岩手で農業を始めませんか?【前編】
UIターン&就農で岩手暮らし
仕事として「農業」を選ぶ!
【▶︎】YouTube 配信中!

美しく豊かな自然に恵まれた岩手県。
広い県土と変化に富んだ地形、気象も生かして、米や園芸、畜産などの多様な農業が展開されています。リンドウやピーマン、キャベツやリンゴなど主要農産物の生産は全国でも上位にランクインされており、我が国有数の食料供給基地として、日本の一次産業をリードしています。

南北に長い岩手県の県南地域。比較的温暖な気候で、米づくりや野菜、果樹や畜産などを組み合わせた農業経営を展開し、担い手対策や就農サポート体制も充実しています。UIターンで就農する移住者も少しずつ増えてきました。

前編では、Uターンしてサラリーマンから転職、トマト栽培を軌道に乗せている奥州市の佐藤健さんと、同じくUターン後、ピーマン栽培に挑戦した花巻市の照井健二さんのお二人に、就農から農業経営、就農者へのサポートなどについてお聞きしました。

経営者になりたかった佐藤健さん

岩手県内第1位の収穫量を誇る米どころで、最高級品として知られる「江刺りんご」の産地、奥州市江刺出身の佐藤健さんは、専門学校を卒業後、東京の企業に就職。佐藤さんは「サラリーマンをしながらも、何らかの事業をして経営者になりたいと思っていました」と当時を振り返ります。


奥州市のトマト農家、佐藤 健さん・紫帆さん夫妻

実家のある奥州市に戻ってきた理由の1つが経営者になるためでした。Uターン後も一度は会社勤めをしましたが、やはり経営者の夢は諦められません。佐藤さんは「経営者という選択肢の1つが農業だった。今、仕事として農業をやっていますが、生涯、情熱を注げることを仕事にしたかったので、それを実現しているという実感があります」と目を輝かせます。
地元の農業改良普及センターに相談に行ったことが就農への第一歩となりました。そこで、農業普及員と一緒に事業計画を作成。まさに、経営者への道を歩み始めました。

都会からUターンして農業を仕事に

「地域の同年代で就農した人たちが、全員トマト栽培で成功していました。栽培技術が確立していたので『トマトをやれば間違いない』と思いました」と生産作物を決めた理由を語る佐藤さん。とはいえ、知識・技術習得はゼロからのスタートでした。1年間、近くの先進農家のもとで研修を受け、年間を通して栽培技術を学びました。


栽培技術が確立されているトマト栽培

研修後、中古ハウス2棟から一人でトマト栽培をスタート。ハウスを建設する際は建設費の半額助成(県・農業公社事業)を受け、不足分はサラリーマン時代の蓄えで自己負担をしました。
佐藤さんは「就農してからは自分のタイミングで、時間にとらわれない働き方ができ、自分がやりたいように経営できることが魅力でもあり楽しい。Uターンして改めて人と人との距離感が近い地域だと感じます。生まれ育った土地なので、過ごしやすく今の暮らしが体に合っています」と笑顔で話します。


岩手県奥州市江刺の山間地に並ぶ佐藤さんのハウス

また、冬場は自分の時間を確保できるため、趣味のゴルフや夫婦で温泉旅行を楽しみます。「自分が打ち込める趣味で気持ちを切り替えます。冬はリフレッシュする季節であり、オフの楽しみがあります」と夫婦で楽しそうにうなずいていました。


趣味のゴルフは冬の農閑期の楽しみ

やりがいを常に感じられる仕事が農業

佐藤さんは「農業を始めて間違いなく良かった」と力強く言い切ります。その理由を聞くと思いがけない答えが返ってきました。「朝起きて『今日も頑張ろう』という気持ちになりますし、1日終わって『今日も頑張ったな』と思えます。そういう、やりがいを常に感じられる仕事が農業だから」。


形や色づきを1個1個確かめながら収穫

年によって変動する気候や新しい栽培技術の研究など、思い通りにいかないことも多いそう。それでも「毎年、改善しながら一つの課題が解決してもまた新たな課題にぶつかって、なかなか『今年は良かった』という年にならないのですが、それがまた面白く奥が深いので、ずっと農業を続けたい。自分が持っていた『農業は稼げない』というイメージを打破したい。自分のトマト栽培を見て『農業をしたい』と思ってもらえる姿になりたいので」と佐藤さんはトップリーダーの視点で日々、奮闘しています。


主に首都圏へ出荷されるため運送の時間を考慮した完熟前のトマト

夫婦で挑戦するトマト産地づくり

奥州市江刺には、「江刺金札米」「江刺りんご」「江刺牛」という農産物のブランドがあります。佐藤さんは「野菜だけがブランドを確立できていません。地域の農業を担っていく生産者たちで今後、トマトをブランド化してPRし、高品質で届けられる産地にしていきたい」と強い思いを語ります。結婚と同時に健さんとトマトづくりに励む妻の紫帆さんも「トマト生産に加えて、規格外のトマトでジュース加工を計画しています」と意欲的。


生産している品種は大玉で食味の良い「りんか」

佐藤さんをはじめ若い世代がどんどんトマト栽培に参入している奥州市江刺。就農に至るまでのプロセスや技術面のサポートもしっかりしています。佐藤さんは「生産者仲間でも勉強会をして、みんなで切磋琢磨しながらトマト産地として盛り上げています。江刺でトマト栽培を始めれば高い栽培技術を習得できるので、ぜひ、ここで就農する方が増えるとうれしいです」と先輩農家として心強いメッセージを発信します。


トマトのブランド化・産地づくりを目指す佐藤夫妻

【プロフィール】
佐藤 健さん・紫帆さんご夫妻
健さんは岩手県奥州市江刺生まれ。地元の高校卒業後、消防士を目指して公務員試験に臨むため専門学校入学。卒業後は東京の警備会社で5年間勤務し2012年、奥州市の実家にUターン。再び、グループ会社の警備会社で4年間働くが、本格的に農業を始める決意をして退社。その後、先進農家のもとで1年間トマト栽培の研修を受け2018年に独立、4年間でハウス13棟(35a)に経営規模を拡大した。2021年、岩手県宮古市出身の紫帆さんとの結婚を機に、市内のアパートで暮らす。夫婦でハウスへ通う毎日だ。※2022年7月現在


■奥州市・金ケ崎町で農業を始めたいと思ったら
~お気軽にお問い合わせください~

胆江地方農林業振興協議会担い手育成支援班事務局
(奥州農業改良普及センター 地域指導課)
〒023-1111 岩手県奥州市江刺大通り7-13
TEL:0197-35-6741 FAX:0197-35-6303


父の背中を見て農業に憧れた照井健二さん

「小さいころから親の背中を見て育ち、農業に憧れを抱いていました」と話す照井健二さんは花巻市の水稲農家に生まれ育ちました。高校卒業後、北海道の大学、大学院で農業機械を専攻。農業に携わる仕事ができればと考え、卒業後、道内でJAに就職しましたが「農家の方々と接しているうちに自分でも『農業やりたいなあ』と思い始めました」と当時を振り返り笑顔で語ります。就職から1年後、25歳の時に実家に戻って来ました。


花巻市のピーマン農家、照井 健二さん

Uターン後は水稲や転作作物栽培など実家の農業を手伝っていました。照井さんは「収穫する前までが好きなんです。植物がぐんぐん、ぐんぐん大きくなっていく様子が一番見ていて楽しいなと思います」と農業の魅力を手ぶり身振りで楽しそうに話します。
やりたかった農業に没頭し、さらに自分なりの農業経営を模索することになります。それがピーマン栽培でした。


新たな挑戦のピーマン栽培

Uターンの新規就農を応援してくれる支援体制

照井さんは実家の農業を手伝いながら、地元の農業改良普及センターに相談に行きました。岩手県立農業大学校の研修で農業経営などの事業計画を作成し2010年、正式に就農。
就農時、照井さん1人で始めたのはミニトマトのハウス1棟だけでした。

転機が訪れたのは3年前、国、県、JAの共同補助事業を利用してハウス4棟を建設。「花巻市で生産を推進しているピーマンのハウス栽培をする、という条件で支援してもらいました。ハウス栽培はやったことがなかったのですが、パプリカをつくっていたので基本的な栽培方法は生かせています」とピーマン農家として新たな挑戦を始めました。


岩手県花巻市の実家近くに建てたピーマン栽培用ハウス

栽培に関しては、JAや県が定期的にハウスを巡回し生育状況などを見て、講習会などで知識や技術を指導。照井さんは「手厚いサポートのおかげでピーマン栽培が軌道に乗りました。ハウスでの栽培は、収穫期が5月中旬から11月中旬までと長いことが特徴で霜が下りるまで収穫が可能です」と、今では実家の米づくりをなかなか手伝えないほど、ピーマン栽培をメインに農業経営をしています。


サイズや形を1個1個確かめながら収穫

夏はしっかり農業&冬は趣味を楽しむ

ハウス4棟で1,300本の苗を植え、1年で約14tを出荷するほど規模の大きなピーマン農家となった照井さん。地域の平均反収より収量が多く、周囲からは「管理状態がきれいだ」と評価されています。

「伸ばす枝と切る枝を見極め、良いタイミングで枝を切っています。今年で3年目になりますが、毎年気温変動が激しいので同じタイミングというわけでありません。生育の状態を見て『今かな』と枝を切ります」。日々の丁寧な手入れはもちろんのこと、真剣に農産物に向き合い対話する照井さんの姿がありました。


真剣に農作物と向き合う照井さん

また、「自分で自分の時間を決めることができます。自分のペースで仕事ができるのが一番いい。Uターンしてみて、花巻は昔ながらの風景があって落ち着きますね。暖かい地域に比べて1年中農作業できないのが不利ではありますが、その分冬場に自分の時間がとれます」と就農して良かったことを、にこやかに語ります。

照井さんは、農業関係者で組織する東北農民管弦楽団に所属。農閑期だけ活動し、東北6県を回り演奏会を開いています。中学時代から演奏しているトロンボーンは、ピーマンの収穫が終わるまでは忙しくて練習できません。それでも「趣味を楽しみながら冬時間、ちょっとのんびりすることでまた来年頑張れるかなと思います」と、冬のかけがえのない時間を楽しみに、今日もピーマンづくりに励みます。


冬の楽しみは趣味のトロンボーン

スマート農業で生産量アップを目指す

今、照井さんが力を入れているのはスマート農業。環境制御技術でハウスの自動換気をし、計測機械から環境データがスマートフォンに転送されてきます。温度、湿度、日射量、土壌水分など収集できるデータの情報を見ながら水量を調節できます。「来年度はデータを利用してさらに収量を上げたいと思っています。また、ハウスをあと2~3棟増やしていきたい」と計画し、さらなる生産量アップを目指しています。


環境制御技術を駆使して収量のアップを目指す

また、30~40代のピーマン農家たちとの活動も大切にしています。「花巻で一番売り上げがある野菜がピーマンなので、収量を上げようと頑張っています。JAが開催する指導会など技術面のサポートもあり、Facebookを利用してお互いに情報共有しています。新規生産者が気軽に情報交換できる場をつくることで、次にすることがわかって失敗を減らせると考えています」。


近隣のピーマン農家が集まり定期的に栽培についての指導会を開催

仲間と熱心にピーマン生産に取り組む照井さんには、岩手の農業の未来についての思いもあります。「まだ、同世代の若い農家が少ないのでぜひ新規就農者の方と一緒に岩手の農業を盛り上げていきたい。岩手県は広いので、野菜に限らずいろいろな農業がある県なので自分のやりたいことが見つけられると思います」。岩手の農業を担っていく照井さんの挑戦はこれからも続きます。


生産している品種は苦みのない「京鈴」

【プロフィール】
照井 健二さん
岩手県花巻市生まれ。地元の高校卒業後、北海道の帯広畜産大学、同大学院で農業環境工学を専攻、農業機械などを学んだ。卒業後、道内のJAに就職し1年間勤務した後、花巻市の実家にUターン。実家の農業や集落営農組織を手伝いながら岩手県農業大学校で研修後、2010年に独立。ミニトマト、パプリカなどの栽培経験を経て2019年、ピーマンのハウス栽培を始め軌道に乗せる。2019年、結婚を機に実家近くの借家で夫婦2人暮らし。妻は会社勤め、健二さんは農業と仕事は違うものの、共通の趣味・音楽を楽しみ、プライベートも充実している。
※2022年8月現在


■花巻市で農業を始めたいと思ったら
~お気軽にお問い合わせください~

・花巻市ワンストップ就農相談窓口事務局(花巻市農林部農政課内)
TEL:0198-23-1400 FAX:0198-23-1403
E-mail:nousei@city.hanamaki.iwate.jp

・中部農業改良普及センター 地域指導課(岩手県農業研究センター内)
〒024-0003 岩手県北上市成田20-1
TEL:0197-68-4464 FAX:0197-68-4474


岩手県で農業をしてみたいと思ったら

岩手で農業を始めませんか? 【後編】へ続く(準備中)

人気記事

新着記事