660人のIターン者を迎えた島
島根県の沖合約60㎞、日本海に浮かぶ隠岐諸島の一つ、中ノ島・海士町。
対馬暖流が流れ込む豊かな海と、名水百選(天川の水)に選ばれた豊富な湧水、山・里が育む食材に恵まれ、自給自足の暮らしができる半農半漁の島です。
海士町の合言葉は、「ないものはない」。
都会のように何でも揃う便利な暮らしはない。でも、人が生きていくのに本当に大切なもの、生活していくのに必要なものは何でも手に入る。だから、島にないものは島にあるものを組み合わせ、掛け合わせて自らの力で何でも創り出していく。
「ないものはない」精神の元、地元住民とIターン者が一緒になって、これまでに「隠岐牛」や「いわがき春香」、「さざえカレー」など、島で採れる豊富な食材を生かした数々のブランド産品を生み出してきました。
島の可能性と未来は、自分たちの力で切り拓く。
小さな島の大きな挑戦は多くの若い移住者を惹き付け、これまでに、人口2,235名の島に660名のIターン者を迎えてきました。
「島食の寺子屋」
多彩な島食材を活用できる料理人を育てるため、2017年に開校した「島食の寺子屋」も、海士町の大きな挑戦の一つ。
海を見下ろす高台にある校舎は、廃校になった保育所をリノベーションして造られました。
校舎内は大きく調理スペースと交流スペースに分かれ、調理スペースでは調理指導や実習、交流スペースでは完成した料理の振返りや進路相談などを行います。
調理スペースには、スチームコンベクションや真空調理機など、最新の技法を活用した調理を学べる設備を完備。
「寺子屋」という名の通り、授業は少人数制。講師の手元が間近で見える環境で料理を学び、生徒ひとりひとりの個性や進路希望に合わせ、カリキュラムも指導内容も柔軟に対応しています。
海士町内で唯一のホテル「マリンポートホテル海士」
「マリンポートホテル海士」でのおもてなし
生産現場とサービス現場が密接に繋がる形を目指して、観光客に島食材のみで和食を提供する「離島キッチン海士」や「マリンポートホテル海士」とも連携を図り、塾生が島で実践を積める仕組みも作っています。
「島食の寺子屋」がある崎地区には漁師・農家・牛飼いが多く暮らしていて、日常の中で食材の生産者さんと接する機会が多いのも魅力の一つです。
“その日を形にする”料理人を育てる
その土地、その季節の自然の恵みを頂戴し調理するのが、日本料理本来の姿。
「島食の寺子屋」が育てたいのは、限られた食材で決められたメニューを作れる料理人ではなく、その日、海、山、里で収穫した食材の良さを最大限に生かすメニューを自ら考え、作り、提供できる、“その日を形にする”料理人です。
その日、島で採れた食材のみで調理実習を積み重ね、「仕入れ」「仕込み」「提供」までを塾生自らが行い、料理に関わる全ての過程を学びます。
仕入れ
漁師や農家の方と直接触れ合い、その生の声を聞きながら、味や香り、色、食感など、食材に対する五感を磨きます。料理人として生産現場の課題と向き合うことで、料理の未来をも考えるきっかけになります。
海へ
「島食の寺子屋」から徒歩5分のところに定置網漁港があり、毎日のように水揚げされたばかりの新鮮な旬の魚を仕入れることができます。定置網漁の他、刺し網漁や釣りなども盛んです。漁船に乗って漁に同行したり、講師と共に目利きをしながら鮮魚選びをすることも。
山へ
校舎近くの山に分け入ると、ふき、せり、わらび、タラの芽、ぜんまい、山椒などの季節の山菜が芽吹いています。旬の食材の香りや味を感じながら、自らの手で収穫することができます。
里へ
有機無農薬、自然栽培、減農薬栽培などの数ヶ所の畑を回り、生産者のお話を伺いながら、季節の野菜を収穫します。農法を含めて食材を知り、料理へと活かします。
仕込み
朝、仕入れた食材を積んで「島食の寺子屋」校舎に移動。下処理と仕込みを始めます。自然から与えられる食材に均一なものはなく、変化していく食材と向き合うからこそ、一つ一つの食材を見極める力が身に付きます。その日の食材を見ながら、各々の生徒の課題を考慮して授業内容が決まっていきます。
提供
後鳥羽天皇をおまつりする、「隠岐神社」の境内に店舗を構える「離島キッチン海士」
「離島キッチン海士」のおもてなし
隠岐神社の境内にある日本料理店「離島キッチン海士」で、講師の指導の下、実際に観光客のお客様に料理を提供します。昼は箱膳形式、夜は懐石料理を提供して、観光客の方に島の四季を感じて頂きます。
多彩な進路
島で素材の目利きと日本料理の基礎を身に付けた、卒塾生の進路は様々。
生徒ひとりひとりの能力と個性に応じ、島食の寺子屋に賛同して下さる料理店へ進路をご案内することもできます。
松﨑千香さん(四季を通して学ぶ1年間コース卒業)
1995年生まれ。長崎県出身。福岡県の大学で栄養学を学んだ後に入学。現在は、東京・銀座の「六雁」で研修を積んでいる。
西本 有理さん(生産現場で働きながら通う1カ月コース卒業)
1993年生まれ。京都府出身。パンの製造・販売をする会社の製造部に所属していたが、自分が憧れていた仕事に挑戦してみたいと思っていた時に、「離島キッチン」の求人情報を見て応募。現在は「離島キッチン福岡店」で働く。
松本 ダビッドさん(経験者向け短期コース卒業)
広島の日本食レストランで1年間働いた後、海士町へ。現在は「マリンポートホテル海士」で料理人として働く。島内生産者とコミュニケーションをとりながら料理を学ぶことも、「島食の寺子屋」の魅力の一つと語ります。
選べるコース
ご都合やご希望に応じて、研修コースを選ぶことができます。
四季を通して学ぶ1年間コース(初心者向け/経験者向け)
初心者は基礎からしっかりと四季の料理を学び、経験者は365日のメニューを考案できる力を身に付けます。
受講費用:¥100,000/月
短期体験コース(2泊3日)
漁港での仕入れから始まり、その日に出会った食材で料理をします。1年間コースへの入塾を検討している方にもお勧めです。
受講費用:¥7,000/日~
働きながら通うコース
島内のホテルや生産現場で働きながら、島食の寺子屋に通う制度。収入を得ながら授業を受けることが可能。期間などは応相談となります。
受講費用:応相談
離島で培った経験と技術、そして食への研ぎ澄まされた感性は、揺るがない個性や強みとなって、その後の新しい人生を支えてくれるはずです。
離島の生産現場や料理の世界と真剣に向き合い楽しめる方、地産地消を志す海士町の取り組みに賛同して下さる方のご応募をお待ちしています。
ご応募・お問い合わせ・資料請求はリンク先のフォームより、お気軽にどうぞ。
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都道府県+市町村 島根県海士町 募集状況 募集中 勤務地 「島食の寺子屋」
〒684-0404 島根県隠岐郡海士町大字福井1365-5募集職種 研修生 選考プロセス ①リンク先のフォームよりお問い合わせ
②来島見学に向けて担当者と情報交換
③島食の寺子屋校舎など見学
④入塾採用問い合わせ先 TEL:08514-2-0101
MAIL:info@oki-ama.org備考・その他 卒業後に一年間は海士町の事業所で働くことを条件に、研修費用を二年間で支払える制度もござます。