【群馬県桐生市 官×民クローストーク】
ゆるやかなコミュニティの中で
「自分らしい起業・開業」を叶える(後編)

「自分らしい起業・開業」をテーマに、開業地としての群馬県桐生市の魅力に迫る本企画。後編では、2023年8月に開設した桐生市移住支援フロント「むすびすむ桐生」に注目し、「移住開業を支援する人の声」をお届けする。

>>前編「自分らしい移住・開業をした人々の声」を読む

官民連携で立ち上がった「むすびすむ桐生」


コワーキング&コミュニティスペース「COCOTOMO」

移住者の方たちの話を伺った「ふふふ」の次に訪れたのは、同じく桐生市中心街の本町5丁目にあるコワーキング&コミュニティスペース「COCOTOMO (ココトモ)」。ここでは「むすびすむ桐生」でチーフコーディネーターを務める田中聖之さん、岩崎大輔さんのお二人に、桐生市企画課移住定住推進室の馬場秀穂さんも加わり、官民連携で取り組む店舗開業・起業支援について伺った。


左から田中聖之さん、馬場秀穂さん、岩崎大輔さん

「中心市街地の空き店舗率の減少を政策目標のひとつに掲げる桐生市では、空き店舗を活用して開業される方向けに『桐生市空き店舗活用型新店舗開設・創業促進事業補助金』制度を設けており、一定の条件を満たす新店舗の開設に対して最大110万円の支援を行っています。また、商工会議所や信用金庫などの起業・開業へのバックアップも手厚く、この建物の3階にある『桐生市インキュベーションオフィス』では、無料で起業・開業の相談を受けています。そうした中で官民共創をキーワードに開設した『むすびすむ桐生』の取り組みにより、移住を検討される方と地元の組織や人を、より一層円滑につなげることができるようになったと感じています」

まず始めに、桐生市の起業・開業支援制度について、そう説明してくれた馬場さん。桐生市の委託を受けて今年8月に始動した「むすびすむ桐生」は、店舗開業と起業を目指す移住希望者をメインターゲットに、暮らしにおけるさまざまな相談に対応するワンストップ相談窓口。COCOTOMOを拠点に移住相談に答えるほか、移住検討者に対する情報発信やイベント開催を行っている。

その、むすびすむ桐生でチーフコーディネーターを務めているのが、田中さんと岩崎さんだ。

段階ごとに変わる悩みに答える「伴走」型の支援

田中さんは桐生市出身の33歳。桐生で生まれ育ち、kiryu_city_clubのアカウント名で、インスタグラムで市内のグルメやお出かけ情報を発信。それがきっかけで、むすびすむ桐生の母体であるNPO法人キッズバレイと縁が生まれ、チーフコーディネーターとして関わることに。移住窓口に常駐するほか、タナカノカラダ整体とヨガのインストラクターとしても活動している。

「『繊維のまち』として栄えた桐生は、古くから新しいものを受け入れる気風があり、自分のこだわりが生かせる土地。新しい人が来るとか、新しいお店ができるとなると、地元の人でも反響がある」と、開業地としての桐生の魅力をあげる田中さん。

一方で、岩崎さんは、熊本県出身の34歳。福岡県の大学を卒業後、東京で営業職を経験した後、2019年に地域おこし協力隊として桐生に移住した。任期後も桐生に定住し、代表を務める一般社団法人KiKiで黒保根エリアのキャンプ場を運営。また、群馬県で活動する地域おこし協力隊をサポートするNPO法人ぐんま地域おこし協力隊ネットワークで理事長を務める。

地域おこし協力隊時代に黒保根エリアの農産物を出張販売する「くろほねマルシェ」を立ち上げたり、仲間と「まちなか養蚕」に取り組むなど、桐生でアクティブに活動する岩崎さんは、「東武鉄道の特急が停車し、首都圏に直通でアクセスできる交通の便の良さ」を桐生の魅力にあげる。

むすびすむ桐生の移住支援は、田中さん、岩崎さんら10名のコーディネーターが、移住希望者に「伴走」する形でサポートを行うのが特徴だ。

「市街地のまちなか周辺エリアをはじめ、農業が盛んな新里エリアや山間地の黒保根エリアなど、桐生市には個性の異なる9つのエリアがあります。コーディネーターには、職業も年代もさまざまな方がいるので、移住希望者が関心を持たれているエリアや始めたい業種に合ったコーディネーターにつないでいます。移住の悩みは段階ごとにその都度変わるものなので、移住を検討する段階から暮らしに慣れるところまで伴走して、その方のお話を聞きながら、段階に応じたサポートをしていきます」と田中さん。

自身も移住者である岩崎さんも「移住というのは、引っ越してからが本番なので、そこからのコミュニティ参加などにも伴走してサポートしたい」と語る。

桐生を「起業・開業の夢が叶うまち」に

8月の始動後、移住検討者を対象としたオンラインセミナーや空き店舗見学会を開催。オンラインセミナーでは、埼玉から移住し、廃業した百年老舗の銭湯「一の湯」を復活させた山本真央さんと本記事の前編に登場いただいた「Plus+アンカー」の川口雅子さんによるトークセッションを開催。また、6件の物件を巡った空き店舗見学会では、まちの人の協力を求めながら、物件を開拓し、リフォーム専門家を交えてまちなかを巡った。空き店舗の中には貸しに出ていない物件もあるため、「持ち主と開業希望者の間に立って、マッチングのお手伝いもしていきたい」と田中さん。


「一の湯」の山本さん

さらに「地元桐生で活躍してきた人や先輩移住者の魅力に新しい移住者が引き寄せられているように思う。その特長をさらに強くしていきたい」と田中さんが話す一方で、岩崎さんは「移住促進というと外向きの発信ばかりしがちですが、内側にもしっかりと発信して地元の人を巻き込んでいくことが、“つながり”を生み出すのだと思う」と言い、始まったばかりの、むすびすむ桐生の活動に期待をふくらませる。

「10万人規模の自治体で専門の窓口を設けているところは全国でも珍しいと思います。田中さん、岩崎さん、この取り組みに快く協力してくれたコーディネーターの方々、この人たちだったら絶対に面白いことができるというメンバーが集まったと思いますし、みんなが持っているネットワークにより、つながりをどんどん広げていくことができると思っています。われわれ行政もひとつひとつの取り組みを一緒になって考えて、展開し、つながりを生み出す循環を大きなものにしていきたいです」(馬場さん)

「昔はまちづくりって頭のいい人が勝手にやっているものだと思っていましたが、自分がまちづくりに関わるようになって、まちに出ることがすごく楽しくなりました。移住者の方々にも、参加する楽しみを知ってもらい、自分のまちを面白がってくれる仲間を増やしていきたいです」(岩崎さん)

「僕自身がいろいろなお店やさまざまなイベントに行くことが好きなので、桐生で起業・開業したいという人たちに伴走しながら、もっともっとワクワクするようなまちづくりに貢献していきたいです」(田中さん)

最後にそれぞれの夢を語ってくれた3名。ちなみに桐生市は今年、観測史上で過去最多となる46日の猛暑日を記録し、“日本一暑いまち”になった。官民連携で走り始めた、むすびすむ桐生の取り組みも、きっと、桐生のまちを「あつく」することだろう。

本記事の前編では、桐生に移住して開業の夢を叶えた3人の開業者と、さらに、まちの“頼れる存在”として彼らの移住に関わった川口雅子さんが、桐生での起業・開業の体験について語っています。ぜひご覧ください。

>>前編「自分らしい移住・開業をした人々の声」を読む

文:鈴木 翔 写真:内田麻美

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