由利本荘市は、秋田県南西部に位置する人口約7万人のまち。
山、川、海などの自然に恵まれ、登山、キャンプ、釣り、スキー、スノーボードなど多彩なアクティビティを年中楽しむことができます。
大人も子どもものびのびと過ごせる環境が魅力です。
そんな由利本荘市では、保育園遊学を中心とするお試し移住体験事業のコーディネーター役を担う地域おこし協力隊を1名募集しています。
由利本荘市(ゆりほんじょうし)ってどんなまち?
2005年に1市7町が合併してできた由利本荘市は、秋田県内で最大の面積(約1,200平方キロメートル)を誇ります。JRやローカル鉄道、バスなどの公共交通機関はありますが、市内全域を網羅するには車が必須です。交通量はそれほど多くないので、久しぶりにハンドルを握る方も急かされることなく、少しずつ運転の勘を取り戻していけると思います。
市内各地から望むことのできる鳥海山の雄姿は、日常の風景の一部。日本海、川、滝、高原など自然は身近に広がっています。その自然の恵みをたっぷりと受けて育てられた由利牛、野菜や果物、お米など地元産のおいしいものも豊富!直売所や産直コーナーでは、新鮮な食材をお手頃価格で購入することができます。道の駅は5ヶ所、日帰りで利用できる温泉施設も多数あり、休日にこれらのスポットを巡ることで、ちょっとした旅行気分も味わえます。
由利本荘市は、自然と共に豊かな生活を送ることができる魅力なまちです。
地域おこし協力隊の募集背景とミッション
今回募集しているのは、お試し移住体験事業のコーディネーター役を担う協力隊員です。募集背景やミッションについて由利本荘市役所・移住支援課の澤井純さんにお話をうかがいました。
由利本荘市では人口減少と高齢化に対応するため、お試し移住体験事業という施策を行っています。この事業の軸となっているのが、『ゆりほん保育園遊学』です。これは、都市部に暮らす子育て家族に地方の保育園と田舎暮らしを短期間体験していただくプログラムで、2022年にスタートしました。2年間で7組26人のご家族が体験し、内1組は2023年の春に由利本荘市に移住されています。
「この事業をさらに魅力的なものとするために立ち上げた『第二のふるさと“ハグクミプロジェクト”』では、都市部の感覚と多様な経験をもつ外からの視点が不可欠であると考え、今回の募集に至りました。募集の背景や主となるミッションは、お試し移住体験事業の企画や運営です。市役所移住支援課の職員と一緒に取り組んでいただきます」(澤井さん)
遊学期間中は、市内保育園にて保育にも携わります。そのため、保育士資格をお持ちの方を求めています。「親の立場からすると、事業のコーディネーターと子どもを担当する保育士が同一であることはとても心強いはず」と澤井さんは話します。その他、移住体験参加者の滞在先の整備や地域住民との交流活動の支援も行います。
また、保育園遊学についての募集や案内は十分に行き届いているとは言い難く、PR不足が課題となっています。より多くの方に知ってもらうためには周知方法の開拓が必要です。特にSNS等を活用した積極的な情報発信が期待されています。
\3年間の主な仕事内容/
1年目:移住体験事業の運営。市内保育園での研修。
2年目:都市部の子育て世代が魅力を感じる、移住体験プログラムの企画立案。
3年目:移住体験事業の拡大、ビジネス化するための仕組みづくり。
\こんな方を歓迎します/
・自然や文化を活かした保育に興味がある方
・地方暮らしに関心のある方
・地方の課題や環境に対して理解がある方
・過疎地域の魅力を見出し、SNS等で発信できる方
・子育て中または子育て経験のある方
\退任後に期待すること/
・移住体験事業の企画・運営、移住者の定住サポートを含む「保育園遊学」の事業化
・市内保育園等で保育士として勤務
保育園遊学の受入れ先「えみの森」
保育園遊学の受入れ先のひとつである保育園「えみの森」は、稲作と畜産が盛んな東由利地域にあります。由利本荘市の内陸部に位置し、のどかでゆったりとした時間が流れる場所です。
園を訪れてみると、広い園庭で子どもたちが思い思いに遊んでいました。
■社会福祉法人蔵立会 えみの森 ホームページ https://emi-no-mori.jp/
「ここは、“こどもまん中”の保育園です」と園の特色について教えてくださったのは、畑山玲子園長です。
「園や保育士が決めたことを皆一斉にやるのではなく、子どもたちそれぞれがやりたいことをやらせてあげることに重きを置いています。それは自分で考え、自分で行動し、自分の思いや考えを伝えられる、すなわち主体性をもった子どもを育てることに繋がります。目まぐるしく変わる世の中においても適応できるように、『生きる力』を育みたいと思っています」
「保育士は少し離れたところから見守ります。この見守るという行為は一見楽そうに思えますが、実はとてもむずかしいのです。どこから大人が介入するか、どのように声をかけるか、その見極めが大事。その子のことを理解していなければ、適切な支援はできません。ここは少人数なので一人ひとりに目が行き届きやすく、このような見守る保育ができているとも言えます。」
園庭での気球搭乗体験(写真提供:由利本荘市役所 移住支援課)
「つい最近は園庭で熱気球の搭乗体験を、近くの道の駅では牧草ロールアートをみんなで楽しみました」と笑顔で話す畑山園長。これらのイベントは、地域の方から「一緒に何かやろう」というお声がけがあって実現したものだそうです。地域ぐるみで子育てしている様子がうかがえました。
協力隊の任期1年目には保育園での研修が含まれており、実際の保育を体感しながら保育士としてのスキルアップも図れます。それぞれの園で異なる保育方法に触れられるので、理想の保育園や保育士像を探る貴重な機会にもなりそうです。
実際に移住した方のお話
保育園遊学をきっかけに、東京都から由利本荘市東由利にご家族4人で移住された大西秀嗣さんにもお話をうかがいました。
「保育園遊学を知ったきっかけは、東京都の保育園に掲示されていたチラシでした。実際に来てみて、えみの森の素晴らしい環境に驚きました。子どもたちは本当に楽しそうでしたし、『ここではジャンプしても、大声を出しても怒られない』と子どもが言った時には、都会暮らしでどれだけ我慢して生活していたのかを痛感しました」
大西さんご家族は2022年秋に保育園遊学を参加した後、移住を見据えて同年冬に再訪。お子さんのことをいちばんに考えて移住を決意し、2023年春に由利本荘市民となりました。ご自身も満員電車での通勤など、都会ならではのストレスから開放されたそうです。
先輩隊員からのメッセージ
最後に、現在由利本荘市にて活動している先輩協力隊員からのメッセージをお届けします。
松崎清央さん(北海道出身/2年目:アウトドアレジャー担い手プロジェクト)
由利本荘市はとにかく広くて自然豊かなまち。地域を盛り上げようと活動している方が何人もいて、協力者や賛同者は見つけやすいと思います。また、起業など自分で何か新しいことをしようと考えている人にとっては開拓のしがいがある場所です。
遠藤千賀子さん(由利本荘市出身/3年目:アベイバプロジェクト)
地方特有の不便さを由利本荘市で感じたことはありません。車での移動は必須ですが、その分行動範囲が広がり楽しめることが増えました。田んぼや山の色、風の香りなどから季節を感じ、地元の新鮮な野菜や果物などを食べられることに喜びを感じる日々を送っています。
着任前に県外で得た知識や経験を通して、活用されていない物や場所を使ったアイディアなども次々に浮かんできます。足りないものはない魅力的な場所です。
さまざまなことにチャレンジできる地域おこし協力隊で人生が変わるかもしれません。由利本荘市を楽しみながら、いいまちを一緒に作って行きましょう。
工藤明日香さん(東京都出身/3年目:ナリワイづくりプロジェクト)
由利本荘市は広く、どんな地域に何があるのかを知るまでには時間がかかります。
車の運転ができれば交通の便には困りません。おいしい定食屋さんも多く、ご飯の量の多さに最初は驚きましたが、今はもう慣れました!休日はマルシェなど各地でイベントがあり、行きたいところがたくさんあって困るぐらいです。観光スポットや温泉が身近にあることも贅沢だなと感じます。
1年目に地域のことを知り、多くの人と出会うこと、2年目以降にその繋がりから何かが生まれます。活動を通して、私は視野が広がりました。秋田県内の協力隊の研修もあり、他の地域の隊員と情報交換ができるので、積極的に参加することをおすすめします。
保育士資格をお持ちで、地方暮らしや移住支援に関心のある方、由利本荘市で新しいお仕事をしてみませんか。幅広い領域で活動してみたい方におすすめのミッションです。これまでの経験やアイディアをいかせるはず。ご応募お待ちしております!
取材・文:佐藤らなこ 写真:柳原正(自遊舎)