【埼玉移住プロジェクト】
埼玉で訪ねてほしい人たち – 比企地域編 –

saitama story|埼玉県の移住者交流会レポート

埼玉県に移住したひと、まちを盛り上げるべく活動するキーパーソンを紹介する埼玉ものがたり連載がはじまります。

 

最初に訪れたのは、9市町村で構成される比企地域。埼玉県のちょうどまんなかに位置する比企地域は、豊かな里山と清流などの自然に恵まれた場所。近年、移住者が増えている地域でもあります。2021年8月、第1回の移住者交流会として比企地域で活躍する人々を巡ったレポートとともにお届けします。

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いま注目の小川町で、続々生まれる新たな拠点

小川町は、池袋から東武東上線の急行で約70分。始発駅のため必ず座って通勤できると、「住んでみると結構快適です」と話す移住者も多いとか。このコロナ禍で移住希望者が増えているまちでもあります。

そんな小川町は、世界的なオーガニックタウンとして知られており、有機農業が盛んなまち。有機農家を志して移住してくる人も多い場所ですが、最近では農業以外のテーマでも盛り上がりを見せています。それが今回訪れた、2021年春にオープンしたばかりの新たな拠点です。

 

1つ目は、小川町駅前にできた観光案内所と移住サポートセンターが併設された魅力発信拠点『むすびめ』。元々料亭だった建物を活かして町がリノベーションしました。

ここで移住相談員として活動する八田さと子さんは、小川町のことなら何でも知っているキーパーソンのひとり。ご自身も有機農業をキーワードに小川町へ引っ越してきた移住者で、有機農業や就農に関することはもちろん、住まいや店舗開業のための空き家や空き店舗の活用など、さまざまな相談にのってくれます。

写真右が八田さと子さん

「移住相談に訪れる方は、人によって相談ごとも様々です。希望を聞いてみると、必ずしも小川町への移住がベストではないケースもありますので、正直にお応えしながら、その方にとってのベストな移住先が見つかるように相談に乗っています。移住って、言ってしまえば人生相談ですからね。
私にできることは、移住を考える上でのヒントや情報を提供すること。力になれることがあれば、関係各所にも協力を仰ぎながら全力でサポートさせていただいています」(八田さん)

移住は人生の転機にもなる決断だからこそ、安易に勧めるのではなく、その人の移住に関する希望とそのまちにある環境がちゃんとマッチングできるのかを見極めることが重要なんだと改めて感じました。

 

続いて訪れたのが、2021年5月にオープンした『コワーキングロビーNESTo(ネスト)』。

小川町で100年ほど前に建てられた大谷石の石蔵を改修した建物は、天井が高く、中に入ると石蔵の厳かな雰囲気に圧倒されます。もともと絹織物などの倉庫として使われており、小川町の歴史文化も感じられる場所です。

利用者が思い思いに過ごせる “まちのロビー” のような拠点として、コワーキングスペースだけでなく、地域の住民が憩えるカフェスペースも併設。週末はカフェ営業、またイベントスペースとしても貸し出しているそう。

そんなNESToの運営に携わるのが、NPO法人あかりえの西沙耶香さんと黒礒由起子さん。

西さんは隣の東秩父村出身で、6年前に東秩父村の地域おこし協力隊としてUターン移住。協力隊卒業後も東秩父村や小川町を拠点に地域の魅力発信や交流イベントを企画するなど活動しています。黒礒さんは小川町で毎年開催されている “オーガニックフェス” に訪れたことがきっかけで小川町に惚れ込み、会社員を辞め3年前に都内から小川町へ移住しました。

NESToの運営に携わる、NPO法人あかりえの西沙耶香さん(右)と黒礒由起子さん(左)

「小川町は、ここ数年でどんどん注目を集めるようになっていて、移住者も増えているし、いろんな分野のプレイヤーも揃ってきています。NESToができたことで、そういった人と人が出会える場や繋がれる機会が増えて、より町全体が盛り上がっていけたら嬉しいです」(西さん)

「移住する前に、小川町に何度も通っていたのですが、出会う人たちが自分に素直に生きてるなと感じたのが、とにかく印象的で。移住してからも次から次へと面白い人に出会えたので、NESToをハブにして、ここで暮らす人々のコミュニティの輪をつくっていきたいです」(黒礒さん)

 

アート×ニュータウンの新たなまちおこし

続いて向かった先は、鳩山町にある今から48年前の高度成長期の終わりに開発された住宅街・鳩山ニュータウン。開発当時は1万人以上が暮らしていた大規模ニュータウンですが、年月とともに人口減少や高齢化が進み、現在では空き家が課題となっています。

そんな鳩山ニュータウンの一角にある元空き家だった庭付き戸建を活用した、シェアアトリエ『niu(ニュウ)』にお邪魔しました。

見た目は普通の戸建住宅です

ここは、アートや建築、まちづくりなどをテーマに集まった20代の若者たちがシェアハウスとして2階に住みながら、1階スペースを使って自らの活動を表現できる場として運営されています。

運営代表の小西隆仁さんは、大学院在学中に鳩山町にある学生用シェアハウス『はとやまハウス』に入居したことがきっかけでこのまちに惹かれ、卒業後もまちに関わり続けたいと、現在 niu となっている空き家を2021年4月に借り受け、住み始めたそう。

写真右が小西隆仁さん

「建築を勉強していて、空き家問題やまちづくりにも興味があって、どうせ住むなら活動の拠点になったり、何か表現できるような場にしたいと思いました。鳩山町は町内に鉄道もないし、決してアクセスのいい場所ではないけど、逆に訪ねてくる人は面白い人しかいないと感じています。

niuが生まれてまだ1年経っていませんが、いろんな人に関わってもらいながら、鳩山ニュータウンをフィールドに面白い実験ができる場にしていきたいです」(小西さん)

2021年8月に開催したniuで初めての展示「絵の置かれたリビング」では、庭とリビングを大胆に使い建築とアートの世界を表現

そんな小西さんをはじめ、鳩山ニュータウンを訪ねる人たちの求心力になっているのが、菅沼朋香さんとトヨ元家(本家豊大)さんのおふたり。

鳩山町の移住相談や起業支援、シェアオフィスやシェアカフェなどの機能を併せ持つ交流拠点『鳩山町コミュニティ・マルシェ』の運営にも携わりながら、自宅の一部を改装した喫茶店『ニュー喫茶 幻』を営んでいます。

ニュー喫茶 幻のカウンターに立つ菅沼朋香さん(左)と本家豊大さん(右)

「私は愛知県のニュータウン出身ですが、それまでニュータウンは大嫌いだったんです。ただ、大人になって昭和レトロにハマり、その昭和レトロを生み出した高度成長期の産物でもある “ニュータウン” という文脈は、アーティストの題材としても面白いと感じ、知人からの勧めもあって鳩山町に移住しました」(菅沼さん)

菅沼さんは、自身の生き方や活動そのものがアートプロジェクトであり、まちおこしもひとつの作品になっています。そんな菅沼さんが手がけた『ニュー喫茶 幻』のコンセプトは、 “鳩山ニュータウンで夢がみれる店” 。まさに、現代美術のアーティストとして “昭和レトロ” をテーマに活動する菅沼さんの世界観が感じられる場所です。

ニュー喫茶幻はサイケデリックな内装で、1960年代にタイムスリップしたかのような空間です

「昭和レトロを懐かしんで近所に住む高齢の方もフラッと立ち寄ってくれたり、近隣市町に移住してきた方が訪ねてきたり。一見するとニュータウンにある普通の住宅なんですが、場を開くことでまちの人たちの顔が見えるし、多様性を感じられますね。鳩山町コミュニティ・マルシェも色々な人が訪ねてきてくれるようになり、少しずつ町が変わってきていると思います」(トヨさん)

東京のベッドタウンとして栄えてきた埼玉だからこそ、いわゆる田舎だけでない郊外での暮らし方やまちづくりなど、様々なヒントをもらえる時間でした。

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最後は、鳩山町コミュニティ・マルシェのスペースをお借りして、菅沼さんや小西さんを囲んでの交流会。比企地域外で活動するメンバーからは場づくりの運営や秘訣についての質問が飛び交ったり、それぞれの町で感じている課題を共有したりと、短い時間の中で有意義な意見交換が行われました。

※各所の訪問や交流は、感染症対策を万全に施した上で実施しました

比企地域と一言にいっても、9市町村もあれば、それぞれに課題や取り組みも異なります。今回訪れた小川町と鳩山町も、町の雰囲気は全く異なりますが、場が生まれることで人と人が繋がり、新たな相乗効果がまちを盛り上げていく。そんな一端を担っているのが、移住者であったりキーパーソンの方々なんだと改めて感じました。

埼玉で暮らす魅力ってなんだろう、と聞かれた時に、まず初めに思い浮かぶのは “地域で活動する面白い人たちがいること”。 それこそが、実は最大の移住のきっかけなのかもしれません。

 

\比企地域への移住に興味が湧いたら…/
埼玉移住サポーターの皆さんに会いに行ってみませんか?

①八田さと子さん/小川町移住サポートセンター

世界的に知られるオーガニックタウン・小川町の移住相談員として、農や地域と関わるコーディネーターとして活躍する八田さん。 自らも有機農業のテーマに惹かれて小川町に移住した一人。女子栄養大学の非常勤講師も務める。2021 年 4 月からは小川町駅前 にある観光案内所の運営にも携わり、小川町の物産やレンタル着物の企画なども行っている。

小川町への移住相談はもちろんのこと、移住後の住まいや店舗開業のための空き家相談など、個別にさまざまな情報やアドバイスをくださいます。小川町が気になった方、八田さんに会いたい方はぜひ、観光案内所「むすびめ」/小川町移住サポートセンターにお越しください!

観光案内所「むすびめ」/小川町移住サポートセンター
埼玉県比企郡小川町大塚1176-5
https://ogawa-iju.jp/

 

②西沙耶香さん・黒礒由起子さん/NPO法人あかりえ

東秩父村出身の西さんは、6年前に東秩父村の地域おこし協力隊としてUターン移住。協力隊卒業後も東秩父村や小川町を拠点に地域の魅力発信や交流イベントを企画するなど活動中。黒礒さんは小川町で毎年開催されている “オーガニックフェス” に訪れたことがきっかけで小川町に惚れ込み、会社員を辞め3年前に都内から小川町へ移住。2021年4月より「NESTo」の運営に携わる。

小川町駅から徒歩4分の『コワーキングロビーNESTo』は、コワーキングスペースとして気軽にドロップインでの利用が可能です!提携施設のまちやども利用すれば、1泊2日でワーケーションも叶います。NESToを拠点に、小川町を堪能してみては?

『コワーキングロビーNESTo』
埼玉県比企郡小川町大塚7-4
https://nesto.work/

 

③小西隆仁さん/シェアアトリエ「niu」

大学院在学中、鳩山町にある学生シェアハウス『はとやまハウス』へ入居した縁で鳩山町に惹かれた小西さん。卒業後もここに残りたいと定住を決意、2021年4月から鳩山ニュータウン内にあった戸建を借り受け、仲間と共にシェアアトリエ「niu」を立ち上げ活動中。

シェアアトリエ『niu』は、現在入居者を募集中!(2022年1月現在)アート活動やまちづくり、地域の活動に関わってみたい方や二拠点居住にチャレンジしてみたい方など、この機会に鳩山に拠点を構えてみませんか?

シェアアトリエ『niu』
埼玉県比企郡鳩山町楓ヶ丘4-8-6
https://www.instagram.com/shareatelier_niu/

 

④菅沼朋香さん・トヨ元家(本家豊大)さん/ニュー喫茶 幻

愛知県のニュータウン出身の菅沼さんは、昭和レトロをテーマにアーティストとして活動する中で、知人の勧めから鳩山町へ移住。夫であるトヨ元家さんと共に鳩山ニュータウン内にある中古戸建を購入、自宅の一部を改装し『ニュー喫茶幻』をオープン。鳩山町の移住相談や起業支援、シェアオフィスやシェアカフェなどの機能が複合された交流拠点『鳩山町コミュニティ・マルシェ』の運営にも携わる。

菅沼さんが営む「ニュー喫茶幻」は、不定期の朝9:00〜11:00でモーニング営業中。菅沼さんやトヨさんにお会いできるだけでなく、近隣から地域の面白い人やプレイヤーも集まるお店。ぜひ一度は訪ねてみる価値ありです。

「ニュー喫茶幻」
埼玉県比企郡鳩山町楓ヶ丘1-15-5
https://twitter.com/new_maboroshi

                   
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