身延町の宝「あけぼの大豆」の魅力を
全国へ届ける地域おこし協力隊募集!
山梨県の南部に位置する身延町(みのぶちょう)は、東西に連なる山々と、町の中央をゆったりと流れる富士川に抱かれた自然あふれる町です。この山間の地で150年以上も大切に育てられてきた幻の大豆。それが「あけぼの大豆」です。
この宝物を守り、地域の魅力を次世代へつないでいくために――。身延町では、あけぼの大豆を活かして地域活性化に取り組む「地域おこし協力隊」を募集しています!
あけぼの大豆とは?
あけぼの大豆は、明治時代に関西地方から伝わり、身延町の曙地区で広がったと言われている在来種の大豆です。甘みが強く食味が良いのが特徴で、総糖量は他品種の約1.2倍。また、極晩成種で時間をかけて育ち、粒の大きさは一般的な大豆の約2倍にもなります。
1970年頃にJAを通じて枝豆として市場に出荷された際に、「あけぼの大豆」の名で呼ばれるように。2016年からは、あけぼの大豆を活用した6次産業化による町おこし事業がスタート。現在は、シュウマイ、スープ、コーヒーなど、あけぼの大豆を使った約15種類もの加工品が開発・販売されています。その成果が評価され、2022年には農林水産省地理的表示(GI)保護制度の産品に登録。2024年には日本農業賞の山梨県最優秀賞にも選ばれています。
そうした実績から認知度が上がり、10月の収穫時期になると、おいしい枝豆を求めて県内外から多くの人が身延町を訪れるように。さらに、東京の有名百貨店などでも、あけぼの大豆を使った加工品が販売されています。その希少性から需要が高まり、販売単価も年々上昇しています。
\どんな仕事をするの?/
町の6次産業化の拠点「身延町あけぼの大豆拠点施設」で、
・あけぼの大豆の栽培
・あけぼの大豆拠点施設における商品開発、販売促進
・あけぼの大豆振興協議会の事業補助
・イベントへの出店
・町内の生産者への農機具の貸し出しや栽培支援
など、多岐にわたる業務を担います。
\こんな方は大歓迎!/
・自分の力で何かを作りたい方
・地域を動かすことに情熱を持てる方
・自分の意思と行動で新しいことにチャレンジしたい方
・農業経験は問いません!
この取り組みに決められた正解やルートはありません。自分の意志と行動で道を切り拓いていくことになります。だからこそ、多様なアプローチが可能で、無限の可能性が広がっています。むしろ“敷かれたレールが欲しい”という人には向いていないかもしれません。経験よりも大切なのは、地域と向き合う熱意です。その情熱があれば、きっと活躍できます!
\受け入れ体制も安心!/
・栽培技術はあけぼの大豆拠点施設で丁寧に指導
・隊員就任の2年目から最大100万円の「地域おこし協力隊起業支援事業費補助金」制度あり
・研修費や家賃の補助あり
あけぼの大豆の作付けは、6月の種まきから1月の収穫までの約半年間。それ以外の期間は、他作物を耕作したり、人脈づくりや販売活動をしたり、自分の自由な活動に力を入れることができます。活動に支障がない範囲で副業もOKです。
【元地域おこし協力隊員インタビュー】
私もここから始まった! 小林あゆみさんに聞く
「あけぼの大豆」と身延町の魅力
身延町の地域おこし協力隊として3年間活動した小林あゆみさん。協力隊時代はあけぼの大豆の振興活動に取り組み、任期後も地域に根付いてあけぼの大豆の生産を続けています。新天地で就農し、あけぼの大豆とともに新たな人生を歩む小林さんに、この仕事のやりがいや地域への思いを聞きました。
あえて未経験の「農業」に挑戦
取材に訪れたこの日は、ちょうど畑で土づくりの真っ最中。機械を使って畑に生やした植物を粉砕して、それを緑肥としてトラクターで土にすき込む──これからの種まきに向けて欠かせない作業です。
小林さんは山梨県甲府市の出身で、保育専門学校を卒業後、横浜市内の保育園で9年間勤務。保育士の仕事にやりがいを感じていたものの、「もっと世の中のことを知りたい」という思いがありました。そこで、海や山の近くで働きながら地域に触れる”暮らし旅”に出ます。しばらく各地を渡り歩きながら暮らしていた小林さんが、なぜ身延町の協力隊員になったのでしょうか?
「働いていた三宅島のゲストハウスで、お客さんから『身延町に空き家があるから来てみたら』と声をかけられたことがきっかけです。次の滞在地が決まっていなかったので、とりあえず行ってみようかなと。実際に身延町を訪れたところ、町の自然豊かな景色にひと目ぼれしました」
町内でアルバイトをしながら3カ月を過ごすなかで、地域の人の温かさに触れ、「もっと町のことを知りたい」と思うように。そうした気持ちから、小林さんは地域おこし協力隊への応募を決めたのです。
「募集があったのは、農業と観光の二つの分野です。ゲストハウスや山小屋で働いた経験を活かせるのは観光の方でしたが、あえてやったことのない農業に挑戦してみたいと思いました。あけぼの大豆で身延町を元気にするというミッションはありましたが、活動内容は基本的に自由だったので、自分の興味を活かして動くことができました」
畑仕事に夢中になる日々
2018年4月に隊員に着任し、一年目は町の圃場であけぼの大豆の栽培を学びました。栽培方法や農業機械の使い方は、先輩農家に一から教えてもらったそうです。二年目は町の農園を借りて自ら実践。三年目には畑を借りて栽培面積を広げました。
「農業はすべてが新鮮で、休憩するのももったいないくらい作業が楽しい。夢中で作業していると、地域の人が『ちょっと休憩しなさい』といわんばかりに、おにぎりと漬物を包んで差し入れしてくれることもあります。その場ではお返しできませんが、また別の形でお礼をします。ここではそんな交流があるんです」
小林さんにとっての農業の面白さと苦労とは?
「種からあけぼの大豆を育てることへの愛おしさや作物の生命力を感じています。また、頑張った分だけ結果に現れるので、その点でもやりがいがあります。収穫して終わりではなく、いろいろな発酵食品に変化していく点も大豆ならではの魅力です。
農業の難しさは、人間の力ではどうにもならない事象が起きること。例えば、天候不順や鳥獣害などの影響で、計画通りに作業が進み収穫できるとはかぎりません。起きた事象と向き合うには、心と身体、そして時間のゆとりが必要です。以前よりもだいぶ考え方が柔軟になったと思います。思い通りにならないことも含めて、農業は面白いんです。農業からいろいろなことを教わっています」
協力隊退任後も身延町に暮らす理由
旅をしながら各地で暮らしていた小林さんが、協力隊の任期を終えた今もなお、身延町に根を下ろしているのはなぜなのでしょうか。
「正直なところ、隊員を3年間続けるとは思っていませんでした(笑)。こうしていまでも身延町にいるのは、『いまここにいたい』という気持ちがずっと続いているからなんです。農業についても当初から就農するとは考えていませんでした」
3年間の任期を終えて、町の会計年度職員として一年間働いた後、町の認定こども園でフルタイムで勤務。その間も農業は続けていたそうです。そんななかで就農を決意したのは、「今の自分にしかできないことにチャレンジしたい」という思いからでした。2023年に就農し、認定こども園での仕事も週2日に減らして継続。他にも、週末にキャンプ場で働いたり、イベントで焼いもを販売したりと、好きなことを組み合わせながら生活しています。
子どもたちに伝える「農」の大切さ
町の認定こども園や小学校では、子どもたちの郷土愛を育む取り組みとして、「食農教育」にも取り組んでいます。小学校では外部講師として3年生に、年間を通して栽培から加工までを教えています。
「農育の活動は、『生きる根底にある食と農の大切さを伝えたい』との思いで、隊員任期中に始めたものです。最初は大豆と枝豆が同じ作物であることを知らない子がたくさんいました。いまでは子どもたちが、あけぼの大豆のことを当たり前のように知っていて、地域に根付いてきたように感じます」
地域に支えられながら、あけぼの大豆を次の世代へつなぐ
取材中、知り合いの農家の方がたまたま車で通りかかり、道端で小林さんと雑談を交わす場面がありました。
「いまでは人が少なくなってしまったけど、おれはこの地域をなんとか残していきたいんだ。小林さんが町に来てくれて万々歳。本当にありがたいね。小林さんのような人がどんどん来てくれるとうれしいな~」
そんな農家の方の言葉に、「がんばります」と少し照れくさそうに笑う小林さん。そんな一場面に、小林さんへの信頼や移住者を受け入れてくれる地域の人の温かさを垣間見た気がします。
取材の最後に、地域への思いや今後の展望を聞きました。
「自然豊かな地域にいるからこそ育める『生きる力』があります。農業や体験を通して、これからも人とのつながりや地域のコミュニティを大切にしていきたいです。また、農業で楽しく暮らしていけるということを自分の姿を通して伝えながら、次の世代につなげていきたいです。謙虚に誠実に、できることを精一杯やるのみです」
地域おこし協力隊への応募を考えている方へ
\小林さんからのメッセージ/
「身延町には、やりたいことにチャレンジできる環境があり、心地良いコミュニティがあります。私の場合も農業の世界で挑戦したからこそできた仲間やつながりがたくさんあります。隊員になるか迷っているなら、後悔するよりも挑戦してみるべきです。悩んでいるよりも一歩を踏み出してみることが大事だと思います。心躍るような選択を!」
\身延町からのメッセージ/
「身延町の産業課では、これまでに現役を含めて8名の隊員が活動。そのうち6名が現在も身延町に定住し、あけぼの大豆の振興に関わっています。あけぼの大豆は通常の2倍近い金額でも完売するほど需要が高まっており、高いポテンシャルがあります。地域おこし協力隊の方には、ただ大豆や枝豆を生産するだけでなく、加工品の開発や新たな販路の開拓にチャレンジしていただきたいです。例えば、昨今のヴィーガン食や大豆ミートなどのトレンドに対して、開発は追いついていません。あけぼの大豆の世界には、まだまだブルーオーシャンが広がっています。
身延町は人口が少なく高齢者が多い小さな町です。だからこそ、役場や町民との距離感も近い。大きな町・人気の移住地に比べて、町のバックアップも厚く、脚光を浴びる場面が多いのも特徴です。過去の隊員の方々も埋もれてしまうことは、誰一人としてありませんでした。身延町はあなたのチャレンジ次第で、“何かを動かす”ことができる町です。興味のある方は、ぜひお問い合わせください」
「みのぶゆば推進担当」も募集中!
身延町では、「みのぶゆば推進担当」の隊員も募集しています。「みのぶゆば」は、身延山久遠寺の修行僧が食べていた伝統料理で、長い歴史を持つ町のもう一つの特産品です。今回は、調理や飲食業などの経験のある熱意のある方を募集。活動は「みのぶゆばの里」を拠点に、ゆばの製造・販売・開発やHP・ECサイトの管理などを行います。ちなみに、あけぼの大豆を使ったゆばはまだ開発されておらず、新たな商品開発のチャンスになるかもしれません。
山梨県身延町はこんなところ
身延町全景
下部温泉
本栖湖でのアクティビティ
身延山久遠寺 観桜期
本栖湖の紅葉と富士山豊かな自然環境、歴史と文化が息づくまち
身延町は面積の8割を森林が占め、その豊かな自然環境から登山やキャンプ、富士山の絶景が望める本栖湖(もとすこ)でのSUPやカヌーなどアウトドアアクティビティも満載です。また最近では、アウトドア系漫画『ゆるキャン△』の聖地としても知られています。意外と海にも近く、駿河湾までは車で30分です。
歴史も古く、町の南部には1282年に日蓮聖人によって開山された日蓮宗の総本山「身延山久遠寺(くおんじ)」があります。富士川の流れに沿って旅館などが建ち並ぶ「下部(しもべ)温泉郷」は1300年の歴史があり、日本の名湯百選にも選ばれています。
子育てにちょうどいい生活環境
身延町は、自然の中でのびのびと子育てができる環境が整っています。豊かな森や川に囲まれ、四季折々の自然に触れながら、子どもたちは感性を育み、健やかに成長できます。若者や子育て世代へのサポートも手厚く、給食費・修学旅行費は町が全額負担。また、18歳まで医療費が無料など、町は「全国トップレベルの子育て・教育支援施策」を掲げています。すでにお子さんがいる方や、田舎暮らしでの子育てを考えている方には最適の環境です。
取材・文:鈴木俊輔 写真:古末拓也
▼身延町公式サイト
https://www.town.minobu.lg.jp/
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都道府県+市町村 山梨県身延町 募集状況 募集中 勤務地 身延町あけぼの大豆拠点施設 募集職種 あけぼの大豆推進担当【2名】 雇用形態 個人事業主として、身延町と委託契約を締結して活動します。 給与 年額350万円(消費税及び地方消費税を含む)
年間の委託料を12で除した金額を1月ごとに支払います。福利厚生 国民健康保険、国民年金などは、自身での加入が必要です。 勤務時間 週5日、1日 7時間30分勤務(1週間あたり37時間30分の中で、身延町及び身延町あけぼの大豆拠点施設の指定管理者と協議) 応募資格 (1)概ね年齢18歳以上40歳未満の方
(2)三大都市圏内の都市地域又は指定都市に現に住所を有し、採用後、身延町内に住民票を異動できる方(地域要件については総務省ホームページ参照)
(3)普通自動車免許を有し、実際に運転できる方
(4)地域の特性や風習を尊重し、異なる価値観を持つ人たちとも円滑なコミュニケーションを図りながら積極的に 企画・提案・実施ができ、求められた業務に対して誠実に取り組める方 、活動に取り組むことができる方
(5)パソコンの基本操作(ワード・エクセル・パワーポイント等)ができる方
(6)あけぼの大豆の栽培方法を柔軟に学び、組織や近隣住民と協同して農業に従事できる方
(7)心身が健康で、かつ地域おこし活動に意欲と情熱を持ち、地域を元気にするとともにと協働することができる方
(8)協力隊としての活動期間終了後も身延町に定住し、就業・起業しようとする意欲を持つ方
(9)地方公務員法第16条に規定する欠格条項に該当しない方募集期間 定員になり次第、締め切り 選考プロセス (1)書類選考後、面接審査を実施します。
(2)面接前後に活動拠点となる事業者との顔合わせ等を行います。
(3)面接審査日時は、後日応募者に連絡します。
(4)面接審査会場は、身延町役場となります。
(5)最終結果報告は文書で通知します。
(6)応募、面接審査等に係る経費(旅費等)は応募者の負担となります。
※応募前に、実際の活動内容や生活を2泊3日で体験ができる「おためし地域おこし協力隊」を活用することができます。詳細はお問い合わせください。交通費は自費負担になります。採用問い合わせ先 身延町役場産業課 磯野・渡辺
TEL:0556-42-4805 FAX:0556-42-2127
E-mail:sangyo@town.minobu.lg.jp備考・その他 委託料とは別に、下記の活動に要する経費を支給します(上限200万円)。
(1)住居の家賃(光熱水費は個人負担)
(2)車両の燃料費(活動使用分)
(3)研修費・出張などに係る旅費
(4)活動に要する消耗品
(5)その他活動に要する経費