【地域ルポ|新潟県三条市】
ものづくり精神と大自然が生んだ アウトドアの楽園

江戸時代、農家の副業だった和釘づくりをルーツとする金属加工技術で海外からも注目を集める三条市。
その技術は、市内に本社を構えるスノーピークやキャプテンスタッグなどの有名アウトドア用品メーカーに継承されている。
豊かな森と川のあるはアウトドアの聖地として人気を集め、現在はアウトドアをキーワードに
「つくる・遊ぶ・買う」がそろったまちとして移住希望者からも注目されている。

 

三条市ってどんなところ?

\アウトドアの聖地/

市街から30分。下田郷の大自然で遊ぶ

三条市東部にある下田郷エリアは緑豊かな森と清流に囲まれ、通年でキャンプや野外アクティビティを楽しめる環境が整っている。市街地から車で30分程度とアクセスしやすいため、市民にも観光客にも人気のアウトドアスポットだ。

 なかでも人気のキャンプ場は、スノーピーク本社が併設された通年で楽しめる「Snow Peak HEADQUARTERS」や、川遊びができて温泉も近い「CAPTAIN STAG® 八木ヶ鼻オートキャンプ場」。三条製のアウトドアギアをレンタルできるサービスもあるため、手ぶらで訪れても本格的なアウトドア体験が可能だ。

さらに、スリル満点のラフティングが楽しめる五十嵐川、渓流釣りスポット、四季の棚田の風景を楽しめるサイクリングコースなどアクティビティが充実。思いっきり遊んだ後は、天然温泉で心身ともにリフレッシュできる。


(左)「CAPTAIN STAG® 八木ヶ鼻オートキャンプ場」。道具一式をレンタルできるので、誰でも気軽にキャンプやBBQを楽しめる
(右)五十嵐川では春から初秋までラフティング体験が可能。ガイドが同乗するため、子どもや初心者も安心だ

\ものづくりのまち/

金属加工技術が生むアウトドアギア

刃物や作業用工具、ステンレス製品など金属加工を中心に「ものづくりの集積地」として長い歴史を持つ三条市。高い技術を持つ工房や工場が軒を連ね、海外からも注目を集めている。2013年から三条市と燕市で開催されているイベント「燕三条 工場の祭典」では工場が一斉に開放され、一般の人もものづくりを体感したり、職人と交流したりすることができる。

国内有数のアウトドア用品メーカーが三条市で発展したのも、背景に金属加工技術があるからこそ。世界の市場に「メイドイン三条」のキャンプギアを発信している。また、ふるさと納税返礼品「アウトドア部門」ランキング30位圏内の約半数が三条市内でつくられている。


(左)市内の工場には、製造現場の見学や技術体験を随時行えるところも
(右)三条の金属加工技術とデザイン力を組み合わせて生み出された高性能のアウトドアギアや工具は国内外で人気

 

〈移住者のお宅訪問〉
里山の風景と一体になるアウトドアライフを満喫中

神奈川から移住した小林さん一家が暮らすのは、里山を眺める平屋。
広大な敷地を活かして農業を始めたり、ヤギやニワトリと暮らしたり、
日々、自然の新しい楽しみ方を発見している。

三条の市街地から車で30分。森を眺める丘の上に、小さな平屋が立っている。アウトドア用品メーカー「スノーピーク」で働く小林悠さんと妻の梨絵さん、3人の子どもたちが暮らす住まいだ。

一家が神奈川から移住したのは2013年。きっかけは悠さんの転職だが、「初めて三条を訪れたとき、自然と街のバランスが良くて、ここで暮らしてみたいと思いました」と夫妻。東日本大震災で都市機能の危うさを実感してから抱いていた「自然のなかで子育てをしたい」という思いが、移住の決断を後押しした。


(左)地域の畜産センターで払い下げになっていた4羽のメンドリをもらい、一緒に暮らしている。
(右)移住してからDIYも始め、ゲストのための畑の案内看板や、奥に見えるヤギ小屋も製作。畑では多品種栽培や、堆肥を使ったパーマネント農業も実験中だ

目指したのは「自然が近い住まい。当初は「自然豊か=森の中」のイメージで探したが良い土地が見つからず、巡り合ったのが山すそにある住宅団地の一区画のこの場所だ。小学校まで徒歩圏内、スーパーは車で5分、新幹線駅も車で30分と便利な環境ながら、目の前には里山の雄大な景色。窓から見える四季折々の風景に魅了され、自然との豊かなつながりを感じることができた。


(左)「庭が広いのでとにかく草刈りが大変」と悠さん。草刈機など道具は壁にかけて収納し、誰でも定位置に戻せるよう壁にチョークで道具名を書いている
(右)庭の畑で育てたもぎたてきゅうりを丸かじり。アカジクミズナやバジルも収穫したもの

「敷地は約680坪。広すぎるかなと迷いましたが、広い方がいろいろな楽しみ方ができると工務店の方にアドバイスされて。庭にテントを張って泊まってみたり、コロナ禍でリモートワークになってからは畑を始めて、現在はパーマネント農業を実験中です。将来はDIYで小屋をつくって、子ども部屋や書斎もつくりたい」


屋根のあるデッキテラスは快適で、家族が自然と集まってくる。「この家に暮らして、雨の日も好きになりました」と妻の梨絵さん。家具は悠さんが開発したスノーピーク製品

住まいの特等席は、庭とつながる広いデッキテラス。屋根が日差しや雨を遮り、部屋のように心地いい。室内はコンパクトながら、デッキテラスのおかげで開放的だ「日暮れ時に『夕日がきれいだよ!』と呼ぶと家族みんながデッキに集まって、一緒に眺めるんです。家にいながら、そうした時間が増えたのが嬉しい」と梨絵さん。休日は家族みんながデッキテラスや庭で思い思いに過ごし、食事もテラスで。食器や家具は、悠さんが開発から手掛けたスノーピーク製品だ。


目の前に広がる里山の風景は「春夏秋冬、いつも素敵」と夫妻。客間はつくらず、ゲストは庭のテントに泊まってもらう。両親もテント泊を体験し、朝の鳥のさえずりを楽しんだそう

地方には閉鎖的なイメージも少なからずあったが「三条はものづくりのまちなので商人気質の人が多く、フラットに接してくれるから親しみやすい」と夫妻。若い移住者による街の活気も感じられ、今後のさらなる発展が楽しみだと期待を寄せている。


(左)家族全員がいきもの好きで、室内ではアリやメダカも飼っている
(右)昼食のそうめんのつけ汁に自家製オクラや大葉をたっぷり使用

 

〈市長インタビュー〉
「アウトドアのまち三条」宣言と独自教育で地域力アップ
三条市の未来に向けた挑戦

自然豊かな下田郷で生まれ育ち、2020年に34歳という若さで市長に就任した滝沢亮氏に、「アウトドアのまち三条」宣言を掲げ新たなスタートを切った背景や、地域の未来を担う子どもたちへの教育、そして移住促進に関する取り組みなど、三条市の今とこれからについて話を聞いた。

滝沢 亮市長

1986年、三条市の下田郷生まれ。一橋大学、東京大学法科大学院を経て、都内で弁護士登録。2018年に三条市に戻り、法律事務所を開設。2020年に市長就任。キリマンジャロに登頂した経験がある。

アウトドアの知恵を活かし、地域内外の災害支援を強化

三条市は2023年7月、市内外の人がアウトドアを通じて交流を深め、「アウトドアのまち」として発展することを目指して「アウトドアのまち三条」を宣言した。滝沢亮市長は、その背景を次のように語る。

「近年、三条市はアウトドアのまちとして全国的に知名度を高めています。しか〝灯台もと暗し市民にはこのまちの豊かなアウトドアフィールドや、世界に誇るアウトドア用品メーカーがあることが意外と知られていないと感じます。改めて宣言することにより、市民のみなさんに三条で暮らす誇りを持っていただきたいと考えました。私自身も下田郷の大自然のなかで育ち、子どもの頃は川でカジカを捕まえて遊んだものです。大人になってそんな体験からすっかり遠ざかっていましたが、最近家族と地元でキャンプを体験したら、素晴らしさ、楽しさを実感しました。そうした体験の価値を、観光客の方や移住を考えている方だけでなく、市民のみなさんにも広く知ってほしい。従来は市外で実施していた小学校の野外学習を下田郷のキャンプ場で行うなど、豊かなアウトドア環境を知ってもらう取り組みを進めています」

宣言には、キャンプのノウハウを災害時に活用する取り組みも盛り込んでいる。日本は地震大国であり、異常気象による台風や水害も頻発している今、どの地域でも避難所や防災用品の備えは不可欠だ。シュラフやカセットコンロ、ランタンなどのキャンプギアや、それらを使いこなすノウハウは避難所生活でも役立つ。三条市では市内のアウトドア用品メーカーと連携し、製品を全国に提供し、被災地を支援する計画も進めている。

「これまで市内のアウトドア用品メーカーが独自に被災地へ商品を送る取り組みはありましたが、私たち行政が取りまとめて現地の自治体とやり取りすることで、より円滑なサポートが可能になります。テントやギアを潤沢に備えることで、ボランティアや建設業者の方も受け入れやすくなります。また、今年度から市内の小中学校を対象に、災害時のギアの使い方や調理方法を学『防災キャンプを企画しています」

地域の未来を担う子どもたちへの投資

首都圏から地方へ移住する際にポイントになるのが、医療と教育環境の充実だ。医療の面では2024年春に済生会新潟県央基幹病院が市内に開院し、救急医療と高度医療体制が大きく向上した。一方、教育面では首都圏のように進学先の選択肢を増やすことは容易ではないが、独自の取り組みを進めている。

「地域の未来を担うのは子どもたちですから、教育には投資を惜しみません。少子化が進むなかで、一人ひとりの多様な学びの機会を提供し、成長を支える環境を整えることが重要だと考えています。現在、小中学校ではICT(情報通信技術)の活用と理科学教育の充実を進めており、市内の全小中学校にタブレットを導入して、AIを活用したドリルやデジタル教科書を使用しています。また、中学生からはプログラミング教育を本格的に取り入れています」

2021年には、ものづくりの未来を創る人材育成を目指す三条市立大学が開学。進学による移住者増加や産学連携による産業の創出など、さまざまな可能性が広がりそうだ。

「多様な可能性を持つ大学は、地域の財産だと思います。とはいえ、子どもたちには地元にとらわれず、世界に羽ばたいていろいろな経験を積んでほしい。それが、最終的に三条の魅力や強みになるのではないでしょうか」

実験を通じて、五感で体験三条市独自の「まちやま理科学習」

小中学校の授業の一環として、図書館等複合施設「まちやま」で行われている科学工作・実験プログラム。大型実験装置を使ったダイナミックな実験を通じて理科への好奇心を育む。「動画ではなく実際に体験することで、記憶に定着する。私も子どもの頃受けたかったぐらい魅力的」と滝沢市長

図書館等複合施設「まちやま」

新潟県三条市元町11番6号
TEL:0256-32-0657
HP:https://sanjo-machiyama.jp/

移住者が5年間で約5倍に地元住民も輝ける未来を創る

こうした教育の取り組みやアウトドアのまちとしての認知が進んだことが追い風となり、移住者は2019年度から2023年度の5年間で約5倍に増えた。その7割が20〜39歳で、全体の4割以上が首都圏からの移住者だ。移住相談窓口には、多いときは月約50件以上の相談が寄せられるという。

「三条市のみなさんは移住者にも温かく接してくれるおおらかな気質があります。最近は移住者を中心に若い世代が地域をおもしろくする活動をしていて、個性的なお店も次々とオープンしています。三条を選んで『何かに挑戦してみよう』と挑戦する姿を見るのは楽しいですね。同時に、昔から三条に暮らす方々にもいきいきと暮らしていただけるようなまちづくりを進めていきたいと思っています」

 

移住に関するお問い合わせ先

移住定住支援サイト「三条で暮らす。」

https://sanjo-city.note.jp/

移住者インタビューや移住支援制度紹介、イベントレポートなどの記事をnoteで随時更新中。住まいや仕事探しの情報、教育に関する取り組みのほか、自然に近い環境での暮らしぶりや、地域に根ざしたまちづくり活動など多彩な切り口で三条市を知ることができる。

相談窓口「三条移住コンシェルジュ」

note https://sanjo-city.note.jp/n/nbf2271ef7791
移住相談LINE https://page.line.me/689ubhmq?openQrModal=true
TEL 080-6975-2026(土・日、祝日を除く、9時〜18時)
オンライン面談予約はこちら

三条を知り尽くした「三条移住コンシェルジュ」に、住まいや暮らし、教育、仕事、補助金などワンストップで相談可能。オンライン面談、LINE、電話で対応する。

 

希望に合わせてコースを巡る
三条市オーダーメイド移住体験実施中!

移住コンシェルジュが個別にプランを提案

事前オンライン面談でヒアリングした内容をもとに、年間400名以上の移住相談を受ける「移住コンシェルジュ」がコースを提案。「学校や保育園を見たい」「就職先になりそうな企業を見学したい」「家を探したい」などリクエストに応じてコースを巡る。移住体験当日は移住コンシェルジュが現地で合流し、同行してくれる。

1日1組限定のゲストハウスに滞在

宿泊のおすすめは、商店街の空き家を改修した複合交流拠点「三-Me.(ミー)」内にある1日1組限定のゲストハウス「welcome Me. inn」。建物内には地元の人や移住者が利用するコミュニティスペースやシェアテナントでの販売などがあり、交流の機会も。管理人も移住者なので話を聞けそうだ。

交通費・宿泊費の一部を補助!

移住体験ツアー参加者には、県外の居住地域から三条市までの往路の交通費(上限1万円)と宿泊費(上限1万900円)が支給される。宿泊費は三条市が指定する市内の宿泊施設を利用した場合のみ有効。「お得に」「楽しく」「じっくり」三条市で暮らす魅力を体感できる絶好の機会だ。

\いま人気のモデルコース/ ※希望に合わせてコースを設定できます!

【ファミリー向け】
◇学校・保育園の見学
◇図書館・子育て支援施設、公園の見学
◇住居の内見
◇先輩移住者ファミリーと交流

【アウトドアやものづくりに興味のある方向け】
◇スノーピークキャンプフィールド・MUSEUMの見学
◇オープンファクトリー・町工場の体験・見学
◇地元グルメを堪能
◇ 移住者が集うカフェで休憩

三条移住コンシェルジュ」まで、お気軽にお問い合わせください。

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