100年に一度の進化の時
文化と変化が溶け合う新しい長崎へ

長崎港は、江戸時代の鎖国政策時でもオランダと中国との貿易が許された日本で唯一の港だった。出島や唐人屋敷跡など、その面影は現在のまちなみにも残されており、異国の雰囲気を感じることができる。


国際貿易港として発展した歴史と文化を感じる港町
長崎市に降り立つとまず目を惹くのが港を中心としたすり鉢状の地形。鎖国政策時において国際貿易港、日本の窓口として発展してきた。町家などの和文化、孔子廟などの中国文化、教会などの西洋文化が混じり合う異国情緒あふれるまちなみが魅力。

 

海外の文化を受け入れながら変化を続けてきた長崎市は近年、その姿をさらに進化させている。長崎市職員で長崎市のまちづくり最前線の広報を担当する上野平将人さんと、市内中心部でゲストハウスを運営しながら長く地域を見守ってきた岸川信吾さんに、長崎のこれからについて語り合ってもらった。

 

【プロフィール】
(右)上野平 将人さん 長崎市秘書広報部広報戦略室
長崎市出身。広報広聴課でホームページや広報紙の制作に携わった後、広報戦略室で長崎市の魅力を伝えるプロモーション施策や戦略を担当する。

(左)岸川 信吾さん 「カフェと宿 ROUTE」代表
諫早市出身、長崎市在住。「旅人の起点になる宿泊施設を」という想いで宿泊業を開始。2013年に「カフェと宿 ROUTE」開業。レンタサイクルも展開している。

 

視覚的に歴史を感じられる長崎のユニークさ

上野平 昨年は西九州新幹線が開業しました。そして現在は、長崎駅周辺の整備が進んでいます。まちづくりのプロモーション「長崎MIRAISM」では、これらのまちの進化とともに、長崎独自の歴史や文化の魅力も一緒に発信しています。

岸川 本当にまちなみが変わってきていますよね。おっしゃるように長崎はユニークな歴史的背景と文化を持っていると感じます。

上野平 私は大学、社会人と県外に出て、長崎の印象を聞いたり、自分で地元を客観したりして、改めて面白いところだと思いました。


「長崎市は、他の都市にはない 魅力が詰まった進化中のまち」と語る上野平さん。

岸川 私も同じです。出身は隣の諫早市ですが、高校卒業後、県外に出ました。外に行くからこそ見える魅力ってありますよね。

上野平 長崎ほど国際色あふれる都市は少ないのでは。例えば、洋風の様式に瓦が使われている「東山手甲十三番館」という建物。オランダ様式の中に和の文化が混じり合った風景を見られるのも、鎖国や出島といった歴史とともに文化を育んできた長崎ならではです。

岸川 まちなみから歴史を実感できるというのは、非常に素敵なことだと思います。


「新しいまちなみから歴史を 感じられるのは素敵なこと」と語る岸川さん。

 

コミュニケーションを通してリアリティを感じる体験を

岸川 私は宿を運営しているので、国内外のさまざまなお客さんと話す機会があります。長崎は「原爆」というイメージが先行するようで、海外の方でも地名を知っている方が多いですね。そのイメージで来るので、実際に訪れると印象がガラッと変わるようです。

上野平 若い方も同様だと思います。SNSなどで写真を見て、「こんなまちだろう」とやって来る方が多くいます。しかし、実際来てみると、SNSに載っていなかったりするところに興味を持つようです。

岸川 私が宿をやっている理由として、地域と旅行者をつなげるコミュニケーションのハブになれるというのがベースにあります。そうしたソフトの部分で長崎の魅力を伝えるお手伝いをしていきたい。よりこのまちをリアルに体感してほしいです。


ゴトンゴトンと路面電車が走る長崎駅のとなり。坂道をちょっと上れば教会と豊かな緑が見えてきます。そんな丘に立つ「ROUTE」は、カフェ・宿・レンタサイクルが揃った旅の拠点です。ビル屋上から、教会や長崎の日常が感じられる風景を眺めたり、温かいコーヒーとサンドイッチ&マフィンで心地よいひとときを過ごしたり、レンタサイクルで気ままにサイクリングも!


ROUTE」ではレンタサイクルやガイドツアーを利用することができます。坂道や石畳の風景も魅力的な長崎のまち。3つのオススメ自転車コースを紹介した『Ring Ring! MAP』は、長崎を楽しく巡るヒントがいっぱい!寄り道しながらお気に入りの風景を見つけてください。

 

上野平 長崎MIRAISM」で紹介している事業の一つに、2013年から実施している「まちぶらプロジェクト」があります。まちなかと呼ばれるまちの中心部には長崎の歴史や文化がぎっしり詰まっていて、市民のみなさんをはじめ企業、行政が連携してまちの賑わいづくりに取り組んでいます。長崎の多彩な表情をもっと知っていただきたいですね。

【まちぶらプロジェクト CASE①】粋な風情漂う町屋のまちなみが広がる!〜中島川・寺町・丸山エリア〜

5つのエリアのうち和風の文化を色濃く残す中島川・寺町周辺では「和のたたずまいと賑わいの粋なまち」がコンセプト。町人文化が息づくまちの中で風情ある町家等を活かしたリノベーションや、新たな町家ショップが次々と仲間入り! 残り4つのエリアについては「まちぶらプロジェクト」で検索!

【まちぶらプロジェクト CASE②】歩くたびに発見があるまちなかにアップデート!

通りにある憩いの空間、情緒ある石畳状の横断歩道など、歩くたびに新しい発見があるまちなかに!例えば、東山手・南山手エリアのオランダ通りには情緒ある空間に馴染むおしゃれなベンチを置き、休憩スタイルも異国風に!?長崎駅とまちなかを結ぶ岩原川周辺は、緑があふれ広く心地よい沿道に生まれ変わりました。その他にも道路や休憩所、おもてなしトイレの整備が進み、自分のペースで存分にまち歩きを楽しむことができます。

 

住む人も訪れる人ももっとワクワクするまちへ

岸川 長崎が紡いできた歴史文化やまちなみは私たち市民の誇りでもあります。さらに、この100年に一度の進化で市内にさまざまな施設がオープンしたり、新しい機能が加わったりして、より暮らしやすく、訪れやすいまちになっていっていますね。

上野平 ハードの部分がしっかりと整備されてきたので、それを継続的に利用してもらうためのソフトの仕組みづくりも併せて取り組んでいます。

岸川 私は旅行者へのインフォメーションが非常に大事だと考えています。今後も観光客や宿泊者とのコミュニケーションを密にして、また長崎に行かなきゃ! と思ってもらえるようなサービスを提供していくつもりです。

上野平 まずは一度訪れて、このまちの雰囲気を感じていただきたいと思います。そして長崎は一回の来訪では味わいきれないほど魅力が満載なまちということを知ってもらい、好きになってもらうために、岸川さんにお力添えいただけると嬉しいです。

 

 

長崎らしい歴史と個性を活かした都市へ

長崎のまちに新しいランドマークが登場。歴史と共存しながら、より魅力的な姿へと変貌している。何度も訪れたくなるような長崎市のまちづくりが形を見せつつあるのだ。

▼2020年 稲佐山リニューアル
長崎市のランドマーク、稲佐山。その中腹駅と山頂駅を結ぶガラス張りのスロープカーが誕生した。80人収容でき、約8分間の空中散歩が楽しめる。
https://www.inasayama.com/

▼2021年 長崎市恐竜博物館開館
化石が多く発見されている野母崎エリアに完成した恐竜博物館。約13mのティラノサウルスの全身骨格レプリカを世界初展示。
https://nd-museum.jp/

▼2022年 西九州新幹線開業
新幹線の開業により、長崎駅-博多駅間が最大約29分短縮。福岡へのアクセスが良くなることで、関東や関西からの利便性も増し、長崎がより身近になる。

▼2024年 長崎スタジアムシティプロジェクト誕生
サッカースタジアムを中心にアリーナ、オフィス、商業施設、ホテルなどを併設。交流人口の増加や雇用の場を創出する目的もある。
https://www.nagasakistadiumcity.com/

提供:ジャパネットホールディングス  ※構想段階のため今後デザイン含め変更の可能性があります。

▼2025年 新・長崎駅フルオープン
新駅ビルや駅前広場などが順次完成。世界有数の海に開かれた駅で、その景観を意識した開放的なデザインになっている。

 

長崎MIRAISM
https://nagasaki-miraism.com/
長崎市のまちづくりプロモーションサイト「長崎 MIRAISM」では、最新スポット紹介や現在進行中のプロジェクトなど、ここで暮らす人、訪れる人がワクワクする情報を発信中。ぜひ、ご覧ください!

 

【問い合わせ先】
長崎市 広報戦略室
〒850-8685 長崎県長崎市魚の町4-1
電話番号:095-822-8888(代表)

 

文・足立拓哉
写真・内藤正美、長崎市

                   

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