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山々に囲まれた農家住宅での暮らし
岩手県・雫石町「コテージむら」ツアーレポート

東京から新幹線で2時間半、岩手県雫石町南畑地区にある「コテージむら」は、雄大な自然に抱かれた総面積約63ヘクタールの土地。岩手山から秋田駒ヶ岳にかけた山並みを望みながら農的暮らしをしたい人へ向けて、宅地付き農地として分譲しています。

昨年、この「コテージむら」を舞台に、「これからの農家住宅提案検討委員会」が立ち上がりました。これは、“田舎っぽい”“大変そう”などといった農家に対するマイナスイメージを払拭する、新しいスタイルの農家暮らしを形づくっていく試みです。地元の若手農家や建築士、地域づくりの専門家たちが、第1回第2回第3回の検討会を通して、若者が憧れる農家住宅を提案してきました。

そのプランに興味の持った、農業や地方での暮らしに興味のある首都圏にお住まいの方と一緒に、現地の視察ツアーを開催。「コテージむら」での農的なライフスタイルの可能性を探しに初秋の雫石町を訪れました。

「コテージむら」は、新しく農業や農的暮らしを始めたい方向けの宅地付き農地を販売している場所で、広い土地を活かして農業をしたり羊を育てたり、さらにはパン作りをする方もいらっしゃいます。
今回のツアーでは実際に、工房や体験農園等の施設、「コテージむら」にお住まいの方のご自宅に伺い、リアルなこの土地での暮らしを参加者で巡りました。

まずは、「コテージむら」の体験農園の見学です。体験農園では、「コテージむら」の住民以外の雫石町の方や隣町の方へも農地の貸し出しを行っており、利用者は区画ごとに思い思いの農作物を育てています。「コテージむら」は、住むだけではなく、農のある暮らしをバックアップする機能を備えているところが魅力です。

当日は、収穫体験も実施。五感で、普段の都会暮らしでは味わえない感覚を体感し、参加者の気分も高まりました。

続いて、パン工房の見学です。「コテージむら」にはパン工房があり、住民の方が普段から使用しています。雫石町に移住をしてきてから、パン作りを始めたというご夫妻。ツアー当日は、雫石町の住民が集まる「コテージむらまつり」が開催されており、工房でパンを手作業で焼き、販売をしていました。この地に移住するまでは、パンづくりをしてはいなかったそうですが、今では道の駅でも販売するまでに。

ここでは、暮らしをつくることに夢中になれる設備がそろっており、自分達でできることが増えそうです。パン作りやホームスパン等、この土地でしかできない暮らしを構築している姿がとても印象的でした。

最後に、「コテージむら」にお住まいの西山さんのお宅にお邪魔しました。「コテージむら」に住んでいる西山さんのお宅は、ご夫婦での暮らしにフィットする広さ。赤い屋根と広大な土地の「コテージむら」の風景は、どこか外国にいるような感覚にもなります。

家のすぐそばには、大切に育てている季節ごとの野菜の畑が広がります。

畑では玉ねぎやトマト等、自分達が管理できるサイズで農作物を育てていました。「自分達ができる範囲で無理せず、畑を楽しんでいる」という西山さん。ご自宅のキッチンの窓からは畑が見え、農作物のありがたみを感じながら料理ができるそう。

約20年前に西山さんは、「見たこともないような紅葉の美しさに魅了をされ、都内からの移住を決意しました。この地域は寒いけど、その分四季の美しさがある」と、コテージむらで暮らす実感を語ります。

最初は農業栽培がうまくいかず、東京に戻った経験も。しかし、再びコテージむらでの暮らしにチャレンジをして、自分のペースで今の暮らしを作り上げていきました。「田舎は、自分自身が興味を持てば何でもやれる可能性がある場所だ」と語る西山さん。農業だけでなく地域の劇団活動や、イベントを通じて、人との繋がりを増やし、仕事や暮らしの幅を広げています。

山々に囲まれた絶景の中で、農的暮らしをするのに最適な場所の「コテージむら」。ツアーの参加者からは、「まずは長期休みを利用して滞在してみたい」「広い土地だからこそ、できることがたくさんありそう」との声が。

今まで知らなかった土地との出会い、今後の「コテージむら」の新しい使い方のアイデアも活発にでていました。自分自身の意思や行動で、ライフスタイルを豊かに耕せる環境がコテージむらにはあるようです。

「コテージむら」の見学の後は、現地の方と交流を深めました。場所は、「小岩井農場まきば園」で。ここでは、現在地域おこし協力隊で活躍されている増谷さんご家族と、ペンションを経営している上村さんご家族に雫石町の住み心地について伺いました。日々の暮らしの中で感じる生の声は貴重な情報源です。

増谷さんは、移住をするきっかけがたまたま雫石に訪れたこと。雫石町に訪れて山々の美しさを気に入り、移住を決めてしまったそう。雫石町で移住者のお話を聞いていると、「景色が気にいったから」という方が多いのが驚きです。上村さんご夫妻は、ペンション経営を期に移住。ペンションに泊まりに来るお客さんには、移住者での目線で雫石町をご紹介しています。

その後は雫石町をぐるっと回り、雫石の産業への理解もふかめました。雫石町は観光が盛んな町。全国から多くの観光客が訪れます。ウィンタースポーツ・レジャー・温泉等を求めて、観光客が集まります。当日は、雫石の魅力を存分に味わうことができました。

▲手作りアイスクリームで人気の「松ぼっくり」。夏のシーズンはあまりの人気に行列ができてしまうほど。

▲休暇村岩手網張温泉からは雫石町の絶景が望めます。

今回のツアーでは、「コテージむら」での可能性を探り、雫石町に魅了された方々に多く出会えた時間となりました。山々に囲まれた、自ら作る豊かな暮らしのヒントがたくさん見つかる雫石町・「コテージむら」に、足を運んでみてはいかがでしょうか?

文:編集部 写真:川島佳輔