官民連携(PPP:Public Private Partnership)とは、より良いまちづくりのため、行政(官)と民間組織(民)が手を取り合って地域課題や公共性の高い事業に取り組む協業スタイルのこと。人口減少等により自治体の税収入が低下する中で、新しい公共サービスの在り方のひとつとして注目を集めています。
この記事では、官民連携の定義を改めて振り返りながら、全国各地の官民連携の成功事例や、行政と民間組織をつなぐ新しいプラットフォーム「TURNSプラットフォーム」、「官民連携まちなか再生推進事業」をはじめとする補助・支援制度など、官民連携を図る上で必要な情報をまとめてお届けします!
官民連携(PPP)とは?
官民連携とは、行政と民間組織がそれぞれの強みを活かして地域課題と民間サービスのマッチングを図る取り組みのこと。
少子高齢化・過疎化が進むエリアでは、地域経済の停滞、空き家・公共施設の増加、交通インフラの脆弱化など、様々な課題が生まれ深刻化しつつありますが、こうした課題に官民が一丸となって取り組むことで新しい解決策を見出し得ると期待されています。
PFIとの違い
官民連携は英名のPublic Private Partnershipの頭文字を取ってPPPと呼ばれることもあります。PPPと似た言葉にPFI (Private Finance Initiative)がありますが、PFIはPPPのひとつのカタチ。PFI法に基づき、民間事業者の資金やノウハウを活用して公共事業等の建設・維持・管理・運営等を行う手法のことを指します。
メリット
官民連携を図ることで、行政・企業の双方にメリットが生まれます。
行政側のメリット
・公共サービスの質向上
民間企業ならではのノウハウやサービスを活用することで行政サービスの質・量を上げ、住民満足度の向上が見込める。
・地域経済の活性化
地域に新産業と新規雇用が生まれることで、地域経済の新しい循環を築くことができる。働く場の確保が若い移住者獲得につながる。
企業側のメリット
・収益増加
BtoG(自治体)業界に参入し新規サービスを提供することで収益が増加するほか、他の企業・自治体とのさらなるコラボレーションが生まれる可能性がある。
・社会的信頼の獲得
地域・社会貢献に寄与する事業を通して、取引先や顧客、自社従業員からの信頼獲得につながり得る。
官民連携の成功事例
TURNS vol.60では「これからのローカルは、『民間行政』の時代」と題し、官民連携の最新・成功事例を特集しました。民間行政とは、民間企業等が主体となって公共性の高い事業を展開する官民連携の新しいカタチ。
ここではその一部をご紹介します!
【成功事例1】自動運転バスが拡張する、交通インフラとまちづくりの可能性
BOLDLY〘茨城県・境町〙
茨城県の田舎町をかけていく、色とりどりの点描をまとったコロンと可愛らしいバス。このバスは、運転席のない自動運転バスなのだ。最高速度は時速20キロとゆっくりに感じるかもしれないが、実際に乗車してみると、忙しない日常には心地よい絶妙なスピード感。ハンドルに代わるのはゲームのコントローラー。AIやGPSを駆使して運転システムは作り上げられており、人の操作は必要ない。まさに未来の乗り物だ。
文:坂井彩花 写真:ミネシンゴ
【成功事例2】中小企業の挑戦を支援し、地域活性化を図る
k-Biz(釧路ビジネスサポートセンター)〘北海道・釧路市〙
「ビズモデル」をご存知だろうか。地域活性化のためには、全企業の99・7パーセントを占める中小企業の支援が不可欠。誰もがそう認識しながら、成果を上げられずにいた状況に新風を吹き込んだ事業者支援の仕組みだ。今回訪ねたのは、現在全国に約20ある拠点のひとつ、北海道の釧路市ビジネスサポートセンター「k-Biz」。そこにいたのは全人格を投じて地域と向き合う、プロフェッショナル集団だった。
文:瀬木広哉 写真:三根かよこ
【成功事例3】地域に開かれた教育で移住者を増やし、社会増を生む
FoundingBase〘北海道・安平町〙
新千歳空港から車で20分ほど南下したところにある人口7千人ほどのまち、安平町。ここでは、20件超から約230件へ、移住問い合わせ件数が2年で10倍にも伸びた。その躍進の原動力となってきたのが教育。地方共創ベンチャー企業「FoundingBase」と、独自の取り組みで知られる学校法人、異色の行政マン。志を共にする者たちが力を出し合い、思い描いた未来を少しずつ実現してきた5年間の物語を紹介。
文:瀬木広哉 写真:三根かよこ
【成功事例4】空き家問題が宝の山に。不動産業界のゲームチェンジャー
空き家活用株式会社〘東京都・港区 〙
日本全国で大きな課題となっている空き家問題。今年六月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正が決定するなど、いよいよ国をあげての対策が加速しつつあるが、個人・民間企業・自治体と複雑に絡み合うこの課題は、とても一筋縄ではいかない。その三者すべてと一気通貫で関わることにより、空き家を一件ずつ確実に利活用していこうと地道に取り組みを進めるのが、空き家活用株式会社だ。多角的に展開する事業戦略、その背景にある構想とは?
文:吉澤志保 写真:黒崎健一
【成功事例5】さっぽろのコープさんが教えてくれた、古くて新しい「生活協同組合」のスゴイ仕組み
北海道|生活協同組合コープさっぽろ
コープこと生活協同組合。消費者が組合員となってお金を出し合い、運営していくこの仕組みには、地域の未来を変えるほどのポテンシャルを秘めている。その可能性を大いに示している北海道の「コープさっぽろ」躍進の立役者、大見英明理事長にお話しを伺った。
文:瀬木広哉 写真:三根かよこ
TURNS vol.60「これからのローカルは、『民間行政』の時代」
官民連携の推進・補助事業
国及び地方公共団体は、様々な補助金・支援制度を設けて官民連携を推進しています。
ここでは、国土交通省が実施する「官民連携まちなか再生推進事業」「官民連携による地域活性化のための基盤整備推進支援事業」「先導的官民連携支援事業」の3つの事業の概要をご紹介します。
※3事業とも令和5年度の申請受付は終了しております。次年度の申請情報等は各HPのリンク先をご確認ください。
官民連携まちなか再生推進事業
多様な人材や投資を呼び込む都市の魅力・国際競争力の強化を目的に、エリアビジョンの策定とその実現のための自立・自走型システムの構築への支援を行う制度。
官民の多様な人材が参画するエリアプラットフォームの構築や、まちなかの未来ビジョン等の策定、シティプロモーション・情報発信、社会実験・データ活用・交流拠点整備など、幅広い事業が補助対象となる。
■国土交通省「官民連携まちづくりポータルサイト」
https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_machi_tk_000047.html
官民連携による地域活性化のための基盤整備推進支援事業
地方公共団体による官民連携事業を積極的に支援するため、事業の実現に向けた検討・準備に要する調査委託費を助成する制度。
■国土交通省「官民連携による地域活性化のための基盤整備推進支援事業(官民連携基盤整備推進調査費)」https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/kanminrenkei.html
先導的官民連携支援事業
地方公共団体が先導的な官民連携事業の導入検討を行う際に掛かる、コンサルタント等の専門家に調査や検討を依頼する経費(委託費)を補助する制度。
■国土交通省「先導的官民連携支援事業」
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/1-3-1.html
官民連携プラットフォーム
様々な可能性を秘めた官民連携ですが、行政・企業ともに先例が無い中で事業費を確保し、ゼロから協業関係を構築するのは難しいもの。
そこで、“これからの地域とのつながり方”を提案するローカルライフマガジン「TURNS」では、自社のスキルや技術力を活かして地域に貢献したい民間企業と、企業の力を活用しながら課題を解決したい自治体とをつなぐ「TURNSプラットフォーム」を整備し、行政と企業のマッチングを支援する取り組みを行っています。
TURNSプラットフォームに関するお問い合わせは随時受け付けていますので、お気軽にご連絡ください!
お問い合わせ・ご相談
株式会社第一プログレス
「TURNSプラットフォーム」担当宛て
TEL:03ー6269ー9732
MAIL:info@turns,jp
HP:https://turns-pf.jp/
問い合わせフォーム:https://turns-pf.jp/inquiry
文:高田裕美
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