【求人】パティシエの働き方革命を起こす。紀南・新宮市の小さなケーキ屋「Patisserie RaRe」

お菓子で地方を変えたい人へ

小さなお店、大きなこだわり。

そのコンセプトのもと、一人ひとりの幸せな瞬間に寄り添おうと一心不乱にお菓子をつくり続けるパティシエがいます。人口約28,000人の和歌山県新宮市にある住宅街の一角に構えられた9.5坪のケーキ屋「Patisserie RaRe(パティスリー ラール)」の店主・嶋本 有希さんです。

食品添加物をほぼ使用することなく地産地消の旬の食材にこだわって、フランス菓子の技法をベースにオリジナル商品を開発。さらに、紀南の店主たちに提案して各店舗でイベントを共催するなど、軽やかなフットワークと柔軟なアイデアで多岐にわたり活動を展開しています。

現在、パティシエ業界特有の労働環境やフードロスを改善できないかと模索中。互いに相談しながらより良い働き方を探究しあえる“同志”となる新たなメンバーを募集しています。

そんな嶋本さんに、地方でケーキ屋をはじめた経緯や、地方経営の良し悪し、そして業界に対する働き方革命の詳細は? 求める人材は? などをはじめとする今後の展望を伺いました。

和歌山県南部にある那智勝浦町で1989年に生まれ、新宮市で育った嶋本さん(photo:丸山由起)

新宮市から東京まで電車で約7時間・大阪まで約4時間掛かります。都心と離れているものの、世界遺産・熊野古道により世界的に有名な地域です(photo:博多敏希)

 

特別な時間に寄り添うなかで、喜ぶ顔が見たいから

物心が付いた頃からケーキ屋になることを夢見ていた嶋本さん。小学校の卒業文集では「30歳までにパティシエとして起業する」と宣言し、中学時代から本を頼りにお菓子づくりをはじめ、高校時代には同級生の誕生日に手づくりのケーキをプレゼントしていたといいます。

専門学校を卒業後、大阪のケーキ屋で約5年間・パリのレストランで約1年間修行したのち、Uターン移住して独立。2016年8月、かつての宣言通り、27歳でRaReをオープンしました。

「僕がケーキをつくり続ける理由は、誰かの喜ぶ顔が見たいから。ケーキは、誕生日や記念日など特別な時間に寄り添える存在です。自分が手掛けたものによって、誰かの“幸せ”や“楽しい”といったポジティブな心情を引き立てられることが嬉しいですね」

テイクアウト専門のRaRe。地域に珍しい商品を・世界的に珍しい運営を、との思いからフランス語「rare/稀な」を店名に掲げています(photo:丸山由起)

ショーケースには約25種類のケーキが並びます。ケーキの他に焼き菓子やグラスに入ったジャーケーキなども(photo:岩倉昂史)

 

挫けそうな時こそ、お菓子に愛情を。原動力となる言葉

パティシエの仕事に邁進する嶋本さんですが、過去には職場の人間関係に悩み挫けそうになったこともあったそう。そんな時に救いとなったのは、お菓子づくりと師匠の言葉でした。

「お菓子づくりは努力の分だけ結果が返ってきます。良い作品ができると前向きな気持ちになれる。そうやって、お菓子に愛情を注ぐほど心に余裕が生まれ、周囲にも優しくなれると気付き、悩みがある時こそ、お菓子づくりに専念するようになりました。

また、どんなことにも努力と結果の間にタイムラグがあると思うのですが、その時に思い出すのは、20歳の頃に尊敬する師匠から教わった言葉です。『この職業は追えば追うほど逃げるが、束の間のタイミングを置くとそばに寄り添ってくれる。だから続けろ』と。この言葉は今でも僕の原動力となっています」

定休日以外は毎朝5時に店に入り、開店準備に勤しんでいます(photo:丸山由起)

地方を選んだ理由は、お金に追われず本質を追うため

師匠の言葉を胸に大阪で修行を続けていましたが、最終的に地方での開業を決意。その理由は、都心におけるパティシエ業界の働き方に疑問を抱いたからでした。

「ケーキは手間や材料費が掛かるわりに販売単価が高くありません。なので都心で開業すると家賃の負担が重く、さらに競合も多いため、開業時点から空間のデザインや商品のラッピングなどにも完成度の高さが求められ、初期費用が掛かるばかりか軌道修正もしづらくなります。

残念ながら、それらの出費の回収に翻弄されて本質を見失い、過酷な労働環境の末に潰れる店も少なくありません。そこで、家賃が低く競合の少ない地方であれば、もっとお客さんと向き合った愛される店づくりに注力できるんじゃないかと、新宮市で開業することしたんです」

フルーツは、主に和歌山県産と近隣の三重県産の旬のものを使用(photo:丸山由起)

生地に使用する小麦は国内産というこだわりです(photo:丸山由起)

 

地方経営の良し悪し。生産者・来客者・同業者との関わり

実際に地方でケーキ屋を営むなかで、どういった良し悪しを感じているのでしょうか。嶋本さんは「メリットばかりですが…」と切り出し、特筆すべき3点を挙げてくれました。

1つ目は、自らの感性を大切にできること。競合他社を意識してトレンド商品を揃える必要がなく、地域の需要を踏まえつつ自身の感性に基づいた商品開発に専念できます。

2つ目は、生産者との物理的な近さ。自然豊かな紀南には車で30分圏内に複数の農園があり、生産者のこだわりを直接理解したうえで、新鮮な素材を取り扱うことができます。

RaReから車で約30分でレモン農園に到着。少し足を伸ばすとイチジク農園などもあります(photo:岩倉昂史)

そして3つ目は、来客者との心理的な近さです。地方では、商品の質に加えて店主の人柄で店を選ぶ傾向が強くあります。血の通ったコミュニケーションを心掛けるほど絆が深まり、店側としても来客者のニーズを把握しやすく、まさに愛される店づくりが実現しやすいのです。

「あえてデメリットを挙げるとすれば、マーケットの小ささです。競合が少ないと言っても地域の人口も少ないので、同じ地域にケーキ屋が1店舗増えるだけでも影響は大きいです。だけど一緒に地域を盛り上げようとする仲間が増えるのは嬉しいこと。だから、同業者の開業も快く応援できるように、今後はECサイトを導入してマーケットを広く持とうと考えています」

その他に、再生紙を原料としたケーキ箱や紙袋を使用するというエコな取り組みも行っています(photo:嶋本有希)

 

積極的に活動することで、地域の人々が誇りに思える店に

人々の笑顔を求めてお菓子をつくり続ける嶋本さん。これまで周年記念の限定企画の他、紀南のカフェやパン屋の店主、イタリアン・シェフなどと共催したイベントや、地方新聞の1面を買い切って広告を掲載したこともありました。実はそれらにも共通の思いが潜んでいました。

「以前、あるマーケットイベントにお誘いいただき出店した時に、地元のお客さんから『普段通っているRaReさんがこんな大きなイベントに出店するだなんて誇りだわ』と言っていただいて、それがすごく嬉しかったんです。

ケーキ屋として美味しいお菓子を提供するのはもちろんのこと、普段とは異なるアプローチをすることで、お客さんがもっと嬉しいや楽しい、さらには誇りにも思っていただける状況をつくりたい。そんな気持ちで、今後も飽きさせないさまざまな企画を仕掛けていきます」

那智勝浦町のカフェとコラボしたイベントの様子。和洋折衷のデザートを考案して提供しました(photo:丸山由起)

3周年の際には、新たなRaReブランドの所信表明をするように、地元の熊野新聞に広告を掲載(photo:嶋本有希)

 

同じ志を持つ仲間と、労働環境のモデルをつくりたい

嶋本さんの人柄や思いを十分理解したところで気になるのは、パティシエ業界特有の労働環境やフードロスを改善しようと試みている、RaReの働き方革命の詳細です。

これまでRaReではバイトの雇用経験はありましたが、正社員を雇用するのは今回がはじめて。正社員の募集に伴い、具体的にどういった雇用形態を予定しているのでしょうか。

「週休2日の8時間労働で基本給を設定し、役職や早番・遅番、新商品の開発、イベントの企画など、労働時間と成果に応じて手当てやインセンティブを上乗せする仕組みにします。一般企業では当たり前のことですが、この業界でもそれを当たり前にしていきたい。既成概念にとらわれず、働く人が意思を持って選択できる労働環境のモデルをつくりたいと思います」

「お菓子づくりに真摯に向き合い、自らモチベーションを生み出せる職場にしたい」と語ります(photo:丸山由起)

採用予定は2枠。将来的にRaReを任せられる人材と、RaReで約10年間の修行を経て新天地で起業する人材です。フードロスについても、協議のうえ最善策を導き出せる関係性を望んでいます。ちなみに現在は、売れ残った商品は近隣の宿へ寄付し、さらに余ったケーキの切れ端を使ったパフェの試作も進めているそうです。

「ある程度の技術力を持つ方に来ていただけると嬉しいですが、なにより一番優先したいのは人柄です。目に見えることだけでなく、物事の背景にも想像力を働かせながら、他人に優しくできる思いやりのある人と一緒に働きたいですね」

 

新宮市をみんなのホームタウンに。お菓子で地方を変える

地方に可能性を感じ、さらなる挑戦を目論み、最後に嶋本さんはこう話します。

「ケーキ屋に限らず、同志が共鳴しあって互いに成長し、時には新天地へ羽ばたく追い風まで送る、そんなふうに新宮市をみんなのホームタウンにしたいと思っています。

また、その地域ならではの食材を生かすことで、人々の食の選択肢を広げたいとも考えています。そのために、いつかもっとローカルでディープな地域に挑戦したい。将来的にはRaReを信頼できる仲間に託し、地域の外と中から連携して、新宮市をさらに魅力的なホームタウンにしたいと構想しています。お菓子で地方を変える、これが僕の理念です」

小さなお店、大きな大きなこだわり。
あなたも一緒に、パティシエ業界の働き方革命を
さらにはお菓子で地方を変える革命を起こしませんか?

嶋本さんの思いに共感された方は、下記からお問い合わせをぜひ。素敵なご連絡をお待ちしています(photo:丸山由起)

 

RaReのSNSアカウント
Instagram:https://www.instagram.com/patisserie_rare/
今回の求人を機に初めてみてます。
Twitter:https://twitter.com/shimamotorare
note:https://note.com/patisserierare

(writer:前田有佳利)

                   
都道府県+市町村和歌山県
募集状況募集中
勤務地新宮市下田1-1-4
雇用形態正社員
給与年収216万円〜年収416万(下記の各種手当込・税込)
※経験により研修期間を設けます(研修期間中は月収16万)

【時間外手当・役職手当】(各項目年収で記載)
・早番手当  48万
・遅番手当  48万
・仕込み手当 38万
・シェフパティシエ手当  24万
・新規事業担当手当    12万
・経営マネージャー手当  24万

【その他】
・イベント企画の報酬やイベントボーナスあり
福利厚生労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金、交通費一部支給(月上限5,000円まで)
仕事内容菓子製造、接客
勤務時間9:00~18:00(休憩1時間)の1日8時間
休日休暇週休2日制(定休日は火曜日と水曜日ですが応相談)
売上成績により1月と9月に連休あり
選考プロセス面接
採用問い合わせ先Tel:073-529-7167
Mail:yuki0310rare@gmail.com

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