天孫降臨の地、宮崎県高原町
宮崎空港から車で約50分。
宮崎県と鹿児島県の県境、宮崎県高原町は霧島連山の主峰高千穂峡の麓にあります。
神話で天孫降臨の地とされている「日向の高千穂」。これは高千穂峡のことと伝えられており、山頂にある天逆鉾(あまのさかほこ)はご降臨の際、ニニギノミコトが突き立てたと伝えられています。
高原は「たかはる」と読み、日本の神々がお住いになられる高天原(たかまがはら)の名に由来すると言われ、まさに天孫降臨の地。
そんな高原町で長年に渡り町のために尽力してきた「ぱん屋」さんが後継者を探しています。この公募は高原町役場と連携し、条件が整えば、地域おこし協力隊として1年から3年間の採用も可能な継業案件です。
町にたった2軒しかない。そのうちの1軒を引き継ぎませんか?
まちの中央から車で10分ほど走った山のふもとに、そのパン屋さんはあります。
『天然酵母田舎のぱん屋さん』
天然酵母にこだわり小麦は九州産のみ、パンの具材は地元の野菜や果物を多く使用。地元農家から直接新鮮なものを仕入れています。低温長時間発酵によりじっくりと時間をかけて発酵させるため小麦本来のおいしさが引き出され、安心安全で素朴な味わいが子どもから高齢の方まで人気です。
▲「天然酵母田舎のぱん屋さん」代表 松崎弘志さん
オーナーの松崎さんは大手企業のシステムエンジニアとして関西や福岡に30年間勤めたのち、宮崎にUターン。はじめは趣味でパンを作り始め、友人に配っていたところ美味しいと評判になり、2005年に一念発起し、高原町でパン屋さんを開きました。
▲松崎さんが大工のお父さんと建てた店舗
未経験でゼロからの挑戦。素朴で安心安全なパンを食べてもらいたいと、オーガニックにこだわったパン作りをはじめました。ちょうど世間では天然酵母が流行りだした頃。口コミで開店直後から反響があり、テレビや新聞、雑誌も取材にきました。
高原町民のみならず、多くの方々に信頼され愛されてきたパン屋さん。15年間、夫婦二人三脚で歩んできたお店を閉じようと決心し、パン作りに必要な機材やノウハウ、販路先などを次の方に承継したいと考えています。そして、松崎さん自身は「やりきった」との思いから次のステージを見据えているとか。
地元の素材にこだわり農家から直接仕入れる
そんな松崎さんのこだわりは天然酵母のみではありません。
福岡県産の小麦と地元で生産している小麦を独自ブレンドしたものを使用。具材はいちご、りんご、ブルーベリー、完熟キンカン、マンゴーなど、地元の旬な野菜や果物をふんだんに用いています。バターや砂糖、牛乳までも地元や九州産のみという徹底ぶりです。
「せっかく高原でやるからには地元の素材を活かしたいと思っていました。農家さんから直接仕入れるのでB品を安く購入したりもできます。ジャムで加工する場合、味がよければいいわけですから。
店名に「田舎」とつけているとおり、農家さんとどんどんつながってやりとりするのは、まさに田舎の感覚があり楽しいですよ」(松崎さん)
取引先もそのまま引き継げる
ちなみに現在の取引先は、高原で人気の農産物直売所『杜の穂倉』や地元の保育園など。
高原町のふるさと納税に出品したときは、北海道から沖縄まで注文が入りました。無添加で安心安全という噂が噂を呼び、県外から問い合わせがあることもあるそう。承継後の販路開拓も大きく可能性が広がりそうです。
▲高原の農産物直売所「杜の穂倉」に仕入れる様子
「商品開発も試行錯誤しながらずっと行ってきました。50〜60種類くらいは作りました。商品にして定番で残るものと消えるものとどちらも。流行もありますよね。手応えがあっても当たらないものもあるし、なんとなくで出したもののほうが売れることもあり、商売っておもしろいです。
同じことをやっていても売上が落ちていくのは実感しているところです。世間のニーズを感知して次から次に新しい風を入れていく工夫が必要でした」(松崎さん)
機材があればバリエーションは多数
松崎さんがお店を閉めるのは、2021年6月予定。
あと約1年やりきって、次のステップに進みたいと考えています。
▲夫婦で毎朝2時に起きて仕込みを行っています
「現在パン屋さんで勤めていて独立したい方、私たちのように脱サラ後に夫婦でビジネスをしたい方などにお譲りしたいです。小規模な設備状況なので、大きくやりたい方には向かないかもしれませんが、田舎でのんびりパン屋さんなどをしたいという方にはおすすめです。
これだけの機材があるので、パン屋でもお菓子屋でもピザ屋でも、バリエーションはなんでもあると思うんですよ。どう使うのかはやり方次第だと思っています。挑戦してみたいという方がおられれば、パン屋に関わらず応援したいです」(松崎さん)
▲オーブン、ドウコンディショナーなど機材すべて譲渡します!
地域おこし協力隊としての採用も可能
町外から高原町に移住したい方には、行政が全面サポート。移住支援金事業やお試し滞在事業(※)などもあり、心強いですね。
(※ 詳細は高原町移住サイトより http://iju.town.takaharu.lg.jp/migration/)
さらに今回の承継は、地域おこし協力隊として応募することも可能。高原町役場産業創生課の中武さんは、事業承継による新風に期待を寄せています。
「商工会との連携や移住支援、地域おこし協力隊の制度は準備していますので、継業を希望している人が来てくれさえすれば、その後の支援はばっちりです。近い将来、relayのサービスを使って継業してくれた方が、高原町に新しい風を吹かしてくれることを期待しています。松崎さんのパン、本当においしいですよ!」(中武さん)
(※ 地域おこし協力隊については、文末に記載)
▲高原町役場産業創生課の中武さん。役場の方に気軽に相談できるのも地域の魅力のひとつ
お客様との心の交流がやりがい
最後に松崎さんから、メッセージをいただきました。
「規模は大きくないですが、一つ一つ心を込めた手作りパンを通してお客様と心の交流を深めてきました。天然酵母にこだわっているため工程が大変なこともありますが、お客様から“おいしかったよ”の声をいただいたり、季節ごとのパンを楽しみに待ってくださる方がいることが、やりがいであり励みになります」
取引先の性格上、現在新型コロナウイルス肺炎の打撃もほとんど受けていないそう。今後生活様式が変わると予想される中で、パン屋さんの地元への貢献度は増していきそうです。
松崎さんご自身もシステムエンジニアからパン屋さんへと、全く違う畑からの挑戦でした。誰にでもチャンスはあります。雄大な自然のなかで新しいビジネスに挑戦してみませんか!
▲高原町の名所、御池(みいけ)も待ってます!
※ 地域おこし協力隊について
都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、生活の拠点を移した者を、地方公共団体が「地域おこし協力隊員」として委嘱。隊員は、一定期間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や、農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組(総務省HPより引用)。
令和2年度高原町地域おこし協力隊募集概要の詳細は高原町役場に事前にお問い合わせください。
※ 本記事は、クラウド継業プラットフォーム「relay」にて募集中の継業案件を紹介しております。