TURNS

波乗りオフィスを夢見て。
TURNSメンバーのブログレポート

朝起きて、身支度をととのえ、家を出る。

いうまでもなく7月中旬の東京は、少し動けば汗ばむほどの蒸し暑さ。まさに、うだるような暑さ。

そんなことはいつものことと、自転車にまたがり駅に向かう。電車の中は、外とは打って変わって冷えすぎた車内に定員オーバーな乗車数。そんな人混みに揺られながらオフィスのある駅を目指す。

そんな当たり前の毎日。
でも、都内で働いている方なら、こう思ったことがあるはず。

「あぁ、会社に行かずに、このまま海に行きたい…。オフィスが海辺にあれば最高なのに…」と。


こんにちは、TURNSのヤノです。

TURNSメンバーのブログレポート、ということで続けているこの記事ですが、もはや一年に一回しか書かないんじゃないかというくらいの更新頻度になってしまっています。

さて、連日の夏の暑さに少し愚痴のような文章で始まりましたが、暑さにかまけて記事の内容と無関係なことをだらだらと書いていたわけではありません。今回行ってきたのは4月に都内でも上映された映画「波乗りオフィスへようこそ」の舞台となった町、徳島県美波町。

案内していただいたのは、この映画の原案本『本社は田舎に限る』の著者であり、「波乗りオフィスへようこそ」の主人公のモデル、地方への企業誘致を斡旋する(株)あわえの社長吉田基晴さん。
※あわえは、「波乗りオフィスへようこそ」の原作・撮影協力であり、製作・興行に直接関わっているわけではありません。

まずは、美波町について簡単に。

四国の右下に位置する美波町は、2006年に日和佐町と由岐町が合併してできた、人口だいたい6,700人くらいの小さな町です。
きれいな海、澄みきった川、ゆたかな山…地方の魅力を詰め込んだような環境に囲まれた美波町は、昔から漁業の盛んな町として栄えてきました。
四国八十八ヶ所23番霊場「薬王寺」の門前町として、年間約100万人の観光客が訪れる、地域の中と外の交流が盛んな場所でもあります。そのため、訪れる方をあたたかく迎え入れるお遍路のお接待文化が根付いています。

TURNSのサテライトオフィスが同じ徳島県内(佐那河内村)にあることは以前ご紹介させていただきましたが、同じ県内でありながら、まだあわえのオフィスに伺ったことがなかったので、映画が上映されたこのタイミングでぜひご挨拶に!と伺わせていただきました。

「こんにちは、ようこそいらっしゃいました」

あわえのオフィスはもともと銭湯だった場所を当初の趣を残したままリノベーションし、オフィス兼地域の交流拠点として2014年にオープンしました。

そんなあわえのオフィスがある、美波町では、地域活性の指針として「にぎやかそ」というコンセプトを2018年に策定しています。

「言葉遊びですけど、過疎は前提として賑やかな過疎を目指そうということで、賑やかそうと過疎をかけて、『にぎやかそ』と定義してやっていこうと明治大学の先生と一緒に策定しました」

そもそもなぜ、あわえが過疎が進む美波町にサテライトオフィスを構えたのか。

「私はサイファー・テックというITベンチャー企業を経営しているんですが、2003年に会社を立ち上げてから2011年までの8年間、人材の確保に苦労しまして、社員がほとんど増えなかったんです」

その打開策として、吉田さんが考えたのが、
「目の前に海が広がるオフィスを作り、社内にシャワールームを完備する。出社前はもちろん、昼休みにだってサーフィンを楽しめる。そんな環境を用意したら、魅力を感じる若者がいるのではないか?」ということ。

それは、まだ美波町にサテライトオフィスが1社もなかった時の決断です。

しかし、結果としては数人の枠に応募が殺到、社員数は倍になり業績も一気に拡大したそうです。

「波乗りオフィスへようこそ」では、吉田さんが美波町にオフィスを構えてから、過疎地域が抱える課題、そして美波町の人々との交流を通して、一企業という役割を超えて地域に溶け込んでいくストーリーが描かれています。

「実はこの映画、ロゴもポップもWEBも全部サテライトオフィス企業でやってて、監督・カメラも美波出身、PRも町内の人たちの協力でやったんです。これは、どこかでPRしているわけでは無いですが、私は、美波町が映画が作れる町になってきたことにすごく意義を感じているんです。映画作りを地域の中で内製化できたのは、この地域に色々な人が来てくれた結果であって、もちろんまだまだ課題だらけですけど、賑やかな町になりつつあるのかなと思います」

「波乗りオフィスへようこそ」は、大きな劇場で上映されて収益を得ようとしているわけではないそう。

「この映画って、映画館がないところの方々におくる映画なんです。大事なのはじんわりと、上映された町が日本各地に広がっていくことなんです。短期的な収益ではなくて、長く続いていって、色々な方に気づきを与えることができたらいいなと思っているんです」

「裏ストーリーとしては、本当の意味で地方創生を起こすのは、金の卵と言われ都会に出ていった田舎出身の団塊の世代の人だと思っていて。まだ元気だけど活躍の場がなくなっていっているような人たちが、スキルを田舎に戻すような大流が起これば、数少ない若者を奪い合わないでも回り出すんじゃないかと思っているんです」

「この映画は、監督たちも都会で色々な経験をしてきた方々が、自分たちの故郷に、持っているスキルで何かを残したいっていうエネルギーでできたんです。今回のようにクリエイターに限らず、スキルの戻しようはあるはずなので、団塊の世代の方々がそのように思ってもらえたら、ボリュームもインパクトもすごいはずだと思うんです」

今、地域に人を呼ぼうと躍起になっているところは、「とにかく若い人を!」というところが多いと思います。しかし、それでは、吉田さんの言うように、人の取り合いになってしまうはず。

これからの地域・日本にとって本当に必要なことは何かということが、映画のストーリー、そして製作陣がこの作品に向き合う姿勢に詰まっています。

美波町では、飲食店などもオープンラッシュなんだとか。
今では、サテライトオフィスもIT企業だけではなく、建築・デザイン…多種多様な人たちが集まってきています。

まさに「にぎやかそ」な町になりつつあると、吉田さんは話してくれました。

あわえの取り組みは、もともと注目していたので、こうしてオフィスを訪ね吉田さんのお話を直接聞けたことが、何より嬉しかったです…という、なんとも個人的な感想になってしまいますが、とても充実した時間でした。


ちなみに、夜の美波町はとっても賑やか。
色々な方がお店に集まってきて、夜遅くまで宴会を開いていただきました。こっちの時間が本番だったのでは!?と思ってしまうほど楽しい時間でした!

大型の劇場での上映は終わってしまいましたが、きっとあなたの町でも「波乗りオフィスへようこそ」が上映される日が来るはず。

その時には、美波町のことと共に、自分が生まれ育った地域のことを思い出してみてください。

*****

さて、後ろ髪引かれる思いで東京に帰った僕は、今日も暑い暑いと汗をかきながら、波乗りオフィスを夢見て、満員電車に揺られているのです。

写真・文:矢野航

〜参考URL〜

株式会社あわえ
https://www.awae.co.jp/
波乗りオフィスへようこそ
https://naminori-office.com/
本社は田舎に限る
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC%E7%A4%BE%E3%81%AF%E7%94%B0%E8%88%8E%E3%81%AB%E9%99%90%E3%82%8B-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE-%CE%B1%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%90%89%E7%94%B0-%E5%9F%BA%E6%99%B4/dp/4065127793

〜TURNSヤノ行ってきたまち〜
徳島県美波町
https://turns.jp/30081
徳島県佐那河内村
https://turns.jp/20864
青森県
https://turns.jp/10290
埼玉県東松山市
https://turns.jp/11743
岐阜県郡上市
https://turns.jp/31026