魅力的な人とともに、穏やかな日常を過ごす
【後編】

お試し移住、体験しました! in 埼玉北部

TURNSが企画した、埼玉北部でのお試し移住体験企画。

今回初めて訪れたという熊谷市と寄居町で、ユニークで郷土愛にあふれる人たち、のどかな荒川の風景、寄居の山々から見る関東平野。東京とは違う環境でフリーランスが過ごした、移住体験記の後編です。

前編はこちら

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自転車ひとつでノマドできる。

「農耕車注意」という文字が印象的。散歩やサイクリングする人から、農業用トラックまで、さまざまな人が通る生活の道となっている。

「THE PUBLIC」で移住体験初日の疲れを癒やし、次の日は自転車で一日熊谷を周遊。実は、熊谷にはシェアサイクルができるサービス「熊谷市自転車シェアリング(*)」があります。

※本サービスは、令和2年5月31日で(社会実験のため)一旦終了予定です。

自転車はやや重いものの、スピードは何不自由なく、かなり快適に乗り回すことができます。(体感ではおそらく20km近くは出ている)

途中、熊谷駅そばの「KUMAGAYA BASE」というコワーキングスペースで仕事をしつつ、

窓からは熊谷駅の街並みと新幹線が通る様子が見える。

昼には、熊谷名物のうどんで腹ごしらえを。実は、埼玉県の小麦生産量は全国第6位(平成30年時点)、熊谷は埼玉県内で一位の生産量を誇るそう。

そんな熊谷の中でも特に有名なのが、ここ「いなかっぺうどん」。熊谷では「肉汁つけめん」が主流。麺は弾力があり、一本一本がとても太い。なかなかの食べごたえです。

その後は、石原駅近くにある温泉施設、「熊谷温泉 湯楽の里」に。平日にも関わらず、ジャグジー風呂は満席。さすが、スパ・温泉激戦区と呼ばれる埼玉なだけあります。

サイクリングでの疲れを癒やしつつ、Wi-Fiが通った休憩所で、仕事を軽くすませます。そんなこんなで、この時点でもう夕方。この日は早めに「THE PUBLIC」に戻り、ゆったりとビールを飲みながら仕事をする夜にすることに決めました。

コワーキング、カフェを転々としながら仕事をし、疲れたらスパに。フリーランスにとって何不自由なく過ごせそうな実感が湧いた一日でした。

 

変化の途上にある街、寄居

名残惜しい気持ちを抑えながら熊谷を後にし、秩父鉄道で揺られながら次の目的地である寄居に向かいます。熊谷から30分ほどで寄居に到着。熊谷とはまるで違う装いの街にいささか戸惑いました。わずか30分でこんなにも景色が変わるのか。

着いてそうそう、寄居町のタウンマネージャーの上田さんに、寄居の町やタウンマネージャーの仕事をするまでのいきさつをお聞きしました。

「昔は地元寄居が好きではありませんでした。離れたいがために、あえて横浜の大学に行きました。その後、何社か経て、離島などの地域のコンサルティングをする仕事に就きました。さまざまな地域で仕事をし、地域の人と関わる中で、外側から寄居の良さに気づくことができました。そして、なにか自分が地元寄居にできることはないかと思うようになりました。」

そんな想いから、約2年前に寄居に戻り、タウンマネージャーに。

「現場にとどまらず、提案するだけのコンサルティングのあり方に違和感がありました。自身が身を削り、地元で奮闘する姿を見せることが、タウンマネージャーのあるべき姿だと思っています。」という上田さんの言葉通りに、寄居駅前の和菓子店だった空き店舗を活用し、カフェと宿の複合施設の建設中だ。

「寄居町は変化の途上にあると思っています。外から来た人を歓迎する人間性があるので、これから面白くなる局面だと思います。」

 

なにもないけれど、それがいい。チャレンジできる余白がたくさんある

その後は、寄居名物、創業明治40年の老舗カツ丼屋、今井屋で「カツ丼」をいただきました。

一般的なカツ丼といえば、卵でとじたものを想像しますが、ここのカツ丼は、タレカツです。

お腹を膨らませたあとは、正喜バルの大野さんにお話を伺いました。大野さんは、寄居町をもっと元気にしたいという想いから、お店を立ち上げたそうです。

「お店を始めて5年目になります。寄居に3店舗、小川町にも1店舗出店しています。寄居は、頑張っている人の数が多いと思いますね。実際に、寄居町には『空き店舗補助金』があって、チャレンジする人を応援する制度もあります。」

寄居にはなにもないけれど、チャレンジできる余白がたくさんある。そう熱く語ってくれました。

「上田とは幼馴染で、上田が帰ってきてから、寄居が活気づきました。本当に彼のおかげだと思います。今後はスナックもやりたいです。何気ない会話をする場所というより、夢や希望を語り合えるようなそんな明るい未来が見えるスナックにしたいです」

寄居には、外で飲み歩く文化があるそうです。私も、2日連チャンで寄居の夜を体験しましたが、どのお店にも多くの人で賑わっていました。

きんのすけでいただいた、寄居名物「やきとり」。寄居では、やきとりの「とり」は鳥ではなく、豚のこめかみ。

寄居の街はなにもないようで、実は見えていないだけ。通り過ぎる全てのお店にストーリーがあり、ひとつひとつがとても奥深いんです。それが寄居を訪れて最も印象に残ったことでした。

洋服リフォーム、着物リメイクをする「アトリエリカ」も、そのお店のうちの一つ。「アトリエリカ」は、日向坂46『DASADA』のロケ地にもなった場所で、店内はとても趣のある雰囲気です。

「このお店のコンセプトは「慈しみ」です。洋服には大事な思い出がこもっています。古くて破れてしまったものに、また息吹を与えて、次の思い出につなぐのが仕事です。洋服リメイクだけでなく、ヨガレッスンや薬膳カレーを作ったりなど、慈しみをテーマに様々なことにチャレンジしています」と加藤さんは話します。

マニアックな料理本がずらり。探究心がすごい…。

 

海以外の田舎の魅力がつまっている場所。

その後、車で寄居の中間平に向かいました。山の上とは聞いていましたが、向かう先は獣道。どんどんと細い道を進んでいきます。そうして着いた中間平からは、関東平野が一望できます。運が良ければ、スカイツリーも。

次の日、中間平とは反対側にある円田良湖までハイキングもしました。湖のそばには、釣り堀も。ここでは「ヘラブナ釣り」が有名らしく、釣り堀には多くの人が座り、じっと魚を待っていました。

気づいたら空の色は変わり、夕方。「肉のみねぎし」で、寄居名物の豚肉の味噌焼きをおみやげに購入し、滞在したい気持ちを抑え、寄居を後にしました。

 

まとめ

今回は、熊谷・寄居と、特色の違う2つのエリアで移住体験をしながら、フリーランス目線で暮らしてみました。

実はいうと、この滞在期間中は個人的に仕事に追われていて繁忙期でした。だから、コワーキングスペースやWi-Fiのある場所を探し、それをレポートする予定だったのです。

実際に移住体験をしてみたら、そんなことはどうでもよくなりました。なぜなら、「人」が魅力的だったから。

確かに、作業できる場所が街にたくさんあった方が便利だと思います。ただ、仕事は人とのつながりの中で生まれます。都心に住んでいると、とても近い距離にコンビニ、飲食店、オフィスが存在しています。その利便性に飲まれ、コミュニケーションを忘れ、または面倒くさがり。気がつくと息が詰っている、そんな経験はあると思います。

人と交流するという余白を楽しむ。自然と溶け合い生活する。こういった生活が、結果的にフリーランスにとって豊かな生活を送れるのではと、熊谷・寄居に滞在して感じました。また来ます。

(体験者:俵谷龍佑)

                   

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