オンラインイベント 〜熊本県天草市で実現できる子育てのカタチ〜 開催レポート

親子でのお試し移住から、先輩移住者の実体験まで
子育てしやすいまち・天草の魅力をチェック

雄大な自然に囲まれた島暮らしを楽しみたい人たちに人気の熊本県天草市。今回のオンライントークイベントでは、子育てしやすいまちとして注目を集めている天草市の魅力を2部構成でご紹介。前半は天草市で2022年からスタートした『保育園留学』プログラムと地域とのつながり方、後半では天草市に親子移住したゲストをお迎えしてリアルな声をお届けしました。親子で地方移住を考えている方、お試し移住に興味がある方もチェックしておきたい充実の内容です。

【ゲスト】

<第1部>

◆認定こども園 もぐし海のこども園 園長 福岡英人さん
天草市牛深町出身。東京から帰郷し、祖父・父の代から60年続くこども園を受け継ぐ。
天草の自然と食をいかし、こどもの自主性を尊重した保育・教育に取り組んでいる。

◆株式会社キッチハイク 住 尚三さん
『保育園留学』企画・運営。

◆保育園留学 体験者 高橋さん

<第2部>

◆アロマセラピスト 黒沢三穂さん
東京都出身。2011年の東日本大震災を機に「生きる」ことを真摯に考えて天草に移住。
天草産の薬草等を原料にした香り製品を自ら作る、アロマセラピストとして活動中。
社会人の長男をはじめ、高校生、小学生の4人の息子の母でもある。

【ファシリテーター】

◆稲田佑太朗さん
一般社団法人シラタマワーク代表理事/宮崎県キャリア教育コーディネーター

◆熊本県天草市 地域振興部定住促進係 濱口桂伍さん

 

トークセッション①

「保育園留学で地域とつながる! 新しい子育てのカタチ」
子育て世代を中心に移住者が増加。さまざまな支援・補助金制度もポイント

熊本県天草市職員の濱口桂伍さんによる天草の紹介からイベントが始まりました。気候、ロケーション、陸・海・空で結ばれたアクセスと続く中、注目されたのが近年の移住者の増加率。平成20年から本格的な移住促進の取り組みが始まった天草市では、令和3年度までの14年間で437世帯824人が移住を実現しています。その中で最も多いのが、20〜30代を中心とした子育て世代。関東地方、九州内からの移住者が多いのも特徴です。

こうした移住の後押しとなっているのがさまざまな支援・補助金制度。全国的な制度も多いが、天草市でも独自の補助金が設けられています。例えば、『定住促進奨励金』として単身世帯に10万円分、2人以上の世帯には20万円分の天草宝島商品券を交付しています。また、子育て世代を対象としたものとしては、『子ども医療費助成制度』で高校生(18歳未満)の医療費を無償化するなど、手厚いサポートが行われているそうです。

『保育園留学』についてのトークセッション

イベント前半のテーマは『保育園留学で地域とつながる〜新しい子育てのカタチ』。保育園留学プログラムの受け入れをされている『もぐし海のこども園』園長の福岡英人さん、保育園留学を企画・運営する株式会社キッチハイクの住尚三さん、そして2022年に天草市で保育園留学を体験された高橋さんにもご登壇いただきました。

質問1:『保育園留学』とはどんなプログラムですか?

住さん「地域と子育て家族をつなぐ、新しい暮らし体験です。お子さんは1週間から3週間ほど保育園に通い、ご家族に関してはまちに滞在して、リモートワークで仕事をしながら地域の暮らしを家族で体験できます。都会とは違う環境でキラキラと目を輝かせながら園から帰って来る子どもたちとの日々を楽しむようなプログラムになっております」

福岡さん「私たちの『もぐし海のこども園』は天草市牛深町の茂串という地区にある園です。近くには県内でも非常に透明度が高いことで知られる茂串白浜海水浴場がありますが、こうした豊かな自然環境の中で子どもが主体的に遊ぶことを大事にした保育を行っています」

『保育園留学』のテーマに合致したもぐし海のこども園の保育方針。続いて、子どもと自然との関係性を重視した取り組みについて福岡園長が語ってくれました。遊具のない園庭で子どもたちは自然素材から遊びを発見する、職員はむりな指導はせずにそばで見守るなど、遊びを通して成長の根本となる自然の中での情感体験を大切にされています。ファシリテーターの稲田祐太朗さんが興味を持ったのは「職員がきれいなどの形容詞を使わない」という点。大人の価値観をうえつけることなく、子どもの自主性を尊重した取り組みは保護者にとっても魅力的に映ります。

質問2:実際に参加したご家族の感想を聞かせてください。

高橋さん「僕と妻、4歳の息子と1歳の娘で保育園留学に参加しました。都会とは違う環境で、自然や地域とのコミュニケーションを親子で体験したいというのが一番の理由です。夫婦とも会社員なのでリモートワークで仕事を休まずに参加できたというのも良かったです。今、子どもが小学校にあがるタイミングで、地方移住を検討しているところなので、その一環でもあります」

稲田さん「保育園留学を終えて、お子さんに何か変化はありましたか?」

高橋さん「娘は人見知りだったんですけど、保育園をはじめ、宿の方や近所のおばあちゃんなど牛深町の方達が温かく接してくださったおかげで、大人に対してコミュニケーションをとれるようになりました。2週間の滞在でしたが、子どもたちがすごくパワーアップした感じがします」

福岡さん「最初はお子さんがなじめないかと思われるご家族もいらっしゃいます。でも、大人が思っている以上に子どもたちは柔軟で、初めて会った子ども同士でも、いったん遊び始めるともう次の瞬間に一緒に走り出していますよ(笑)」。

住さん「お子さんに良い変化が見られるのは、プログラム運営側としても嬉しいですね。ご家族も子育てに関する考え方が変わり、小学校受験をやめたと言われる方もいらっしゃいました」

大いに盛り上がったトークセッション。『保育園留学』は子どもにも大人にも良い刺激を与えてくれるようです。親子移住というとハードルが高いイメージですが、ワーケーション感覚で体験できるこのプログラムを活用することで一歩ふみだすきっかけになるかもしれません。保育園留学についてもっと詳しく知りたい方は、公式ホームページやメルマガをチェックしてみましょう。

 

トークセッション②

「地方で子育てを実現する! 天草で親子移住のカタチ」
『親子移住』についてのトークセッション

後半のトークセッションでは、天草在住12年目となる黒沢三穂さんをゲストにお迎えしました。ご夫婦ともに東京都出身で、2011年の東日本大震災を機に、当時小学生だった長男と次男を連れて天草市へ移住を決意した黒沢さん。天草で生まれた三男と四男も加わり、6人の大家族になっています。現在は、関東エリアでの仕事が多い夫と、就職した長男はもともとの居住地だった神奈川県へ。黒沢さんと3人の息子たちは天草で過ごすという二拠点生活だそうです。

子どもを育てながら天草市でアロマセラピストとしての仕事も両立している黒沢さんと、天草市職員の濱口さんに『子育て』をテーマにお話を伺いました。

質問1:女性の働き方は?お母さんが働く場所はありますか?

黒沢さん「私自身のことで言えば、最初は仕事を決めずに移住してきましたが、今は東京でやっていたアロマセラピストの経験をいかして、活動しています。地域とのご縁から小学校で香育の教室も始めました。周りのお母さんたちは医療や介護福祉関係、自営の方も多いですね。天草で仕事を探そうと思ったら一番早いのは口コミです。もうインターネットの速度なんて目じゃないくらい(笑)。こんな仕事がしたいと地元の方に言えば、あまり知らなくても『ちょっと聞いとくよ』って、すごい心強い存在だなと思います」

濱口さん「移住される上でみなさんが考えられるのは、住むところと働くところですよね。求人の多くは福祉系で、飲食業やホテル・観光業、建設業などもあります。移住を決めて仕事を探す際には、私たちもハローワークとつなぐなどのサポートをさせていただいております」

質問2:学校について教えてください

黒沢さん「私は天草町に住んでいるんですけど、小学校が統合して今1校だけで、児童数が55人くらい。移住した当時はまだ統合前で児童は100人ほどいると聞きましたが、全体の人数が少なくなっているにも関わらず、その1割は移住者さんのお子さんなんです。田舎は不便かもしれないけど、その不便さを買ってでも移住して自然の中で生活したいという明確なビジョンがあるからこそ移住者さんが増えているのかなと思います」

稲田さん「教育の世界でも“不便益”という言葉があるように、不便だからこそ創造性を働かせて解決、改善するということがありますよね。家と学校の距離が遠いという話も聞きますが、登下校についてはいかがでしょうか」

黒沢さん「私の場合は移住前にGoogleマップで調べて、子どもが歩いて学校に行けることを確認しました。徒歩15分くらいの距離ですが、車で送り迎えされている保護者さんも多いですね」

登下校する子どもたちに声をかける地元の人たちの見守りは、防犯面での安心にもつながっているそうです。

質問3:天草での子育てはどんな感じですか。

濱口さん「移住担当者として色々な方とお話ししますが、どなたも『自然』と『人』との距離が近い、地域で子どもを見守る感じがありますよねということは良く言ってくださいます」

黒沢さん「私が一番思うのは、育てている側の親のほうが、子どもを通して“天草”を教えてもらっている機会が多いです。例えば、子どもたちが目の前の海に行って、岩場でミナっていう貝を採ってきて『味噌汁に入れて』というけど、初めて見た時は食べられるかわからなくて(笑)。すると、天草の友達に教わったそうなんです。身近な自然からも『生きる』ことを感じています」

稲田さん「都会では教育を与えないといけないかもしれないけど、天草は逆に教育をつかみ取れる機会がたくさんある、日常での学びがたくさんあるなという印象を受けます」

濱口さん「子どもさんが普段の生活や自然の中から色んなことを知り、自分で考えることができるようになる、そんなのびのびとした子育てができる環境だと感じますね」

子どもの健やかな感性を伸ばす自然環境、そして“地域とのコミュニケーション。

天草市の子育てしやすい環境を感じることのできるエピソードが満載のトークセッションでした。こうした環境は、子育て世代が移住先を選ぶ際の大きな後押しになるでしょう。

文・山田美穂

 

もぐし 海のこども園
http://mogushi.jp/

「保育園留学」|天草
https://hoikuen-ryugaku.com/amakusa

あまくさライフ/天草市移住・定住サイト
「島のような穏やかなまちに移住したい。でも島暮らしって不便かな…」と悩んでいる方に特におすすめしたいのが、天草市。ここ数年で20〜30代の移住者が続々と増加している全国的にも珍しい地域です。どんなまち?人気の理由は?などを探るには移住・定住サイト「あまくさライフ」を覗いてみましょう。
https://inaka.amakusa-web.jp/

あまくさライフ公式Instagram
天草に移住した方の暮らしやお店の紹介、移住相談会情報、その他いろんな移住に関する情報発信をしています。移住担当者による空き家紹介のライブ配信もお見逃しなく!
https://www.instagram.com/iju.amakusa/

天草市ふるさと住民登録制度
天草市では、出身者などとつながりを深めながら、魅力的な地域づくりを行うため、「天草市ふるさと住民登録制度」をはじめています。これは出身者などがふるさと住民(あまくさンサポーター)として登録し、自身が市に協力できること、市のためにやりたいことを記載するもので、登録情報をもとに市内の団体などの利用希望に応じてマッチングし、お互いにつながりを深めながら、ともに市を盛り上げていこうというものです。
https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/kiji0034927/

 

                   

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