定住率93%!地域おこし協力隊募集中!
暮らす人の声がまちを創る・宮城県東松島市

宮城県の県都仙台市の北東にあり、広域石巻圏の西端に位置する東松島市。
食が豊かで、冬は雪が少なく、比較的温暖で風雨の少ない地域だ。災害瓦礫を市民の手で98%再利用した事などが評価され、平成30年に東北初の「SDGs未来都市」に認定されている。
市民の声を取り込みながら、より良いまちづくりを目指している東松島市。まちづくりで重要な存在が地域おこし協力隊だ。「歴代18名の協力隊が築いてきた信頼関係のおかげで、地域に溶け込みやすかった」と語る現役協力隊8名のみなさんは、個性が光る活動でまちを盛り上げている。現在の活動や、これからのまちづくりへの意気込みを聞いた。

個性を活かした活動でまちを元気に!

TURNS編集部(以下、編集部) まずは、みなさんのこれまでの経歴と、協力隊に参加した経緯や活動内容について教えてください。

佐藤(大) 前職で木材を扱う仕事をしていたことから、林業に興味があって。東松島には「根本から切る通常の伐採ができない木にロープをかけて登り、枝や幹を少しずつ切っていく」という特殊伐採をする職人さんがいると知り、協力隊として飛び込んできました。特殊伐採の技術を学びながら、宮野森小学校裏手にある森の管理をしています。

上野 私は昔から発展途上国の支援をするのが夢で看護師をしていたのですが、コロナ禍になり海外は諦め、国内で何かできることをしようと。その頃参加した移住フェアで移住コーディネーターの関口さんにお会いして東松島を知り、「まだまだ可能性があって、一緒に成長できるまちだ!」ってピンと来て移住を決めました。1年目は看護師の経験を活かして教育支援を行なっていましたが、今は市役所のSDGs推進室に所属してより幅広く地域に関わるさまざまな活動をしています。

保坂 サンドアートという砂の彫刻を作ることで、心の復興や地域貢献活動をしています。2018年に宮戸島の月浜にサンドアート制作依頼を受けて以来、毎年制作に来ていたのですが、のちに協力隊として声をかけていただきました。

神成 ずっと児童福祉事業に携わってきて、独立を考えていたときに東松島の地域おこし協力隊のことを知りました。障がいがあってもなくても、個が尊重され、お互いに支え合いながら、すべての人がその人らしく生きられる場所を作ることが大きな目標です。自分の事業と協力隊の両輪で、子どもを軸に地域をより良くする活動をしています。

高橋 私は東松島ならではの歴史や情報、物語を漫画やイラストにして、わかりやすく広める活動をしています。ここに来る前は大学生で、海外に就職が決まっていたのですがコロナ禍でダメになってしまって。地元である宮城県内で旅行をしていた際に東松島に来て、景観や食べ物のおいしさに惹かれたのと、「宮戸島読本」「野蒜築港」などユニークな郷土史が豊富にあることを知り、ここでなら自分のスキルを生かした活動ができそうだと感じて協力隊に応募しました。

江俣 10年間消防士として働いた経験を生かし、防災関連施設「KIBOTCHA」で防災教育をしています。このほかにも観光案内所で物販や観光案内に携わったり、YouTubeチャンネルを立ち上げてまちの魅力を発信したり、幅広く活動しています。消防士だった頃に緊急消防援助隊に志願したのですが叶わず、それがずっと心残りだったので、今こうして東松島のお役に立てるのが嬉しいです。

大谷 清涼飲料水のメーカーで商品開発・マーケティングを専門としていた経験を生かし、農家さんと連携して6次産業化の推進と事業創出をしています。内容は大きく2つで、1つは塩害被害を受けた土地に大麦を植え、それを使った地産地消のクラフトビールを開発する事業。もう1つは脱プラスチックを目指し、福祉法人と連携して大麦の茎を使った大麦ストローを作る事業です。

佐藤(明) 市内2箇所の農業法人で勉強させてもらいながら、東松島の1次産業を盛り上げる、地域貢献につなげる活動をしています。海外を長く旅した経験から「食べること」や「技術を身につける」ことの大切さを痛感し、地域に深く関わりながら、そういったことを学び、未来につなげられる場作りをしたいと考えています。

編集部 経験を最大限に活かして、それぞれの分野でまちに貢献されているんですね! 個々の活動以外に、協力隊でまとまって行う活動はありますか?

保坂 市の大きなイベントをするときに、手伝うことはありますね。

上野 今はコロナ禍なのでなかなかイベントの開催が難しくて。でも、月に1回協力隊のメンバーで定例会を開いています。

江俣 月の活動内容を報告し合ったり、PRイベントなどの情報共有をしたりしながら、お互いにコミュニケーションを取っています。

左から/建物や構造物、電線などさまざまな障害物の近くにある樹木に登って切る「特殊伐採」の技術を学ぶ佐藤大介さん。/大谷直也さんは、東松島の特産品のみを原料とした地産地消のクラフトビールを開発する一方、市内農業法人の農作物を商品化するサポートなども行う/自然と共存しながら作り上げる佐藤 明さんのパーマカルチャー農園

 

産地に住むからこその食の恩恵と

心を癒やす広大な空と海

編集部 市外から東松島にやってきて感じる、このまちの魅力は何でしょう?

上野 とにかく食べ物がおいしい! 海の幸も山の幸も最高で、舌が肥えまくっちゃって困ってます(笑)。

江俣 おいしいうえに安いんですよね。農家や漁師の方からわけてもらえたことも。産地に住むって、食を考えるうえではすごい強みだと実感しています。

神成 特産品で有名なのは海苔と牡蠣で、農作物だとちぢみほうれん草。白菜は皇室行事であるで献上品に選ばれました。

保坂 小さいまちではありますが、松島基地があるので飲食店は多いんです。矢本駅周辺はとくにおいしいお店がたくさんあるので、よくお酒を飲みながら地域の人とコミュニケーションしたりしていますね。

上野 あとは自然も素敵。東松島に初めて来たとき、空が広い!って感動しました。カメラが趣味なので、海岸で星の写真を撮るのも好きですね。

大谷 東松島は「ツール・ド・東北」のコースにもなっていて、沿岸部の景色がとても綺麗なんです。休みの日にはロードバイクで一周回ったりして、のんびり過ごしてます。

高橋 釣りにもよく行きますよ。夕焼けがすごく綺麗なんですよ。アジとかメバルとか、食べられる魚が釣れるのも嬉しい。

上野 月曜日の夜に一緒に釣り行って、「明日にひびくから続きは週末にしとこう」なんて話したりね(笑)。

編集部 食が豊かな東松島ならではですね! 移住に関して言うと、移住希望者の中には、地域に馴染めるか心配という方もいるかもしれません。

神成 東松島って、実はそんなに田舎じゃないんですよ。だから「地域の人と密な人間関係」「里山での田舎暮らし」みたいなのをイメージして来ると、ギャップを感じるかもしれない。

上野 仙台からなら電車1本で約40分、東京からでも3時間くらいで来れて、都会からのアクセスも良いんですよ。

神成 ただ東松島のなかでも、地域性はいろいろ。都会的で、隣に住んでいる人と話す機会なんてほとんどない地域もあれば、人同士のつながりが濃密で、近所のおばあちゃんと世間話に花を咲かせるような地域もあります。同じ東松島のなかでも、自分のイメージする移住により近い地域を選べる、いいとこ取りできる。そういう魅力もありますね。

人と人、地域と地域がつながり
もっとおもしろい東松島に

編集部 協力隊として活動するなかで感じた、市の課題はありますか? また、さらにより良いまちにしていくために目標があれば教えてください。

大谷 1次産業と3次産業に関しては、震災前の経済レベルまで戻ってきているんです。ただ東松島にはB to Cの業態が少ない。製造業は多いけど、小売業がほとんどないんですね。なので、市が支えている産業に接する業態が少ない、市内で作ったものが外に出て行ってしまうというのが課題の1つではあるかなと感じます。

佐藤(明) 自分が目指す百姓の暮らしやパーマカルチャーを通して、人が集まる場を作るのが目標ですね。子どもからお年寄りまでが集まって、「昔はこうだった」なんて会話があって、そこで自然に活気が生まれるような場所を作りたいです。

神成 年々、障がいを持つ方への理解や認識は高まっていますが、まだまだ特別な存在とされているなと感じます。子どもたちや今を生きる人が「誰もが特別で大切な存在である」と体感できる空間を、この東松島市で作りたいです。

大谷 外から来て、まちの中の人たちの意識や行動を変えるのが地域おこし協力隊だと思っています。東松島には良い素材がたくさんあるのに、産業体系的に課題も多い。なので、自分たちで作ったものを自分たちで消費する、あるいはもっと上手な売り方に変えてもっと産業を伸ばすといったことを、まちの人と一緒に進めていきたいですね。

編集部 協力隊のみなさんのご活躍、ますます期待しています!

\協力隊オンライン相談、いつでもOK!/

東松島市では、現在、地域おこし協力隊を募集中! 任期後の東松島市定住者は93%。地域おこし協力隊に興味がある方は、こちらをご覧ください。協力隊オンライン相談もいつでも受付中!

 

Column ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

日本でただ一人!
サンドアートの世界チャンピオン、保坂隊員のアートを観に行こう!

サンドアートを通して人々を笑顔に

2018年に月浜でサンドアート制作の依頼を受けたのが、保坂さんと東松島との出会いだった。保坂さんによって命が吹き込まれた砂の像は、観る人の心をおだやかにする。作品を見るために、震災以降初めて海に足を運んだ住民も多く、「自分の作品が人の心を動かせることを知り、初めて自分は芸術家なのかもしれないと思った」と保坂さん。東松島の人々の心を打つアートを生み出し続けている。

市内のいたるところで鑑賞できる保坂さんの作品。材料は砂と水のみだが、最後に特殊な糊を吹きつけて表面を固めると半年〜1年ほど持つ。作者である保坂さんが寄り添うのは「矢本海浜緑地パークゴルフ場」の像「蒼の風」

 

左からJR矢本駅前の像「昇鯉」、東日本大震災から10年目の3.11の慰霊のために宿泊施設「KIBOTCHA」で制作された「祈りの像」

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

TURNS最新号(vol.53)では、地域おこし協力隊の座談会のほか、より詳しい東松島市の情報、渥美巖市長とTURNSプロデューサー・堀口正裕の対談も掲載中。

東松島市に興味を持った方、移住相談は、以下までお気軽にお問い合わせを!

\オンライン移住相談 & お試し移住始めました!/

移住に関する詳しい情報は、移住・定住情報サイト「ひがまつ暮らし」へ!

お問い合わせ:宮城県東松島市復興政策課・移住コーディネーター
〒981-0503 宮城県東松島市矢本字上河戸36番地1
TEL:0225-82-1111(代表)

文・岩崎尚美 写真・中島悠二

                   

人気記事

新着記事