スポーツの力で人と人をつなぎ、コミュニティの活性化に取り組む協力隊員募集中!

喜多方市地域おこし協力隊募集

会津地方の北部に位置する福島県喜多方市は、「日本三大ラーメン」のひとつに数えられる喜多方ラーメンの発祥地として、日本酒・味噌・醤油の醸造が盛んな「蔵のまち」としても知られる地域。

しかし近年、少子高齢化による人口減少と担い手不足、コロナ禍の影響を受け、地域行事が開催できなくなるなど、まちから活気が失われつつあります。そうした状況の中、喜多方市ではコミュニティの再生と活性化を図るため、2015年から地域おこし協力隊の受け入れを開始。現在は9名の隊員が活躍しています。さらにこの度、新しい協力隊メンバーとして、スポーツ振興活動を通して地域の活性化に取り組む「スポーツ振興コーディネーター」を1名募集することになりました。

「スポーツを通して地域に貢献したい」「自然と文化が豊かな喜多方で活躍したい」方は、お気軽にお問い合せください!

▼スポーツ振興コーディネーターの求人情報はこちら!

https://www.city.kitakata.fukushima.jp/site/iju-info/39283.html

 

スポーツが生み出す熱を波及させ、ともに地域を盛り上げたい


小林浩紀さん(左)と、冨田真紀さん(右)

今回、喜多方市のスポーツ振興コーディネーター募集を担当する、喜多方市教育委員会生涯学習課スポーツ振興室の冨田真紀さんは、生まれも育ちも喜多方市。自身もボート競技を30年以上愛好し、現在は指導者として若手選手の育成にも力を入れています。

冨田さん「以前は市内各地で祭礼や運動会が行われて、大いに盛り上がったものです。しかし今では少子高齢化が進み、後継者不足などによりお祭りや運動会などが開催できない地域も多くなってきました。特に終息の見えないコロナ禍の影響は大きいですね。地域のコミュニティが急激に衰退するとともに、市民のスポーツ意欲も著しく低下していることを強く感じています」。

その一方で、冨田さんとともに地域おこし協力隊募集に携わる、喜多方市企画政策部地域振興課きたかたぐらし推進室の小林浩紀さんは「暗い側面ばかりではない」と言います。

小林さん「喜多方市内には、スポーツをこよなく愛し、スポーツを楽しみ、仲間とともに感動や喜びを共有しようと活動する方や、これまでに培った経験やスキルを活かし、世界に羽ばたく人材を育成しようと熱心に活動する指導者もいます」。

スポーツを通じて集まる人々が新たにコミュニティをつくり出し、その熱が波及することで地域の活性化や市民のスポーツ活動の復活へとつながっていくはず。地域おこし協力隊に参加いただくことで、そうした方々と自治体を連携させて、ともにまちを盛り上げてほしい。冨田さんと小林さんはそう考えています。

今回は、市内で活躍するスポーツ愛好家の中から、「喜多方陸上クラブ」で子どもたちを指導する内島聖さん、実家の土産店を支えながら地元でダンスを教えるダンサーの甲斐枝里子さん、福島県eスポーツ推進協議会の代表としてeスポーツの普及に取り組む中河西宏樹さんをご紹介します。いずれも自分の得意分野を生かして、地域の活性化に貢献する方々です。

「喜多方市に移住して、スポーツを通じたまちづくりに一緒に取り組んでみませんか?」

 

私たちと一緒に体を動かす楽しさを味わってほしい

内島聖さん/喜多方陸上クラブ指導者


喜多方陸上クラブで子どもたちを指導する内島さん

喜多方陸上クラブは2021年に発足したばかり。それでもすでに約80人もの子どもたちが参加する人気クラブとなっています。代表を務める手代木裕司さんとともに指導に取り組むのは、内島聖さん。出身は宮城県ですが、日本体育大学で出会った奥さまと2009年に結婚して、喜多方市へやってきました。

普段は家業のきのこ農家の仕事に従事しながら、市内の中学校や高校の陸上部の練習に参加。自身の専門分野である円盤投げなどの投てき競技の指導に携わってきました。

「子どもたちは教えられるとすぐに伸びる。吸収も成長も早いんですよね。私自身もそんな子どもたちの姿に刺激を受けて、県大会で上位に入賞できるようになりました」と内島さん。

「もっと下の年代の子どもたちにも陸上競技の楽しさ教えたい」と考えるようになり、2年前からは喜多方市内の小学校の授業にも、陸上指導の特別非常勤講師として参加するようになりました。そんな時に妻の中学校の先輩である手代木さんと「地域全体を対象としたクラブをつくりたい」と意気投合。奥さまも含め3人で指導する喜多方陸上クラブを立ち上げました。

奥さま「特に今の中学生くらいの子どもたちは、幼少期には原発事故の影響で”外に出るな”と言われ、最近もコロナ禍で自由に外出できず、屋外で運動する習慣が作りにくいのが気になっていました。陸上クラブで体を動かす楽しさを思う存分味わってほしいです」。


地元できのこ農家として従事しながら、市内の学校を陸上指導で巡回

陸上クラブに参加するのは、喜多方市内の小・中学校の児童や生徒。運動会の障害物競走のようなサーキットランのほか、体に付けたタグを取り合う鬼ごっこなど、ゲーム感覚で楽しく体を動かします。「運動が得意な子は自分でいろいろ工夫をするので、あまり口出しせず、目を配りながらも自由にやらせています。逆に運動の苦手な子にはちょっとしたコツを伝えて”できるようになる喜び”を体感してほしいです」。

内島さんの指導を受けた生徒の中には、県の陸上競技大会に進出する子どもも出てきたそうです。「上のレベルに行けばまた見える視野も変わってきます。そんな経験をできるようなお手伝いをできたらうれしいですね」。

小学校の枠を超えて地域の仲間とともに汗をかく子どもたち。いずれ成長しても仲間として助け合える関係ができたらいい。内島さんはそう考えています。「今、市内の多くの地区で子どもが減って行事が開催できなくってきています。伝統のお祭りも他の地区の人が気軽に参加して一緒に盛り上げたりすることができれば、もっとよい地域になると思うんです」。

目下の課題は練習場所の確保。「グラウンドや体育館によって予約方法や利用ルールが違うんです。地域おこし協力隊になる方には、地域と自治体との連携をもっと強めるような活動をしていただけるとありがたいですね」。そんな期待も語って下さいました。

 

私にしかできない、私だからできる仕事を

甲斐枝里子さん/土産店、ダンス講師、ツアーダンサー


ダンス講師として地元の小中学生を指導する甲斐さん

甲斐枝里子さんは、幼い頃からモダンバレエをならい、東京に出てプロのダンサーとして活躍。2018年に喜多方市に戻り、家業である「合資会社甲斐商店」の後継ぎとして修業する傍ら、地元の子どもたちを対象にダンススクールを主催しています。

「アーティストのツアーダンサーやイベント・CMなどの出演、ダンスインストラクターなど、東京での仕事が充実していたこともあり、本当は喜多方に戻ってくるつもりはありませんでした。でも、祖父が亡くなった時に葬儀に多くの方が参列してくださり、多くの地元の方々に支えられて家業が続いてきたことを実感したんです。これは途絶えさせてはいけない。そう思いました」。

現在は、喜多方市と会津若松市で、平日夜にダンススクールを開講。対象は主に小中学生です。「自分で踊るのはもちろん、インストラクターとして生徒さんに教えるのも好きです。ダンスは人に元気を与えてくれますし、しなやかな身のこなしが自然に身につきます。何より練習で培った強い心は、一生の宝物となるはず。私自身そうでしたし、地元の子たちにもそんな経験をしてもらいたいと思っています」。


甲斐商店の後継者として、地酒のアピールに取り組む

甲斐さんの実家である甲斐商店は、明治43年創業の老舗土産店。JR喜多方駅の目の前にあります。跡取りとしての勉強にも余念がありません。「私の生まれ育った喜多方市は、良質な水と肥沃な土壌に恵まれているので、水や米を原料とした酒造業も盛んなんです。地域の酒蔵の方々も世代交代してきているので、うまく連携して、喜多方にいいお酒がいっぱいあることをもっと広くアピールしていきたいですね」。地元の日本酒を紹介する「KaiEri頒布会」を企画するなど、甲斐さんならではのアプローチにも着手しています。

現在も女性シンガーのツアーダンサーとして、夏の全国ツアー、冬のディナーショー、またプロモーションビデオの撮影などに呼ばれ、東京と喜多方を行き来する甲斐さん。「土産屋の跡取り、ダンススクールの講師、ダンサー、すべて大事な仕事です。私にしかできない仕事、私だからできる仕事がきっとある。そう思って取り組んでいます」

 

eスポーツを通じて世代を超えたコミュニティをつくり、地域のにぎわいを取り戻したい

中河西宏樹さん/福島県eスポーツ推進協議会代表


eスポーツの普及を通じて地域の活性化を図る中河西さん

「eスポーツ」とは、電子機器を使う対戦ゲームをスポーツ競技として捉えたもの。2010年代頃からゲームメーカーなどが競技大会を開催するようになり、世界的な規模に広がりつつある、新ジャンルのスポーツです。2017年に行われた調査では、eスポーツの視聴者は世界中で3億8500万人以上いるそうです。

そんなeスポーツの普及に取り組んでいるのが、中河西宏樹さん。福島県古殿町出身で、本業は自動車修理業の経営ですが、「福島県eスポーツ推進協議会」の代表という、もうひとつの顔を持って活動しています。2019年12月には、eスポーツスタジアムの立ち上げを、クラウドファンディングで目標金額の141%で達成。福島を拠点に、eスポーツによる若者中心のコミュニティの輪を広げ、地域を盛り上げようとしています。

中河西さんがeスポーツという競技の存在を知ったのは2018年のこと。「もともと高校生の頃まではゲームが大好きで3日間徹夜してのめり込むほどでした。でも、ふと”こんなことやって何になるんだろう”と冷めてしまって、一切ゲームをやらなくなったんです」。

その後、お兄さんの影響もあって、車に夢中に。大学時代には自動車修理会社で経験を積み、大学を中退して独立。経営に没頭していったそうです。

「そんな時に、たまたまeスポーツの大会を目にする機会があったんです。プレーヤーと大観衆が熱狂している様子は、スポーツの国際大会そのものでした。『ゲームの腕前がこんな形でみんなに評価される場があったのか』と驚きましたし、『自分が高校の時にeスポーツと出会えていたら、どんな人生を歩んでいたのだろう』と思いました。多様化進むこれからの時代を生きる子どもにとって、勉強や運動以外に評価される場あったほうが、より幸せになれるんじゃないかなと思いました」。

そこで中河西さんは自己資金を投じ、JR郡山駅前にビルを購入。さらに多くの人がeスポーツを楽しめるようにしたいと、クラウドファンディングを通してビル内の整備費用を集めることに成功しました。現在は、郡山市周辺を中心にeスポーツを紹介するイベントや競技大会の開催などに尽力しています。


子どもたちの可能性の芽を育む機会を大切にしている

「eスポーツはインターネットを通じて世界中のどこからでも参加できるので、地方でもハンデはありません。経験やスキルを上げるために東京に出る必要はないんです。逆に地元で大会を開催すれば、日本全国、場合によっては海外からも人が集まってくる。eスポーツを通じて、これまでにない新しいコミュニティが生まれると信じています」。

イベントを手伝う若者の中には引きこもりを経験した人もいるそう。「でもeスポーツを楽しむ場があれば外に出られると話す子もいるんです。eスポーツは社会との接点にもなり得るんですよね」。

さらに中河西さんは世代を超えたつながりができることにも着目。「例えばご高齢の方にとっては、手や指、反射神経を使うことで脳や身体機能の活性化が期待できますし、孫の世代に操作を教えてもらうことでコミュニケーションも生まれます。楽しいことなら無理なく多世代が交流できるのではないでしょうか」。

コロナ禍でも、予選会を増やして限られた人数で安全に開催するなど、さまざまな工夫をしてこらしているのだとか。「今後はさらにeスポーツを普及させ、あらゆる世代の人が集まれる場をつくりたい。そこから地元の賑わい再生へとつなげていきたいですね」。それが今の中河西さんの目標です。

 

スポーツのスキルや経験を活かして、人生を変えてみませんか?


蔵をイメージして建てられた、JR喜多方駅の駅舎

内島さん、甲斐さん、中河西さんは、それぞれに自分の好きなことを活かし、自分が得意とする分野で活躍しています。3人に共通するのは、ただ地域に貢献するだけでなく、活動を通じて生きがいを得て自己実現を果たしていること。

喜多方市が募集する地域おこし協力隊の制度も、未来への情熱を燃やす若者に活躍するチャンスを掴んでほしいという思いから始まりました。「自分の得意なスポーツのスキルや知識を地域や人のために役立てたい」「心機一転、自然と文化の豊かな地域に移住してみたい」方は、喜多方でその思いに火をつけてみてはいかがでしょうか。

 

文:渡辺圭彦 写真:渡辺 慎一郎

                   
受付終了

人気記事

新着記事