【青森県弘前市×JAL】自然と歴史、人々の暮らしに触れる弘前市で地域交流型ワーケーション

vol.1

20231113日〜1116日、青森県弘前市で開催されたワーケーションツアーに日本航空株式会社や株式会社ジャルパックの社員6人が参加した。リモートワークで働きながら弘前市の暮らしを体験し、新しい地域活性化の取り組みやアイデアを発案することが、このツアーの目的だ。リンゴ収穫体験や街散策、地元住民との交流などを通して弘前市の魅力・課題・可能性を探究した4日間をレポートする。 

 

1日目:リンゴの街、弘前でリンゴと地域の関わりを知る 

 弘前市は、青森県の西部に広がる津軽平野の中心的都市。なんといっても有名なのはリンゴだ。日本全国で栽培されるリンゴの4分の1以上が弘前市で生産されており、その生産量は日本一を誇る。街を歩くと、リンゴをモチーフにしたさまざまなオブジェや案内標識に出会える。リンゴの産地ならではのユニークなまちづくりが行われているのだ。 


弘前駅や市役所前にあるリンゴのオブジェが乗ったポスト 

ワーケーション参加者のほとんどは、弘前市を訪れるのが初めて。最初に向かったのは、弘前バスターミナル近くにある市場「虹のマート」。弘前市民の台所とも呼ばれ、惣菜から郷土料理までさまざまな食材が並んでいる。 

■虹のマート
https://www.nijinomart.com/ 

「虹のマート」で昼食を購入した後、オリエンテーション会場の「HIROSAKI ORANDO(オランド)」へ。ここは、カフェ、コワーキングスペース、ゲストハウスなどが一体となった複合施設。「ORANDO」は津軽弁で「わたしたち」を意味する。 


1階はカフェとイベントスペース、2階は宿泊施設を備えた「HIROSAKI ORANDO」 

オリエンテーションでは、弘前市 農林部りんご課の担当者から地域のリンゴ産業についてお話しをいただいた。 

リンゴは一次産業だけでなく、加工や販売などの関連産業も多くあり、地域の基幹産業であること、生産量は維持しているものの栽培面積は年々減少しており、農業従事者の高齢化も問題となっていること、このままでは、10年、20年後には多くの農業経営体が廃業に追い込まれる可能性があることなどを解説。弘前市が抱える課題に触れる機会となった。 

◾️HIROSAKI ORANDO
https://www.hirosakiorando.com/ 

 

2日目:リンゴ収穫体験で農業の苦労と魅力を実感 

朝からリンゴの収穫体験に参加。11月は弘前のリンゴ農家たちが今年最後の収穫に追われる農繁期だ。そんななか、今回参加者を受け入れてくれたのが、120 年続くりんご農家2019年に法人化して誕生した「みらいファーム・ラボ」だ。収穫にAI技術を活用した運搬ロボの試験運用を取り入れるなど、スマート農業に積極的に取り組んでいる。 

リンゴの収穫方法は簡単で、実をやさしく持ち、ヘタを中心に少し力を加えて持ち上げると「ポキ」とヘタの部分から取れる。もぎ方を教えてもらったら、早速農園で実践。一面に広がるリンゴ畑は息をのむ美しさで、「リンゴが視界いっぱいになっている光景を見たことが初めて」と、感動の声があちこちから聞こえてきた。 

この日は収穫作業のほかに、リンゴを赤く色付けるためのシルバーシートを回収する作業も行った。「収穫というとリンゴをもぎ取るだけのイメージでしたが、運搬や選果といったさまざまな工程があることを実際に体験して初めて知りました」と新たな気づきがあったようだ。 


リンゴの着色に使うシルバーシートをたたむ参加者

◾️みらいファーム・ラボ
https://miraifarmlabo-koguriyamanouen.com/ 

 

午前・午後のリンゴ収穫体験を終えた後、地元の人たちとの交流会に参加。アルコールが入ると疲れも吹き飛んで会話に夢中の面々。「筋肉痛になるかもしれないですね」「すでに筋肉痛です」といった声がちらほら。農作業のたいへんさを身をもって実感した1日となった。 

 

3日目:ワーケーションを経て気づいた弘前の魅力や課題、そして可能性 

午前は各自リモートワーク。市内には「HIROSAKI ORANDO」をはじめ4つのコワーキングスペースがあり、仕事環境には困ることはない。また、「コーヒーの街ひろさき」を謳う街中には、快適に作業ができるおしゃれなカフェや喫茶店が点在している。 


仕事の合間にアップルパイを頬張る。弘前市はアップルパイを観光コンテンツとして売り出し、アップルパイだけのガイドマップを発行している 

 

午後からは、2日間で得た学びをもとに全員で弘前市の魅力・課題・可能性を語り合うブレストミーティングを実施した。 

以下は、参加者の感想と意見の一部。 

・田舎だと思っていたが、城下町の風情があり、住みやすそうな街だと感じた。繁華街も充実していて、思ったより都会的だった 

・アートや歴史が豊富で知的好奇心を刺激された 

・岩木山の美しさに感動した。歴史的な建造物も多く、まち歩きが楽しかった 

・移動手段が限られていることや、冬の季節の魅力が十分に伝わっていないことが課題 

・南の人にとっては雪景色の中でのワーケーションは魅力的 

・農作業体験だけでなく、リモートワークを活用して、加工品の開発や販路の開拓など、農業のさまざまな側面に関われる可能性があると思った 

 

それぞれの業種や部署の視点から、活発に議論が行われた。 

4日目:市職員と意見交換会。地域活性化のアイデアを探る 

最終日。リンゴ農家の計らいにより、リンゴをふんだんに使った朝食をいただくことに。リンゴをその場でスムージーにして飲んだり、ヨーグルトと混ぜて食べたり。リンゴのおいしさを贅沢に味わう朝となった。 

朝食後は、弘前市職員と意見交換会を実施。今回の滞在で感じた弘前市のポテンシャルについてディスカッションを行うとともに、翌月に予定している次回のワーケーションについて提案を行った。 

 

以下は、参加者による発表内容の一部 

JALが運営する農園で収穫体験を行う「JAL Agriport」を弘前で実施する 

・青森空港を「青森りんご空港」にする 

・世界17ヵ国・地域、47都市にネットワークを持つ国際運輸事業者、ジュピター・グローバル・リミテッドを巻き込み、リンゴの輸出業に力を入れる 

また、群馬県みなかみ町と連携した特別授業についても紹介。これは、東京都品川区の小学生が、ジャルパックがオーナーになっている木のリンゴを収穫しに行くというもの。このように、弘前市との連携によって教育旅行の機会を創出し、交流人口の拡大を目指す、といった具体的な提案も飛び出した。 

さらに、今回のワーケーションでは味わえなかったナイトコンテンツに着目。青森県は人口あたりのスナックの軒数が全国でも上位にあることから、次回のワーケーションではスナックを探索するアイデアも出された。 

地域資源の豊かさや人々の暮らしに触れた4日間の交流型ワーケーション。弘前市の課題を明確化すると同時に、地域の発展につながる具体的なアイデアを掘り起こすことができた。 

 

▼弘前市×JALワーケーションレポートvol.2へ続く!
https://turns.jp/91324

 

文・写真:工藤 健 

                   

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