のんびり田舎暮らしを始めたい人に
【茨城】常陸太田で暮らそう

茨城県北部に位置する常陸太田市。変化に富んだ美しい自然があるだけでなく、古い土蔵や町家などを再生した飲食店や商店が点在し、歴史と文化が薫る街並みが賑わいを見せる。観光地としてはマイナーだが、市による子育て支援策も充実しており、住む町としてのポテンシャルを秘めた穴場エリアだ。「都心からそんなに遠くない場所で田舎暮らしがしたい」「子育て環境が良い移住先を探している」「週末は家族で釣りやキャンプなどのアウトドア・レジャーを楽しみたい」という人たちにおすすめしたい、常陸太田市の魅力を紹介する。

 

常陸太田の豊かな自然と暮らす

今回お話しを伺ったのは、常陸太田市で移住・就職支援に取り組んでいる塚田 慎さん。気になる地域での生活や、お試し居住ができるトライアルハウスをはじめとした移住体験施設・サポート体制について教えてもらった。

 お話を聞きました:塚田 慎さん(常陸太田市の移住・就職支援コーディネーター)
茨城県下妻市出身。東京でフォトグラファーとして活動後、2017年に常陸太田市に移住。地域おこし協力隊として移住支援に携わった後、「一般社団法人いまぼくらと」を設立し、移住者の移住・就職支援や常陸太田市と協働でお試し居住施設「勉知庵」の運営に取り組んでいる。行きつけのお店は、本場の味を子どもと一緒に楽しめるイタリアンレストラン「楽生流らうる」。

塚田さん自身もお子さんの誕生をきっかけに家族で常陸太田市での暮らしをスタートさせた移住の先輩だ。「子どもの“想像力”や“創造力”が暮らしの中で身につく環境であることが、移住先の条件でした」。家族とドライブ中に見つけたのが、美しい田園風景の残る金砂郷地区だった。「車を降りたら空気が美味しくて、直感的にここだと思いました。移住して5年経ちましたけれど、このまちをより好きになっています」と満足そうな笑顔を見せる。


▲取材に訪れた9月中旬は、収穫を待つ稲穂が黄金色に輝く季節。この写真を撮影後、「それじゃこのまま子どものお迎えに行ってきます!」と塚田さん。

現在は2人の娘さんを育てるパパ。「このまちでは、大人が子どもたちに声をかけてくれる。地域で子育てをしている感じです」。仕事と子育てを生き生きと楽しんでいる。

移住・就職支援コーディネーターが安心できる暮らしをサポート

「山があり、川があり、海が近い自然豊かな常陸太田には、インターネットでは分からない魅力がたくさんあります。まずは常陸太田を訪れていただいて、まちの雰囲気を肌で感じてください。人のつながりもとても温かく、色々な人がいるので、迷っている方、不安に思っている方も、ぜひ移住経験者の話を参考にしてほしいです。ぜひ僕たちに会いにきてくださいね」と、常陸太田市への移住に興味のある人・検討中の人に向けて温かいメッセージを送ってくれた。

 

常陸太田市の魅力はこんなところ

県内で最大の市域面積を誇り、豊かな自然と田園に囲まれた常陸太田市。温暖な気候を生かして栽培したナシやブドウが名産品だ。東京からは北へ120km。電車でアクセスする場合、水戸駅からJR水郡線で常陸太田駅まで約30分。都市部へのアクセスも良いことから、仕事を辞めずにテレワーク移住をしてくる人もいるという。「子育て上手常陸太田」をスローガンに掲げ、子育て世帯への支援を手厚く行っているのも魅力的。おむつ代助成や小学校入学祝ギフト券贈呈、マイホーム助成金など、嬉しいサービスが整い、ファミリーでの移住者も増えている。明るい雰囲気の地域子育て支援センターは塚田さんファミリーのお気に入りで、「子どもも連れて行くと喜ぶし、妻は支援センターでママ友を見つけていました」と塚田さん。

※地域子育て支援センター:保育園等に入園前のお子さんを対象に育児相談をしたり、遊びの場を提供するための拠点施設で、市内の7か所の保育施設内に設置してある。

\常陸太田のいいところ/

  • ・山や川に囲まれた美しい田園風景
  • ・歴史あるレトロな町並み
  • ・都心との二拠点もしやすいアクセスの良さ
  • ・手厚い子育て支援
  • ・移住者受け入れ体制の充実


▲常磐自動車道那珂ICから約20分、日立南太田ICから約15分と車でのアクセスも便利。主要道路の道は広く、ドライブも快適。


▲昭和レトロな町並みの鯨ヶ丘エリア。お散歩中に出会うノスタルジーな街並みに心が躍る。


▲常陸太田駅から歩いて15分の常陸太田市郷土資料館。昭和時代に町役場として建てられた美しい建築物として市外からの来訪者も多く見られる。

 

短期滞在型の「田舎暮らしトライアルハウス」で、プチ移住体験

移住に興味はあるけれど、仕事や地域コミュニティなどへの不安から、なかなか一歩を踏み出せないという人も多いのでは。常陸太田市では移住前のお試し居住施設として、生活に必要な食器や調理器具、寝具などが揃った「田舎暮らしトライアルハウス」を市内に3カ所用意している。前述の塚田さんが営む「勉知庵」は金砂郷地区にある。そのほか町屋地区の「Machiya」と里美地区の「Jinba」を管理しているのが、「ポットライクフィールド里美」代表の岡崎 靖さん。岡崎さんも長年、常陸太田市と協働して地域づくりに取り組みながら、お試し居住者の暮らしを全面的にサポートしている頼れる存在だ。「引っ越してきてから想像と現実のギャップを感じるのでは大変なので、まずは気軽にトライアルハウスを利用して、常陸太田の暮らしを味わってほしい」と岡崎さん。


▲25年前に里美地区の風景に惚れ込み、家族と移住してきた岡崎さん。地域住民と移住者をつなげる役割も担う。地域の施設の紹介や、豊かな自然のなかで森林ガイドも行っている。「きれいな空気のなかで自分の心を整えると、移住のことも考えやすくなりますよ」と教えてくれた。

【田舎暮らしトライアルハウス Machiya】
市街地から車で15分ほどの町屋地区は、美しい山々と田園が広がるおすすめのエリア。そんな景色を一望しながら暮らせるのが、築50年の民家を改修した「田舎暮らしトライアルハウス Machiya」だ。5DKの平屋には、広々とした和室が3部屋あるほか、囲炉裏テーブルが置かれた洋室と、地域の資料などが見られる資料室を完備。キッチンやバス、トイレといった水回りもきれいに管理されており、快適な生活が送れる。広い庭に面した縁側から子どもが外で遊ぶ様子を見守ることができる。


▲広くて使い勝手の良いキッチンには調理器具や食器も用意されている。「道の駅ひたちおおた」で、採れたての地元食材を揃えて料理するのも楽しそう。


▲四季ごとに表情を変える棚田の風景。季節の移り変わりを楽しみに週末滞在をするリピーターもいる。

Machiyaおすすめポイント

  • ・縁側から一望できる棚田の風景
  • ・内装がきれいで、田舎暮らし初心者にも親しみやすい
  • ・囲炉裏のある暮らしを体験できる
  • ・常陸太田の歴史を知ることができる資料室つき



〜Machiya概要〜

【 所 在 地 】茨城県常陸太田市町屋町2212-1
【利用料金】1日2,000円、8日目以降は1,000円(光熱水費込み)
【構  造】木造平屋建て5DK
【設  備】電気、ガス、風呂、水洗トイレ
【備  品】冷蔵庫、洗濯機、石油ストーブ、掃除機、炊飯器、電子レンジ、簡単な調理器具、食器類、布団類
【周辺施設】常陸太田駅11㎞、道の駅ひたちおおた12.7㎞、コンビニ3.3㎞


【田舎暮らしトライアルハウス Jinba】
「Machiya」から北上すること20分。山の色も濃くなり、より静かで神聖な空気に包まれた場所にあるのが「田舎暮らしトライアルハウス Jinba」。この集落は、ニューヨークの現代美術作家・クリストも魅了され、「アンブレラ・プロジェクト」という屋外アートを製作した地でもある。瓦屋根の立派な木造平屋建てには、「Machiya」同様、暮らしに必要な設備が揃い、田舎暮らしの日常を体験することができる。近隣住民は移住者に温かく接してくれる人が多く、地元の人と交流も楽しい。


▲おばあちゃんの家に遊びにきたような温かな雰囲気の居間。夏は沢のせせらぎの音を聞きながら、冬は掘りごたつに入りながら、のんびりと過ごすことができる。


▲天候や季節によって毎日違う顔を見せる里美地区の風景。「早起きをして散歩したときの澄んだ空気が特別に美味しいですよ」と岡崎さん。

Jinbaおすすめポイント

  • ・緑に囲まれた静かな環境
  • ・内装がきれいで、田舎暮らし初心者にも親しみやすい
  • ・Wi-Fi完備でテレワークも快適
  • ・おおらかでフレンドリーな地元住民

〜Jinba概要〜
【 所 在 地 】茨城県常陸太田市小菅町1522

【利用料金】1日2,000円、8日目以降は1日1,000円(光熱水費込み)
【構  造】木造平屋建て5DK
【設  備】電気、ガス、風呂、水洗トイレ、Wi-Fi
【備  品】冷蔵庫、洗濯機、エアコン、石油ストーブ、掃除機、炊飯器、電子レンジ、簡単な調理器具、食器類、布団類
【周辺施設】常陸太田駅22㎞、道の駅さとみ2.3㎞、コンビニ3.3㎞


【田舎暮らしトライアルハウス 勉知庵】
塚田さんが運営する築70年以上の古民家を増築した「勉知庵」は、古民家の古き良き趣と、日常生活やリモートワークに便利な設備を兼ね備えた住宅。山や川の豊かな自然に囲まれながら、徒歩圏内にスーパーやコンビニ、ホームセンターも揃っている。「勉知庵」にはレンタル自転車が備え付けけられているので、少し遠くまで足を伸ばして地域の自然や魅力を存分に堪能したい。また、敷地内には陶芸工房を併設しており、ここで定期的に開催される教室に参加して地域の人と交流を深めるのもおすすめの過ごし方だ。塚田さんが地元の人を紹介してくれたり、細かな相談ごとにも対応してくれるのも心強い。


▲室内には味わいのある古家具や調度品が。植栽も美しく整えられており、庭をながめるだけで心が癒される。

勉知庵おすすめポイント

  • ・風情ある古民家暮らしを体験できる
  • ・地域の人と交流しながら、陶芸やそば打ちの体験ができる
  • ・自転車付きで、周辺地域をサイクリングで散策できる
  • ・コンビニやスーパー、ホームセンターも徒歩圏内

〜勉知庵 概要〜
【 所 在 地 】茨城県常陸太田市久米町1625

【利用料金】1日2,000円、8日目以降は1日1,000円(光熱水費込み)
【構  造】木造2階建て 利用は1階部分の4DK
【設  備】電気、ガス、風呂、水洗トイレ、Wi-Fi
【備  品】冷蔵庫、洗濯機、エアコン、石油ストーブ、掃除機、炊飯器、電子レンジ、簡単な調理器具、食器類、布団類、自転車
【周辺施設】常陸太田駅6㎞、物産センター1㎞、ホームセンター0.4㎞、スーパー0.3㎞

 

お試し居住でできることまとめ/

・リアルな田舎暮らしを気軽に体験できる

お試し居住施設「田舎暮らしトライアルハウス」には生活に必要なものが全て揃っているので、身軽に来訪できて、すぐに田舎暮らし体験をスタートできる。地域特有の気候や食べ物、文化、コミュニティetc…実際に暮らすことで見えてくる新たな発見が、移住への一歩を踏み出すきっかけになるかも。

・豊かな自然を肌で感じる

常陸太田の大きな魅力である美しい里山の姿は、やはり足を運んで肌で感じるべきポイント。地区ごとに特徴があり、季節によって見える景色も違うので、シーズンごとに短期滞在するのもおすすめ。自分に向いているエリアをじっくり探してみよう。

・地元の人と交流することができる

塚田さんや岡崎さんを通して、移住前に地域のさまざまな施設や人物を紹介してもらうことができる。地域の人たちは移住者を快く迎えてくれる人が多く、一緒にまちを歩いたり、会話したり、交流することで、移住のヒントが見つかるかも。

・空き家を見学できる

常陸太田では空き家の持ち主と利用希望者を繋ぐ「じょうづるホーム」という空き家バンク制度があり、登録されている空き家物件を市のホームページで見ることができる。気になる物件があれば、お試し居住をしている間に見学してみては。市の担当者から助成金等のアドバイスを受けることもできる。

※空き家を見学できる条件として、空き家バンクの利用者登録の手続きが必要になります。利用者登録申請の様式については、こちらから入手できます。

\トライアルハウスを体験したい方は、こちらへ連絡を!/

▼「Machiya,Jinba」に興味のある方
合同会社ポットラックフィールド里美(シェアスペースポットラック)

茨城県常陸太田市折橋町858-1
電話:0294-33-5313

▼「勉知庵」に興味のある方
一般社団法人いまぼくらと
茨城県常陸太田市久米町1625-1
電話:050-3708-3705

 

仕事や地域住民との交流も捗るシェア施設

移住する際に大きなネックとなるのが、慣れない環境での仕事や地域住民との関係づくり。その不安を解消してくれるのが、シェア施設「新宿あらじゅくフィールド」だ。市内でサッカークラブの代表などを務める茅根隼人さんが、「地域が開かれるきっかけになるような場所を作りたい」と、木造2階建て住宅と隣接する2棟の平屋をリフォームして、テレワークが可能なシェアオフィス+シェアハウスを完成させた。オフィス部分には作業用のテーブルやイス以外にも、プロジェクターやプリンター、ホワイトボードなどを完備。会議室としても使える個室があり、多目的に活用できる。オープンして間もないが、地域住民がイベントを開催し、新しいコミュニティも生まれ始めている。


▲「地域の次の世代を作りたい」と仕事のかたわら、町おこしにも注力する茅根さん。地元名物「くじら焼き」(くじらの形をした今川焼)職人の後継者としても活躍中だ。


▲「新宿フィールド」のシェアハウス棟。広々とした1階部分は共用スペースで、2階が個室になっている。取材前日には、ここで地域仲間の誕生日会が開かれていたそう。


▲夏には眺めの良い庭でバーベキュー大会が開かれる。庭の片隅にある自家菜園で採れた野菜をその場でいただくことも。

 

新宿フィールドおすすめポイント

  • ・コワーキングスペースとしてとして利用できる
  • ・地域に知り合いを作ることができる
  • ・自分でイベントを開催できる
  • ・シェアハウスでリーズナブルに滞在できる

〜新宿フィールド概要〜
【 所 在 地 】茨城県常陸太田市新宿町279-2
【構  造】木造2階建て
【周辺施設】常陸太田駅2㎞、コンビニ400m、西山公園100m

シェアオフィス
【利用料金】1時間462円〜
【設  備】キッチン、水洗トイレ、カウンター、丸テーブル、BBQ場、Wi-Fi
【備  品】ホワイドボード、プロジェクター、プリンター、ラミネーター、ト、電子レンジ、トースター、冷蔵庫、コーヒーメーカー、お皿、コップ、ダーツボード、本棚、ブルートゥーススピーカー

シェアハウス
【利用料金】1ヶ月2万5000円〜3万円
【設  備】電気、ガス、風呂、水洗トイレ
【備  品】冷蔵庫、洗濯機、石油ストーブ、掃除機、炊飯器、電子レンジ、簡単な調理器具、食器類、布団類

 

\常陸太田はこんな人におすすめ/

        • ・自然の豊かな場所で暮らしを楽しみたい人
        • ・便利な田舎暮らしがしたい人
        • ・子どもをのびのびと育てたい人
        • ・都心の会社でテレワークをしながら移住したい人
        • ・お試しで暮らしてみてから移住を決めたい人

          〜常陸太田お試し居住情報&相談はこちら〜
          じょうづるホーム
          常陸太田市内の空き家を「売りたい・貸したい」と考えている人から提供された情報を集め、空き家の利用希望者に物件を紹介する空き家バンク制度。気になる物件を見学することもできる。
          電話:0294-72-3111
          https://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/page002895.html

           

          〜ひたちおおた 移住・定住総合サイト〜
          じょうづるライフ
          https://www.city.hitachiota.ibaraki.jp/page/dir004947.html


          オンライン移住イベント『移住者と繋がるオンライン』開催

          オンラインイベントで先輩移住者のリアルな声を聞いてみよう。移住経験者のバックグラウンドはさまざま。移住の経緯や仕事のこと、住む場所、子育てのこと、お悩み相談も、塚田さんをはじめ、市内の移住経験者とお話できる機会。常陸太田市に興味がある人も、移住先を探している人も、ぜひお気軽に参加ください。

          ■開催概要
          日程:2022年10月22日(土)・30日(日)両日午前9時〜11時。
          参加費:無料
          お申し込みはこちらから
          https://event.bokurato.com/


           

          文/八子結奈 写真/古末拓也

           

           

          【INFORMATION】秋のお祭りのご案内

          ○第35回里美かかし祭・さとみ秋の味覚祭
          期間:令和4年10月29日(土)~11月26日(土)
          場所:里美ふれあい館イベント広場
          内容:かかしの展示、10/29・10/30・11/5・11/6ステージイベントほか

          ○第33回竜神峡紅葉まつり
          期間:令和4年11月1日(火)~11月30日(水)
          場所:竜神大吊橋
          内容:スタンプラリー、県民の日特別企画似顔絵描き&おもてなし店出店ほか

          ○常陸秋そばフェスティバル里山フェア2022
          期間:令和4年11月12日(土)~11月13日(日)
          場所:山吹運動公園
          内容:新そば食べ歩きコーナー、特産物即売会ほか

          ○金砂郷のけんちん村まつり
          期日:令和4年11月27日(日)
          場所:交流センターふじ
          内容:けんちん汁食べ比べコーナー、特産物等販売ほか

                   

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