1万年以上の歴史を持つとされる、日本の焼き物文化。全国各地の陶磁器産地では、伝統を未来につなぐ器が今日も生み出されています。
この記事では、国産陶磁器・焼き物の種類や特徴、そして、ローカルライフマガジン「TURNS」が全国からセレクトしたおしゃれな陶磁器おすすめ5選をご紹介します!
陶磁器の種類と特徴
陶磁器にはさまざまな色形のものがありますが、主原料を基に分類すると陶器・磁器・炻器の3種類に分けられます。
陶器とは?
主原料に陶土(粘土)を用いて、1000~1300℃前後で焼成して作られる器のこと。強度を増すため厚手に作られるのが一般的で、土の質感が伝わるような素朴でぽってりとした風合いの器に仕上がります。
代表的な陶器には、益子焼(栃木県)、美濃焼(岐阜県)、信楽焼(滋賀県)、萩焼(山口県)などがあります。
磁器とは?
陶石を砕いて粉末化し、粘土状にしたものを成形して1200~1400℃で焼成して作られる器のこと。素地は白色のものが多く、陶器と比べて硬度が高く吸水性が低いという特徴を持ちます。洋食器の多くは磁器製です。
代表的な陶器には、九谷焼 (石川県) 、京焼 (京都府) 、砥部焼(愛媛県) 、有田焼 (佐賀県)などがあります。
炻器/ストーンウェアとは?
アルカリや鉄分が多めの粘土を主原料とし、1200~1300℃の温度で焼成される器のこと。
陶器と磁器の中間のような性質を持ちますが、陶磁器とは異なり器の表面を覆うガラス質の膜である釉薬(うわぐすり)を使わずに焼き上げることが多いため、土ならではの質感を暮らしの中で楽しむことができます。
日本三大焼き物
日本を代表する焼き物にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは「日本三大焼き物」と称される美濃焼・瀬戸焼・有田焼の特徴をご紹介します。
美濃焼
今から約1400年前の飛鳥時代、須恵器と呼ばれる土器が朝鮮半島から日本に伝わり、美濃の国(現在の岐阜県土岐市・多治見市・笠原町・瑞浪市周辺)で生産され始めたことが美濃焼の起源とされています。
その後、安土桃山時代には茶道に用いられる「茶陶」として名を馳せ、新しい技術や釉薬を柔軟に取り入れながら発展し、「黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部」の四様式を基本に多様な色・形・絵柄の器が生産されてきました。
今日では陶磁器の国内シェアの約50%を占める身近な器として親しまれています。
瀬戸焼
愛知県瀬戸市周辺で生産されるのが瀬戸焼です。
原料の陶土が採れる「瀬戸層群」の土は耐火性が高く、成形しやすく鉄分をほとんど含まないため、白くなめらかで美しい器に仕上がります。そのため、白い素地をキャンバスにさまざまな絵柄を描き、色とりどりの釉薬を施すなどして表情豊かな焼き物が作られてきました。
瀬戸焼に由来する「せともの」という言葉が日本のやきものの代名詞として浸透するほど、広く親しまれている器です。
有田焼
日本国内だけでなく海外のファンも多い有田焼。
その始まりは豊臣秀吉による朝鮮出兵時に、大名が朝鮮半島から日本に陶工を連れ帰ったことから。その後、陶工・李参平らによって佐賀県有田町にある泉山で陶石が発見され、日本で最初の磁器が焼かれて有田焼の歴史が始まりました。
焼成された磁器は佐賀県にある伊万里港から船で出荷されていたため「伊万里焼 」とも呼ばれ、オランダの東インド会社を通してヨーロッパにも輸出されました。
透き通るような白い磁肌に映える華やかな絵付けが特徴です。
おすすめの陶磁器
ローカルライフマガジン「TURNS」が全国からセレクトした、おすすめの器をご紹介します!
商品は全てTURNSのオンラインショップ「TURNS商店」に掲載中です。
堤焼|宮城県仙台市
特徴
かつて仙台藩市民の生活食器として親しまれた「堤焼(つつみやき)」。
現在、唯一残る窯元「堤焼乾馬窯(けんばがま)」で修行を積み独立した亀山英児さんは、周囲を海・山・川に囲まれた宮城県石巻市三輪田地区の土地に魅了され、「三輪田窯」を開窯しました。
堤焼が大切にしてきた「その土地の素材を使う」教えを継承し、工房近くの上品山(じょうぼんざん)などから採取した土・石・貝殻などを素材に器を作られています。
石巻市の漁師が漁船上でお酌をしていたエピソードから生まれた、底の広いどっしりとした形。
器の裏側には、どの角度から見ても愉しめるよう、波の紋様が焼き締められています。
器を彩る釉薬は、「海鼠」と手描きの「波紋」の2種類。
濃く深い海鼠の青と気高く力強い波紋は、どちらも豊かで厳しい東北の海を思わせます。
色・形・素材。
その全てが故郷の土地風土を偲ばせ、無二の輝きを放ち続ける器です。
おすすめ:三輪田窯の器
益子焼|栃木県益子町
特徴
江戸時代末期に開窯したとされる、益子焼。当初は鉢や水がめなどの日用品の生産が主でしたが、次第に食器の生産も始まり、素朴で親しみやすい器として広く親しまれるようになりました。
そんな益子焼の魅力と「ものを大切にする気持ち」を子どもたちに伝えたいと生まれたのが、aeruのこぼしにくい器です。器に入った食べ物を、こぼさず上手にすくえる秘密は、器の内側に「返し」がついているから。この「返し」があることで、やわらかいおかゆも細かく刻んだお野菜も上手にすくえます。
小さな頃から「ホンモノ」に触れて育ってほしいと願う職人さんの、高い技術と愛情から生まれたカタチです。
おすすめ:aeruのこぼしにくい器
九谷焼|石川県金沢市、加賀市、小松市、能美市
特徴
九谷焼は、石川県の南部、金沢市、小松市、加賀市、能美市で生産される焼き物です。
久谷五彩色(五彩手)と呼ばれる、赤・黄・緑・紫・紺青の5色の絵の具を使った鮮やかな色彩が特徴で、明治6年のウィーン万博出品をきっかけに「ジャパンクタニ」として、世界からもその名を知られるようになりました。
花鳥、山水、風物をモチーフにした大胆な絵図柄は、まるで絵画の様。
絢爛豪華な加賀百万石の文化を今日に伝える、華やかな伝統工芸品です。
おすすめ:久谷縁起豆皿コレクション
美濃焼|岐阜県東濃地方
特徴
日本三大陶磁器にも数えられる美濃焼。
そんな美濃焼の新しい歴史を感じさせるのが、冷酒を注ぐと桜の花が色づく「冷感桜 白平盃ペアセット」です。
桜の花は、職人さんによる手作業で一点一点丁寧に絵付けされていて、17℃に近い温度でほんのり淡く、冷たければ冷たいほどはっきりと色づきます。その移ろいゆく美しさもさることながら、満開の桜が水面に淡いピンク色を映しあげ、ほんのり色づくお酒の色合いを楽しむことも。
まるで春を映したかのような淡いピンクを飲み干すと、酒器はゆっくりと元の色へ。
またお酒を注げば、再び花咲く姿を楽しめます。
日本の春を、手の中でお楽しみください。
おすすめ:冷感 白平盃ペアセット
波佐見焼|長崎県波佐見町
特徴
波佐見焼は長崎県のほぼ中央に位置する波佐見町で造られます。
人口15,000人ほどの小さな町で高品質な陶磁器を作り続けられる秘密は、「町全体が工場」と例えられるほどの分業制。陶磁器の型を作る「型屋」、型から生地を作る「生地屋」、陶土を作る「陶土屋」、生地を焼いて商品に仕上げる「窯元」、絵柄を描く「上絵屋」、そして、注文をまとめ手配する「問屋」など、それぞれのプロフェッショナルが分業することで、町全体でひとつの製品を生み出しています。
おすすめ:aiyuのこどん
番外編
一味違ったキッチングッズをお探しの方へ。
日本の伝統を受け継ぐ、サステナブルな商品をご紹介します。
■経木
経木とは、木を薄く削り乾燥させて作られる日本伝統の包装材のこと。適度な湿度を保つ調湿性と通気性、抗菌性に優れ、腐敗を抑制し、食材の鮮度を保つことから様々な食材の包装に使われてきました。
「信州経木Shiki」は、信州伊那谷のアカマツを伐採して薄く削り、乾燥させて作られています。
身体にも環境にもやさしい「信州経木Shiki」を作ること、使うことが、豊かな森づくりにつながっていく。
森と暮らしの間を心地よく循環する、自然生まれの製品です。
■エコラップ
コットン生地に、みつろう、ホホバオイル、松やにを染み込ませて作るエコラップ。通常のプラスチックのラップフィルムとは異なり自然由来の素材から作られていて、繰り返し使えて環境に優しいことが最大の特徴です。
■瓦のマグカップ
1400年もの歴史をもつ「瓦」を、現代の暮らしに寄り添うよう生まれ変わらせたブランド「icci KAWARA PRODUCTS」の瓦のマグカップ。
土と火と炭素から作られる瓦は、強さと美しさはそのまま、時とともに表情を変えていきます。
瓦の奥深さを、暮らしの中でお楽しみください。
■金継ぎセット
ヒビが入ったリ、欠け割れしてしまった器を、漆と金を使って修復する伝統技法・金継ぎ。「金継ぎコフレ」は、京都の老舗漆店が作る、天然漆と純金粉で本格的な金継ぎができる金継ぎキットです。
作業日毎の説明書と、工程毎の分かりやすい動画解説が付いているので、金継ぎ初心者でも安心。
おうち時間の新しい楽しみに、大切な方への贈り物に。
お気に入りのものを、永く大切にする心をお届けします。
TURNSのオンラインショップ「TURNS商店」
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