油と、フローラルウォーター5種(4種+ウメの香り)を製作・販売しています。
伊藤さんと共に『森の香。foreal』を立ち上げた、奥様の英里さん。ヨガインストラクターの資格を活かし、ヨガ×精油の教室を開催中
伊藤さんは、個別指導塾の教室長やパチンコ・スロットホールで正社員として働いた後、旅先で偶然見かけた林業家の姿に惹かれ、林業界を志したという異色の経歴の持ち主。
みどり市の魅力について聞くと「地域資源が豊富でチャンスが町中に転がっています。林業の未利用資源もその一つですが、例えば地域の方の庭の手入れや草刈りをした御礼に柚子を提供していただき、その柚子を原料に新たに精油を作るなど、自分次第で地域資源をビジネスにつなげていける地域です」と答えてくれました。
■森の香。foreal
住所:〒376-0307 群馬県みどり市東町花輪1102
HP:https://www.foreal.jp
Instagram:https://www.instagram.com/foreal.midori
2日間のツアーを終え、参加者からは「みどり市は東京から気軽に行き来でき、大自然も絶景もグルメも歴史もある、見どころ満載の地域でした。木を伐るところから精油を作るという一連の流れを体験でき、とても充実した2日間でした!」という感想が聞かれました。
移住ワンストップ窓口『観光・移住交流ステーション』
今回のツアーをアテンドしてくださった宍倉淳一さんは、わたらせ渓谷線『大間々駅』の目の前にある『観光・移住交流ステーション』を活動拠点に、観光案内や移住相談を行っています。「今回紹介しきれなかったおすすめスポットがまだまだたくさんある!」とのことなので、みどり市に行ってみたいと思った方はぜひ宍倉さんまでお気軽にご連絡ください!
■群馬県みどり市移住定住サイト
https://www.city.midori.gunma.jp/ijuteiju/1005147/1005440.html
■みどり市地域創生課Instagram「みどり暮らし」
https://www.instagram.com/midori_gurashi