
特集|地域を動かすローカルビジネス
人口減少、少子高齢化、産業空洞化……地域が抱える課題はたしかに深刻だ。
しかしだからこそ、そこは革新的なアイデアが芽生える「最前戦」。
高い理想を掲げる事業者らが現在、全国のローカルで従来の枠組みを覆すビジネスに挑んでいます。
都市型のモデルの模倣ではない、固有の資源や文化を活かした独自の事業を創造する。
それによってヒトやモノの新たな流れが生まれ、停滞していた地域が再び動き出す。
今号で特集するは、そんなローカルビジネスの牽引者たち。
「夢」を追いながらもしっかりと「そろばん」を弾く、その舞台裏に迫ります。
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巻頭レポート
秋田県・秋田市|株式会社アウトクロップ
ストーリーを語り、社会を動かす
地域密着を価値に変える映像制作会社
保守的と言われる地域であっても、ヨソモノやワカモノによるビジネスが必ずしも困難ということはない。2025年の調査で人口減少率全国一位となった秋田県は、地元の人たちが「ここは保守的だから」と口を揃える土地柄。だが、この地の映像制作会社アウトクロップは、地域からの有形無形の支援を糧に事業を軌道に乗せ、2024年には地域とソトとをつなぐ場の運営にも乗り出した。
岐阜県・郡上市|有限会社EAT&LIVE
人と自然、地域の再生を目指して
公民ともに歩み続けられる関係を
民間企業やNPOなどの団体が、自治体に代わって公共施設の管理運営を行う「指定管理者制度」。
導入する自治体は増えているものの、持続可能な運営においては課題が残り、撤退を余儀なくされる民間事業者も少なくない。
そんな中、地域固有の自然文化資本の価値を引き出し、事業を軌道に乗せてきたプロフェッショナルがいる。
岐阜県郡上市でアウトドア体験事業「EARTH SHIP」を手掛ける有限会社EAT&LIVEだ。
ロマンと算盤の両輪で、人と自然、そして地域を再生してきた同社の軌跡に迫る。
熊本県・熊本市|トイメディカル株式会社
「塩分過剰時代」を技術で乗り越える、地方発スタートアップの挑戦
起業のかたちはさまざま。その中でも近年注目を集めているのが、革新的な技術で社会課題の解決を目指すディープテック・スタートアップだ。
世界に目を向ければAIや量子技術、再生可能エネルギーなど、世の中を変える可能性を秘めた技術が次々と生まれている。
熊本市という地方都市でバイオテクノロジー分野に挑み、10年以上にわたり業績を伸ばし続けているの「トイメディカル」。
地方ならではの形と課題から生まれたグローバルな挑戦とは?
島根県・益田市|益田工房
宿命の土地を創造の舞台に。ホテルとデザインで文化を耕す
「何もない」と思っていた生まれ故郷。
複雑な感情を抱えながらしぶしぶ帰ってきたかつての若者は現在、事業を通して街に文化の種を蒔こうと日々奔走している。
島根県益田市でデザイン事務所「益田工房」とクラフトホテル「マスコスホテル」を営む洪昌督さん。
分野の枠にとらわれない柔軟さと、「アート性」という核は決して曲げない剛直さによって生み出されるプロダクトと場が、地域にたしかな変化をもたらしている。
千葉県|市原市合同会社開宅舎
空き家はまちづくりの種里山に面白い「つづき」をつくる
総務省の調査では、日本国内の空き家は約九百万戸(2023年10月時点)。
所有者の意思確認の困難さや解体工事費の高騰など、山積する課題に全国の自治体が頭を悩ませている
そんな中、千葉県市原市の加茂地区で活動する開宅舎は空き家を「課題」ではなく「可能性」と位置づけ、四年で五十人の移住者を呼び込んだ市原市合同会社開宅舎。
その基盤には、粘り強い調整力と軽やかな遊び心、そして強い地元愛があった。
第2特集
ローカル発、世界へ
まずは地元で基盤を固め、次に東京をはじめとする都市部に進出する。それがかつての地方企業の成功パターンでした。
しかし、近年増えてきているのは、国内の都市部を経由せずに海外進出を目指す地方の事業者たち。
過当競争が激化する国内よりも、商品やサービスの価値をフラットに評価してくれる海外に打って出る。
それは理にかなった成長戦略とも言えます。
世界市場という大海原に漕ぎ出した事業者らは何を考え、悩み、乗り越えてきたのか。その軌跡と現在地を追います。
B-Bridge International CEO |桝本博之さん
失敗なくして成功なし
世界進出の鍵は「マインド」にあり
地域での起業や後継者による事業再編が増えてきた昨今。
中には世界を視野に入れ、成長拡大を目指す地域発の企業もあり、その数は年々増えてきている。
しかし、他国と比べるとまだまだ劣勢であると、Silicon Valley Japan College(SVJC)発起人で学長を務める桝本博之さんは指摘する。
スタートアップの聖地で長く活動してきた起業家育成のプロから学ぶ、世界で闘うローカルビジネスを育てる秘訣とは?
鹿児島県・南大隅町|ボタニカルファクトリー
鹿児島発ナチュラルコスメを押し上げる
ものづくりの“哲学”と成長戦略
本土最南端のまち、鹿児島県南大隅町。
ここに、地元で栽培した植物や果物でコスメを作る企業「ボタニカルファクトリー」がある。
ビジネスには不利な立地だが、地道に売り上げを伸ばし、海外取引もスタート。
その成長の裏には代表取締役・黒木靖之さんの戦略と、黒木さんも予期しなかった著名人の後押しがあった。
沖縄県・南城市|琉球コーヒーエナジー
沖縄から世界のコーヒー市場へ
垣根を越えた連携で未来の種を蒔く
国際市場において、コーヒーは石油の次に貿易額が大きい商品。
そして日本で唯一、コーヒー栽培が可能なエリア「コーヒーベルト」の北限に含まれるのが沖縄県だ。
この地で国際的な「コーヒー産業」創出に取り組むのが、琉球コーヒーエナジー株式会社代表の高木伸明さん。
産学連携による栽培技術の開発からコーヒー果実を活用したビール製造まで、
幅広い事業展開の先に、沖縄の産業構造の刷新を目指している。
富山県・南砺市|日の出屋製菓産業
地域の誇りを米菓に乗せて
ローカル製菓会社の世界戦略
富山の田園地帯。この水路を流れる清らかな水が、地元を中心に愛され続けてきた「しろえびせんべい」に欠かせない地元米を育む。
南砺市に本社を置く日の出屋製菓産業は、1924年の創業から百年の歴史を紡ぎ、富山の海と田んぼの恵みを大切に、
米菓づくりを続けてきた。
元ミュージシャンという異色の経歴を持つ川合洋平さんが率いる現在、新たなステージとして海外市場への挑戦が始まっている。
連載ほか
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長崎県長崎市移住ストーリーあふれる長崎愛
山梨県身延町で農と生きる
佐賀県 地域おこし協力隊レポートPart 1「ふるさとに戻る」
躍動する、高知県須崎市
地域ルポ| 鳥取県
地域ルポ| 鹿児島県薩摩川内市
林業就業支援講習ルポ
僕たちのローカルデザイン考
地域おこし協力隊リポート|鳥取県大山町
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地域おこし協力隊をオススメする十一の理由
わたしもTURNSになりました|岐阜県下呂市
読んで、僕も考えた。|井上岳一
よく見ると動いている|アサダワタル
素晴らしきローカル土産