【求人】子どもを大人に、大人を子どもにさせる宿『みのぶ自然の里』

山梨県身延町 地域おこし協力隊募集

東京から車で約1時間半。
山梨県の南部に位置する身延町は、日本三大急流のひとつ「富士川」が町の中心を流れる自然豊かな場所。西嶋の和紙やあけぼの大豆、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺に加え、千円札と同じ風景が見られるという本栖湖や下部温泉郷など、多くの観光資源を持つ町としても知られています。

同町は、2004年に下部町・中富町・身延町の3町が合併して出来た町。当時、17,000人程だった人口は、2018年現在で、12,000人にまで減少している、いわゆる典型的な過疎化が進んでいる町です。

▲町の中心を流れる「富士川」。夏にはラフティングなどのアクティビティもできる

そんな身延町にある、体験型宿泊施設「みのぶ自然の里」は、新たな観光振興の展開を目的として2018年2月から営業をスタート。今回は、「みのぶ自然の里」の運営職員の補助を中心に、町全体を盛り上げてくれるような地域おこし協力隊を募集します。

「みのぶ自然の里」にかける想いとは?そして、そこでどのような仕事が求められているのか?身延町役場観光課・諏訪一敏さんと、施設代表者・桐戸雅光さん、そして現役の地域おこし協力隊である2人からお話を伺いました。

自然と人が鼓動するまち「身延町」

まず最初に訪れたのは、町のおへそ的存在である身延町役場の本庁舎。役場のすぐ隣を流れる富士川が、水辺特有の心地よい風を運び、思わず深呼吸してしまいたくなるようなのどかな場所です。

「この部屋、暑くてすみません。すぐ冷えると思いますからね」

爽やかな笑顔で迎えてくれたのは、身延町役場観光課の諏訪一敏さん。

「私は、生まれも育ちもずっと身延町なんです。近年では、小学校が廃校になったり、人口が減っていたりすることから、この町にも逃れられない過疎の現実が迫っていることを感じています。身延町は、人口を減らすスピードを遅らせることが大切な一歩だと考え、数年前から移住・定住政策に積極的に取り組むようになりました」

▲身延町役場・本庁舎

2015年頃から移住・定住政策に積極的に力を入れてきている身延町。子育て支援制度では、18歳までの医療費助成(例外あり)や第2子以降の保育料を無償化、ICT教育の推進などに力を入れる他、定住促進のための結婚や出産、就職の祝金制度、空き家の活用など、多方面から政策に取り組んでいます。

第1号となる地域おこし協力隊の梅澤寛人さんを採用したのもちょうどこの頃。諏訪さんと一緒に同席してくれた梅澤さんには、移住のきっかけや魅力、仕事のことについて聞くことができました。

▲あけぼの大豆拠点施設からの景色。お気に入りの場所だそう

「私は、群馬県の出身です。大学進学を機に東京へ行き、卒業後そのまま東京の企業で働いていました」

なぜ出身地でもない山梨県に移り住むことになったのでしょうか。

「大学時代から仲良くしてもらっている音楽アーティストがいて、その人を通じて山梨県を知りました。何の知識もない私は、東京の有楽町でやっていた山梨県の移住イベントに足を運んでみたんです。そしたら、その日のブースを担当していたのが身延町で、なんとなく話しが盛り上がり、翌月には2泊3日で初めて山梨県を訪れていました」

その後、梅澤さんは驚くことに翌々月には身延町へ移住。地域おこし協力隊の第1号として身延町役場産業課に配属となったのです。

「初めてこのまちを訪れた時、地元の人たちがとにかく自然体だったんです。気を使ってたくさん話しかけてきてくれるとか、観光地を案内してくれるとか、そういったものが良い意味で何もなくて。私自身も久しぶりに自然体になれた気がしました。自然豊かなところがおすすめですという人ももちろん多いですが、私は断然”この町の人”ですね。心地の良い人々がいる町だと感じて、移り住むことを決めました」

▲あけぼの大豆を加工して焙煎した「SOYCOTEA」。パッケージデザインは、甲府のイラストレーターさんが手がけたそう。きなこの豊かな香りが特徴

梅澤さんは現在、空き家バンクを活用し、一軒家に暮らしながら、町の特産品である「あけぼの大豆」の開発プロジェクトに取り組んでいます。幻の大豆と呼ばれるあけぼの大豆を、より広い分野に周知・認知してもらえるように、加工して通年活用できる仕組みづくりを研究しています。2017年には自身で考案した「SOYCOTEA」を発表。県内のマルシェなどで販売を試みていると言います。

梅澤さんを皮切りに現在、町内には4人の地域おこし協力隊がいます。梅澤さんの働く「あけぼの大豆拠点施設」に2人、今回募集をかけている「みのぶ自然の里」に1人、本栖湖いこいの森キャンプ場に1人です。

 

「みのぶ自然の里」が求む新しい風

地域おこし協力隊になる人が通勤する道をゆっくりと見ながら「みのぶ自然の里」へ向かいたいのですが…とお願いすると、「それではおすすめのポイントを見ながら向かいましょう!」と諏訪さんは快く承諾してくれました。

身延町の本庁舎から「みのぶ自然の里」へは、車で15分ほどの距離。途中道幅が狭くなるところもある少し急な山道を登ります。登ること5分程で右側に現れてきたのは、かつてこの地の小学校であった「大須成(おおすなり)小学校」の跡地。

大切に維持されている木造校舎は近年、若い世代の人たちが主催するイベントやライブなどが開催され、少しずつにぎわいを取り戻しつつあると言います。

▲「大須成小学校」の跡地。美しい形で大切に維持されています

そして、そのまま車を走らせると、今度は「句碑(くひ)の里」が見えてきました。江戸の末期から昭和初期にかけて作句活動が盛んだったこの地が、町おこしのために建てた句碑が約1,000句、道の両サイドに並んでいます。現在では、わざわざこの句碑を見に訪れる人もいるというちょっとした観光スポットになっているそう。

▲「句碑の里」。道を挟んで約1,000句が並んでいます

そしてさらに上がって行くと「みのぶ自然の里」が姿をあらわしました。
古い集落を抜けた先に突如として現れる「みのぶ自然の里」は、何処と無く幻想的な雰囲気が漂う場所。

玄関を開けると、

「こんにちわ~」

現在この場所に勤務している地域おこし協力隊の鈴木さんの元気な声が出迎えてくれました。

もともとは、青少年のための教育施設として県が運営していたこの場所を、2017年に身延町が、リノベーションして一般のお客さま向けにオープンさせたのが「みのぶ自然の里」の始まりです。

日本家屋の雰囲気を残した広々としたロビーは、優しい風が通り抜ける空間。その奥には、立派な囲炉裏もあります。部屋は全部で10部屋。その他に、テントやウッドテントも。



「子どもを大人に大人を子どもにさせる宿」そんなコンセプトの通り、こちらでは、クラフト体験や農業体験、BBQやアウトドア体験など、多くの体験メニューを揃えています。

▲施設内にある農園では、じゃがいもや特産品「あけぼの大豆」の収穫ができます

そんな「みのぶ自然の里」の立ち上げスタッフとして、2017年4月から移住し、勤務しているのが地域おこし協力隊の鈴木さん。

「子どもが小学校に上がる時期に、自然豊かなところで暮らすことを考えていました。ちょうど良いタイミングで身延町が地域おこし協力隊の募集を出していたんです。すぐに問い合わせて、面接をしていただきました。山梨というと寒くて閉鎖的な印象を勝手に持っていたのですが、訪れてみて全てが真逆だったことに驚きました。そして何より自然の色が美しかったです。山には山桜の淡いピンクなどが混ざっていて、ここにはまだ自然の色が残っているんだな~と感じたのを鮮明に覚えています。娘の卒園を待ち、この町へ移住、現在は近くの集落で暮らしながら働いています」

▲地域おこし協力隊・鈴木さん

彼女の毎日は、シフトによって異なりますが娘を送り出した後、車で山道を上がってくることから始まります。予約状況を確認しながら、15時のチェックインに向けて準備。チェックイン後は、クラフトや芝すべりなどを体験をする人の対応をします。

スタッフたちと共に考えたクラフト体験のメニューを教えながら一緒にやってみたり、体験を通じて自然や町の魅力を発信していきます。18時の夕食後は、室内にて子どもたちとドミノやカード遊びをしてみたり、ママたちとお話を楽しんだりして、お客さまと一緒に過ごすこともあると教えてくれました。

お客さまがいない時は、営業活動や経理全般、他にもクラフト体験のメニュー内容やイベントを考えたり、施設や地域の魅力発信などの広報活動も行い、充実した毎日を送っているとのこと。

「窓を開けると、正面には毛無山・右側に身延山、そして富士山も頭を出しています。生き物の声や風の音だけが響くような場所で、夜には満点の星空を見ることができるんです。ここへ来て、多くのチャンスを見つけることができました。やり方次第でやりたいことができる恵まれた環境なんです。町の観光資源は多くの外国人を引き寄せると思っています。インバウンドに興味のある人には、本当に最高な町ではないのかな?なんていうことも思います。山や自然との付き合い方も教えてくれるし、商品を開発することだってできるかもしれません」

▲部屋から見える景色。毛無山と身延山が目の前に広がります

鈴木さんは、この町にある無限の可能性を目を光らせながら語ってくれました。
その隣で、施設代表である桐戸雅光さんは、

「彼女のような人材がこの町に来てくれたことを本当に嬉しく思います。彼女だけでなく、この町に新しい風を吹き込んでくれる地域おこし協力隊は、町の貴重な財産です。この人たちが、これからもずっとこの町に定住してくれるような町づくりを皆で意識することが大切です。この施設は、まだまだ歩み出したばかり。スタッフみんなが不安の中、試行錯誤しながら頑張っています。今後は、外国人の対応も視野に入れていることもあり、パワフルで明るい人が来てくれることを心待ちにしています」

と話してくれました。

▲みのぶ自然の里代表者・桐戸雅光さん

地域おこし協力隊の2人が口を揃えて言っていた「この町の人が好き」という言葉が印象的でした。身延町は、少し車を走らせれば大型のスーパーやショッピングセンターもある比較的便利な町です。

人とのつながりを大切にするいわゆる『田舎暮らし』と、便利な都会の暮らし。

都内からたった1時間半、こんなにも豊かな暮らしを手に入れることができるということを教えてもらいました。

「みのぶ自然の里」はまだまだ歩み始めたばかり。

多彩なアイディアと行動力のあるパワフルな人を求む身延町で、町の人たちと一緒に新たなムーブメントを巻き起こしてみませんか?

写真:小澤智也・文:堀内麻実

                   
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