「和紙」のイメージを刷新
エヌエヌ生命の支援で未来を拓く

あまり知られていないけれど、和紙は布や皮革の代わりになるほど優れた素材。しかも100%植物性で、環境に優しい。そんな和紙本来の価値を知ってもらい、海外に販路を広げようと奮闘しているのが和紙専門の卸問屋、株式会社オオウエ(大阪市)です。きっかけは、エヌエヌ生命保険株式会社が実施する日蘭協業支援プログラム「MONO MAKERS PROGRAM」への参加。老舗問屋の四代目社長である大上陽平さんは「自分たちだけでは絶対にできなかった挑戦です」と語ります。

 

大上陽平 おおうえ・ようへい
1989年生まれ。大手総合印刷会社でマーケティングや営業に従事。インドを渡って現地のコンサルティングファームに2年ほど勤務したのち、30歳で家業の株式会社オオウエを継いだ。

 

模索していた販路拡大の道筋

弊社は1948年の創業。和紙を産地で買い付けて、関西近郊や東京のお客さまに届ける和紙問屋です。近年は文具、パッケージの開発も行っています。

私は昨年のプログラムに参加しました。和紙に対して脆いイメージを持っている方も多いと思いますが、実は、製法次第で和紙はとても強くて軽い素材になります。

ちょうど昨年1月、サステナブルな植物性の素材として和紙をヨーロッパで売り込むべく、独自にパリで現地調査をしました。可能性を感じて帰国した直後に、プログラムの公募を知りました。私たちにはモノづくりの知見はあるけれど、海外への販路拡大の知見はない。その部分を補完していただけると思い、応募を決めたんです。

 

著名デザイナーとの協業を実現

プログラムに参加した結果、オランダの著名なテキスタイルのデザイナー、メイ・エンゲルギールさんとコラボレーションし、和紙のクッションカバーを作ることになりました。エヌエヌ生命さんには、デザイナーとのマッチング、企画立案、提案資料の作成、通訳といったあらゆる面で力を貸していただきましたね。

生活様式の西洋化、冠婚葬祭、儀式の簡略化に伴って、日常の中で和紙を使う場面は減ってきています。担い手の不足、原材料価格の高騰といった状況もあり、倒産したり廃業したりする業者も少なくありません。

現状を打破するためには販路の拡大が急務。しかし、従来の和紙製品がそのまま海外で売るわけではありません。和紙をただの「紙」として扱う発想から脱却し、さまざまな可能性を持つ素材として再定義する必要がある……そんな思いが以前からありました。

 

美しい色に染められた和紙。草木染めをすることで、手触りがやわらかくなっていく

 

背中を押してくれる貴重な存在

課題を感じてはいても、実際に動けるかといえば、なかなか難しい。日々の業務に追われ、新たな挑戦はどうしても後回しになります。その点、プログラムに参加したことで、いつまでに何を達成するべきか、スケジュールを設定できたことの意味も大きかったですね。

これまでも和紙を意外なかたちで用いる事例はあったでしょう。ただ、それはあえての選択だったように思います。私が目指しているのは「最も適した素材だから」という理由で和紙が選ばれるようになること。これから先はきちんと自走しながら、クッションカバー以外のプロダクトにも挑んでいきたい。

こんな素晴らしいプログラムは他にないと思います。現状への危機感はあるけれど、実行に移せずにいる人たちに、ぜひ後に続いてもらいたいですね。

 

今年はオランダでの展示即売会に出店したいと語った大上さん。和紙業界の構造そのものを変えていこうとする若き四代目は、エヌエヌ生命保険株式会社からの支援を得て、大きな一歩を踏み出しました。衰退が懸念される伝統産業も、新しいアプローチによって新たな生命を吹き込まれる。そんな好事例になりそうです。

大上さんはエヌエヌ生命保険株式会社が実施するオランダスタディツアーにも参加。共に参加した先輩経営者からとの関係はツアー後も続いている。「異国の地で一緒に行動したことで繋がりが深くなりました」

 

 

エヌエヌ生命保険株式会社 事業開発部 CSV 推進チーム
保谷友美子

私たちは法人向け生命保険(法人保険)をご提供する「中小企業サポーター」です。中小企業の経営者の皆さんが元気になれば、日本社会はより良くなっていくはず。社会貢献活動もそうしたミッション達成のために行っています。支援対象を伝統産業に限定しているわけではありませんが、家業の宝庫である伝統産業の価値の再発見には大きな意味を感じています。弊社の活動にご興味のある方はぜひお問い合わせください。

 

次世代を支援するための社会貢献活動を紹介

エヌエヌ生命保険株式会社は、新しい企業経営に挑み、日本の中小企業の未来を支えている後継者や若手経営者を支援します。その一環として、イノベーションに繋がる学びのきっかけと人との繋がりを築く機会を提供します。

①意慾的な家業後継者をつなげる「家業イノベーション・ラボ」

後継者が家業の伝統を守りつつも、時代に合わせた自分らしいイノベーションを実現するための伴走支援を行います。

②日蘭協業支援プログラム「MONO MAKERS PROGRAM」

日本の伝統産業を担う若手経営者と海外のクリエイティブ人材に融合させ、欧州進出を目指します。Japn Cultural Exchangeとの共同運営です。

③オランダスタディツアー

後継者や若手経営者を対象に、NNグループの本拠地オランダへのスタディツアーを実施。

イノベーションにつながる学びの機会を提供しています。

④家業後継者・中小企業経営者向けの共創スペース「NN Shibuya Crossroads(エヌエヌ渋谷クロスロード)」

渋谷スクランブルスクエアの44階。家業後継者や経営者の方同士での情報交換や、情報発信のための拠点としてご活用いただけるコラボレーションスペースを運営しています。
202461日~831日の間は改装工事のため閉鎖いたします。何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします。

エヌエヌ生命の社会貢献活動についてはこちら

文・瀬木広哉 写真・ミネシンゴ

                   

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