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「くりエイト」するまち栗山町
新しい自分の可能性を発見する移住体験 2

クリエイター向けお試し移住
「くりやまクリエイティブステイ」体験記2

栗山町の滞在施設・緑酔庵(りょくすいあん)で1週間を過ごした脇中さん。家具や家電付きの住宅で、北海道栗山町ならではの暮らしを楽しみました。

 

一軒家の滞在施設「緑酔庵」で冬の北海道暮らしを体感
栗山町に来てから、初めて雪が積もった朝。雪かきをしようとドアを開けて、除雪用具のある物置へ行くことが、脇中さんにとってはゲームのような冒険に。ズブズブと足が沈み込む雪と格闘し、靴の中に入り込んだ雪の冷たさや感触も初めての体験。

近所のおじいさんとおしゃべりをしながら、見よう見まねで雪かきを遂行。軽々と除雪を行う北海道のお年寄りのタフさにも感心しました。

緑酔庵は3LDKとファミリーでも泊まれる広さの滞在施設。家具や設備もそろっているので、1日目から快適に過ごしています。

雪道に誰かの通った足跡を見て気分がほっこりとしたり、雪が降って一変した景色を眺め回して驚いたり。栗山町職員の金丸さんから、LINEで「今朝は樹氷が見えるよ」と連絡をもらったときは、飛び出て自然の景色に感動しました。「北海道の人には普通なのかもしれませんが、雪の体験のすべてが私には新鮮でした」

 

見て感じて、体験したことが個性になる
専門学校をこの春に卒業予定の脇中さん。コンペの作品が大阪市のポスターに採用されたこともあり、社会人経験で得たマーケティング的な視点や、DTP講座に通って得たスキルなど、すべてが自分のデザインに生きていると言います。

脇中さんのポートフォリオ作品

そんな脇中さんも、悩んだ時期がありました。専門学校に入って1年目、先生から「作品に個性が見られない」と指摘されたのです。

「自分の個性ってなんだろう、と考え込みました。そこで思ったのは『自分の好きなものを作ろう!』ということ。そこから、きっと私の個性は生まれるはずだと」

そして創り出したのが、「WKNK PARK」(ワキンク・パーク)。モノクロの世界に落ちてきた、心を無くした主人公WKNK(ワキンク)が、さまざまな色を持つキャラクターと接するうちに、心に色を取り込んでいくというストーリー。

脇中さんが創作している「WKNK PARK」。左下のキャラクターが主人公のワキンクです。

登場キャラクターはこれからもたくさん増やしていく予定で、いずれは絵本になればいいなと考えているそう。「栗山で経験したことが、これからのキャラクターや世界観に出てくるかもしれません」

 

工房でサポートを受けながら製作活動に没頭

栗山町の「あさひ工房」。陶芸など地元のグループが活動しているほか、個人でも利用できます。

レーザーカッターとUVプリンターの使い方を教わったものの、翌日は丸1日かけてもUVプリンターがうまく使えなかったという脇中さん。「思い通りに制作できないのがとても悔しくて。WKNK(ワキンク)のキャラクターをプリントしたアイフォンケースや巾着を作りたかったんです。」

工房担当の三木さんに相談して、クリエイターズマーケットの店番が終わった後にサポートしてもらえることになりました。

館内には木工用の材木も積まれていました。

木工や陶芸、染色もできるあさひ工房は、施設内に入ると木の香りが漂います。作業別に部屋が分かれていて、ひと息ついたりお弁当を食べたりできるフリースペースもあります。「もう、ここにずっとこもって作業をしていたい、素晴らしい施設ですよね」と脇中さん。

サポートを受けてUVプリンターの使い方にも慣れてきました。

デザインのデータがあれば簡単に印刷できたのですが、印刷した紙を持ってきたため、位置合わせの調整に手こずってしまいました。サポートをしてもらいながら、ようやく正しい位置にプリントができるように。

右側にあるのが、UVプリンターで印刷したWKNK(ワキンク)のアイフォンケース。展示販売にも間に合いました。この後も、三木さんのサポートを受けながら巾着や革製品などを次々とプリント製作。

「工房で手助けをしてくれる方がいるのは、本当にありがたかったですね。おかげでたくさんのオリジナル作品をつくることができました。苦労して作品という形になったこともうれしいですが、私にとってかけがえのない“想い出”もつくれたと思います」

 

栗山町のステイ経験からぬくもりのあるデザインを生み出したい
「とても濃い、充実した毎日を過ごしています」という脇中さん。家庭のお餅つきに招いてもらったり、小学校に行って、「栗山の色」を使ったジェンガ作りに参加をしたり。「小学生と一緒に色を塗って、すごく楽しかったです」

栗山での体験を話す脇中さん。「新鮮な発見と楽しいことの連続でした」

栗山町の基幹産業である農業生産者も、おいしい作物を生みだす「くりエイター」です。約60戸の農家さんが自慢の野菜や果物を並べる直売所「値ごろ市」では、札幌圏からもたくさんの人が訪れ、SNSにアップされることもよくあるとか。農家さんの励みにもなっています。

「招いてもらったおうちのお餅つきでは、自家製あんこのお餅やわらびの煮物、お漬物もすごくおいしくて。ご家族も温かく接してくれて、まるで実家にいるような気分でした」

できれば、この栗山町にずっと住みたいという脇中さん。「設備が整っていてものづくりには最高のまちだし、何よりも人が温かいんです。バス停にいても、おばあちゃんとおしゃべりしたりと、皆さん気軽に声をかけてくれる。クリエイターズマーケットでも作家さんと交流ができるし、町職員の皆さんも本当に親切で温かい方たちです」

たくさんの人の温かさにふれたことが、脇中さんにとっての宝物になっているといいます。

脇中さんは、今回のクリエイティブステイで栗山町の景色や体験が、自分の個性に組み込まれていくような気がすると話します。

「また栗山町に遊びに来たい。樹氷など栗山町で私の目に触れたものをデザインに生かしていけると思うんです。WKNK PARK(ワキンク・パーク)の作家としても、栗山町のものを取り入れていきたいですね。どちらも、きっとぬくもりのあるデザインになると思います」

 滞在中には、前記事でも紹介した元地域おこし協力隊の石井翔馬さんが営むお店「cafe&barくりとくら」で、食事をしながら町の人たちとの交流も深めたという脇中さん。

「初めての北海道が、ただの旅行じゃなくてよかった、栗山町でよかった。ただ旅行に来ただけだったら、分からないことがたくさんありました」

栗山町のクリエイティブステイで、作家としての第一歩を踏み出した脇中さん。デザイナーとしての実績を積んだら、いつか栗山町へ・・・そんな夢も持っているそうです。

四季ごとの魅力を持つ栗山町。豊かな田園風景、夏から秋にかけての盛大なお祭り、「泣く木」伝説など、「くりエイト」にあふれた栗山町を脇中さんが次に訪れたとき、さらに何を“体感”してクリエイトするのでしょうか。

文・高橋明子 写真・和田北斗

 

前編はこちら
「くりエイト」するまち栗山町 新しい自分の可能性を発見する移住体験 1

滞在のすべてが書かれた、脇中真優美さん(クリエイティブステイ)のブログはこちら
くりやまクリエイティブステイ

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