こんにちは。ターンズ インターン生の園部です。
2018年から虎ノ門で展開中の「旅するマーケット」はご存知でしょうか?
ここは、日本各地の食材を使った料理・特産品の販売や、地域のさまざまな体験ができる場所です。 この旅するマーケットは「2020年東京オリンピック・パラリンピックを活用した地域活性化推進首長連合」が主催しています。 私たちターンズも、旅するマーケット事務局の一員として、様々なイベントの企画運営に取り組んでいます。
今回、主催自治体の一つである新潟県十日町市を拠点に活躍する地域キーマン、大塚眞さんに会いに行ってきました。その様子をレポートします。
大塚さんが地元の「(有)瀧長商店」と共に運営するシェアスペース、「asto -Art Scape of Tokamachi-」。十日町の茎-Scapeとなり、ここで花を咲かせてくれる人が増えれば…という思いが込められている場所です。今回は、こちらの一角でインタビューをさせていただきました。
魚沼産コシヒカリの本場、新潟県十日町市。
豪雪地であるこの地域は、清らかな雪解け水がお米や作物、日本酒などの豊かな食の恵みを育みます。また、京都や金沢に継ぐ着物の産地としても栄え、織物のまちとしても有名です。
地域おこし協力隊導入の先進地であり、現代アートの祭典「大地の芸術祭」の開催地でもある十日町。外からのものを積極的に受け入れるという地域性を持っています。
大塚さんと地域
そんな十日町を拠点に活動されているのが、大塚さん。もともと地方に興味があり、大学では公共政策や地域づくりの分野を学んでいました。サークルなどで地域活動をしていた学生時代、転機となったのは2011年に起こった東日本大震災でした。
現場に行き甚大な被害を目の当たりにしたことから、学生を集め復興支援のバスツアーを企画しました。一大学生の活動では何も変わらないのではと感じることもあったそうですが、仲間と力を合わせて清掃ボランティアをした家一軒を、まるごと綺麗にすることができました。そして、それを見て泣いて喜んでくれる人がいたのです。
「社会に大きなインパクトを与えることは難しいかもしれないけれど、『地方のこの場所』というミクロ単位で見るとこんな自分でも小さな変化をもたらせることを知りました。」
のべ300人近くの学生を現地に送り、ボランティア活動を続ける中で、地域で活動することの面白さを感じた大塚さん。しかし、継続するためには事業にしなければいけない。そんな思いから2012年3月に株式会社toizを立ち上げ、事業を通して地域に携わることを選びます。当時大学2年生でした。
学生時代からたくさんの地域と関わっていた大塚さんですが、2015年4月、それまで暮らしていた最初の移住先の伊豆を離れ、十日町市に移住することになりました。
十日町に惹かれて
大塚さんが十日町に惹かれた一番の要因は、人の「おもしろさ」でした。
「取材で松之山温泉に行ったんです。そのとき誘われた飲み会で、熱く十日町を語ってくれたおじさんがいて。一緒にお酒を飲んで騒いでとても仲良くなったと思っていたのに、翌日には僕のことを覚えていなかったんですよね。それは悪い意味ではなくて、東京から取材で来た人だから特別に誘ってくれたのではなく誰に対しても自然にそういうことをしているんだなと気が付きました。それで、十日町の人たちが自然に持っている“おもてなしの心”を感じたんです。」
取材に来たからではなく、外から来た人をもてなすために自然にしてくれたこと。そこに嬉しさや温かみとはまた違う「おもしろさ」を感じたのだそう。地域のよさは人のよさ。知れば知るほど、十日町に惹き込まれていきました。
松之山温泉街。(http://www.matsunoyama-onsen.com/)松之山温泉は、有馬温泉、草津温泉と並んで日本三大薬湯としても知られます。
松之山温泉街に設置されている巨大な牛のモニュメント。大迫力です。
住むことで起きた変化
地域に住むことで関係が広がり、できることも増えたという大塚さん。
「今まではPRだけしか関われなかったことが、一緒にプロジェクトを運営するところまでできる。微力ながら関わったことが形になっていくのを、近くで見られるのがいちばん大きいですね。」
地域に深く携わるおもしろさを知った反面、地域活動ではなく仕事としてやっていくことの難しさも知りました。
住めば住むほど、地域には教育・福祉・医療・交通といった様々な要素があることを知り、ビジネスとしてアプローチできることは限られると感じた大塚さん。
「自分のビジネスをしっかりやって、地域の産業を盛り上げることは大事です。でも、産業的なアプローチだけでなく公共的アプローチも大切で、2つがうまく噛み合わないと地域は動いていかないんです。」
自分の活動をアピールしつつ、公共が描く地域像に自分たちがどう寄り添っていけるか。産業と公共をどのように繋げていくかを考えていかなければいけないと大塚さんは言います。これは十日町に住み、深く関わることでわかったことでした。
大塚さんがかつて住んでいた、「ギルドハウス十日町」。空き家となっていた築100年以上の古民家をセルフリノベーションし、「住み開き」の家としてたくさんの人が集うコミュニティの場です。
地域で生きる
学生時代からずっと地域と携わり、様々なアクションを起こしてきた大塚さんにとって、地域で生きるとはどういうことなのでしょうか。
大塚さんは、地域で生きることを「全身全霊をかけてぶつかっていき甲斐のあるライフスタイル」と表現しています。そして、地域は「何屋」にでもなれる場だとも言います。時には廃校利活用プロジェクトの代表になったり、まくら投げのインストラクターになったり、WEBやデザインの制作会社としてだったりと地域に関わる時の顔は様々。
地域が持っている課題は、一朝一夕に解決できるものではありません。地域に住みながら自身がやりたいと思うことを全力でやっていくことが、結果的に地域のためになっていく。また自分の持つ様々な側面が、誰かの役に立っていく。
それは、地域の足りないピースを埋めていくことにも繋がります。
asto -Art Scape of Tokamachi-にて行われていた、つまみ細工のワークショップの様子。astoではこのようなワークショップがたびたび開かれ、人々が集まる場となっています。社会人がシェアオフィスとして利用するだけでなく学生の勉強スペースとしても利用されている、地域みんなの拠り所です。
これからのつながり方
最後に、これから地域とどのようにかかわっていきたいかお聞きしました。
「住んでいる地域は、関わることに際限がないんです。いま自分が拠点としている十日町や地域と、もっと深く深く関わっていきたいと思います。」
住んでいない地域に外から関わっていると、限界が見えることがある。その地で暮らし、どっぷり浸からなければできないことがあります。
たくさんの地域と関わる選択肢もあるけれど、今後も十日町で生きていく。「決めることで、変わることもあると思うんです。」という大塚さん。
「決めたからにはやります。まちと一緒に進化してきいきたいと思います。」
力強く話す大塚さんと、十日町のこれからが楽しみです。
大地の芸術祭の会場、まつだい「農舞台」に沈む夕日
(文:園部莉緒)
\大塚さんにお会いできます/
来たる3月18日(月)、旅するスタンドにて今回お話を伺った大塚眞さんをゲストに、イベントを行います。
大塚さんに会いに、ぜひお越しください!
【TURNS BAR 第4夜】
日 時:3月18日(月) 19:30〜21:00
場 所:旅するスタンド
参加費:500円 +1ドリンク制(魚沼産コシヒカリのお土産付き!)
※キャッシュオンでスタンドのお酒と料理が注文いただけます
詳細・お申し込みはこちらからご確認ください。
https://www.facebook.com/events/440883269985735/
さらに!
\旅するいっぴんいちに十日町が出店します/
1日限りの小さな商店街、旅するいっぴんいちに、十日町からは「松之山温泉合同会社まんま」の柳一成さんがいらっしゃいます。
十日町の逸品は、「温泉コスメ」。
日本三大薬湯として知られる松之山温泉の天然保湿成分を活かした温泉コスメを、この機会にぜひお買い求め下さい。
【旅するいっぴん市】
日 程:2019年3月21日(木・祝)
第一部 10:00-16:00 いっぴんいち
第二部 18:00-20:00 旅する交流会@ The CORE Kitchen/Space
場 所:新虎通り 複数会場(旅するSTAND前、The CORE Kitchen/Space 他)
※雨天時は、 The CORE Kitchen/Space(東京都港区新橋4丁目1-1)室内で開催
住 所:東京都港区西新橋2丁目17-4
アクセス:東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」より徒歩6分、三田線「内幸町駅」徒歩10分、JR山手線「新橋駅」徒歩10分
入場料:無料(※第二部は事前申込制/参加費別途)
店 舗:20店舗(予定)
詳細はこちらからご確認ください。
https://turns.jp/28072