鹿児島県指宿市は九州の尻尾「薩摩半島」の最南端である鹿児島湾口に位置しています。人口約4万人、年間平均気温は約19度と高く、気候も市民の人柄も「あたたかい」まちです。温暖な気候ならではの自然にも恵まれ農業や漁業も盛んで、海・山・湖・青空をバックに楽しめるアクティビティも魅力的です。
市の全域を火山が列をなして連なる「霧島火山脈」が縦断しており、世界に類を見ない「天然砂むし温泉」をはじめ、豊富に湧出する温泉に恵まれています。市内には、気軽に立ち寄れる公衆浴場が点在しているほか自宅に温泉を引き込める地域もあり、市民にとって温泉は非常に身近な存在となっています。
指宿市ではこのような自然環境を生かして、「ウオーキング」や「体操」をはじめ、まちに暮らすみんなが参加できるような「健康づくり」を展開し、「健幸」のまちづくりに取り組んでいます。生活面でも、学校や病院・スーパー・コンビニエンスストアなど生活に不可欠な施設や店舗がバランスよく点在し、日常生活で不便を感じることが少ない暮らしやすいまちです。
▲住みやすい地域にしていくための活動を行う「まちづくりカレッジ」の様子
観光地として発展した歴史を持つ指宿には、外部の人を受け入れる体制やおもてなしの心が根付いており、近所の人や買い物先の店員さんが気さくに声をかけてくるなど、地域の方々の温かな気持ちを感じることができるのも指宿らしさです。昔ながらのコミュニティがあり、ご近所同士で野菜や魚をやりとりしたり、子どもを預かったりとアットホームな空気が流れています。
▲多くの人が集まる「いぶすきマルシェ」の様子
そんな指宿市では、現在、地域のPRを担ってくれるような地域おこし協力隊を募集しています。
1.スポーツによる地域活性化担当(1名)
スポーツ大会やスポーツ合宿等による市外からの誘客を促進するため、誘致・情報発信・ワンストップ窓口機能などを一体的に担う、官民による専門組織(スポーツコミッション)を設立するにあたり、事務局として活躍する地域おこし協力隊員を募集します。
1,スポーツコミッション事業の立ち上げに関わってくれる、情熱のある隊員を募集
指宿市は、宿泊施設や温泉施設など、スポーツ大会やイベント・キャンプ・合宿の誘致等に適した地域資源を多く有しています。
おもてなし日本一と言われる「いぶすき菜の花マラソン」は、全国のマラソン大会で一年で一番早い開催となる1月に日本陸連の公認大会として行われます。おもてなし日本一の由来は、スタートからゴールまでに振舞われる食べ物や、見えてくる豊かな風景、そして何よりまちをあげての応援がランナーの心に残るからです。
ふかし芋やぜんざいなどが振る舞われ、コース沿いには黄色い絨毯を広げたような菜の花畑・九州最大の湖「池田湖」・富士山のシルエットに似ていることから「薩摩富士」とも呼ばれる「開聞岳(かいもんだけ)」がランナーを迎えます。現在では、全国屈指の大会に成長し、約2000人のボランティアと市民総出の応援がランナーを応援してくれます。
このようにスポーツが地域活性の大きな役割を担っている指宿市ですが、スポーツのまちづくりを更に加速させるため、平成31年中にスポーツコミッション設立を目指しています。しかし、既存のイベント以外の事業を積極的に推進するには、十分な受入体制ができていないのが状況であり、2020年の秋頃に完成する市のサッカー場に、Jリーグチームのキャンプや各種大会を誘致したいという考えもあり、指宿市に訪れるスポーツ団体等と地域を心地よく繋ぐ組織やキーパーソンが必要となっています。
求められるのは、地域を新しい視点で捉え外とつなぐこと
「地域おこし協力隊」に求められるのは、スポーツコミッションの事務局を担い、設立に向けて活動することです。現在、スポーツコミッション設立のため市職員・体育協会・観光協会・商工会議所等が一丸となり、すでに研究会が立ち上がっています。その研究会に外部からの視点を持った「地域おこし協力隊」として参画します。
また、スポーツコミッション事務局は「ワンストップ窓口」も目指しています。スポーツをきっかけとして指宿市を訪れた人々に、スポーツ施設・宿泊施設・地域の食関係者と連携してスポーツ合宿全体をディレクションしていくという役割も担います。
協力隊として指宿に赴任し、初代移住コンシェルジュとして活躍中の黄川田まなぶさんに、指宿市や地域おこし協力隊の活動についてお話を伺いました。
二代目移住コンシェルジュの募集に向けて、黄川田さんにお話を伺いました。
東京育ちの私にとって、鹿児島が故郷だった。
「鹿児島には幼少期に住んだことがありました。その時に感じた、自然の大きさや、感動、人の温かさが忘れられず今も鮮明に残っていて、東京育ちの私にとっては鹿児島は故郷のように感じていました。その後、千葉で仕事をしていましたが、この鹿児島で何か出来ることはないか探していたところ、地域おこし協力隊の制度を見つけ応募したのがこちらに来るきっかけとなりました」
「現在、指宿市の移住コンシェルジュとして活動していますが、北は北海道から南は沖縄まで、魅力のある地域はたくさんあります。その中で、いかに指宿ならではの魅力を伝えるか、地元の方が見過ごしているものを探し出して指宿の魅力として伝えていけるかを考えています。また、移住を考えられている方それぞれの希望に合わせ、納得できる情報を提供できるよう工夫し、それに必要なツールを考え形にしています」
自分が好きなもの(地域)を人に知ってもらうために様々な取り組みをしてきた黄川田さん。黄川田さんの任期が終わるまでに、この想いを引き継いでくれる隊員を募集しています。
自分の良いところは、得てして自分よりも他の人の方がよくわかるもの。地域も同じではないでしょうか。「地域の人が自分の地域の良いところに気づく」そのきっかけを与えられるのは「新しい人」です。そして自分が住んでいる土地が大好きな人が多いまちは、きっと元気なまちです。
指宿市では、すでに地域の強みを見つけ、動きを加速させるために地域一丸となって取り組んでいます。そんな熱い人たちからのオファーに、応えてみませんか。
文:田野実温代