自然と住居と仕事は 近いほうがいい

特集ルポ[沖縄県・読谷村]比嘉ファミリー

沖縄にUターンして、村で店を始める時、
「不安しかなかった」
それでも子育ては沖縄で、と夫婦の思いは一致した。
自然のある土地で、住居と仕事を近づけ、
いつも家族みんなで相談しながら暮らしている。


家族に問題が起こったら
「集まろう」
家族会議がはじまる

「既製品じゃない家具や古道具を販売しているので、通りいっぺんに並べるのではなくて、それが生きる空間にしたい」
沖縄本島中部の読谷村よみたんそんで比嘉亮さんと洋子さん夫婦が営む「Indigo(インディゴ)」はその言葉通りの店だと思う。
ガラス張りでありながら、懐かしさのようなものを感じる外観は、車社会の沖縄であっても目を引く。店の前が信号という立地も手伝って、車中の人々が店舗に目を向けている姿は、それを含めて「Indigo(インディゴ)」の、読谷村の風景だ。

平日の営業日は洋子さんが、土曜日は亮さんが机上でできる仕事をしながら店番をしている。学校が終わる時間からは、そこに3人の子どもたちのうち、上の小学生2人が加わる。
店の掃除にしても、毎日家族みんなで行う夕食の準備にしても、長女の香羽ちゃんのふるまいは、”お手伝い”というより”暮らしの一部”に見えた。手順をわきまえていて、おむすびの具材を弟に指示したり、お皿の上に敷くカーサバー(洋子さんがおばぁっ子だった影響で、月桃の葉のことをそう呼ぶ)を庭に採りに行く。

「”みんなが助かるお手伝い”をポイント制にしています。それぞれに欲しいものがありますが、買いたいときなど、親も含めて、みんなで相談をするようにしていて。
『こういうものが欲しいけど、高いものだとどうしよう』とか『協力して2人のポイントを合わせたら買えるね』とか。誰かが無理していたり、親の懐から無理して出すんじゃなくて、欲求をどう解決していくか家族で考える。加点は親の独断ですけど(笑)」
家族の誰かに問題が起こったときも、そんな風にして「ちょっと集まろう」という感じで、家族会議がはじまる。

「このあいだも長男の優にランドセルが嫌だから変えてほしいって言われたんです。なんで?って訊いたら、友だちに『変なランドセル』って言われたみたいで。
確かにみんなと同じじゃないんですよ。でもランドセルは6年間だけってなりがちで、長く使ってほしいという親の勝手な思いで選んだものなんですけど、大人になっても使えるようなシンプルなデザインのものを提案して、色は長男が選びました。前からずっとがまんしていたみたいで、宿題しながら泣いてたんです。

長女も同じランドセルなので、どう思う?って話し合って、『先生に話してみるのも1つの手だよ』というネーネー(お姉ちゃん)からのアドバイスも受けて。今はもうあのランドセルでよかった〜って言っているんですよ。みんなのより重いし鍛えられるからって(笑)。
嫌な気持ちをどう消化していくかというときに、親はなんもできないけど、寄り添って解決していきたい。話したら、納得してくれる。溜め込まないでほしいなと思っています」

文:黒川祐子(アイデアにんべん) 写真:セソコマサユキ
※記事全文は、本誌(vol.25 2017年10月号)に掲載


▼沖縄県の移住支援制度まとめ!

https://turns.jp/55040

                   

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