「宮崎牛」「地頭鶏」「マンゴー」など魅力的な食材が豊富な宮崎。そんな食材大国・宮崎で、食に関わる人と出会い、食の生産地などを巡るスタディツアーが、12月18日(土)から20日(月)まで開催されました。
1日目 @西米良村
宮崎ブーゲンビリア空港到着後、最初に訪れた地は西米良村。熊本県との県境にあり、1,100人ほどが生活する県内26市町村中、一番人口の少ない村です。米良三山をモチーフにした村のシンボルとなっている木造橋「かりこぼうず大橋」が出迎えてくれました。
おがわ作小屋村
茅葺屋根が特徴的な「おがわ作小屋村」で、まずは腹ごしらえ。16種類の小皿がきれいに並べられた「おがわ四季御膳」をいただきました。
伝統野菜の伊勢芋としいたけの煮しめ、地元ジビエの鹿フレーク、ゆずみそなど、西米良の小川地区で採れた食材の御膳が月替りで提供されており、毎月、村外から足を運ぶ人も。ランチを食べながらの自己紹介タイムでは、このスタディツアーに参加した想いをそれぞれ語り合いました。
おがわ作小屋村
住所:〒881-1302 宮崎県児湯郡西米良村大字小川254番地
TEL:0983-37-1240
アクセス:宮崎市内から車で1時間50分ほど
HP:https://www.ogawasakugoya-village.com/
中武三枝さんのワークショップ
村の農産物を加工する「いとまき倶楽部」へ移動。西米良の女性たちが村の特産品をどうやって販売していけばいいのかを考えた末に立ち上げた加工場で、代表の中武三枝さんはじめ、パワフルな女性ばかり。みなさんわいわいと楽しそうに作業しているのが印象的でした。
西米良の伝統野菜「米良糸巻大根」を参加者みんなで調理体験。
米良糸巻大根は、同じ種からなぜか白い大根と赤い大根が育つ不思議な大根。糸を巻き付けたようなきれいな模様が特徴で、一般的な大根よりも糖度が2、3度高くて梨のような味と食感です。白と赤は見た目だけでなく繊維の細かさが違い、赤いほうが繊維が粗め。食感もちょっと異なります。
いとまき倶楽部の方たちが西米良産ゆずの混ぜごはんでおにぎりを作ってくれました。西米良はゆずの一大産地。昼夜の寒暖差が大きいため、風味や香りが強いゆずができると言われています。糸巻き大根の甘酢漬けやよもぎだんごも絶品でした。
神楽
夜はみんなで県の無形民俗文化財に指定されている村所神楽(むらしょかぐら)へ。33番まで演目があり、舞手たちは冷気の中、ひと晩中舞い続けます。
神楽の舞手になるには神社の神秘的な儀式を通過しなければならず、この時期には日本全国からその儀式を受けた舞手たちが村に戻ってくるとのこと。たくさんの観光客も集まるので、一気に村の人口は膨れ上がります。
翌朝、散歩がてら神楽のもとへ再訪したツアー参加者の話によると、早朝になってもなお会場は盛り上がっていたようでした。
村民にとって、いかに神楽の文化が大事にされているのかを肌で感じることができました。
2日目 @都農町
翌日は朝から都農町へ。太平洋に面しており、西側には尾鈴連山(おすずれんざん)が連なる日照時間が長く温暖な気候のエリアです。ぶどう、梨など果物の生産が盛んですが、金色に体が輝く金ふぐやアジなど海産物も豊富です。
都農ワイン
日向灘を一望できる高台に位置する都農ワイナリー。絶景を眺めながら食事もでき、国内外のワイン審査会で賞を受賞している都農ワインも試飲できます。
案内してくれた営業企画部長の福嶋進吾さんは、千葉県からの移住者。ぶどう畑から都農ワインの加工場、熟成中のワイン樽も見学させて頂きました。ぶどう畑に関するお話のほか、都農ワインの深みのある味わいの理由など、ワイナリーの特徴や取組について教えて頂きました。設備にも積極投資をしており、ドイツ製のぶどう絞り機は数千万円もしたそうです。
使われているぶどうの品種、製造方法など、福嶋さんから都農ワインの解説を受けながらの試飲。都農ワインを堪能しました。
都農ワイン
住所:〒889-1201 宮崎県児湯郡都農町大字川北14609-20
TEL:0983-25-5501
アクセス:宮崎市内から車で1時間30分ほど
HP:https://tsunowine.com/
都農神社
初代天皇とされる神武天皇が、東征をする前にこの地で祈願したと伝えられる日向国の一宮「都農神社」へ。「神の石」を奉納すると願い事が叶うという「石持ち神事」は県内でも有名で、パワースポットとしても人気があります。
境内には太陽の光が降り注ぎ、気持ちの良い参拝になりました。
都農神社
住所:〒889-1201 宮崎県児湯郡都農町川北13294番地
TEL:0983-25-3256
アクセス:宮崎空港から車で約1時間20分
HP:https://tunojinjya6.webnode.jp/
まちづくり会社イツノマ/まちづくりホステルALA
都農町のまちづくり会社イツノマを来訪。代表を務める中川敬文さんは、町制施行100周年となる2020年に東京から移住されました。
同社が都農町と取り組むキャリア教育が文部科学大臣表彰を受賞、デジタル化の取り組みである「都農町デジタル・フレンドリー」が2021年度グッドデザイン賞ベスト100を受賞するなど、全国から注目されています。イツノマの街づくりの目的や活動内容を教えてもらいました。
イツノマが運営するゲストハウス「まちづくりホステルALA」に宿泊。夜は、都農ワインと地元食材で食卓を囲み、ぶどう畑を眺めながら外気浴できるテントサウナも体験しました。(夏に向けてテントハウスを利用したプログラムも展開していくとのことなので、サウナ好きも要チェックです!)
中川さんが抱えているのは、ミニチュア・シュナウザーのALAちゃん。誰にでもしっぽを振って寄ってきてくれる人懐っこい看板犬です。
まちづくりホステルALA
住所:〒889-1201 宮崎県児湯郡都農町川北3539−7
TEL:070-4465-8265
アクセス:JR都農駅から徒歩約5分
HP:https://ala-tsuno.com/
3日目 @綾町
最終日の3日目は、10年前にユネスコエコパークに登録され、自然と人が共生する有機農業の町として全国的にも有名な綾町に。無農薬・無化学肥料栽培にこだわった「綾・早川農苑」を見学しました。
綾・早川農苑
有機栽培のにんじんをそのまま絞ったウェルカムドリンクに感動。にんじんの優しい甘みと香りが口の中に拡がります。代表の奥誠司さんに解説して頂きながら農園を案内して頂きました。
畑の大根を抜いてがぶり。みずみずしい大根は辛味よりも甘みが強く、思わず笑顔になってしまいます。
にんじんの収穫体験では、土からにんじんを抜くだけで周りににんじんの香りが漂います。にんじんもその場で頬張ってみると、コリコリとした食感からじゅわっと溢れ出てくる甘い汁。有機栽培で一般的な農法よりも手間暇かけて育てられているためか、ひとつひとつの野菜が桁違いに美味しいです。
早川農苑で採れた野菜を使ったランチ。大根の揚げ物やねぎのディップソースをかけたサラダなど、野菜によって味がしっかり違うことを体感。有機農業に興味のある参加者も多く、奥さんに野菜の作り方などを質問するなど盛り上がりました。最後に立ち寄った直売所「綾手づくりほんものセンター」では、綾町産の野菜を大量に買い込んで帰路に着く方もいらっしゃいました。
綾・早川農苑
住所:〒880-1302 宮崎県東諸県郡綾町北俣2330
TEL:0985-77-0920
HP:https://ayahayakawa.com/
3日で3エリアを巡った今回のツアー。場所によって、採れる食材や環境、雰囲気も全然違いましたが、共通しているのは地元の方の優しさと人懐っこさ。これは、宮崎県の県民性なのかもしれません。
たった数時間しか滞在しなかったのに、「空き家があったら、東京と2拠点で活動したい」と話す参加者もおり、もっと深く知りたい、もっと地元の方と交流したいという感想を参加者の皆様がもってくださったようです。
全国でも有数のポテンシャルを持つ宮崎県の「食」と宮崎人の優しさで、全国の人と繋がりを構築していけたら、宮崎県の幸福度はさらに向上していくでしょう。
文:恒吉浩之(Qurumu合同会社)