桃の一大産地として知られる福島県国見町では近年、地域資源と自らのスキルを掛け合わせ、新たなローカルビジネスをスタートさせる地域プレイヤーが増加中。
自然豊かな町の風土を香りで表現するプロダクトづくりに挑戦する人や、役者として活動しながら町の情報発信に取り組む人、古民家をアトリエに改装中の木工作家さん、駅前開発を志し、カフェや宿泊施設をオープンさせた方まで個性豊かな人々が活躍しています。
TURNSでは、そのうち2組の地域プレイヤーを取材。国見町だから叶えられる自分らしい暮らし方や働き方、この町で描く未来像について伺いました!
■国見町の地域おこし協力隊募集中!
https://www.town.kunimi.fukushima.jp/uploaded/attachment/13660.pdf
■募集人材のイメージ
・地域食材を使った飲食店、惣菜店を始めたい人
・写真やライティングスキルを持った観光案内人
・地域産材を使った作品を制作する作家・アーティスト
・移住・定住に関するノウハウがある移住コーディネーター
・不動産・建築のスキルがあるアーキテクト
のどかさとアクセスの良さを兼ね備えた、
福島県北の桃のまち
阿津賀志山から望む福島盆地
福島県国見町は、宮城県との県境に位置する県北のまち。
農に適した環境を活かした米や果樹の生産が盛んで、なかでも桃は年間2,000トンもの出荷量を誇り、毎年夏になると旬の桃を買い求める人が全国から集い、賑わいます。
田園風景が広がるのどかな一面がありながら、東京へは新幹線利用で約2時間、仙台へは電車でも車でも約1時間、隣接する福島市には車で30分、電車で17分ほどと、アクセス環境の良さも魅力。ワーク&ライフスタイルの多様化が進む今、二拠点居住やワーケーション先としても注目されつつあります。
そんな国見町では現在、フリーミッション型の地域おこし協力隊7名が活躍中。フリーミッション型とは、応募者の提案をもとに町と協議・検討しながら活動内容を決める協力隊のスタイルのことで、自身の経験や知識、スキルを活かして活動できる点が大きな特長です。さらに、国見町では3年間の協力隊活動期間を将来的に起業・就業するための準備期間と位置付けており、副業も可能(一部条件あり)。強みを活かして町の活性化に取り組みながら、卒業後を見据えて自分らしくキャリアを育むことができます。
夢への第一歩を、国見町から
大友瑞希さん(左)と齋藤友希さん(右)。国見町の自宅兼オフィスにて
齋藤友希さんとパートナーの大友瑞希さんも、フリーミッション型の地域おこし協力隊として2024年4月に国見町にやってきました。齋藤さんは福島市出身、大友さんは仙台市出身。2024年3 月までは福島市内でカフェを運営していましたが、現在は協力隊として町の新たなブランド商品開発やPRイベントの企画運営を行いつつ、副業OKの利点を活かしてそれぞれの夢の実現に向かっています。
自宅兼オフィスという町営住宅の一室は、さながらふたりの秘密基地。暮らしと仕事がゆるやかにつながるこの場所で、自分たちのペースで活動しています。
現在二人が取り組んでいるのが、国見町の風景や地域の人のあたたかさを香りにのせて表現するプロダクトの開発です。
大友さん「パッケージには国見町ならではの写真を使って、町のPRにつながる新しいアイテムにしていきたいと思っています。ローカルビジネスは実際に行動を起こして初めて分かることも多く試行錯誤の日々ですが、国見町の協力隊は自分次第でさまざまなことに挑戦できるので、毎日がとても充実しています」
齋藤さんと大友さんは、副業OKの国見町の協力隊特性を活かし、齋藤さんは個人で起業し『Ploion』という屋号でコーヒーイベント『THE COFFEES』やローカルメディア『YOUNIIIIQ』を運営。大友さんはハンドメイドブランド『Velum』を立ち上げ小物などを製作しています。
そして2人が共同事業として行っているのが無店舗カフェスタンド『AISTI 』(アイスティー)。県内のさまざまな場所へ出向き、コーヒーやお菓子を販売していると言いますが、協力隊との両立は問題ないのでしょうか?
大友さん「役場の方々が想像以上に協力的で、自分たちも驚いているほどです(笑)。少し前まで、副業と協力隊の仕事をきちんと棲み分けようとこちらが勝手に気負っていたのですが、役場の担当の方が『夢に向かってプラスになることなら、どんどん挑戦して!』と言ってくださって。副業への熱量を下げずに、バランス良く活動させていただいています」
協力隊でありながら副業にも力を入れることで、ポップアップカフェのお客さんが協力隊として行うワークショップにも参加してくれたり、幅広い年代の方とつながるきっかけが生まれたり、それぞれの事業に相乗効果が生まれたのも嬉しい出来事。「活動するたびファンが増えている」「多くの人に応援してもらえている」。そんな実感が、国見町を拠点に活動するモチベーションになっていると言います。
齋藤さん「協力隊に応募した時に、3年間の任期を終えたらその土地を去ってしまうのではなく、本気で町を盛り上げて、活動を根付かせて、もし僕たちが町を離れたとしても地域に永く残っていく事業を作りたいと強く思いました。初心を胸に、町の方々に応援されるローカルビジネスを育てていきたいです」
近所の方や果樹農家さんから野菜や大量の桃をいただく機会もあり、「食のありがたさと人のあたたかさを実感する日々です」と大友さん
二人の夢は「福島の日常を体感できるホテルを開業すること」。県内在住の作家の作品を客室に飾ったり、福島の伝統工芸やものづくりに触れられるインテリアを揃えたり。現在開発しているハンドソープも夢への第一歩になればと始めた取り組みです。開業地は未定なのだそうですが、例え国見町を離れたとしても、現在のオフィスは拠点のひとつとして残す考えです。
齋藤さん「国見町のまちづくり会社『株式会社 家守舎桃ノ音』の代表・上神田健太さんに誘われなかったら、協力隊にはなっていなかったかもしれません。『国見町の協力隊なら、やりたいことを諦めなくても挑戦できるよ』と言ってくださったことで気持ちが決まりました。町内に上神田さんのように挑戦を応援してくれる人がいることも、僕たちが国見町にポテンシャルを感じている大きな理由です。小さな町だけど、日常が楽しくより豊かになるようなコンテンツを作っていけたらと思います」
「この香り、ちょっと足してみる?」「これはちょっと強すぎるかも」と、まるで実験を楽しむように調香する齋藤さんと大友さん。ふたりの生み出す香りが、町のいたるところに広がる日が楽しみでなりません。
“おいしい”でまちを盛り上げる、食のプレイヤーを募集!
齋藤さんと大友さんのオフィスを後にして向かったのは、町内を走る東北本線の藤田駅近くに2019年にオープンした複合施設『アカリ』。元縫製工場をリノベーションした空間の中には、飲食店やシェアオフィス、コワーキングスペースが入っており、昼時にはイタリアン『トラットリア ダ マルティーノ』でランチを楽しむ地域の人たちが会話に花を咲かせ、放課後にはコワーキングペースで宿題やゲームに興じる子供たちの声が響き、2階ではシェアオフィスに入居する個人事業主が新しいビジネスの相談に夢中…と多世代が集う国見町の新たなランドマークとなっています。
改修と運営を手がけるのは、国見町を拠点に都市計画事業やエリアデザインを行う『株式会社家守桃ノ音』。町から委託を受け、齋藤さんや大友さんをはじめとするフリーミッション型の協力隊のマネジメントも担っています。
上神田さん(左)と宮崎さん(右)。アカリ内のコワーキングスペースにて
代表の上神田健太さんは岩手県出身。妻の実家があった縁で2016年に国見町に移住し、建設会社で働くかたわら、家守舎桃ノ音を創業しました。また、スタッフの宮崎みささんは隣町の伊達市の出身。高校時代に上神田さんが主宰する勉強会に参加した縁で、大学卒業後にすぐに入社を決めたと言います。
現在、桃ノ音が取り組んでいるのが、JR藤田駅前の開発です。2024年には駅徒歩1分の場所に『CAFE&HOTEL カジツ』を開業。1階は地産の果物を使ったケーキを提供するカフェ、2階は1日1組限定の宿となっており、町のナカとソトをつなぐコミュニティースポットとして地域内外から親しまれています。また、同区画では2025年より『森のスミカapartment.』と名付けた賃貸住宅の運用も開始。無垢材の床に高気密・高断熱、太陽光発電付きの高性能住宅は、既に4室のうち全室の入居が決まっているそうです。
「まちづくり事業を通し、国見町に活気を生み出したい!」と話す上神田さん。町の一番の魅力はやはり“食”としながらも、そこには課題も感じているそう。
上神田さん「国見町は生産地としては優秀なのですが、対外的なPR力に欠けるところがあります。県内有数の桃の産地なのに観光果樹園がなかったり。加工品にすることで初めて届けられる素材の良さや可能性もあると思うので、“食”を通して町の新しい魅力をPRできるプレイヤーにぜひ来てほしいと常々考えていました」
もともと町内に飲食店は多くはなく、地元が近い宮崎さんも「外食する時は、福島市まで行っていました」と語るほど。「町全体が生産地としてのポテンシャルを活かせる人材を求めているので、活躍の機会はたくさんあります!」と力を込めます。
上神田さん「国見の食材を使ったお惣菜屋さんができたりしたらいいですよね。町民の方々も自分たちの作った野菜や果物を使ってもらえれば喜んでくださると思いますし、何
よりおいしいものを食べたいじゃないですか(笑)」
上神田さんが地域食材を活かした食の一例と挙げる「トラットリア ダ マルティーノ」の料理。週末には県外からも客が訪れる
「国見町の協力隊なら、スキルを活かした活動を副業で続けながら国見町の食に関わる事業を立ち上げることもできます」と上神田さん。これまでに採用してきた方々もデザイナー、役者、木工職人、花屋、カフェ経営と多岐に渡る副業を持ちながら、協力隊としてのミッションに取り組んでいることを強調します。さらにメリットは他にも。
宮崎さん「協力隊の活動場所は国見町内であれば基本的に自由で、アカリのシェアオフィスや商店街のテナントを拠点として活動している方もいらっしゃいます。ご自身にとって活動しやすい環境を選んで、自由に取り組んでいただけます」
上神田さん「私自身がローカルビジネスの立ち上げから店舗の運営までの経験があるので、事業計画書の作成や収支計算、物件探しのお手伝いもできます。卒業後にお店を出すところまで一貫してサポートできるのが私たちの強みです」
入居間近の『森のスミカapartment』。「この一角にもっと飲食店ができたらより賑わいが増すはず」と上神田さん
「いずれは、”ご飯食べるなら国見町”と思ってもらえるよう、飲食店の誘致などは積極的に行っていきたいですね」と展望を語る上神田さん。実際に、近年藤田駅前にはシチリア料理店『トラットリア ダ マルティーノ』や『CAFE&HOTEL カジツ』がオープンし、年間で15000人もの人が訪れる場所に成長しているそう。国見町の人口が約8000人と考えると、2倍に迫る集客力。“美食のまち”構想も夢ではなさそうです。
上神田さん「地域資源を活かし、町内のさまざまなお店が存続できる経済圏を作ることは、事業を立ち上げた当初からの目標の一つでした。資源豊富な国見町にはまだまだビジネスチャンスが眠っているし、できることがあると感じているので、地域の可能性を一緒に伸ばしていける人に来ていただけたら嬉しいです」
地域の魅力的な食材を生かし、まちをより豊かに“おいしく”彩る自信のある方は、ぜひ一度国見町を訪れてみてください。「ここでなら挑戦できる!」と思わせてくれる仲間とも、きっと出会えるはずです。
■採用イベントのお知らせ
このたび、東京にて国見町地域おこし協力隊の採用イベントを12月ごろに開催予定です。
町の魅力や活動内容を直接知っていただける貴重な機会となっております。 詳細はアカリのInstagramにて随時ご案内いたしますので、ぜひチェックしてみてください!
https://www.instagram.com/akarikunimi/
■記事に関するお問い合わせ先
\お気軽にお問合せください!/
株式会社家守舎桃ノ音
TEL:024-573-9013
MAIL:yamorisyamomonone@gmail.com
問い合わせフォーム:https://yamorisyamomonone.com/contact
HP:https://yamorisyamomonone.com
Instagram:https://www.instagram.com/akarikunimi/
■国見町の地域おこし協力隊募集中!
https://www.town.kunimi.fukushima.jp/uploaded/attachment/13660.pdf
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都道府県+市町村 福島県国見町 募集状況 募集中 勤務地 国見町内、国見町役場、その他 募集職種 地域おこし協力隊 雇用形態 会計年度任用職員(パートタイム) 給与 日額10,257円 ※1年を超える場合は昇給あり 福利厚生 雇用保険、共済組合、厚生年金保険 勤務時間 17日/月 勤務 ※1月につき17日以内を限度に所属長が定める日。 休日休暇 年次有給休暇、特別休暇(有給・無給)があります。
応募資格 ア 応募時点で原則として満20歳以上、50歳以下の者
※満50歳を越えても応募を受け付けできる場合がありますので、お問い合わせください
イ 心身ともに健康であり、過疎地域の活性化に意欲があり、積極的に活動できる者
ウ 申込時点で、三大都市圏または地方都市等(過疎法等に定める過疎地域等以
外)に在住し、採用後に国見町に住民票を異動し、居住できる者並びに任期終了
後に国見町で定住・起業する意欲のある者 ※詳細はお問合せ下さい。
エ パソコン(Word、Excel、PowerPoint)の一般的な操作、SNS 等で情報発信
ができる者
オ 地域住民と積極的にコミュニケーションを図り、地域を元気にするために精力的
に行動ができる者
募集期間 令和 7 年 4 月 1 日(火)から令和 8 年2月28日(土)まで 選考プロセス 書類選考及び面接を行います。
ア 書類選考
履歴書等や活動目標レポートによる選考を行います。
結果は、履歴書に記載された現住所(別途連絡先の記載がある場合は当該連絡先)へ郵送により本人あて書面でお知らせします。
なお、書類選考の合格者に対しては、併せて電話により連絡する場合もございますので、連絡がとれる電話番号を履歴書に記載願います。
イ 面 接
書類選考の合格者に対し、面接を実施します。
日時、場所等については、上記アの書類選考の結果通知に併せてお知らせします。採否は面接から10日程度を目安に、履歴書に記載された現住所(別途連絡先の記載がある場合は当該連絡先)へ郵送により本人あて書面でお知らせします。
ウ その他
上記ア及びイの結果等に対する問い合わせ等は、一切受け付けません。採用問い合わせ先 株式会社 家守舎桃ノ音 (やもりしゃもものね)
〒969-1771
福島県伊達郡国見町大字山崎字舘東 14-8 アカリ
電話:024-573-9013
E-mail:yamorisyamomonone@gmail.com備考・その他 ※国見町は国見町地域おこし協力隊の募集・採用に関する業務を「株式会社家守舎桃ノ音」に委託しています。