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【12/20発売】Vol.27 特集
「つぎつぎ、継業」

後継者不足。
それはいまの日本が抱える大きな問題のひとつだ。
これまでのように生業や事業を身内が引き継ぐのではなく、
意欲のある第三者に事業を継いでもらう取り組みのことを「継業」という。
ターンズでは「継業」が地方を、魅力的で持続可能なまちにすると同時に、
我々にとって新しい生きかたのきっかけになるのではないかと考えている。
各地でつぎつぎ とつながりはじめている継業を紹介する。

文:アサイアサミ 写真:飯坂大


つぎつぎ、継業|特集1

【継ぐ人】鈴木康人さん × 【継いで欲しい人】中畑文利さん

昔はどの集落にも、野鍛冶と呼ばれる職人がいた。
鉄を叩き鍛え、野山で使う道具をつくる。
漆を掻く「漆鉋」もそのひとつ。ただしこの鉋をつくるのは、いまや日本でただ一人。その技を継ぐため、通ってくる鍛冶屋が現れた。職人から職人へ。珠玉の技が受け継がれる。これは2人の鍛冶屋の物語。

文:甲斐かおり 写真:飯坂大、濱野井雅俊さん(P23-24)

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【継いだ人】湊三次郎さん × 【継いで欲しい人】京都のまちの人々

日々の暮らしになくてはならない生活インフラから、わざわざ行く場所になって久しい「まちの銭湯」。
建物の老朽化や後継者不足で廃業を余儀なくされる銭湯が後を絶たない中、一軒の銭湯を継業し、再生させた革命児・湊三次郎。彼が模索する、銭湯の理想の継ぎ方とは。

文:高橋マキ 写真:内藤貞保

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【継いだ人】町出博和さん 悦世さん × 【継いで欲しい人】小林 照光さん

ほんものの家族ではないけれど、 ちょうど親子くらいの歳の差だからゆるやかに、やさしく気遣いあって大好きな尾道のまちの記憶をつなぐ。
まだ始まったばかりの、小さなものがたり。

文:高橋マキ 写真:石川奈都子

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【継ぐ人】石川雄介さん 真里さん × 【継いで欲しい人】興居島のミカン農家たち

愛媛県松山市沖合にある瀬戸内の離島、興居島。
石川雄介さん、真理さんは、この島に暮らし、後継ぎがいない園主の畑で新しい屋号を掲げた新人のミカン農家だ。
ミカンの島にやさしく吹く新風が、島の景色を変えていく。

文:ハタノエリ 写真:丹生谷千聡


 

\後継者募集/

手紬染織の新しい価値をいっしょにつくる個性、求む
【継いで欲しい人】宮崎県綾町二上拓真さん

宮崎県の中山間地域に位置する綾町には、手仕事を守る工房がいくつも点在する。「綾の手紬染織工房」も、その一つ。
ここでは蚕を育てて糸をとり、 藍などの天然染料で染め、手織りで反物に仕上げている。作業の難しさと複雑さから、通常は分業される工程だが、ここではそのすべてを、伝統の技法でおこなう。

求む、こんな人
好奇心があり、本気で仕事に向き合える、向上心を持って働けるひと。この世界では、二上さんのように若い職人は珍しいという。仕事を覚えるには、実践あるのみ。本気であれば、年齢は問わない。それが、工房の流儀。未経験者でもチャレンジしやすい環境がある。「伝統の継承者だけでなく、個性と強みが発揮できる人とコラボして、新しい価値を創造したい」と、二上さん。刺激しあえる仲間を求めている。

文:のぐちあきこ 写真:ワタナベカズヒコ

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「泳ぐ芸術品」で世界の最前線に立つ人、募集。
【継いで欲しい人】新潟県長岡市大面富士雄さん

鯉新潟ダイレクトがある一帯は、錦鯉発祥の地。
優美な模様や、成長するにつれて起こる模様の変化を楽しむ錦鯉は、江戸時代に養殖が始まり、品種は現在100種類以上。今年5月には、県の「鑑賞魚」にも指定された。稚魚から育てても、そのうち約0.2%しか商品レベルには達せず、時には数百万円もの値が付く「泳ぐ芸術品」だ。錦鯉新潟ダイレクトでは、稚 魚から育てて販売し、ときには販売後も客から預かり、さらに美しい錦鯉に育てて提供する。

求む、こんな人
学歴・職歴一切不問。自らの成長にチャレンジする志を尊重する。語学やパソコンが得意な人は、特にスキルを生かせる環境だが必須ではない。また自然や山の中で働くのが好き、鯉が好きなど、職場環境への興味・関心も歓迎。入社後に経験を積みながら養殖の専門家、マネジメント、広報など適性を伸ばす体制になっている。会社の近くに仮住まい用の施設を完備しているので、まずはお試し移住&転職で挑戦してみることも可能。

文:丸山智子 写真:ヒロスイ

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熊野出会いの里「ゲストハウスomoya」
【継いで欲しい人】和歌山県田辺市麻野吉男さん 佐代さん

吉男さんと、当時町議だった鈴木末広さんが 1999 年に 計画、立ち上げた「熊野出会いの里」。そこに立つ築 120 年の古民家ゲストハウスは、里を象徴し、訪れる人にとっ ての “ 母屋 ” となることを目指す。
朝は早起きして、朝食の準備(継業する人には新鮮な野菜を生かした夕食も提供してほしい)。朝から収穫体験がある場合も。ゲストの見送り後、 掃除、洗濯して日中はひと休み。午後からはゲストを迎え、夕食とお風呂の準備。食事の片付け、朝食の準備をして就寝。合間にSNSを使って発信したり、予約をチェックし返信したり。

求む、こんな人
一期一会を大切にする夫妻は、ゲストの心がよみがえるような場所を目指してきた。「吉男さんが高齢になり体力的にも難しくなっています。単にゲストハウスを継ぐだけではなく、里の理念に共感し、里の魅力を新しい方法で発信してほしい。同じ敷地でシェアハウスを起業する動きもあり、共同体でやっていけるひとがいいですね」 (佐代さん)。「里の軸である農ができる人がいいですね」(吉男さん)。

文:ハタノエリ 写真:MICHIKA

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ままかRe:Project
【継いで欲しい人】岡山県瀬戸内市浅井克俊さん

ままチョビほか、バーニャカウダ風の「ままにゃカウダ」、「まままスキングテープ」など、ユニークな商品を生み出す。「自分たちがワクワクするか」がポイントだ。
ママカリがとれる時期とそうでない時期で変わるが、収獲時期の9月から11月は1年分の2トンを仕入れする必要がある。当日漁師から連絡をうけ、朝に取りに行く。袋づめし冷凍庫へ。日中は製造作業。製造を自身でするかひとを雇うかでも変わる。合間をみてPR活動や営業。現在の取り扱い店舗は10店舗で、販路も受け継ぐ。

求む、こんな人
地域に住んで、将来的には事業主になり、このプロジェクトを担ってくれるひと。地域の可能性を信じられるひと。事業を引き継ぐだけではなく、事業を生かして次の可能性を考え、活動を広げていきたいと考えるひと。「ママカリの需要をもっと増やし、話題性をつくっていってほしい」(浅井さん)。

文:ハタノエリ 写真:MICHIKA

 

※記事全文は、本誌(vol.27 2017年2月号)に掲載